参考資料4 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について(抜粋) 全2ページ 1ページ目始め 改正の趣旨 障害者等の地域生活や就労の支援の強化等により、障害者等の希望する生活を実現するため、@障害者等の地域生活の支援体制の充実、A障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進、B精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備、C難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実及び療養生活支援の強化、D障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病についてのデータベースに関する規定の整備等の措置を講ずる。 改正の概要 1.障害者等の地域生活の支援体制の充実【障害者総合支援法、精神保健福祉法】 @ 共同生活援助(グループホーム)の支援内容として、一人暮らし等を希望する者に対する支援や退居後の相談等が含まれることを、法律上明確化する。 A 障害者が安心して地域生活を送れるよう、地域の相談支援の中核的役割を担う基幹相談支援センター及び緊急時の対応や施設等からの地域移行の推進を担う地域生活支援拠点等の整備を市町村の努力義務とする。 B 都道府県及び市町村が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほか精神保健に課題を抱える者も対象にできるようにするとともに、これらの者の心身の状態に応じた適切な支援の包括的な確保を旨とすることを明確化する。 2.障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進【障害者総合支援法、障害者雇用促進法】 @ 就労アセスメント(就労系サービスの利用意向がある障害者との協同による、就労ニーズの把握や能力・適性の評価及び就労開始後の配慮事項等の整理)の手法を活用した「就労選択支援」を創設するとともに、ハローワークはこの支援を受けた者に対して、そのアセスメント結果を参考に職業指導等を実施する。 A 雇用義務の対象外である週所定労働時間10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者に対し、就労機会の拡大のため、実雇用率において算定できるようにする。 B 障害者の雇用者数で評価する障害者雇用調整金等における支給方法を見直し、企業が実施する職場定着等の取組に対する助成措置を強化する。 3.精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備【精神保健福祉法】 @ 家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合にも、市町村長の同意により医療保護入院を行うことを可能とする等、適切に医療を提供できるようにするほか、医療保護入院の入院期間を定め、入院中の医療保護入院者について、一定期間ごとに入院の要件の確認を行う。 A 市町村長同意による医療保護入院者を中心に、本人の希望のもと、入院者の体験や気持ちを丁寧に聴くとともに、必要な情報提供を行う「入院者訪問支援事業」を創設する。また、医療保護入院者等に対して行う告知の内容に、入院措置を採る理由を追加する。 B 虐待防止のための取組を推進するため、精神科病院において、従事者等への研修、普及啓発等を行うこととする。また、従事者による虐待を発見した場合に都道府県等に通報する仕組みを整備する。 4.難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実及び療養生活支援の強化【難病法、児童福祉法】 @ 難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する医療費助成について、助成開始の時期を申請日から重症化したと診断された日に前倒しする。 A 各種療養生活支援の円滑な利用及びデータ登録の促進を図るため、「登録者証」の発行を行うほか、難病相談支援センターと福祉・就労に関する支援を行う者の連携を推進するなど、難病患者の療養生活支援や小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を強化する。 5.障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病についてのデータベース(DB)に関する規定の整備【障害者総合支援法、児童福祉法、難病法】障害DB、難病DB及び小慢DBについて、障害福祉サービス等や難病患者等の療養生活の質の向上に資するため、第三者提供の仕組み等の規定を整備する。 6.その他【障害者総合支援法、児童福祉法】 @ 市町村障害福祉計画に整合した障害福祉サービス事業者の指定を行うため、都道府県知事が行う事業者指定の際に市町村長が意見を申し出る仕組みを創設する。 A 地方分権提案への対応として居住地特例対象施設に介護保険施設を追加する。 等このほか、障害者総合支援法の平成30年改正の際に手当する必要があった同法附則第18条第2項の規定等について所要の規定の整備を行う。 施行期日 令和6年4月1日(ただし、2@及び5の一部は公布後3年以内の政令で定める日、3Aの一部、5の一部及び6Aは令和5年4月1日、4@及びAの一部は令和5年10月1日) 1ページ目終わり 2ページ目始め 1−A 1−B 現状・課題 ○ 基幹相談支援センターは、相談支援に関する業務を総合的に行うことを目的とする施設として、平成24年から法律で位置づけられたが、設置市町村は半数程度にとどまっている。 ○ 障害者の重度化・高齢化や親亡き後を見据え、緊急時の対応や施設等からの地域移行の推進を担う地域生活支援拠点等の整備を平成27年から推進してきたが、約5割の市町村での整備に留まっている。 ※令和3年4月時点整備状況(全1741市町村) 地域生活支援拠点等:921市町村(53%),基幹相談支援センター:873市町村(50%) ○ 市町村では、精神保健に関する課題が、子育て、介護、困窮者支援等、分野を超えて顕在化している状況。また、精神保健に関する課題は、複雑多様化しており、対応に困難を抱えている事例もある。 ※自殺、ひきこもり、虐待等 見直し内容 ○ 基幹相談支援センターについて、地域の相談支援の中核的機関としての役割・機能の強化を図るとともに、その設置に関する市町村の努力義務等を設ける。 ○ 地域生活支援拠点等を障害者総合支援法に位置付けるとともに、その整備に関する市町村の努力義務等を設ける。 ○ 地域の協議会で障害者の個々の事例について情報共有することを障害者総合支援法上明記するとともに、協議会の参加者に対する守秘義務及び関係機関による協議会への情報提供に関する努力義務を設ける。 ○ 市町村等が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほか精神保健に課題を抱える者(※)も対象にできるようにするとともに、これらの者の心身の状態に応じた適切な支援の包括的な確保を旨とすることを明確化する。また、精神保健福祉士の業務として、精神保健に課題を抱える者等に対する精神保健に関する相談援助を追加する。 ※ 具体的には厚生労働省令で定める予定。 本人・家族等の支援に向けた体制整備イメージ 都道府県(管内市町村における整備や機能の充実に向けた広域的な支援) B協議会(個別事例を通じた地域課題の共有、地域の支援体制の整備に向けた協議の場) @基幹相談支援センター (地域の相談支援の中核機関) 守秘義務を設ける 地域の障害者・精神保健に関する課題を抱える者の支援体制の整備