===== P2-3 ===== 新春対談 ひとりひとりの未来への思いがよいまちをつくる 高野之夫区長 十文字高等学校1年 河合乃杏(かわいのあん) 十文字高等学校3年 毛利(もうり)ののか 都立千早高等学校2年 佐藤希美(さとうのぞみ) 都立千早高等学校2年 西村直喜(にしむらなおき) [キャプション] イケちゃんランドでパシャリ  豊島区では数々の逆境を乗り越え、ピンチをチャンスに変えるまちづくりによって、大きな成果をあげてきました。そこには地道な過去の努力と歴史があり、この成果は子どもたちへ「希望のバトン」として引き継がれます。  2023年の新春座談会のゲストは区内の学校に通う4人の高校生です。郷土資料館で開催中の「豊島大博覧会」を見学し、豊島区の過去と今、そして未来について語り合いました。 戦後の池袋西口のまちなみに感動 高野●今日はよろしくお願いします。まず、自己紹介からしていきましょう。 河合●十文字高校1年の河合乃杏です、私はSDGsや子どものケアに興味を持っていて、ボランティアの部活動をしています。 毛利●十文字高校3年の毛利ののかです。2年生までは豊島区のSDGsについて調べる活動をしてきました。今は受験勉強に励んでいます。 佐藤●都立千早高校2年の佐藤希美です。茶道部での活動に力を入れています。 西村●同じく都立千早高校2年の西村直喜です。バドミントン部でがんばっています。 高野●私は池袋生まれ、池袋育ちです。立教大学を卒業してからは古本屋さんを営んでいました。46歳で区議会議員になって、都議会議員を経て豊島区長になりました。今日は豊島大博覧会を観てもらいましたが、どうでしたか? 河合●昭和30年代後半の池袋西口のジオラマが衝撃的でした。デパートの前に家が建ち並んでいて、よく見ると看板がある。これが昔のマーケットだと理解できました。言葉として知っていたマーケットがどんなものだったかがわかり感動しました。 毛利●私もマーケットのジオラマが印象に残りました。豊島区のことは調べていましたが、戦前から終戦直後について、より深く理解できてよかったです。 佐藤●マーケットには低い家が建ち並び、そのすぐそばに東武百貨店の高い建物があったのが印象的でした。あそこまで大きな建物ができるのなら、これから生活がよくなる。当時の人々にとって、そう思える「希望」だったのではと感じました。 高野●未来を予感するよね。終戦後の池袋では、明日がどうなるかわからない中で、ひしめき合いながら、みんな必死に生きていました。でも、その時代が池袋大発展の原動力です。 西村●僕は未来の豊島区のジオラマに驚きました。池袋は高いビルが多くてもう完成形だと思っていましたが、これから今まで以上に、にぎやかなまちになりそうで楽しみです。 高野●私は池袋を「人を優先するまち」にしたい。歩行者が回遊できて四季を感じる。4つの公園での時間を楽しめる。高いビルや地下街ではなく、地上で楽しめるまちです。豊島区は「消滅可能性都市」と指摘されたけど、ピンチをチャンスに変えてがんばってきました。豊島大博覧会のテーマは「過去から学び、今日を生き、未来に希望」なので、みんなが意義をきちんと感じてくれていて、本当にうれしいです。 現状に満足せず、未来を示すまちづくり 高野●豊島区のどんなところが好きですか? 佐藤●池袋には公園に来る人、アニメの好きな人、外国の方が多く、私とは異なる趣味や国籍、文化を持っている人がたくさんいます。まちを歩くだけで、いろんな人を見られます。 高野●多様性だね。誰でも気軽に立ち寄り、いろんな方が楽しめるまちづくりをしてきました。 河合●私は芸術鑑賞がすごく好きで、ミュージカルやオーケストラを観に池袋に来ます。それと公園です。池袋は新しい公園がたくさんできたので、「家族で行きたいね」とよく話をしています。 高野●新しいホールをつくった時、ある劇団に定期公演をお願いしました。何度も足を運んで、「こんなまちを作っていきます!」と情熱的に語り、招致(しょうち)に成功しました。現状に満足せず、未来を示し、そこに賛同してもらうことが大切です。河合さんが言ってくれた「家族ぐるみで来てくれる池袋」に早くしたいなと思います。 西村●僕も公園です。西口のグローバルリングでは野外劇場で演奏会が行われています。偶然通りかかって観ている人も多いようです。そこから、池袋が芸術やアートのまちであることがわかって、「このまちいいな」が広がっています。 高野●クラッシックが流れるまちにして、西口の雰囲気を変えたくて野外劇場をつくったんです。 毛利●アートや文化を絡めて都市をつくっているのは、すごくいいなと思います。国際アート・カルチャー都市構想を掲げて、色々なものとアートを組み合わせていくと、まちは明るくなるし、ほかの地域とは違う独創性が生まれます。 高野●ありがたいですね。人間に最も必要なものは、やはりアートであり、文化です。教育文化を大切にしていけば、必ずよいまちができる。ずっと貫いてきて、ようやくアートや文化でまちを変えられることが認識されてきました。 住む人、働く人、学ぶ人がすべて区民 高野●せっかくですので、皆さん、豊島区をもっとよくする未来のアイデアはありますか? 河合●将来、グローバルに活躍したいので、外国の方と触れ合えるまち、そして音楽と多様性があふれるまちになったらいいなと思います。 毛利●私は将来、不登校の子たちの支援をしたいので、高校生でも参加できるイベントの実施や支援の場を作ってほしいです。それと、学校教育で教員が不足している科目に大学生や社会人が参加できる環境ができたら私も参加したいです。 佐藤●人の交流が生まれるイベントが増えるといいです。今回の豊島大博覧会のようなイベントも多くの人に知ってもらえるようにして、訪れた人が気軽に参加できるガイドツアーがあれば、高校生や若い人たちも来やすいと思います。 西村●僕は古き良き文化や歴史をもっと知ることのできる機会があったらいいと思います。豊島区には自由学園明日館や雑司ヶ谷子母神堂など歴史ある建物もあります。そういった歴史をみんなで学んで未来につなげることが大切だと思います。 高野●皆さんの意見に感謝します。豊島区は住む人、働く人、学ぶ人がすべて豊島区民です。ひとりの力では何もできません。皆さんが熱い思いを持って、未来のことを考えてくれるからこそ、よいまちができていくのだと思います。今日は本当にありがとうございました。 千早高等学校 ビジネスと英語を中核とした進学型専門高校。CBP(千早ビジネスプロジェクト)というサークルが課外活動をしている。CBPは区と連携してペットボトル回収ボックスを区施設に設置し、同校指定ソックスへのリサイクルを行うなど、様々な事業・イベントに参加し積極的に活動している。昨年は、豊島区東日本大震災災害復興支援コンサートや、郵便局と共同でSDGsについて考える取組みなどを行った。 [キャプション] 豊島区東日本大震災災害復興支援コンサート 十文字高等学校 大正11年から女子教育に取り組み、昨年100周年を迎えた。地域とのつながりを重視し、生徒会の交通安全運動、同好会の清掃活動、吹奏楽部のパレード参加などを行う。昨年は、自己発信コースの授業の一環として、大塚駅前の清掃活動に参加したほか、「2022 Xmas Otsuka SDGs Event」で、生徒有志がウクライナと日本の子どもたちの交流プログラムを企画するなど、SDGsを意識した区との連携がより深まっている。 [キャプション] 大塚駅前の清掃活動 豊島大博覧会 1月5日(木)〜3月26日(日)  午前9時〜午後6時  郷土資料館(西池袋2−37−4) 休館日…月曜日、第3日曜日、1月10日(火)、2月11・23日(祝)、3月21日(祝) 当館電話3980−2351 [地図入る]