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としまてくてくサムネ

【としま、てくてく(取材編)】

更新日:2023年10月30日

インタビュー

時速4km

時速4km。

これは一般的に人間の歩くスピードといわれています。時速4kmで見える景色。みなさんは忘れていませんか? 自転車に車に電車、コミュニティバス、最近では電動キックボード、多種多様な交通手段が現代には溢れています。とても便利で楽に目的地に向かうことができ、ついつい乗り物に頼ってしまっていることでしょう。目的地に向かうことが最も大事ではありますが、その道中には思わぬ発見があるものです。

道端に咲いている花、通りすがりの野良猫、穴場の小さなカフェ、思わぬ抜け道…。

たまには「徒歩」という手段を使って目的地に向かってみてはいかがでしょうか。今回は、スマホやイヤホンから離れて、日常の音や何気ない街の雰囲気に触れてみましょう。

「としま案内人 駒込・巣鴨」 って何?

私は今回「としま案内人 駒込・巣鴨」様に取材をしました。「としま案内人」は、豊島区に拠点を置く地域のボランティアガイド団体です。区内には、長崎町、雑司ヶ谷、駒込・巣鴨などと各地域に団体があり、行きたい場所にあった団体にガイドツアーを申し込むことができます。今回は、その中で駒込と巣鴨を中心にガイドツアーを行なっている「としま案内人 駒込・巣鴨」の代表である萩原寿夫(ひさお)さん、大久保けい子さん、前原紀子(のりこ)さんの3人に素敵なお話をお聞きしました!

 

 「としま案内人 駒込・巣鴨」では、地元の歴史をめぐるツアーや桜や紅葉の季節ツアーはもちろんのこと、地域の団体と交流しながらのツアー、豊島区を飛び出した区外のツアーなど、様々な場所を案内しています。特にソメイヨシノの発祥の地、駒込・染井のお花見ツアーが人気のようです。日本の象徴と言っても過言ではない桜を楽しむツアーは私も興味が湧きました! また、私の所属している大正大学もガイドエリア内であり、地域創生学部の学生たちとタッグを組み、地域学習としてフィールドワークが行われていました。(ちなみに今年もあるようです!)

 

巣鴨地域文化創造館「待夢」ロビーにある活動紹介のパネルは、社会貢献活動見本市@SDGsで最優秀展示パネル賞・豊島区長賞に輝きました。同会の皆さんの1年間の活動が一目で分かるパネルは、誰でも見ることができます。巣鴨地蔵通りを訪れた際にはぜひ覗いてみてください! (11月18日、19日には駒込文化創造館でも展示予定)

 

としま案内人パネル

区長賞に輝いたとしま案内人のパネル!一度実物をご覧あれ!(巣鴨地域文化創造館ロビーにて)

努力の賜物

「としま案内人 駒込・巣鴨」は、郷土史の先生である伊藤榮洪(えいこう)さん(表紙の本の執筆者)が行なった講座がきっかけで作られた団体でした。講座に集まった人たちでガイド会を作り、発足から10年ほど経った現在も豊島区の生涯学習団体として精力的に活動を続けています。

大久保さんは伊藤先生の文化講座を聴きに行ったときにメンバーになりました。初期のとしま案内人のことを知っており、苦労が絶えなかったことを語りました。現在23名の方々が活動していますが、創設時は人を集めることも大変だったそうです。運営のお金も潤沢とはいかず、豊島区の助成金を活用して、現在のユニフォームを作りました。しかし、これまでのメンバーの方々の努力があったからこそ、現在も活動を続けることができています。

としま案内人さんお二人

帽子とベストを制作時期が違うため色を揃えられず…でもソメイヨシノらしさがあるユニフォーム!

 (左:萩原寿夫さん、右:大久保けい子さん)

 

萩原さんも初期メンバーの一人ですが、積極的に活動するようになったのは、お仕事がひと段落してからでした。元々、駒込の「染井よしの町会」の会員として、桜祭りで地元の桜の名所を案内していたことがきっかけで、案内人の活動に興味をもったそうです。

前原さんは、英語部を立ち上げる際にメンバー入りをしました。英語で説明するにも、地元について理解がないとガイドツアーも疎かになってしまうということから、案内人としての活動にも参加するようになりました。社会的な動きにも目を配っている方で、活動を行なっているうちに多様性の広がりに魅力を感じていました。

同じ活動でもルーツは様々で、耳を傾けずにはいられないお話ばかりでした。

古今東西、としま案内人におまかせを!

ガイドツアーは様々な方に喜ばれています。地域の読み聞かせ団体や鹿児島の団体からも申し込みがあります。また、観光目的で申し込まれる方だけではありません! 東京のガイドさんが勉強のために申し込みをされたこともあったとのことです。

基本は7コースを案内してくださいますが、希望の場所を提案すると臨機応変に対応してくれます。私なら、巣鴨周辺穴場カフェを案内してほしいです(笑)。また、追加したいコースをお聞きしたところ、かつて巣鴨まで流れていた千川上水なども実際に歩き、ロングコースも視野に入れていると話してくださいました。

 

としま案内人ツアーリーフレット

案内リーフレットにコースの一覧が!

やっぱりソメイヨシノの歴史を辿る散歩をしてみたい!

 

ガイドツアー客の方々には、特に六義園の紅葉、桜、染井霊園、飛鳥山の紫陽花、旧古河庭園のバラなどをめぐるツアーが人気です。リピーターも多く、お子様連れや90代の方もいらっしゃるそうです。また、同会のイベントはツアーだけではありません。歴史についての講演もあり、地域にゆかりのある人々を紹介し、過去から現代にも通ずる歴史の話を先人たちから学ぶことができます。

 

巣鴨・駒込に世界史をみるチラシ

「巣鴨・駒込に世界史を見る-巣鴨地域文化創造館文化カレッジ-」

歴史好きの方には特に必見!

国も性別も年代も超えて…

英語部の前原さんからは海外の方との交流についてもお聞きしました。海外の人は、来日しても一般の住民と話をする機会はなかなか持てないものです。しかし、としま案内人との交流では、観光ガイドだけではなく、ショッピングのお手伝いしたり、日本の事について質問に答えたり、意見の交換をしたり、さまざまな活動を行なっています。このような交流がとても喜ばれています。「これが私たちのガイドなんだと思えるようになりました」と前原さんからお言葉をいただきました。

 

また、若い人たちからはエネルギーをもらえるようです。新しい話題を取り入れながら若い人たちと話すと向こう側からの反応がよく話も盛り上がります。色々な価値観を持った人たちと交流するからこそ、案内人の方々は知識を提供するだけでなく、逆にイベントの参加者からの知識を吸収できるとのことでした。

積み重ねてきた経験

「としま案内人 駒込・巣鴨」の一員として活躍されてきた3人。地元であることを強みとして活動をしてきた皆さんですが、発足当時からかなり姿が変わってきているようです。ガイドのエリアも魅力のある文京区や北区、板橋区なども加えて、大学や図書館などの交流、外国人向けに英語ガイドを行うなど活動の幅が広がりました。今の「としま案内人 駒込・巣鴨」の皆さんは、積み上げてきた地盤を維持しつつ、新しい風を受け入れて挑戦していく熱意を感じました。

 

 特に、ガイドツアーを利用される方への工夫が進歩していました。チラシ作りはもちろんのこと、ツアー参加者へのお土産リーフレットなど資料を充実していることから、リピーターも多いようです。最近は申し込みの手段として、ネットが主流となっています。ホームページは、会員の中に管理をする人がおり、ネットにも強いことが分かりました。

 

☆公式サイト☆

「としま案内人駒込・巣鴨」 豊島区生涯学習団体【 https://toshima-guide.com

 

これらの活動には、「としま案内人駒込・巣鴨」の会員の方たちの個性が生かされています。退職し新たな活動の場を求めてくる人、まだ現役で仕事があり家庭の事情などで制約をうけながらの活動など立場の異なる人たちが集うことで、組織が成り立ち、運営の基盤があるから互いに協力をする…1つでも欠けていたら今の「としま案内人駒込・巣鴨」は存在しなかったことでしょう。積み重ねてきたものが実を結んでいることを感じました。

新!としま案内人

常に努力を怠らない「としま案内人駒込・巣鴨」。これからの展望も聞きました。

 萩原さんは、地元の歴史や価値をもっと多くの人に知ってほしいと仰っていました。最近は、マンションが増えたことで、お祭りや盆踊りなどの楽しいイベントへの参加者は増えています。しかし、住民同士のつながりは薄くなっています。地元の良さと言うものはイベントだけではなく、歴史や魅力、地元の課題、悩みなども知って欲しいという、町会活動にも参加している萩原さんだからこその展望でした。

 

 大久保さんは、巣鴨の商店街の人たちとのコミュニケーションをもっと増やしていきたいそうです。巣鴨の周りには3つの町会がありますが、どの町会も別々で活動していて寂しさがあり、もっと商店街の人たちと意見を交わし、コミュニケーションの場を築いていきたいそうです。

 

 前原さんは、たくさんの人と交流をしているからこその目標でした。大学生とコンタクトをもてる団体はあまりありませんが、その繋がりがある「としま案内人駒込・巣鴨」だからこそ、学生たちとコラボをして、高齢者や観光客との交流の場を増やしていきたいと熱く語っていました。

 3人ともそれぞれの目標をもって、これからも活動を続けていかれます。3人のお話を聞けば聞くほど、としま案内人に対して真面目に向き合ってきたことが感じられました。


としま案内人さん3人

出会いの場所で3人をパシャリ!(巣鴨地蔵通り ガモール「志學亭」前)

(写真左から、萩原寿夫さん、前原紀子さん、大久保けい子さん)


としま案内人からひとこと

今回のインタビューで、実りあるお話をしてくださった3人。「としま案内人駒込・巣鴨」として今後ガイドボランティアに活動してくれる未来の仲間達に向けたメッセージをいただきました。

 「ぜひ、いろいろな方に参加をしてほしいと思っています。年代、経歴、個性、環境といろいろな立場の人たちがその人自身の目的をもって、楽しんで参加できる会にしたいと思っています。それぞれが自分らしさを大切にすることが大事です。団体に参加して、仲間になって、何かを得て、成長をしていってくれることを望んでいます」

「ツアー編」でお会いしましょう!

いかがだったでしょうか? 今回お話を聞かせてくださった萩原寿夫さん、大久保けい子さん、前原紀子さん、ありがとうございました。この3人にまだまだお話を聞きたい!と思った方は、ぜひツアーに参加してみてください。今回は、取材編として素敵なお話を皆さんにご紹介できましたが、まだまだ、「としま案内人駒込・巣鴨」は止まりません!

近日中に行われる予定のツアーについての密着取材についてもご紹介させていただきます。今回お話を聞いた3人の方以外の活動にも取材をさせていただきます。実際にどんなツアーを行なってくださるか私も期待が高まるばかりです!

ぜひ楽しみにしていてくださいね! では、また「ツアー編」にてお会いしましょう〜!


としま案内人染井霊園ツアーチラシ

「染井霊園と周辺の古刹巡り」

このツアーに出向です!!

〈参考資料〉

『ぶらり 中山道巣鴨−歴史・文学散歩』伊藤榮洪 

平成25年3月31日 第1刷発行

企画 豊島区立中央図書館

発行 豊島区

SORAペンネーム:そら

自己紹介:都内の大学に通う現役大学生です。今は表現の勉強をしています。まだまだ未熟ですが、少しでも皆さんの心に届くような記事を書けるように頑張ります!!豊島区の取り上げて欲しい話題がある!という方は、ぜひ私の記事が紹介されたTwitterのツイートにリプライして下さい。私が素敵な記事を書いてみせます。1年間よろしくお願いします!

 

お問い合わせ

文化観光課観光交流グループ

電話番号:03-3981-1316

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