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昨年の大晦日、中山道沿いで70年以上も煎餅を作りつづけた北田商店(西巣鴨3丁目、屋号・大黒煎餅)が、常連客に惜しまれながら店を閉じました。資料館では、北田好甫(よしとし)・邦子さんご夫婦のご協力を得て、2月17日、煎餅の製造・販売に関する貴重な資料を100点余り(車2台分)寄贈していただきました。
北田商店は、石川県出身の父権次氏(明治31年生まれ)が、佐野屋(小石川区の煎餅屋)に奉公後、大正11年(1922年)に独立して高岩寺(通称とげぬき地蔵)近くの家を創業したのに始まります。現在地に移転したのが大正12年。昭和5年(1930年)には3階建てのいわゆる「看板建築」(幅2間半)の店舗兼製造所を構えました。
好甫さんが店を継いだのが昭和33年。以後、米を蒸す→生地を作る→干して焼くまでの根気のいる作業を一貫して行ない、煎餅職人の技を守り続けてきました。手作りの大黒煎餅の味に惚れて遠方から買いに来られる常連さんも多かったといいます。
しかし、煎餅がスナック菓子の人気に押され気味となった現在、北田商店のような零細業者は苦境に立たされる時代となりました。
資料館では、昭和初期の中山道商店街の面影を残す北田商店のあゆみを、寄贈資料をもとに紹介、展示しています。
(かたりべ45号より)
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