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豊島区を通る中山道は現在、「とげぬき地蔵通り」として関東近県から参詣にくる「おばあちゃんの原宿」となっていますが、明治期から昭和10年代頃までは、巣鴨から北区滝野川にかけての中山道は「種子屋(たねや)通り」と呼ばれ以、野菜の種子屋のメッカでした。大正中期には20軒以上の種子問屋が軒を連ねており、全国各地の大根・人参などの根菜類や、茄子・胡瓜などの果菜類、小松菜・ほうれん草などの葉菜類といった農産種子の一大集散地を形成していました。
その一軒、幕末から巣鴨庚申塚で種子問屋を営んできた榎本留吉商店(現東京種苗株式会社)の5代目榎本泰吉氏から、1991年の解体に伴い、膨大な量の種苗関係資料の寄贈を受けました。資料館では、友の会古文書サークルの5名(通称エノモン会)にご協力をいただき、約6年間地道に資料整理を進めてきました。
これまでに整理を終えた資料は約2万点で、全体の半分にも達しませんが、今回「中間報告」という形で(調査も不十分ですが)、榎本家資料の存在と価値を皆さんに知っていただく機会を設けました。
明治期から戦前期にかけての豊島区地域周辺の種苗業のあゆみをとおして、地域の埋もれた歴史に新たな光をあててみたいと思います。
(かたりべ47号)
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