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豊島の板碑─古碑の由来を尋ねて─(1988年度)

1989年3月4日から30日

豊島区において文化財保護条例が施行されて2年が経過したが、その実務を担当していた当館では、19878両年にわたり区内の中近世石造物調査に取り組んできた。地域の民衆生活史を解明する上でかけがえのない史料でありながら、著名人・遺物重点主義の弊によって、ともすれば軽視されがちな石塔の保存こそ真先に手がけたいというのが私たちの考えである。

再開発の波に洗われている路傍の石塔の調査・保護などは、特に急がれているといわねばならない。少ない人員による限られた時間内の調査であったため、不十分な点は多いが、それでも所蔵者・区民の方々の御理解と励ましにより、板碑36基と庚申塔40基が調査を終え区の文化財に登録できたのである。金石文調査は今後も継続していくが、今回87年度調査の成果の公開のため、「豊島の板碑」刊行のはこびとなった。

板碑は、中世の始まりと共に造立され、中世の終焉と同時に消えてしまう供養塔で、秩父青石を用いた武蔵型板碑は、関東一帯に約4万基分布している。本書は史料集としての利用の便を重視し、『板碑の美』著者鈴木道也氏撮影の鮮明な写真と実寸3分の1(一部6分の1)の拓本を掲げ、個々の板碑の由来・研究史にも多くをさいて解説の類は最小限におさえた。当館刊『豊島・宮城文書』(1988)ともども、この基礎史料を素材に、豊かな地域史を叙述していただきたい。本年3月開催の本館特別展「古碑の由来を尋ねて─豊島の板碑─」は私たちのひとつの試論として、参考にしていただければと思う。

(図録序文より)

図録表紙

図録500円

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更新日:2018年3月14日