===== P10-11 ===== ● 特 集 ● 知っていますか? ヤングケアラーのこと 本来、おとなが担うような家事や家族の世話などを日常的に行っている、18歳未満の子どもを「ヤングケアラー」といいます。かつて、三世代や大家族で生活している家庭が多かったころは、家族のケア役割が複数のおとなたちで分担できていました。しかし少子高齢化や核家族化が進み、子どもがケア役割を担うようになっています。 [問い合わせ]子ども家庭支援センター子どもの権利第2グループ 電話6858-2302 まわりにこんなことありませんか? 病気や障害のある家族の代わりに、買い物・料理・掃除・洗たくなど家事をしている 家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている 目を離せない家族の見守りや声かけなどの気づかいをしている 日本語が第一言語でない家族や障害のある家族のために通訳をしている 障害や病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている 障害や病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている 参考:(一社)日本ケアラー連盟ホームページ \教えて、ヤングケアラーのこと!/ 立教大学コミュニティ福祉学部助教 田中悠美子先生に伺いました Q.「ヤングケアラー」と子どもの「お手伝い」の違いは? A. 本来、お手伝いは親などの主体となる方がいますよね。おとなの代わりにケア責任をもっている状態が「お手伝い」との違いですね。誰か代わりの人がいて本人が「できない」と言える選択肢があるか、がポイントです。心や体に不調を抱える家族がいるという環境も違いです。ケアは内容・時間・頻度などから多種多様にわたります。 Q. ヤングケアラーは何が問題なのでしょうか? どのような影響がありますか? A. 家族のために家事や介護を担っていることは、それ自体が悪いことではありません。学校への遅刻・欠席が多くなることや成績不振、友だち付き合いで孤立したり、睡眠不足、重労働によるけがで体をこわすなど、さまざまな影響があります。一方で、当事者のポジティブな面にも注目をしてほしいですね。小学生でもATMが使えるなど生活スキルやケアの実践的な経験値が高いんです。責任感が強く、家族との絆が強い子が多い。そういう面も就職や受験の時などで評価されるといいですね。 Q. 私たちができることは何でしょうか? どのような心がけが必要? A. 本人にとって信頼できるおとながいることがとても大切です。すぐに何とかしてあげたい!と思いがちですが、何よりも「話を聴く」ことです。日頃から「最近、どんなマンガ読んでるの?」「最近、何が好き?」などその子に焦点をあてた声がけをしていくことだと思います。また「あの子はいつも遅刻や居眠りが多いけど、何か理由があるかも?」という視点を持っていただけたらと思います。支援へとつなげようと焦らずに、本人の意思はもちろん、家族全員の状況を理解することが大前提なんです。 Q.子どもたちへメッセージをお願いします! A. 家族と同じくらい、自分の心や体や時間を大切にしていいんだよ。ケアをする/しないは自分が選んでいいし、いつでも助けを求めていい。自分が人生の主役という軸を持ってくれたらうれしいです。 profile●社会福祉士、介護福祉士、社会福祉学博士。認知症専門デイサービスで介護職として勤務。若年性認知症の親と向き合う子ども世代のつどい「まりねっこ」の立ち上げ・運営や、相談支援を行う。(一社)日本ケアラー連盟理事、ヤングケアラープロジェクトのメンバーとしてヤングケアラー・ケアラー支援に取り組む。 \今後の取組みに向けて動き始めています/ 8〜9月にヤングケアラー実態調査を実施しました 区立小学校4年生〜区内在住18歳までの子どもを対象に調査を行い、3,529名から回答がありました。 ●お世話している家族(相手方)が「いる」と答えた子ども ●自分はヤングケアラーに「当てはまる」と答えた子ども 小学4〜6年生 中学生 高校生世代 21.4%(4人に1人) 相手方は「お母さん」が最多 4.7%(21人に1人)相手方は「きょうだい」が最多 2.8%(35人に1人)相手方は全て「きょうだい」 2.2% 1.5% 2.3% ●お世話の頻度や時間 頻度…小・中学生で「ほぼ毎日している」が約29〜32%、高校生は62.5%。 時間…小・中学生は「3時間未満」が最多。中には7時間を超える場合も。 ●学校や周りのおとなにしてもらいたいこと 小学生の20.2%、中学生24.4%、高校生世代は68.8%が「ある」と回答しました。 してもらいたい内容 小学生「自由な時間がほしい(7.6%)」、中学生「自由な時間がほしい、学習のサポート(7.3%)」、 高校生「経済的な支援(37.5%)」が最多の回答でした。 元ヤングケアラー(現若者ケアラー)で長年家族を介護している 友田 智佳恵(ともだちかえ)さん きっかけ 12歳の時に、母が突然倒れたことで介護が始まりました。最初は状況を受け入れられず、生活を立て直すのに必死でした。「家族のことは家族で」という価値観が無意識にあって、周りに頼ることはほとんどありませんでした。私自身、母のことを相談したり、話したりしにくかったです。「私がしっかりしないと」と思い、自然に着替えや食事、おむつ交換などできることをやってきました。母には高次脳機能障害があって気持ちをなだめたり感情面のケアも必要です。朝デイサービスへ母を送り出し、急いで登校、下校後は母を出迎えて見守る1日でした。 当時をふりかえって 「一人の人間としてあなたは今後どうしたいの?」という問いかけをしてくれる存在に出会えていたらよかったと思います。「娘として」の私と切り離して。 当事者に伝えたいこと 5年前に育児や祖母の介護も重なり、自分だけでは全てを抱えきれず、心身に不調が出ました。そこで、自分がどこまで介護を担うのか、そもそも担いたいのか、介護と向き合って整理し、自分のやりたいことも真剣に考えようと思ったんです。酷だけれど、介護のある人生を真剣に受け止めて、将来を考えることが大事だと思います。自分の経験を強みにする気持ちで。子どもたちって可能性しかなくて、何にだってなりたいものになれるんですよね。 \お話を聞かせてください/ ▼子ども家庭支援センター子どもの権利グループ電話6858−2302 平日 午前8時30分〜午後5時15分 ▼子どもフリーダイヤル電話0120−618−471 平日 午前9時〜午後6時 土曜日(祝日を除く) 午前9時〜午後5時 [EM]A0019800@city.toshima.lg.jp(東部子ども家庭支援センター) ▼豊島区児童相談所電話6758−7910 ▼24時間子どもSOSダイヤル電話0120−0−78310 \友だち募集中!/ 東京都ヤングケアラー相談支援等補助事業 公式LINEアカウントけあバナ (運営…〈一社〉ケアラーワークス)