===== P4-5 ===== 30周年×男女平等推進センター ありのまま 自分らしく 男女平等推進センター(エポック10(テン))は昨年6月で30周年を迎えました。 今回は、当センターと関わってきた方々へのインタビューを交え30年を振り返ります。 これからも、一人ひとりの「自分らしい」生き方に寄り添っていきます。 [問い合わせ]男女平等推進センター(エポック10)電話5952−9501 30年のあゆみ、ちょこっと紹介 平成4年6月 男女平等推進センター開設 男女共同参画社会の実現に向けて、性別に関係なく区民が集い、学び、新しい生き方を創造する拠点としてオープン。当時はメトロポリタンビル10階にありました(平成17年に勤労福祉会館、現IKE・Bizへ移転)。開設後は、女性の就職支援、働き方、コミュニケーションなどについて多様な講演・講座を行っていました。ほか、結婚・離婚、家族をめぐる相談やビデオ上映会なども実施。開設1周年の際は「輝いて!女(ひと)と男(ひと)」をテーマに、区民の方々の企画によるエポック10まつりが開催されました。 愛称「エポック10」って? Equal Participation of Community Habitants(地域住民の平等参加)の頭文字が由来。10は開設当時10階にあったことや「十人十色」の10として今も使われています。 開設当初から活動している方々にインタビュー! 豊島区女性史『風の交叉点』の編さんに携わり、活(い)かし続けたいと活動している (左から)竹内瀧子さん、恩田輝代さん、有泉 三起子さん、佐々木 浩子さん、関根 有美子さん 私たち編さん員は、長谷幸江(ながたにさちえ)立教大学講師(当時)の指導のもと、歴史の表舞台に登場しない女性たちが語る人生を聞き、「聞き書き集」としてまとめました。個人的な歩みを聞き記録するだけではなく、社会・歴史的背景も考えることを大切にしてきました。時には、門の前で家の人に断られたり、出版前に「家族のことを考えると載せられない」と言われたりしたことも。当時、編さん員の中には夫に「ちょっとパンを買いに行ってきます」と言って参加した方もいました。時代ですよね。編さん員は子育てや仕事の中で、これからの生き方や個々の生活からの思いをもって、ここまで来ました。エポック10は、社会との接点であり、拠(よ)りどころです。自分から考え行動することのスタート地点のような。現在は『風の交叉点』から「教育」「戦争」「アトリエ村」などテーマごとに選び、エポック10フェスタや区民ひろばで朗読しています。ぜひ小・中学校などで子どもたちにも聴いてほしいですね。 豊島区女性史『風の交叉点』全4集 豊島区に暮らした女性の生き方、生活を辿(たど)った聞き書き集と通史(監修/中嶌 邦(なかじま くに)日本女子大学教授〈当時〉)。平成4〜8年発行(ドメス出版)。編さん員準備講座を受けた女性28名が、明治・大正・昭和初期生まれの区内女性たち193名から聞き取りをし、録音テープ約350本を起こした。当センターでも閲覧できる。 平成14年2月 男女共同参画都市宣言 区民一人ひとりの人権が性別などの違いに関わりなく尊重され、その人らしく暮らしていけるまちを目指した宣言。この宣言を記念し、毎年記念講演会を開催しています。今年度は、2月18日(土)に講演会「幸せのカタチは、自分で決めよう!」を開催予定。詳細は広報としま1月21日号(情報版)を参照してください。 女(ひと)と男(ひと) 一人ひとりがその人らしく 分かち合い 助け合い ともに暮らしたい 豊島のまちで 豊島区民として 地球市民として 平成31年4月 パートナーシップ制度の導入 一方または双方が多様な性自認・性的指向(※)の2人が、互いを人生の伴侶とし日常の生活において協力し合うことを約束した関係にあることを、区長が確認のうえパートナーシップ届受理証明書を交付する制度です。証明書の提示により公営住宅などへの入居申込みが可能になります。条例によって制定されたのは、渋谷区に次いで2例目。現在56組の登録があります(1月1日時点)。 豊島区パートナーシップ届け出第1号 田中葉子さん(仮名)、和田えりかさん ●当時をふりかえって 立ち上げからアドバイザーのような形で関わっていました。最初は制度を作るためにということでなく、「LGBTに限らず、色々なカップルが使える制度があればいいね」「届け出にお金がかからないことが大事!」などと、理想を語り合うことから出発しました。制度の利用を報告すると、周りの方々から「おめでとう!」とお祝いしてもらいました。当時私たちは8年ほど一緒にいましたが、結婚するってこういう感覚かなって。証明書の携帯用カードはお財布などに入れていつも持ち歩いています。 ●変わってきたこと、そうでないこと 最近は制度が整ってきたので、理解が広がっているなと思います。会社で研修があったり、制服もブレザー主流になったり。大学生から「LGBTについて活動したいのでぜひ話を聞きたい」と連絡が来たことも。その方は当事者であることをさらっと言っていて、時代の変化を感じました。自分が関わってきたことが次の世代へ活きてうれしいです。一方で、その先につながっていくのはまだまだ時間がかかるなと感じます。例えば保険。パートナーを受取人にすることはできるけれど、保険料控除は受けられないんですよ。 ●これからを生きる方へ伝えたいこと もしも自分のことを理解されなくても傷つかなくていいし、離れてもいいんです。本当にかわいそうなのは無知なことだと思うから。味方になってくれる人が必ずいるし、つながる場を持ってほしいですね。自分の中に閉じこもらないで外に目を向けてほしいです。 すべての人が互いの人権と 多様性を尊重し、ともに暮らせるまちへ 区制施行90周年の取組みとして、ジェンダー(社会や文化がつくってきた性差、役割)への気づきや考えるきっかけとなる取組みを行ってきました。「男性は理系、女性は文系」「男性は仕事、女性は家事・育児・介護」など無意識の思い込みによる言動や判断は自分や相手の可能性を狭めたり、だれかを傷つけたりすることもあります。エポック10は、その人らしさを大切にし、自分自身が生き方を選び暮らしていけるまちの実現を目指していきます。 ジェンダー・多様性への向き合い方を教えてください 立教大学ジェンダーフォーラム所長 片上 平二郎(かたがみへいじろう)さん Q.ジェンダーって? A.ジェンダーは、社会的に作られた枠組みです。絶対ではなくて動かせるものなはずなのに、人を強く縛(しば)って、狭いルートに乗せる場合があります。それに気づかずに自らの選択だと思っていることも。実は社会的な役割が決められていることで、ある意味安心感があるのも事実です。でもそれでは「生きづらさ」を感じる人が出てきてしまう。誰もが社会的に求められる役割と自分自身との間にずれがあって、そのずれを多様性や個性というのだと思います。 Q.何気ない発言で 誰かを傷つけないか心配です… A.誰かを傷つける可能性を恐れてしまうことは当然ですし、それを可能な限り避ける努力をするべきでしょう。しかし、一方で、それを意識しすぎて自分の発言がこわばってしまう違和感もよくわかります。私たちの日常は矛盾のかたまりです。それを意識しながら、自然体でふるまうことと変えた方がいいこととの関係を私も日々考え続けています。 Q.多様性やジェンダーに どう向き合っていけばいいですか? A.「考え続けること」「他者に出会う」ことが大切だと思います。考えることは、自分が変わっていくこと。新しい自分との出会いを楽しんでもらえればいいと思います。自分と違う価値観に触れた時にも、それに対する拒否感に従ってしまうのではなく、その時のコミュニケーションの中で自分が変わっていくことをまず楽しんでみてほしいです。 [性のあり方を構成する4つの要素] (1)性自認(こころの性) 自分の性別をどのように思うか (2)身体的な性(からだの性) 基本的なからだの特徴をもとにした性、戸籍上の性 (3)性的指向(好きになる性) どのような性の人を好きになるのか、ならないのか (4)性表現(表現する性) 服装や立ち振る舞いなど自分をどのように表現するか ※一般的に「性的マイノリティ」「LGBT」などと称されることが多い当事者について、区では「多様な性自認・性的指向の人々」という語句を用いています。 [性別であり方・生き方を決めつけないために] 無意識の思い込みは、日常にあふれていて、誰もがもっています。その思い込み自体を否定するものではありませんが、無意識の思い込みによる判断や言動がネガティブな影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。 自分や相手の可能性を狭める 決めつけることで誰かを傷つけることにつながる 不公平な評価をすることで、やる気を失う \これってほめ言葉?/ 君は男性より優秀だね! 男性なのにきれい好き! 女性が製作したと思えない! \無意識の思い込みに関するアンケートを実施しました/ 昨年9月に区立中学校3年生の生徒を対象に調査を行い、565名の回答がありました。結果の一部を紹介します。 ◆性別に基づく役割や思い込みを決めつけられた経験について 男女ともに、直接言われたり聞いた経験よりも、メディアで見た経験の方の割合が大きく上回っています。 直接言われたり聞いたりしたことがある ※上位3項目 ●女性 1 女性には女性らしい感性があるものだ 12.0% 2 女性は感情的になりやすい 10.8% 3 男性は人前で泣くべきではない 9.6% ●男性 1 男性は仕事をして家計を支えるべきだ 12.5% 2 男性は人前で泣くべきではない 12.5% 3 女性には女性らしい感性があるものだ 11.5% テレビや雑誌、インターネットなどのメディアで見たことがある  ※上位3項目 ●女性 1 家事・育児は女性がするべきだ 38.2% 2 男性は仕事をして家計を支えるべきだ 31.9% 3 共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ 27.5% ●男性 1 家事・育児は女性がするべきだ 31.0% 2 男性は結婚して家庭を持って一人前だ 28.6% 3 男性は仕事をして家計を支えるべきだ 27.5% 性別「無回答」を選択した回答者は27名。