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雑司が谷 わが町 第2話

更新日 平成22年1月15日

第2話 雑司が谷鬼子母神の御会式

心をつなぐ熱き夜 雑司が谷鬼子母神の御会式

近江正典(おうみしょうてん)氏と武田英男氏

 雑司が谷鬼子母神の御会式(おえしき)は、享和・文化文政の頃から続く伝統行事。日蓮聖人(しょうにん)の命日をもとに、鬼子母神の縁日にあわせた毎年10 月16日から18日に行なわれ、年々参加者が増えています。枝垂れ桜に見立てた万灯(まんどう)を掲げ、団扇太鼓(うちわだいこ)を叩きながら練り歩く万灯行列(まんどうぎょうれつ)は、人々の心を幻想的な世界へと誘います。
 今回は、威光山法明寺(ほうみょうじ)のご住職・近江正典(おうみしょうてん)氏と、鬼子母神御会式連合会会長・武田英男氏に御会式についてのお話をうかがいました。
(広報としま平成21年11月25日号 8面記事)

近江正典氏(ご住職)と武田英男氏のお話(以下敬称略)

雑司が谷御会式(おえしき)の様子

住職:
 仏教では祖師の命日に営む法要を「御会式(おえしき)」と言います。日蓮宗の御会式は池上本門寺を中心に大きくなりましたが、発祥は雑司が谷が2年から3年早いんですよ。江戸時代、雑司が谷の鬼子母神は江戸市中の人が来る参詣地でした。子どもが育ちにくかった時代に、子どもを守ってほしいという親の願いが鬼子母神信仰に結実したんでしょう。本来なら日蓮聖人(しょうにん)にお参りするはずが、なぜか雑司が谷では鬼子母神にお参りするようになりました。
  「講」のスタイルも特徴的です。寺社に参詣するグループを「講」と呼びますが、雑司が谷は在家が有志を募って「講」を作る原初的な形態をとどめています。お寺が先達となって「講」を先導する地域では「講」がひとつしかできませんが、雑司が谷鬼子母神の傘下には「講」が20以上もあります。それを地域の人達が当たり前にバトンタッチして代替わりしている。これはとても貴重な伝統です。

太鼓

武田:
 現在の「講」には町会単位と、町会から枝分かれして有志で始めた「講」、大きく分けて2種類あります。御会式(おえしき)は、信者であるなしに関わらず誰でも参加できて、町会単位の「講」は当日四、五百人になる場合もあります。御会式連合会では毎年、万灯練り(まんどうねり)供養に使う太鼓の代行頒布をしていますが、この10年で3,000本近く出ました。新たな参加者が年々増えているからなんです。

鬼子母神堂の僧侶たちの読経

住職:
 誰でも受け入れるのは、仏教の考え方でもあるんです。すべての衆生(しゅうじょう)を救うまで救済をやめないというのがお釈迦様(おしゃかさま)の誓願ですから。それと、雑司が谷という土地柄は、みんながごちゃごちゃと暮らしていける雑多な文化が根付いている。仏教思想とともにインドから来た鬼子母神信仰を受け入れ、あたかも氏神様のようにまつっていますしね(笑)。
 また、素晴らしいのは、御会式(おえしき)連合会が、御会式以外でも地域の活動の絆になって地域を支えていることです。御会式という大きな行事によって人と人、おとなと子どもが結びつくんですね。おとなの目が届くということを子ども自身が実感するコミュニティが存在することで、少年犯罪の抑止力にもなっていると思いますよ。

万灯の花飾り

武田:
 「講」に参加している子ども達のご両親にもよく言うんです。「講のみんなでしっかり守っているから、お宅のお子さんは大丈夫ですよ」って。
 それと、昔は和紙で作る万灯(まんどう)の花を一つずつ手で折っていましたが、機械化になった今でも花を広げる作業は皆で集まって、それがコミュニケーションの場にもなっています。
 私達、御会式(おえしき)連合会の役員は、とにかく一年中御会式のことを話していますよ。「どうやったら楽しく安全に進行できるか」「他の講社よりいい万灯を作れるか」とか(笑)。御会式最終日には片付けをしながら、次の修復の段取りを頭に入れ、翌年から毎月定期的に集まります。
  今年は10月1日から万灯を組み立てました。各講の近くに、「お仮り屋」という万灯を収納する場所を借り、そこで御会式までの間、交代で万灯の管理をします。

御会式(おえしき)の様子

住職:
 講社の方々が御会式(おえしき)のために費やしているエネルギーはすごいですよ。費やす物があることが、地域の誇りにもなっています。地域の人がお祭りを支え、それを警察や消防、都の交通局やバス会社などが支援してくれる。皆さんの力が合わさって御会式が成り立っています。
 雑司が谷という土地は、少し時代遅れの雰囲気もあるんだけど、「雑司が谷村」とでも言いたくなるような人間関係や
しきたりがまだ残っている。そんな時代遅れこそ、今の時代に求められているのではないでしょうか。

注意事項

鬼子母神の「鬼」の字は、頭に角のない字です。

このページに関するお問い合わせ

政策経営部 広報課 編集グループ
電話:03-3981-4154 ファクス:03-3981-1375
Eメールでの問い合わせは専用フォームをご利用ください。

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