豊島区青少年問題協議会答申「青少年の社会参画の推進方策について」
更新日 平成20年8月6日
はじめに
平成11年6月11日に豊島区長から豊島区青少年問題協議会に対し、「青少年の地域社会への参画の促進について-『体験が育む自立性と社会性』その施策と支援のあり方-」について諮問を受けた。そこで当協議会は専門委員会を設置し、青少年の参加・参画の機会の整備、すなわち子どもの意見表明の機会の保障と意見の聞き方の整備及びそのための環境整備に関する方策について議論、検討を重ねてきた。また、中学生、高校生、大学生を対象とした青少年懇談会を開催し、青少年の率直な意見、提案を踏まえた上で、具体的な施策の推進方策についてもさらに検討を深めた。
本答申で想定している青少年とは、小学生以上からおおむね20歳前後までをイメージしている。幼児や20歳以上の青年の学習や体験、そして参画の機会づくりの重要性はいうまでもないが、社会的優先性や緊急性の観点から今回の検討には含めなかった。
なお、参加の前提となる自主性、社会性の育成については、家庭が大きな役割を担っている。しかし、家庭教育については、その間口が広く奥行きも深い。そのため、今回の検討には含め切れなかったことを申し添えたい。
青少年の参画推進の理念と基本的考え方
青少年の参加機会の整備
1989年に国連総会で採択され,1994年に日本で批准された子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)では子どもの「最善の利益」の保障が社会の中心的関心事でなければならないことが明記されている。子どもの最善の利益を保障するためにこの条約がとった手立ては、大人による権利擁護と子どもによる権利行使による権利保障という2つの方法である。つまり、従来の大人による子どもの権利擁護だけでなく、子ども自身による権利行使が加わったことがこの条約の最も特徴的な内容となっている。
本条約の最も重要な一般原則の一つであり、子どもによる権利行使を確実なものにするための象徴的な方策としては、同条約第12条第1項の意見表明権と第2項の意見を聴く機会の保障(あ(注釈1)が挙げられよう。また、1998年には国連児童の権利に関する委員会から日本政府に対する勧告が発表され、子どもに影響を与えるいかなる法改正、司法的・行政的決定においてもまた、民間活動も含めた全ての事業及びプログラムの発展及び実施においても、子どもの意見が適切に反映されることを確保するべきであるとする見解が明らかにされている。
豊島区青少年問題協議会専門委員会の討議の中でも、子どもの意見表明権の重要性の確認を行うとともに、子どもに関わる全ての施策、プログラム等の検討や実施に当たって子どもの意見を聴く機会の保障をするための具体的な方策を整備する必要性についても認識を深めた。すなわち、これまでのスローガンとしての「参加・参画」から、社会のシステムとしての「参加・参画」機会の創出が求められており、その具体的方策を提案することが本専門委員会の役割であることが確認できた。なお、参加・参画の機会の創出に当たっては、参加・参画の機会を高いレベルで確保・保障することが重要となる。
ロジャー・A・ハート氏(注釈2)はこうしたレベルの確保への注意を喚起するため参加を8つの段階(1操りの参画 2お飾り参画 3形式的参画 4与えられた役割の内容を認識した上での参画 5大人主導で子どもの意見が尊重される参画 6大人主導で意志決定に子どもも参画 7子ども主導の活動 8子ども主導の活動に大人も巻き込む)に区分し参加・参画の評価の視点を用意している。わが国では子ども会組織のなかでも「大ども会」(=大人どもの会の意)や「親ども会」(=親どもの会の意)など子どもの自主性を軽視する、大人中心の運営を指摘する言葉がしばしば使われるように参加・参画のレベルは必ずしも高いとはいえない。大人の関与を極力排除し、子どもの自主性や主体性を尊重した高いレベルの参加・参画の機会の確保の視点も重要である。
参考
1998年国連児童の権利に関する委員会勧告本文35―「委員会は、条約の一般原則、特に差別の禁止(第2条)、児童の最善の利益(第3条)及び児童の意見の尊重(第12条)の一般原則が、単に政策の議論及び意思決定の指針となるのみでなく、児童に影響を与えるいかなる法改正、司法的・行政的決定においてもまた、全ての事業及びプログラムの発展及び実施においても、適切に反映されることを確保するために一層の努力が払われなければならないとの見解である。……。」
子どもの心の成長における参画の意味
- 対人関係の体験から学ぶもの
近年、子どもの心の健全な成長が危ぶまれている。17歳事件のような凶悪犯罪が起こるたびに家庭のあり方が問われている。家庭が子どもの心の成長に大きな影響を与えることは事実である。しかし、子どもたちを健全に育てていくためには、多くの大人との関わりや子ども同士の社会での体験が必要である。様々な場での対人関係を体験することによって、子どもたちは場によって適応様式が異なることを学ぶ。その場に応じたセルフコントロールの仕方を試みる。そうした体験から自我の強さ、柔軟さ、適切な自己表出の仕方を身につける。また、多くの他人と出会い、ぶつかるなかで「自分」という存在を照らし出し、見定めていく。 - 様々な場における心の発達
学齢期以降の子どもたちの心の成長を育む場として、学校、子どもだけの群れ遊び集団、地域社会などがある。
学校は構造化された集団であり、与えられたきまりや集団に適応しながら自己表出していかなければならない。合わせ過ぎては自己を見失うし、自己主張だけでは集団内の居場所を失ってしまう。先生という大人と友人の両者に対するセルフコントロールの仕を体験する。
群れ遊び集団のような自由な子ども同士の集団では全てを自分たちで決めなければならない。メンバー、遊ぶ場所、遊びの内容、ルール、トラブル時の対処といった様々なことを、子どもたちだけで行っていくため、自発性、創造性、協調性が磨かれる。
地域社会では、様々な行事、儀式などを通して固有の文化、慣習を学ぶ。また地域の大人と関わることで、世の中にはいろいろな人がいて、多様な生き方があるのだということを体験する。そこで地域の大人が子どもたちに温かい関心と配慮を示し続ければ、子どもたちの心に自分もこの地域の一員であるというアイデンティティを芽生えさせるだろう。そして発達に応じた地域社会への参加を経る中で、異なる世代の人への理解を深めたり関係の持ち方を体験していく。 - 衰退しつつある群れ遊び集団と地域社会
前述のように、様々な場で異なった対人関係の様式を体験した子どもは、生きていくために必要な能力を身につけることができる。それは、場に適応し、他人の尊厳を大切にするという社会性であり、自分で判断しそのことに責任をもって対処できる自立性である。
しかし残念なことに、こうした子どもたちの成長を支える場が衰退しはじめている。特に顕著なのは群れ遊び集団と地域社会である。群れ遊び集団は、少子化に加え、塾や習い事で多忙な子どもの増加によって集まる子どもの数が減り、成り立ちにくい状態となっている。また運良く人数が集まっても、安全で体を思いっきり使って走り回れるような広い空間が少ない。やっとたどりついた公園には子どもたちの遊びを制限する禁止事項がたくさん書いてある。まさに群れ遊び集団は非常に成り立ちにくい状態になっている。子どもの親自身が地域社会に心理的に属していない場合も多く、子どもを迎え入れる前に地域社会は大人のレベルで弱体化しつつある。子どもたちは見知らぬ大人に囲まれ、そのまま地域社会への橋渡しもされず大人になっていくケースが増えている。
以上のように、子どもたちの心の発達に大きな役割を担っていたいくつかの場を保証するために、大人が積極的にこの問題に取り組むことが必要である。子どもたちの自立性、社会性を育てるために育ちの場を補強し、社会参画の機会を与え、大人がしっかりと家庭から社会の橋渡しをしていかなければならない。また、子どもたちが参画する場では彼らの自発的言動を温かく見守り、意欲的、創造的に育つよう援助していくことが重要である。
わが国における参加・参画をめぐる動向
わが国でも、子どもの意見表明の機会づくりに向けての様々な取り組みがなされてきている。伝統的なものでは、例えば子ども議会などの行政施策に子どもたちの参加の機会を設定しているところなどは少なくない。しかし、子ども議会の取り組みは子どもの行政への意見反映の機会というより、議会制度の学習のための単発的なイベントとしての意味合いが強いなど問題も多い。
近年新たな参加・参画への試みが各地で始まっている。東京都では、青少年問題を中心に都政の課題について協議し、東京都青少年問題協議会へ参加し意見を表明する「青少年懇談会」が設置された事例がある。また、杉並区の大型児童青少年センター「ゆう杉並」のように、児童館の建設や運営に子どもが参加し大きな成果を上げている事例や、生徒会が校則改正やいじめ問題の解決などに取り組むなどの学校運営への参加・参画の事例もある。
その他、チャイルドライン(注釈3)やCAP(注釈4)、そして兵庫県川西市のオンブズパーソン制度(注釈5)の導入、大阪府箕面市や昨年末の神奈川県川崎市の子どもの権利条例(注釈6)の制定、北区の青少年の意見を区政に反映させる高校生モニター、他区においても子ども議会や子どもや青少年が区の広報活動に参加するなど、参加・参画の機会づくりへの取り組みが見られる。
自治体の長期計画や児童育成計画(地方版エンゼルプラン)の策定等(注釈7)への参加なども、少ないながら次第に参加・参画の機会とそのための支援への取り組みが進んできている。
豊島区における参加・参画の状況と課題
豊島区では、ほとんどの児童館において行事の企画運営に当たって子ども実行委員会が組織されていたり、児童館事業や日常の運営について「子ども会議」が開催されている。「子ども会議」においては、子どもからの意見要望を児童館運営や行事に反映したり、子ども同士の中で問題となった事柄について、意見交換をして集団のルールを設けるといった動きも見られる。このようにして児童館の実情に応じて開催回数や実施形態は異なるが、意見表明をする場が設定されている。
また地域においては、地区青少年育成委員会等の行事を企画、実施する際に、小・中学生を含んだ実行委員会が組織され、子どもの意見を尊重しながら進めているという例がある。子どもたちの自主的な活動の例としては、児童館を拠点としてバンド活動をしている高校生が、区の子どもまつりで、全般的に彼らの主導でコンサートを企画・運営したという実績がある。
学校においては、主として児童会、生徒会の活動を通して、学校生活に子どもの意見が反映され、学校生活の向上、充実が図られている。また、ボランティア活動などの自主的な活動の推進、運動会や文化祭などの学校行事、その他児童会、生徒会主催の諸行事、活動に子どもの参加・参画が進められている。
しかし、一般的には参加の機会は少なく、システム化されているとは言えない。また受け身的であったり、意見の代表性、有効性について疑問視される面もある。いかに子どもや青少年が積極的に参加・参画できる機会をつくり、子どもの意見を反映できるようなシステムを創出するかが課題である。
青少年の参加・参画を推進するリーディングプロジェクト
本答申では、速やかに施策や活動の実施に向けて検討されることが期待される項目について、提言とは別に下記のとおりリーディングプロジェクト(最重要課題)として掲げた。これらは、専門委員会及び青少年問題協議会や青少年懇談会の機会に多くの提案、検討がなされたものを総合的・包括的にまとめたものである。
これらの課題はその実施に向けた検討や調整に時間がかかるものや、緊急に施策化することが求められるものなどである。なお事業の検討や実施にあたっては、行政、民間団体、住民そして青少年自身とのパートナーシップが不可欠となる。
リーディングプロジェクト
- 青少年のための大型センターの設置と運営参加・参画
統合後の学校施設の活用 - 外遊び等総合推進施策の策定
- 子どもセンターの設置と運営への参加・参画
- 子ども青少年会議の開催
- 青少年問題協議会等への子どもや青少年の参加・参画
- 青少年の社会参加・参画の行動計画の策定に向けた検討
- 子どもの権利擁護の仕組みづくり(子どもの権利条例・オンブズパーソン等)
青少年のための大型センターの設置と運営参加・参画統合後の学校 施設の活用
中学生や高校生を中心とした青少年の自主的な活動の場、居場所、交流の場の重要性が叫ばれている。グループ活動やストリートダンスの練習のための部屋や、交流や談話ができる広いロビースペースなどが想定される。こうした活動の場として統合後の学校施設の積極活用が考えられる。
なお、管理や指導、そして相談のための専門職員の配置は重要であるが、その数は最小限とし、青少年の自主的な管理と部屋やスペースの自由な利用の確保を原則とした施設とするべきである。区の特性と利便性を考えると、区内に2箇所程度設置することが望ましい。また、区内児童館のセンター館的機能を持たせることで、地域館の活動の活性化も期待できる。
また、小地域単位の施設の一つとしての児童館を中高生が気軽に立ち寄れる場として、より一層利用を促進するために、年長児童向けの親しみやすい通称をつけるなどの検討を進める必要があるだろう。
外遊び等総合推進施策の策定
情緒の安定や社会性の獲得、健康の増進に関する外遊びや群れ遊びの有効性については国内はもとより国外でも心理学や社会学、教育学、医学の分野の諸研究によって明らかになってきている。外遊びや群れ遊びの不足が近年の青少年の問題行動の原因の一つであると、心理や教育、福祉、保健等の臨床現場からも指摘されている。本報告との関連で言えば青少年の社会参加・参画の体験的学習の絶好の機会として外遊びや群れ遊びは位置付けられよう。
従来、外遊びや群れ遊びはあまりに一般的な日常風景であったためその重要性について注目されなかった。しかし、その後の子どもたちの生活環境の激変により、このまま推移するとその存在自体が消滅してしまう恐れも否定できない。外遊びの振興は地域で子どもに関わる関係者が共同して取り組まなければ実現できない性格の事業である。そのため外遊びの推進のための総合的な施策の形成が重要となる。学校の校庭開放の促進や利用しやすさの向上を図ったり、児童館職員やPTAが校庭や公園等で遊びのきっかけづくりをしたり、冒険遊び場(プレイパーク)などの設置等が考えられる。
なお、これらに加えて事件や事故に巻き込まれないような、外遊びの安全確保のための手立ても検討されなくてはならない。
子どもセンター(注釈8)の設置と運営への参加・参画
子どもセンターは、子どもに関わる各種情報を集約し発信するセンターとして文部科学省の補助事業となっているものである。学校関係者や保健、福祉、警察、育成委員会、PTA等様々な地域の子ども関係者が参加した場で、子どもセンターの事務局は子育て・子育ちの拠点として期待されていることから児童館に置くことが現実的であろう。
なお、子どもセンターの設置・運営に当たっては、子どもや青少年の参加を基本に、子どもたちの意見・提案を活かしていくことに留意しなければならない。
子ども青少年会議の開催
従来、子ども議会という形式で全国各地で取り組まれてきた施策である。そもそも議会の仕組みを学ぶ場としての位置づけが強く、子どもたちの意見集約の機会としての意味合いが弱かった。また、形骸化への指摘や、子どもや青少年の発言する意見の代表性や効果が疑問視されてきていた。そこで福岡県内の民間組織による子ども会議や東京都の青少年懇談会などの他自治体の先駆的活動を踏まえ、子どもや青少年が1年間程度継続的に討議し行政や地域社会に提案する仕組みとして、子ども青少年会議の設置を構想するものである。
青少年問題協議会等への子どもや青少年の参加・参画
国連の子どもの権利委員会の勧告に指摘されているように、青少年に関わる行政施策や民間活動の計画や実施に当たっては、青少年の意見反映の機会をつくることが原則となる。当然、各種協議会や委員会でも子どもや青少年の意見を聴く仕組みを設けることが必要となってきている。
例えば子ども関係の協議会の代表的なものとしては青少年問題協議会が挙げられる。青少年問題協議会に子どもの会議を付置したり、青年委員の定数枠を設定するなど、青少年の意見を協議に反映させる手立てを講じなければならない。また、児童館や公園等の子どもが利用する施設の建設委員会などにも同様に子どもの意見反映の機会を設けるべきである。その他の子どもに関わる施策やサービスについても可能な限り子どもの参画を保障することが適当である。
青少年の社会参加・参画の行動計画の策定に向けた検討
青少年の社会参加・参画は、参加・参画を通した体験学習の機会としての意味と社会の意思決定に子どもや青少年が参画するという社会的な意味の2つがある。いずれの意味からも行政や民間活動のほとんど全てに関係し、短期的取り組みでは実現できない性格を有している。いわば子ども大人共同参画型社会の実現に向けての長期的な行動計画を、子どもや青少年の参加を得て策定し継続的な改革を推進していく必要があろう。
子どもの権利擁護の仕組みづくり(子どもの権利条例・オンブズパーソン等)
子どもや青少年の社会参加・参画の機会の創出にとどまらず、子どもの人権の周知と、行動計画の策定、権利保障の仕組み等を定めた子どもの権利条例等の制定が重要となる。行政の子ども関係施策の基本原則を定めたこうした条例の制定は、行政の姿勢や考え方を区の内外に示す意味があるとともに、今後取り組まれる各種施策の明確な根拠となる。今後、子どもの権利条例等の制定に向けた検討が期待される。
次に、子どもオンブズパーソンの設置に向けた検討である。子どもや青少年の参加・参画の機会をつくるだけでは、子どもの意見表明の機会を保障したことにはならない。子どもや青少年の側に立った代弁・提案や相談・苦情処理、施策や活動の評価の役割を持つ機関の存在も欠くことができない。わが国では兵庫県川西市がこの制度を取り入れている。
とりわけ社会的な知識や発言力のない子どもにとってこうした権利擁護の仕組みは不可欠であるが、この種の制度の活用に当たってはその利便性や実効性をめぐる課題等も多く、また、子どもの権利擁護についての福祉、教育をはじめとする行政内部の認識の相違が散見されることから、事前に十分な検討がなされる必要がある。
青少年の参加・参画の推進について提言
「大人の役割」と「子どもの役割」
子どもの権利条約の考え方は、権利行使をするという「子どもの役割」を重視している。その上で権利擁護や参加・参画の機会の保障という「大人の役割」が重要になってくる。こうしたことから本答申では「大人の役割」を中心に取り上げることとする。
また、大人は参加・参画の機会を保障するとともに、子どものモデルとなるように積極的に社会へ参加・参画し、子どものよきパートナーとして共に行動することを常に念頭に置くべきである。
なお、子ども自身の役割については子どもや青少年自身が検討に加わり、別に行政・民間・子どもや青少年が共同で策定する行動計画のようなかたちでまとめることが適当と思われる。
「大人」「子ども」共同参画の考え方の普及
子どもの参加・参画のためには、子ども自身への子どもの権利条約の理解の促進、とりわけ本答申との関係で同条約第12条(意見表明権)に関しての理解の促進が重要となる。行政職員の意識改革はもとより、児童指導員や教員、保育士等の子どもに関わる専門職及び地域の民間団体やボランティアを含めての研修や交流が必要となってくる。
首長部局では区民対象の講座やパンフレット、ホームページやケーブルテレビ等の多様な広報媒体を活用した意見表明権の周知が必要となる。教育関係では社会教育の場での講座の開催や、学校等では総合的な学習の時間や人権教育の機会を活用した周知が期待されよう。
大人の意識と態度の変革
大人の管理的、支配的態度、トップダウン方式では子どもの自主性、主体性が育たないし、真の主体性を持たない子どもは本当の意味での社会性を持てなくなる。また過保護、過干渉も同様である。要は子どもが試行錯誤する過程を見守る寛容さと忍耐力を家庭、学校、地域のそれぞれにおいても全ての大人が持たなければならない。
以上のことを意識しながら、子どもや青少年の社会的対応レベルに則した参加・参画の推進の考え方を以下のとおり提案する。
参加・参画に向けた具体的な展開方策
3つの社会的対応レベルと4つのステ-ジの設定
青少年の参加・参画の推進方策について、3つの社会的対応レベルと4つのステージという考え方に立ち、参加・参画の推進の展開方法と具体的方策を検討した。
3つのレベルとは、「I 参画の制度化レベル」「II 参画の体験レベル」「III 自立性と社会性の育成レベル」という3種類の参画へ導く手段であり、4つのステージとは子どもの生活の場、つまり「1.子ども社会」「2.地域社会」「3.学校」「4.行政施策」である。この考え方は下図のようなイメージとなる。
なお、討議の過程で、参加・参画が苦手な子どもたちへの対応方法も検討した。
3つの社会的対応レベルと4つのステージのイメージ
| I 参画の制度化レベル | II 参画の体験レベル | III 自立性と社会性の育成レベル | |
|---|---|---|---|
| 1.子ども社会 | - | - | - |
| 2.地域社会 | - | - | - |
| 3.学校 | - | - | - |
| 4.行政施策 | - | - | - |
I 参画の制度化レベル
本答申では最も重要視すべき段階であり、参画の機会を大人が意識的に制度化するレベルである。ここでは青少年が意見表明したり、社会参画するための社会的なシステムや機会づくりの具体的方法について説明する。
- 子ども社会をめぐって
参画の制度化レベルとは大人が意識的に設定するものを指す。従って大人の意図によらずに成り立つ子ども社会というステージにおいては該当する事項はない。 - 地域社会をめぐって
地域では現在、大塚阿波踊りに代表されるようなお祭り、神輿や太鼓といった伝統行事、その他の青少年関係団体等やPTA主催によるイベントやボランティア活動が実施されている。
その際、大人が意識的に子どもの自主性、主体性を尊重するという態度をもった上で、このような地域の行事、ボランティア活動、伝統的行事などを行う際にその運営の全部または一部に子どもが参加できるシステムをつくる必要がある。例えば計画段階から子どもも参加し、意見が言えるようにするなどして、大人が提供する人で子どもが受け身的に参加する方式から、ともに創り、ともに参加する方式への移行が子どもの自立感覚の育成に役立つと考えられる。
その外なんらかの自主的活動をしたい子どもたちのために施設利用の手続き、地域のイベント参加の方法等を教えてくれる窓口情報源の一元化が有効である。 - 学校をめぐって
学校内においては子どもたちの自立性、社会性を育むために児童会や生徒会の自治機能、提案機能を活性化させることで主体的に社会参加しようという気持ちを育て、社会参画への資質を磨くことができる。子どもたちが児童会や生徒会に関われる機会を増やし、意見が反映された学校運営や行事が実施されることで、社会への参画をより身近なものだと感じることができる。日常的には提案箱の設置や、非公式な形でディスカッションするなどの意見表明ができる機会を増やす等の方法がある。
なお、青少年懇談会では学校ごとに行政に提言、提案できる仕組みをつくってほしいという意見も出された。こうしたシステムをつくることは子どもが参画する機会を広げるのに有効である。 - 行政施策をめぐって
子どもの権利条約第12条第2項では、子どもたちの意見表明の機会の設定について規定している。これに基づき、子どもが利用する施設、子どもに直接影響を及ぼす施策について子どもが積極的に参加・参画、意見表明、意見反映できる場を設定するべきであるが、この機会の設定が皆無にひとしかったことがわが国の共通の問題である。
わが国での具体的な参加・参画の機会づくり、すなわちシステムづくりはまだその端緒についたばかりで実験的な段階と言えよう。今後はこうした子どもたちの参加・参画のシステムの具体的な開発を積極的に行う必要性が行政を含め、とりわけ大人社会にもとめられている。児童館の事業や運営に関しては、子どもの意見を聴く機会を設定し、一定程度反映はしているが、さらに定着を図っていくことが期待される。
具体的には、子どもオンブズパーソンの導入や、子ども青少年会議、青少年問題協議会への子ども委員会の付設、同協議会への青年委員の人数枠の設定、参画のためのアクションプログラムの策定や権利条例の制定などが取り組まれるべきであろう。
こうした参加・参画のシステムは子どもに関わるすべての行政施策、例えば広報・公聴、公園、社会教育、子どもに関係する施設等について設定されるべきであることから、子どもに関係する全ての部課では参加・参画の方法を早急に検討されることが喫緊の課題になってきている。そしてこうした課題の実現については長い時間を要するため、アクションプログラム化し計画的に行うことが肝要である。
推進事業の例示
- 青少年育成委員会等の青少年関係団体に子どもの委員会の設置
- 地域懇談会での子どもの意見を聴く機会の設定
- 学校の児童会・生徒会機能の活性化
- 学校に提案箱の設置
- 学校においてディスカッション等の意見表明できる機会の設定
- 児童館における「子ども会議」「子ども実行委員会」の充実
- 子ども青少年会議の設置
- 青少年問題協議会に子どもの委員会の設置
- 青少年問題協議会への青年委員の人数枠の設定
- 青少年に関する施策を所管している部課での子どもの意見を聴く機会の整備
- まちづくり、公園の設計・計画等への参加
- 児童福祉計画の策定・評価への参加
- 参画のためのアクションプログラムの策定への参加
- 子どもの権利条例の制定と策定への参加
- 子どもオンブズパーソンの導入
II参画の体験レベル
大人の活動に協力や参加体験することを通して、子どもが積極的に参画してみようという自覚や意欲を持ったり、自分たちに即影響を及ぼす内容のものに興味を沸き起す場面である。またここではそのような体験・活動を通して社会参画への技能を高める方法について述べることとしたい。
- 子ども社会をめぐって
現在所属感のもてる場がなく、そういう場を求めている子や、不登校、ひきこもり、家族関係や友人関係が一時的、または継続的にうまく行っていない子どもが社会性を育める場が必要である。具体的には、児童館の中高校生の居場所機能の拡充や、統合後の学校施設を活用した青少年のための大型センターの設置とともに、民間企業や商店や家庭等から提供してもらえるような場の開拓も重要であろう。こうした居場所に求められる機能は、何かをするためではなく「なんとなくいられる場所」「かけこめる安全な場所」を提供することである。青少年懇談会でも「集える場所」「24時間いられる場所」「自動販売機や飲み物、食べ物があってただいられる場所」が欲しいという要望が出された。特に思春期の子どもにとって一時的に大人が管理する場所を離れ、ひとりになったり、なんとなく仲間が集まり自分を確かめ合うことは必要な作業である。現在はコンビニ、夜の公園、繁華街がそうした役割を担っているが、それに代わるより安全な場を提供することが望まれる。そこでは管理的でない雰囲気を心がけ、子どもの心理を理解した大人が彼らを必要に応じて援助機関につなげたり、グループワークに導入する等して社会参画のきっかけをつくることが期待される。 - 地域社会をめぐって
地域社会での活動など参加体験の機会の周知がここでは重要となる。青少年懇談会では子どもたちに地域行事の情報がうまく届いていない現状が報告されたので効果的な広報の方法を検討する必要がある。小学校でのビラの配付などは低学年では読まない子も多いため、朝礼や給食時の校内放送の際にPRさせてもらったり、子どもや青少年の読む雑誌や情報誌などに掲載するなど工夫が必要である。さらに、行事ごとに広報をするよりも「何かやってみたい、参加してみたい」と思う子どもがパソコン等を利用して情報をすぐに検索できるような窓口が子どもセンターなどにあると便利である。
また、行事を企画するにあたっては、子どもが興味を持てるようにできる範囲で、早朝清掃、空き缶拾いをウォ-クラリ-ゲ-ムにするなど、行事に遊びの要素を取り入れるなどの配慮が必要である。 - 学校をめぐって
学校を軸とした地域社会への参加体験が考えられる。例えば地域行事への参加、進路の学習の一環として、また社会体験として地域の企業、商店、公的機関への職場訪問、職業体験などの学習、生徒会を中心としたボランティア活動などが考えられる。それらは子どもたちの社会参画のきっかけの体験ともなる。また今後の活動として、総合的な学習において「環境」「福祉」などをテーマにして、見学、調査、体験活動などの取り組みがなされ、地域で学習する機会も増えてくると思われる。また、地域に根ざした教育の推進から、学校に地域の人を招聘して、地域文化の伝承等に関する体験や交流をしたり、生き方の面から講話をしてもらったり、専門的な学習を進める機会が積極的に取り入れられることが期待される。 - 行政施策をめぐって
行政としては、社会科見学の一環として議会の見学、区内の施設めぐりや史跡散策などの地域社会の学習機会を設定したり、児童館や保育園、高齢者や障害者関係の福祉施設におけるボランティア、区民まつりやイベント等の生活に関連した体験活動の機会を提供している。
また、子どもが自主的、主体的に目標を決め、他の人と協力して何かをやってみるという体験が必要になる。現在、多くの児童館では実行委員会形式により子どもたちの手で行事の企画が行われている。それをさらに日常の活動に広げた「子ども青少年会議」等を通して、企画、運営に子どもたちが参加する方法も定着しつつある。これらのことがきっかけで、興味、関心が広がり、その後の自主的活動につながっていくことを期待したい。
行政は地域社会との連携・協力のもとに、施策を実現することが肝要である。このことを念頭におくと、子どもも地域社会を構成する一員であることから、これまで大人のみで組織されていた、まちづくりや施設利用に関する委員会といった地域における行政に関与する機会に子どもを迎え入れる姿勢も必要である。例えば、統合後の学校を子どもの施設として利用する際にその利用方法、管理、運営の仕方などに子どもたちが主体的に関わる委員会を設置するなど、積極的参加を促す方法もある。
推進事業の例示
- 青少年のための大型センターとして学校統合後の公共施設の活用・運営
- 児童館の居場所機能の拡充
- 子どもセンターへの運営参加
- 地域講師の充実
- 総合的な学習の時間における地域や企業での体験の充実
- 学校週五日制に対応した施設等の活用・運営
- 各種施設・事業におけるボランティアや体験活動の推進
III 自立性と社会性の育成レベル
子どもが自分の新たな可能性を発見したり、社会の一員であると自覚することを視野に入れたレベルである。ここでは社会参加・参画の基盤となる、子どもたちの社会性や自立性の育成方法についてとり上げることとしたい。
- 子ども社会をめぐって
子どもたちが群れて遊べる安全な場所や自由遊びは、自立性、主体性を育むためには必要不可欠である。そうした場として遊具が少なく、広々とした規制の少ない外遊びのできる場の確保が必要である。例えば学校の校庭、区内の施設の敷地利用、公園などが考えられるし、児童館の活動を戸外活動重視型に切り替えたりすることも検討課題である。一方、内遊びの場としては児童館を時間延長し、自由に遊べる空間をつくるなどして利用できるだろう。学校の校内や体育館を自由遊びの場として、児童館職員による遊びのきっかけづくりや地域のボランティア等の協力を得て遊びを活性化することも可能である。加えて区内の施設を土曜日に無料開放したり、区内の企業施設を企業協力を得て安価で利用させてもらうなどの方策がある。
なお、地域での自由な子どもたちの遊びが成立するためには安全の確保も重要である。
地域の巡回や危険個所の点検なども地域によっては検討する必要がある。 - 地域社会をめぐって
まず大人が意識的に子どもの自主性、主体性を尊重するという態度をもたなければならない。子どもたちが試行錯誤する体験を大切にし、縁の下で支える役割を心がけることが必要である。青少年懇談会でもボランティアへの興味、祭りに参加してみたい気持ちが語られた。そうした意欲を育て、子どもたちの自主性がしっかりと根付くためには「失敗は成功のもと」と大人が包容できることが必要である。 - 学校をめぐって
学校が子どもたちと地域を結ぶ架け橋の役割となることが期待される。学校が地域懇談会、地域交流の場を提供するなど地域の拠点として機能することで間接的、直接的に子どもが地域社会に親しみをもてるようになるのではないか。また、地域に根ざした教育を推進する目的で実施されている地域講師の学校への招聘も、子どもたちと地域の人々がお互いに関心をもつきっかけとして役立つものとなる。これらを通して学齢期の子どものいない地域の大人にも学校活動を理解、協力を得られることも期待される。
実際に青少年懇談会でも子どもたちからお年寄りの話を聞きたい、専門家を招いて実習をしたい等の要望があり、交流を求めているのが見受けられた。子どもが学校の教育活動を通して、地域社会の中での自分を発見したり、新たな可能性を見いだしたりして、自立性や社会性を身につけていくことが可能である。
このようにして、学校は子どもと地域の大人たちの相互理解の推進と、子どもの自立性や社会性の育成に重要な役割を担っているのである。 - 行政施策をめぐって
リーディングプロジェクトにも述べてある子ども青少年会議等において、直接的に子どもの意見を聴く機会を設定するのみならず、自立性や社会性の育成を視野に入れながらどのように施策に反映させるのかということが課題となる。いかにして子どもの意見等に対しフィードバックができるかを含め、会議を意義あるものにするための実施方法についても考慮すべきであろう。
さらに、行政施策に子どもが有意義な参加・参画をすることで、子ども社会においても社会性や自治の能力を身につける段階へと発展することを期待したい。
推進事業の例示
- 児童館の戸外活動の促進
- 外遊びのためのプレイパーク活動の推進
- ボランティア等による校庭開放等の活用促進
- 地域の安全確保
- 地域の大人の意識改革
- 学校での地域懇談会や地域交流の場の設定
- 地域講師の充実(再掲)
- 総合的な学習の時間における地域や企業での体験の充実(再掲)
3つの社会的対応レベルと4つのステージのイメージ
〇は推進事業の例示
| I 参画の制度化レベル | II 参画の体験レベル | III 自立性と社会性の育成レベル | |
|---|---|---|---|
| 1.子ども社会 | 該当なし | 〇青少年のための大型センタ-として学校統合後の公共施設の活用・運営 〇児童館の居場所機能の拡充 |
〇児童館の戸外活動の促進 〇外遊びのためのプレイパーク活動の推進 〇ボランティア等による校庭開放等の活用促進〇地域の安全確保 |
| 2.地域社会 | 〇青少年育成委員会等の青少年関係団体に子どもの委員会の設置 〇地域懇談会での子どもの意見を聴く機会の設定 |
〇子どもセンタ-への運営参加 | 〇大人の意識改革 |
| 3.学校 | 〇児童会・生徒会機能の活性化 〇提案箱の設置 〇ディスカッション等の意見表明できる機会の設定 |
〇地域講師の充実 〇総合的な学習の時間における地域や企業での体験の充実 |
〇地域懇談会や地域交流の場の設定 〇地域講師の充実(再掲) 〇総合的な学習の時間における地域や企業での体験の充実(再掲) |
| 4.行政施策 | 〇児童館における「子ども会議」「子ども実行委員会」の充実 〇子ども青少年会議の設置 〇青少年問題協議会に子どもの委員会の設置 〇青少年問題協議会への青年委員の人数枠の設定 〇青少年に関する施策を所管している部課での子どもの意見を聴く機会の整備 〇まちづくり、公園の設計・計画 等への参加 〇児童福祉計画の策定・評価への参加 〇参画のためのアクションプログラムの策定への参加 〇子どもの権利条例の制定と策定への参加 〇子どもオンブズパーソンの導入 |
〇学校週五日制に対応した施設等の活用・運営 〇各種施設・事業におけるボランティアや体験活動の推進 |
〇児童館・社会教育会館等での自主的活動の促進 |
青少年の参加・参画を促進するために
以上、青少年の社会参画の推進方策について、リーディングプロジェクトや、青少年の参加・参画の推進の展開方法と具体的方策をを述べてきたが、同時に大人や地域社会が青少年に対するこれまでの姿勢を省みて、次のような意識や態度を持つことが必要となってくる。
- 子どもの自立性、社会性を育てる体験
子どもの自立性、社会性を育てる体験は家庭、学校、地域のどの領域においても大人側の意識と態度の変革があれば可能である。家庭においては家族の一員として自分でできることは自分でする習慣をつけ、発達年齢に応じた手伝いをさせることで自分は家庭という小さな社会のなかで役立つ存在であることを体験できる。学校においては子どもたちが自主的に活動できる機会を意図的につくることができるし、また地域においても子どもたちを社会の一員として受け入れ、ともに地域活動をしていく仲間として待遇すれば自立性、社会性を育む一助となる。 - 子どもが社会参画できるシステムづくり
子どもたちが自主的に何かをしたいと思ったときにそれが実現できるシステムが必要である。まず子どもたちの要望を吸い上げられること、次に実現に向けて必要な部分はサポートが得られること、実現できる場や機会を得られることである。特に子どもや青少年に深い関わりを持つ児童館や地域の関係団体、学校等の関係機関相互の横の連携が必要とされる。
おわりに
これまでの青少年の社会参画の推進についての提案をまとめ、説明してきた。今後は各担当課単位で、その実現に向けた検討が始まることになろう。こうした検討に当たっては、個別の施策や活動の推進も重要だが、子どもや青少年の参加・参画のある計画的、総合的な施策の展開が極めて重要になる。なぜなら、子どもの成長の段階に対応して適切な指導、体験、主体的な活動の機会が長期的に用意されなければならないからだ。そのため継続的、計画的施策が効果的な子どもの成長のためには不可欠となる。こうした施策策定のためには、一つの目的に向かって異なる部課が協働したり、担当領域以外の施策等についても検討ができるための調整組織を庁内に作ることが必要と思われる。また、計画の策定や計画の実施状況の評価やモニタリングなどを行う組織も子どもの参加・参画の下に設置されることが期待される。そして、以上のような組織的な対応の推進のためには区長の強力なリーダーシップがなにより肝要となろう。
児童福祉法の幻の条文となり採用されなかった部分に「子どもは歴史の希望である。」というくだりがある。「歴史の希望である」青少年が自ら未来を切り開いていく力を手にし、社会に参画する機会が適切に与えられれば、「希望」に満ちた社会が実現するはずである。そのため私たち大人がまず初めにやらなければならないことは、子どもや青少年の力を信じることであろう。
注釈
- (注釈1) 子どもの権利条約(抄)
第2条(差別の禁止)
1 締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
2 締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
第3条(児童に対する措置の原則)
1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
2 締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。
3 締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。
第12条(意見を表明する権利)
1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。 - (注釈2) ロジャー・A・ハート
ニューヨーク市立大学環境心理学及び発達心理学教授。
主に子どもを取り巻く物理的環境と子どもの発達との関連に焦点を当てた研究を行い、「子どもの参画」の重要性や「参画のはしご」の理論等を提唱し、この研究分野の世界的な第一人者である。現在ユニセフの協力を得て、世界各地で様々な先進的プログラムのアドバイザーとして活躍している。 - (注釈3) チャイルドライン
1986年にイギリス国内全域に設立された、子どものための24時間対応の電話によるヘルプライン。子どもたちがいじめや虐待により苦しんでいる時等、精神的に強く生きられるように手助けすることを目的とする。
世田谷では民間主導、行政支援の形で実施されている。 - (注釈4) CAP(キャップ)
Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)の略。1978年にアメリカオハイオ州コロンバスのレイプ救援センターが始めたプログラム。子どもが暴力から自分を守ったり、子どもの権利意識(自分を大切に思う気持ち)を育てるための人権教育プログラムであり、NPO(民間非営利組織)等によって展開されている。 - (注釈5) オンブズパーソン制度
「オンブズマン」は1809年にスウェーデンにおいて創設された制度で、国民に代わって行政苦情の解決や行政の適正運用の確保を図るために行動する人をいう。
最近では両性を示す「オンブズパーソン」が多く用いられている。「子どもオンブズパーソン」は子どもの人権侵害の救済、人権の擁護及び人権侵害の防止、その他人権擁護のため必要な制度の改善等の提言に関することを職務とする。- 兵庫県川西市「子どもの人権オンブズパーソン条例」
- 愛知県海部郡美和町「子どもの権利」市民オンブズマン
- (注釈6) 子どもの権利条例
地域社会である自治体が権利条約の実施主体のひとつとして、子どもたちを取り巻く問題・課題解決の方向性を子どもの人権という視点から、子どもの権利保障を実質的に進めていくことを宣言し、その内容を条例化しようとするものである。- 神奈川県川崎市「川崎市子どもの権利に関する条例」
- 大阪府箕面市「箕面市子ども条例」
- (注釈7) 自治体の長期計画や児童育成計画(地方版エンゼルプラン)等の策定
- 千葉県松戸市
子どもモニター制度 - 福島県河東町
町総合振興計画策定のためのワークショップ - 神奈川県南足柄町
まちづくり子ども会議(第3次総合計画への意見反映) - 新潟県十日町市
十日町市総合計画策定懇談会 - 東京都多摩市
第4次総合計画策定に向けた小学生との懇談会
- 千葉県松戸市
- (注釈8) 子どもセンター
文部科学省の「全国子どもプラン」の一つ。平成14年から実施される完全学校週五日制に向けて、子どもたちの様々な体験活動や、家庭教育支援に関する情報を集め、情報誌を作成したり、指導者・ボランティア団体の活動などの紹介をする等の情報提供を行う活動である。
青少年懇談会発言要旨
- 開催日時
平成12年7月21日(金) 午後2時~ - 会場
生活産業プラザ7階 会議室1・2 - テーマ
「僕たち・私たちのやってみたいこと」 - 実施形態
青少年24人(中学生9人 高校生13人大学生2人)が3グループにわかれて懇談、自主的に司会・進行・発表を行う。
意見・提案
- 遊びや居場所に ついて
- 児童館にプロレスのリング ・ゲームセンター ・畳のある体育館 ・カラオケ ・バスケット(部活ではなくて)
- 柔道 ・映画を見たい ・一人旅をしたい ・まつりにいきたい ・友達がたくさん居るところでしゃべりたい
- 安い場所 ・公園(イヤな顔をされない所) ・24時間居られる場所 ・まわりに迷惑をかけないで騒げる場所
- 気軽に仲間が集まれる場所 ・自然な感じでいられる場所
- ゆったりした時間 ・野球をするための物、場所、人がほしい ・遊ぶためには楽器、お金、仲 間が必要(友達づきあいが苦手な子に対し)
- 積極的に自分から話す ・家に呼んで一緒に遊ぶ ・相手の様子を見る ・無理にでも引き込む
- 自分から入る環境を与えることで入れると思う
- ボランティアや地域活動について
- ボランティアは児童関係や障害者福祉施設で夏休みにする。小さい子が好きだし、手話サークルに参加した。ボランティアをやったことのある人が自分の体験を話してあげればわかりやすい。
- 板橋のジュニアリーダーで児童館キャンプの手伝いをする。中学生から社会人まで集まっていておもしろい。
- ボーイスカウトに入っていて、障害者と共にキャンプをするなどして楽しい。
- 地域のまつりに参加している。友達に会えることや、まつりの明るさにふれて気分の発散になる。
- 障害者を含めて困っている人に対してボランティアをしたい。時間が無くても、簡単にできることがあると思う。どんな活動があるのかわかっている人が少ないので、伝えるべきだと思う。
- まつりは大好きだがなかなか見つからない。早めに情報を知りたい。児童館や図書館へもなかなか行けないので学校にも情報を入れてほしい。
- ボランティアは自分のためにやるもの、今はできないが、チャンスがあればやりたい。
- ボランティアをしたことがないので実態がわからない。
- やったことはないが、老人福祉に関わってみたい。
- 朝のラジオ体操時にごみ拾い等はやれそう。
- 点字を打ってみたい。
- ボランティアは自分も楽しんでその人の為になる。地域活動は楽しいとわかれば参加が増えると思うので企画に工夫がほしい。
- 申込み用紙や情報をもっと身近に目に入るように工夫してほしい。
- やることによってプラス、メリットを感じられるものを。(楽しいなど)
- 学校がもっと積極的に呼びかける。
- 社会・区役所などに対する意見反 映の仕組みについて
- やってもらいたいことは特にない。
- 希望したことが実現しないのであきらめてしまう。(何ともいえない)
- 遊び場を増やしてほしい。
- 学校が統合したあとの体育館施設などをそのまま使わせてほしい。
- 誰でも書ける落書き場(意見発表の場)
- もっと給料を上げて、自覚のもとに地域の活性化をしてほしい。競争意識 をもって行政をやってほしい。
- 沖縄サミットを通じて、子どもの意見を反映してくれるチャンスをたくさ ん作ってほしい。
- ふだんは学校との関わりだけなので、たまには外の世界(違う学校、違う友達)に目を向けて考えを固執しないようにしていきたい。
- 区役所に対する意見とあるが、区役所が何をしているかわからないのでわかるものがあればいいと思う。
- 学生のネットワークづくりで行政に意見を出す。地域と学校の強い関係を作るためのバックアップをしてもらえれば、もっと充実すると思う。
- 今何をやっているのか知りたい。知る方法を知りたい。
- もっと地域、学校で教えてもらえる場を設けてほしい。
- 区がこんなことをやっていることを知ってよかった。もっと増やしてほしい。
- 今日のようなことを各学校で実施して、区役所に持っていくというのはどうか。
- 区からアプローチがなければ、接点がない。
- 学校について
- クーラー ・エレベーター ・自販機 ・たまり場 ・ゲーム
- 安い学食 ・いつでも入れるシャワールーム
- プロを呼ぶ。また指導者自身の体験を学ぶ。(パンの焼き方、釣りの仕方)
- 卒業生がきて、高校受験や高校選びについて話していった。これからもあ るといい。
- 将来のことに関して、職業的なこと等を教えてほしい。
- 仕事や活動についての話を聞かせてほしい。いろんな職業を体験する。
- 外でボランティアをやってみたらよい。
- 外でまで勉強したくない。
- 生きるか死ぬかの限度を体験。(生命について大切さがわかるようになる)
- お年寄りや主婦の人から子育ての大変さを学びたい。
- 金八先生のような目上の人から学ぶことは重要。昔の苦労がわかって良い。
- 教育者に対してリコールを取り入れてほしい。
- 授業を自分で選べることが望ましい。
- 目安箱のように、箱と紙を用意して意見を出せるようにしてほしい。(校則改正、先生に対して)
- そのほか
- 日本は恵まれすぎている。ハングリー精神がない。
- 成績で将来を決めることはどうなのか。
- 小遣いが少ない。
- 遊び場が少ない。
- 大声が出せる所が少ない
- 18禁がなぜあるのか。
諮問文
11児女発第15号
諮問第1号
豊島区青少年問題協議会
新しい世紀を担う青少年が健やかに成長し、社会的・精神的に自立していくことは、すべての人々の願いである。
このため、豊島区においては地域団体や関係機関などとの連携のもと青少年の健全育成施策を進めてきたところである。
しかし、近年の少子高齢化の進行、情報化・都市化の進展などによる急速な社会の変化は、青少年を取り巻く環境にも様々な影響をもたらしている。このような中、青少年については、災害時のボランティア活動への積極的参加などが目立つ一方で、日常的には自己中心的で、他人のことや社会の動向などに無関心であるなど、自立性の遅れ、社会性の欠如といった問題も指摘されている。
青少年は、その成長・発達過程において、様々な社会体験、生活体験などを通して豊かな人間関係を経験し、青少年自身が社会的な役割を果たすことにより自立性や社会性を身につけていく。このため、青少年が健やかに成長する上で、家庭・学校・地域が様々な体験の場を数多く提供していくことが不可欠である。
しかしながら、これまでの青少年に対する取り組みにおいては、青少年をとかく客体として捉えがちで、青少年の参加意欲を十分に引き出せないため、社会活動への積極的な参加を促せなかった側面も存在する。
このため、今後の青少年の健全育成を進めるにあたっては、青少年を主体として捉え、身近な地域活動やボランティア活動などへの積極的な参加を促すとともに、こうした活動において企画・運営の段階から自主的に参画することなどを通じて、青少年の地域社会への参画を進めていくための方法、施策などを検討する必要がある。
以上のことから、これらの課題に対応するため、「青少年問題審議会及び地方青少年問題協議会設置法」に基づき、下記事項について諮問する。
平成11年6月11日
東京都豊島区長 高野之夫
記
青少年の地域社会への参画の促進について
『体験が育む自立性と社会性』 その施策と支援のあり方
東京都豊島区青少年問題協議会検討の経過
- 平成11年度第1回定例協議会
平成11年6月11日- 区長から「青少年の地域社会への参画の促進について-『体験が育む自立性と社会性』その施策と支援のあり方-」について諮問
- 専門委員会を設置し、諮問について調査審議を付託することを決定
- 専門委員7名を選出
- 第1回専門委員会
平成11年7月30日- 委員委嘱 ・委員長に西郷委員、副委員長に神村委員を選出
- 専門委員会の今後のスケジュールについて
- 検討を進めるにあたっての年齢的な目安について
- 専門委員会における調査・検討項目について
- 第2回専門委員
平成11年9月7日- 協議の焦点=青少年の参加の機会とレベルについて
- 行政と団体及び団体間の連携のあり方について
- 参加の権利と権利行使の上での責任のあり方について
- 大人側の体制から見た参加・参画の現状について
- 第3回専門委員会
平成11年12月20日- 大人と子どもの意識及び活動における調整とその方法について
- 学校教育の変革と週5日制の実施にあたっての社会への参加・参画について
- 家庭・学校・地域におけるネットワークの重要性について
- 中間報告に向けて
- 第4回専門委員会
平成12年2月17日- 青少年の参画推進の理念と基本的な考え方について
- 豊島区等における参加・参画の状況と課題について
- 「大人の役割」と「子どもの役割」について
- 青少年の参加・参画の具体的推進方策について
- 起草委員会
平成12年3月16日- 中間報告案の検討
- 第2回定例協議会
平成12年3月27日- 諮問に対する専門委員会の中間報告
- 中間報告における全体協議
- 第5回専門委員会
平成12年5月15日- 具体的な推進方策の提案について
- 青少年との懇談会について
- 起草委員会
平成12年7月13日- 中間報告(素案)の検討
- 第6回専門委員会(青少年懇談会)
平成12年7月21日- テーマ「僕たち・私たちのやってみたいこと」
- 遊びや居場所について
- ボランティアや地域活動について
- 社会・区役所などに対する意見反映の仕組みについて
- 学校について ・参加青少年 24名(中学生9名 高校生13名 大学生2名)
- 3グループにわかれて懇談、発表
- テーマ「僕たち・私たちのやってみたいこと」
- 第7回専門委員会
平成12年8月21日- 中間報告(素案)の検討
- 平成12年度第1回定例協議会
平成12年9月11日- 諮問に対する専門委員会の中間報告
- 中間報告における全体協議
- 第8回専門委員会
平成12年12月25日- 答申(案)の検討
- 起草委員会
平成12年2月28日- 答申(案)の検討
- 第2回定例協議会
平成12年3月28日- 諮問に対する答申(案)の検討及び決定
- 区長に報告
東京都豊島区青少年問題協議会委員名簿
委嘱期間
平成11年6月11日~平成13年3月31日
会長
地方公共団体の長
豊島区長
- 高野之夫
副会長
関係行政機関の職員
豊島区助役
- 中原昭
委員
区議会議員
区議会
- 水間和子
- 吉村辰明
- 井上さよ子
- 渡辺くみ子
学識経験者
- 神山岩松
巣鴨防犯協会 - 福壽務
町会連合会 - 太田晴明
民生委員・児童委員協議会 - 藤ケ谷晴明
保護司会
任期~平成12年8月31日 - 岡田てるゑ
保護司会
任期 平成12年9月1日~ - 猪瀬邦次
青少年育成委員会連合会
専門委員会委員 - 長橋弘
豊島区少年団体連絡協議会 - 坪田キネ子
婦人団体協議会 - 鈴木綾子
更生保護婦人会 - 鶴岡たか子
目白母の会 - 番田洋子
社会教育委員会議 - 清水興治
青少年委員
専門委員会委員 - 和田健男
区立小学校PTA連合会
専門委員会委員 - 名垣誠
区立中学校PTA連合会 - 岩田信義
体育指導委員 - 谷口孝司
区立小学校校長会
任期~平成12年8月31日 - 建守紀子
区立小学校校長会
任期 平成12年9月1日~ - 小林秀隆
区立中学校校長会
専門委員会委員 - 西郷泰之
専門学識経験者
専門委員会委員長・起草委員 - 神村富美子
専門学識経験者
専門委員会副委員長・起草委員 - 奥田京子
一般公募委員
専門委員会委員 - 浜千加子
一般公募委員 - 清水竜彦
一般公募委員
関係行政機関の職員
- 山田正治
池袋警察署長
任期~平成12年2月23日 - 最上孝雄
池袋警察署長
任期 平成12年2月24日~ - 長谷部勝彦
巣鴨少年センタ-所長 - 川島滋
豊島区教育委員会教育長
任期~平成12年12月20日 - 二ノ宮富枝
豊島区教育委員会教育長
任期 平成12年12月21日~ - 高橋計之
豊島区区民部長
任期~平成12年3月31日 - 中田満徳
豊島区区民部長
任期 平成12年4月1日~ - 望月治男
豊島区子ども家庭部長 - 澤節子
豊島区池袋保健所長
このページに関するお問い合わせ
子ども家庭部 子ども課
電話:03-3981-1381 ファクス:03-5391-1400
Eメールでの問い合わせは専用フォームをご利用ください。
