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豊島区税制度調査検討会議が報告書を区長に提出

ワンルームマンション税の効果を確認し、継続すべきであるとした

報道発表日:平成26年1月15日

問い合わせ:税務課 電話 03-3981-1376

本日、豊島区の「狭小住戸集合住宅税(通称:ワンルームマンション税)」のあり方について検討を行ってきた「豊島区税制度調査検討会議」が、報告書を高野之夫区長に提出した。

今回の報告書では、本税は、住宅施策の一環として、かつ課税自主権を発揮する独自の政策手段として一定の効果があると判断され、継続されるべきである。

と結論づけた。本区において、本税導入前後の平均戸数を比較してみると課税対象の住戸建築は減少しており、23区のなかでも30平方メートル未満のワンルーム住戸抑制が進んでいる。これは、戸数建築規制によるワンルーム規制はほとんどないことから、本税によるワンルーム建築の抑制効果によるものと推定されるとまとめている。

ワンルームマンション税は、1住戸の占有面積が30平方メートル未満(平成22年3月31日までは29平方メートル未満)のワンルームを9戸以上有する建築等を行なう建築主に対して、狭小住戸1戸に対して50万円を課税するもの。ワンルームマンションの抑制効果を狙ったものとしては全国唯一の法定外普通税。本税の施行から9年が経過した平成16年度から平成24年度までの間に、169件の課税実績があり、税収としては29億1,150万円を得ている。
一方、ワンルームマンション建築状況の変化としては、集合住宅建築確認申請件数の推移をみると「29平方メートル未満9戸以上(税対象規模)」の戸数は平成11から15年度の年平均1,069戸から平成16から24年度の年平均763戸へと28.6%減少している。
このような状況から、本税は住宅ストックバランスの回復を主要な課題とする本区において、ワンルームマンションの抑制に相当な成果をあげてきたといえる。
(詳細は下記の「豊島区税制度調査検討会議報告書-概要-」を参照ください)

この報告を受けた高野区長は、「頂戴いたしました報告につきましては、本税についての評価にとどまらず、区の住宅都市施策に対する真摯なご指摘として厳粛に受け止め、今後の区の政策を展開してまいります」とコメントした。

ワンルームマンション税の見直しについて

「豊島区狭小住戸集合住宅税条例」附則第3項の5年ごとの見直し規定に基づき、豊島区税制度調査検討会議を設置し、平成25年5月31日、高野区長より同税がとるべき必要な措置について諮問を受け、検討を重ねてきた。

メンバー/池上岳彦会長(立教大学経済学部教授)、中村芳昭副会長(青山学院大学法学部教授)、野口和俊委員(弁護士)、区関係部長、計8名

高野区長(右)に報告書を提出する(左から)野口委員、池上会長、中村副会長

「豊島区税制度調査検討会議報告書―概要―」

平成26年1月15日、税制度調査検討会議は狭小住戸集合住宅税のあり方に関する報告書を取りまとめた。

結論:本税は、住宅施策の一環として、かつ課税自主権を発揮する独自の政策手段として一定の効果があると判断され、継続されるべきである。

概要は以下のとおりである。


1.狭小住戸集合住宅税の施行状況

本税の施行から9年が経過した。平成16年度から平成24年度までの間に、169件の課税実績があり、29億1,150万円の税収が得られている。現時点における収入未済は1件であり、全体として順調に課税が行われていると評価できる。

2.狭小住戸集合住宅税の抑制効果――他区の状況との比較を含めて

本会議は、本税がその導入目的であるワンルームマンション建築抑制に効果をあげているかどうか、検証を試みた。

(1)ワンルームマンション建築状況の変化

豊島区中高層集合住宅建築物の建築に関する条例による協議件数をみると、29平方メートル未満の戸数は、平成11から15年度の年平均835戸から平成16から24年度の年平均663戸へと20.6%減少し、集合住宅建築確認申請件数の推移をみると「29平方メートル未満9戸以上(税対象規模)」の戸数は平成11から15年度の年平均1,069戸から平成16から24年度の年平均763戸へと28.6%減少している。

(2)住宅ストック状況の変化

まず、住宅土地統計調査(総務省)について、税施行前の平成15年と施行後の平成20年を比較すると、総住戸数に占める「民間借家・共同建て・非木造・30平方メートル未満」の住宅(これはほぼ豊島区の基準でみたワンルームマンションを示す)の割合は、豊島区において18.5%から18.7%へとほぼ横ばいであった。23特別区平均は同期間に11.8%から14.7%へ上昇しており、豊島区の数値は23区平均に比して高いものの、その差は明らかに縮小している。
また、23区について平成15年と平成20年の総住戸数のうち30平方メートル未満の住戸が占める割合を比較すると、豊島区は37.4%から36.1%へと1.3ポイント減少した。数値は高い方からみて2位から3位へ低下したが、それ以上に重要なのは5年間に数値が減少したのが7区のみだったことである。一方で50平方メートル以上の住戸が占める割合は39.4%から40.8%へ1.4ポイント増加した。この数値が上昇したのは10区であり、そのうち豊島区の増加率は6番目であった。
23区のなかでも、全世帯に占める単独世帯の割合が高く、ファミリー世帯の割合が低いという点で、豊島区は新宿区、渋谷区及び中野区と同様の性格をもつ(以下、豊島区を含めて「類似4区」と記す)。類似4区のうち、豊島区を除く3区において平成15年と平成20年の30平方メートル未満の住戸が占める割合はいずれも増大し、逆に50平方メートル以上の住戸が占める割合の変化はいずれも減少している。これら3区と比較すれば、豊島区においては住宅ストックバランスが是正される傾向にあるといえる。
つぎに、国勢調査(総務省)について、税施行2年目の平成17年とそこから5年経過した平成22年を比較してみると、豊島区において30平方メートル未満の居住世帯数が全世帯に占める割合は33.4%から27.8%へと5.6ポイント減少し、数値は高い方からみて4位から5位へ低下した。23区平均は23.1%から22.8%へ0.3ポイントの減少であり、そのうち数値が減少したのは12区であった。そのなかでも、減少率が最も高かったのは豊島区である。
類似4区のなかで比較してみると、豊島区は地価・家賃水準が相対的に低く、利便性が高いために、ワンルームマンション建築のニーズは高い。そのなかで、住宅ストックバランスの回復を主要な課題とする豊島区は、ワンルームマンションの抑制に相当な成果をあげてきたといえる。

(3)区による施策の相違点――ワンルーム住戸の定義及び規制内容

23区のマンション建築にかかる規制内容とワンルームマンションの建築状況について検証するため調査を行ったところ、ワンルーム住戸の定義を面積40平方メートル未満(又は以下)とする区が12区、ファミリー住戸については40平方メートル以上と規定する区が12区と多い。また、中高層集合住宅建築物に関する条例もしくは規則で定める住戸の最低居住面積は25平方メートル以上としている区が20区あるが、豊島区は港区、品川区と並んで20平方メートルと最も小さい。さらに、豊島区はワンルームマンションにファミリータイプ住戸の付置を規定していないが、19区が付置を規定している。ワンルーム住戸及びファミリー住戸面積の定義及びワンルーム住戸に関する規制は、区ごとに実に多様であることがわかる。
また、都市計画法に基づく地区計画により、何らかのかたちで集合住宅の住戸専用面積を規制している区が14区ある。そのうち地区計画区域面積が区の面積に占める割合が高いのは、千代田区(27.7%)と中央区(61.9%)の2区であり、それ以外の区では数%程度である。

(4)まとめ

豊島区において、本税導入前後の平均戸数を比較してみると課税対象の住戸建築は減少しており、23区のなかでも30平方メートル未満のワンルーム住戸抑制が進んでいるといえる。戸数建築規制によるワンルーム規制はほとんどないことから、これは本税によるワンルーム建築の抑制効果によるものと推定される。

3.住宅ストックに関する施策の現状と展望

「豊島区基本計画2011-2015」(平成23年3月)は、平成15年度に35.3%だった30平方メートル未満の住戸の割合を平成27年度までに30.0%へ引き下げる、他方で50平方メートル以上の住戸の割合を37.2%から50.0%へ引き上げる、との成果目標を掲げている。
また「豊島区都市計画マスタープラン」(平成12年3月)は現在改定が進められており、そのなかでは「ライフステージに応じた良好な住環境の形成」をはかる方針のなかで「良質な住宅ストックの形成」も検討されている。
さらに、住宅施策の根幹をなす「豊島区住宅マスタープラン」(平成21年3月)においては「狭小住戸集合住宅税により、狭小な住戸から構成される共同住宅の建設を抑制し、最低居住面積水準未満の解消と住戸面積50平方メートル以上の住宅を50%以上にするなど、住宅ストックのバランスの回復を図ります」と述べられている。
豊島区において、住宅ストックのバランスは改善の兆しもみられるが、木造賃貸アパートの建て替え等に伴ってワンルームマンションが急増し、狭小な住宅ストックが長期にわたって再生産される可能性が高い。そのため「良好な住宅ストックの形成」と住宅ストックバランスの是正の観点から、ワンルームマンション建築を抑制しつつ良質なファミリー住戸の建築を促進する施策を継続すべきである。

4.狭小住戸集合住宅税の今後について

(1)政策手段としての課税の継続

政策手段の1つである課税という経済的手法は、建築を全面的に禁止するものではなく、建築主における工夫の余地を残すものであり、さらに事情の変化に応じて政策を変更しうるという特徴を有する。収入確保という性格を備える限り、特定行為の抑制を目的とする税は正当性を有する。そこで、基礎自治体でありながらも固定資産に関する主要な法定税の課税権をもたない特別区が、狭小住戸集合住宅の建築に対して法定外普通税を課すことは、既存の法定税と課税標準を同じくせず、かつ建築を全面的に禁止するような効果を持つ過度の高税率でない限り認められる。
狭小住戸集合住宅の建築を抑制するとした場合、規制という行政的手法をとるか、課税という経済的手法をとるかは、地域事情等に基づく特別区の判断による政策選択に属する事柄であり、法定外普通税という手段も1つの選択肢として認められる。現実に豊島区において本税は経済的手段として効果を発揮しており、本税を廃止すれば狭小住戸の増加を助長すると判断されるので、施策の一環として本税を継続すべきである。
なお、ワンルームマンションに対する規制については、中高層集合住宅建築物の建築に関する条例を改正し、マンションの最低居住面積を20平方メートルから25平方メートル程度へ拡大することが望ましい。

(2)課税対象となる住戸

豊島区は30平方メートル未満の住戸を有する9戸以上の集合住宅を、課税対象としての狭小住戸集合住宅、すなわちワンルームマンションと定義している。「30平方メートル未満」は、平成18年以来「住生活基本計画」において2人世帯の「最低居住面積」が30平方メートルとされていることに基づいているが、本税が30平方メートル未満のワンルーム住戸建築を抑制しているため、30平方メートル台の住戸が多く建築される、という可能性も否定できない。50平方メートル以上の住戸を増やすことが課題であり、その役割を本税が担うのであれば、課税対象となる住戸面積を拡大し、また住戸面積を段階分けして複数税率方式をとることも考えられる。
しかし、住宅ストックバランスの是正に係る施策は、本税のみならず、規制・誘導、空き住戸利活用、住環境整備等、多岐にわたる。豊島区においては、課税によりワンルーム住戸の建築を抑制する場合、納税者への負担が過度なものであってはならないという税設立当初からの大前提がある。その点を重視すれば、税による建築抑制の対象は「最低居住面積」のような明確な論拠を示しやすい数値を用いることが制度の趣旨に合うといえる。その場合、50平方メートル以上の住戸建築へのシフトは、豊島区が展開する行政的施策に委ねられることになる。

(3)税率

現在、税率は1住戸につき50万円である。これは、本税創設を検討した当時の固定資産税の税率を制限税率まで引き上げると仮定した場合の負担増加額を基準として設定したものである。
固定資産税の制限税率は平成16年に撤廃されたものの、「過重な負担」かどうかの参考値になりうる。また、現実に国内で適用されている税率の最高値も参考に、地価の変化等も検証し再計算したところ、東京都が用いている固定資産税率(1.4%)を適用した場合と旧制限税率(2.1%)を適用した場合との差額は71万円、現在の国内最高税率(1.75%)を適用した場合との差額は36万円である。本税の現行税率50万円はその中間にあたり、妥当な水準といえる。
これまで以上にワンルームマンション建築抑制を強化すべきだとすれば、税率を引き上げることも考えられる。しかし、税率を変更するかどうかは、ワンルームマンション建築抑制の程度に関する豊島区の方針に基づいて決定されるべきである。現行の方針が大きく変更されるのでない限り、当面は税率を据え置くのが適当である。

(4)法定外普通税

狭小住戸集合住宅税は、法定外普通税である。本税はワンルームマンションの建築抑制を目的として創設されたのであり、税収を期待されているわけではない。したがって、税の性質上、あらかじめ使途を定めて財源を調達する目的税にはそぐわない。
本税の税収相当額は当初、豊島区の決定に基づいて一般財源から特定目的基金である住宅基金に積み立てられて、住宅基金を取り崩すことによって区営・区立住宅の改修・改築・管理、家賃助成等の事業に充当されてきた。しかし、平成23年度からは、住宅基金への積立は区営・区立住宅の改修改築需要に応じた積立のみとし、税収のほとんどが基金積立てを経ずに通常の財源として用いられている。これにより、法定外普通税としての性格がより明確になったといえる。

(5)納税義務者と申告・納付期限について

本税の納税義務者は建築工事着工時の建築主であり、着工後に建築主の変更が生じた場合に徴税上の問題が起きることもある。
本税については、着工時の建築主を納税義務者とし、着工後2ヶ月以内を申告・納付とする現行制度を維持すべきであるが、今後の建築動向等には注意する必要がある。

おわりに

本税の目的は住宅ストックバランスの是正であり、そのために豊島区が展開する施策体系の重要な一環を担うことが求められる。豊島区において適正な住宅ストックバランスが実現されるまでは、本税は存在意義を有する。本税は建築を禁止するものではなく、また建築主の側に工夫の余地を残しうるという特徴を有しており、しかも現実に一定の効果を発揮してきた。本税は、住宅施策の一環として、かつ課税自主権を発揮する独自の政策手段として、継続されるべきである。
もちろん、住宅施策は区の政策判断に委ねられるものである。区の方針が変更されれば、課税の内容もそれに応じて柔軟に変更されうる。本会議は、現在改定が進められている「豊島区都市計画マスタープラン」及び「豊島区住宅マスタープラン」に基づいて、豊島区が適切な住宅施策を引き続き展開することを期待する。

以上

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更新日:2015年2月25日