現在の計画の重点施策 主な取り組みの方針・事業 1 相談支援の充実 一人ひとりが望む暮らしの実現を目指し、基幹相談支援センターを中心に関係機関とのネットワークを構築し、各種相談に対応します。 【主な事業】 ○相談支援の充実(計画相談支援・地域移行支援・地域定着支援) ○基幹相談支援センター事業 ○発達障害者支援事業 ○高次脳機能障害者支援対策事業 ○障害福祉サービス事業所連絡会 ○職員研修の充実 【取り組みの状況と課題】 ・計画相談支援…障害者の自立した生活を支え、障害者の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援を行う。28年度末でサービス等利用計画作成者数の割合は93.4%。 ・地域移行支援…障害者支援施設、精神科病院、保護施設、矯正施設等を退所する障害者、児童福祉施設を利用する18歳以上の者等を対象として地域移行支援計画の作成、相談による不安解消、外出への同行支援、住居確保、関係機関との調整等を行う給付事業である。28年度の給付実績は精神障害者8名で、うち2名が地域へ移行、給付中の方が6名である。 ・地域定着支援…常時の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に相談その他の便宜を供与する給付事業である。28年度の給付実績は、精神障害者3名である。 ・豊島区精神障害者地域生活移行支援事業(平成26年度)…精神科病院に入院している精神障害者の地域生活への移行を支援し、安定した地域生活の実現を図ることを目的とした豊島区独自の事業である。28年度の実績は、対象者13名、うち個別給付へつながったケースが2名であった。 ・基幹相談支援センター事業(平成24年度〜)…心身障害者福祉センターにおいて、地域の障害者等の相談支援、情報提供、虐待相談等を行う。また、区内相談支援事業所のネットワークを構築することで、広域調整や研修等を通して相談支援能力の向上を図っている。 ・発達障害者支援事業(平成23年度〜)…保健、福祉、教育の各機関が連携し、一体的な支援を実施、検討する体制づくり、講演会等による周知啓発等を行う。区内大学と連携した相談事業については、利用者数は年々増加している。相談窓口の明確化とライフステージを通じた切れ目のない支援の充実が求められている。 ・高次脳機能障害者支援対策事業(平成21年度〜)…専門家による評価・指導、講演会等による周知、関係機関連絡会などを行う。周知が進み、相談、問い合わせが増えてきているが、現状では身体障害者手帳がないと、受けられるサービスに限りがある。 【参考】 ・よく利用する相談窓口は、「区の障害福祉課」19.7%、「病院・診療所」14.4%、「東部・西部障害支援センター」11.3%。 ・相談窓口の対応に《満足》は65.4%、《不満》は17.1%。 ・不満の理由は「充分な助言が得られない」「曜日・時間が限られている」「窓口がわかりづらい」 ・情報入手におけるインターネットの割合が前回調査より増加。 備考:「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」「障害児のサービス提供体制の計画的な構築」「発達障害者支援の一層の充実」(国指針) 2 就労支援の強化 本人が希望する仕事に就けるよう職業相談や指導を行います。また、就労後も安定して続けられるよう、フォローアップ体制の強化に努めます。 【主な事業】 ○障害者就労支援事業の実施 ○庁内・企業実習の推進 ○「ほっと・サロン」運営支援事業 ○チャレンジ雇用支援事業 ○「はあとの木」運営支援事業 ○豊島区障害者就労施設等からの物品等の調達方針の策定 【現状と課題】 ・障害者就労支援事業(平成14年度〜)…障害者の就労全般に関わる相談、就労支援及び生活支援の他、就労支援ネットワークの運営等を行っている。23年度の就労促進支援事業開始により、移行事業所等からの実習受け入れを行い、就労に向けた準備、課題確認等をすることで、その後の就労につながりやすくなっている。 ・「ほっと・サロン」事業(平成21年度〜)…一般就労をしている、または就労を目指している知的障害者の方を対象。休日を過ごす場を提供することにより、障害者同士の交流を図ることを目的に実施。障害者自らが余暇活動を行うことで、地域生活に充実感が持て、就労への意識向上、就労継続につながっている。 ・チャレンジ雇用支援事業(平成25年度〜)…チャレンジ就業員として採用された知的障害者に対し業務上の具体的支援を行うとともに、関係各課との調整等を行う。一般企業への就労に向けては、関係機関と連携が必要である。 ・「はあとの木」(平成19年度〜)…区内の事業所等が連携し、商品の販売や普及・啓発活動を行うことで、利用者の工賃アップを図る。運営委員会による主体的な運営を目指している。また、コンサルタントによる勉強会や個別の施設訪問などを行い、製品開発のスキルアップや、販売体制の見直しを行なっている。 ・豊島区障害者就労施設等からの物品等の調達方針の策定…平成25年4月より施行された「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)」に基づき、毎年調達方針の策定、公表を行っている。27年度の実績は48,935,068円で、増加傾向である。 【参考】 ・「仕事・作業等をしており、今後も続けたい」は全体で49.3%。障害区分別では知的障害で68.8%、視覚障害で56.3%。 ・精神では「今、仕事・作業等をしていないが、今後仕事をしたい」が25.5%と多く、施策要望でも「就労の支援や職業訓練の充実」は32.3%で第3位。 備考:「就労定着支援」の新設。「障害者雇用促進法」改正施行(H28.4 差別禁止、合理的配慮規定施行。さらにH30.4からは精神も法定雇用算定対象に。) 3 アクセシビリティの推進 日常生活に支障をきたす3つのバリア(まち・情報・こころ)を解消し、円滑にサービスを利用できるよう、アクセシビリティの推進に取組みます。 【主な事業】 ○池袋駅および駅周辺整備検討 ○障害者福祉広報 ○視覚障害者外出支援事業 ○手話通訳者派遣事業・要約筆記者派遣事業 ○手話講習会 ○ときめき想造展(障害者美術展)○スポーツのつどい ○障害者スポーツ普及のための講演会開催 【現状と課題】 ・障害者福祉広報…視覚障害者の情報格差の解消のために、「点字版」・「音声コード」(平成23年度〜)を導入。また、区ホームページへの掲載(平成25年度〜)により、利便性の向上を図った。27年度は当事者の意見を取り入れ、音声版の発行をカセットテープからデイジー版へ変更したことで、より多くの情報量を提供できた。また、知的障害者向けに「分かりやすい版」を発行したが、内容や表現について、当事者の意見を聞きながら改良していく必要がある。 ・視覚障害者外出支援事業(平成23年度〜)…区施設への音声による道案内を作成することで、視覚障害者が外出する環境を整備し、生活環境の向上を図ることを目的に実施。28年度末現在146ルート作成。 ・手話通訳者派遣・手話講習会事業(昭和51年度〜)…手話通訳者の派遣回数は増加している。講習会参加者は一時減少気味であったが、平成23年度以降は増加傾向にある。 ・障害者文化活動推進事業(平成19年度〜)…「ときめき想造展」を始めとしたさまざまなイベントを通して、区民が障害者のアートに触れる機会を増やすことで、こころのバリアフリーの推進、障害者の社会参加の促進につながっている。また、平成28年度は障害者アート教室の回数を10回に増やして開催したことで、障害者の創作活動の機会をより多く提供することができた。 ・スポーツのつどい…障害者の方が屋外で体を動かすことを通じて、健康の増進と精神のリフレッシュを図ることを目的に昭和48年度から開催している。区内の小・中学校の児童・生徒がボランティアとして参加し、障害者と生徒・児童との交流が図られている。 ・障害者スポーツ地域振興事業…障害者スポーツの周知啓発と障害者が身近な地域でスポーツを楽しむ機会を提供する目的で、パラリンピアンによる講演会及びヨガ教室を開催した。2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向け、今後も体験イベント等により広く周知を図っていく。 【参考】 ・まちのバリアフリーに《満足》は40.3%、《不満》は45.6%。《不満》がやや上回る。 ・外出時に危険を感じたことでは「自転車の通行」が最も多くあげられている。 ・「手話通訳者派遣」は「今後利用したい」と「今後利用を増やしたい」がともに9%。「要約筆記者派遣」は、「今後利用したい」が15%。 ・「運動やスポーツに興味があり、すでに行っている」は27.7%、「運動やスポーツに興味があるが、行っていない」が44.5%。 備考:豊島区が目指す都市像「国際アート・カルチャー都市」(「教育都市としま」「福祉健康増進都市」「劇場都市」) 4 障害者差別の解消 障害を理由とする差別の解消を目指す取組みを行います。また、成年後見制度の普及・啓発に取組み、権利擁護体制の充実を図ります。 【主な事業】 ○福祉サービス権利擁護支援室の運営 ○成年後見制度利用支援 ○障害者通所施設に対する第三者評価受審支援 〇障害者差別解消法の周知・庁内調整・豊島区要領の策定 ○障害者虐待防止対策支援事業 【現状と課題】 ・成年後見制度利用支援…障害者については、区長申立てによる審判請求の利用が進んでいない。 今後、障害福祉サービスの利用契約及び障害者の権利擁護も含めて、後見人制度はますます重要な事業である。平成27年度地域支援協議会で周知用リーフレットを作成したが、今後も広く周知を進めていく必要がある。 ・障害者差別解消法に関する取組み…平成28年度の障害者差別解消法の施行に伴い、庁内検討会の開催、障害者権利擁護協議会の設置(平成28年10月)により体制整備を図った。区職員に対しては、職員対応要領の策定(平成28年5月)、職員対応マニュアルの発行(平成28年11月)、職員研修の実施等庁内で取り組みを行った。また、区民向けに、リーフレットの作成、講演会、映画上映会の開催により、法の周知を図った。今後は、相談事例の分析、当事者ヒアリング等を行い、取組みを検討していく必要がある。 ・障害者虐待防止対策支援事業(平成24年度〜)…地域における関係機関連携、家庭訪問等、医師や弁護士等による専門的助言を得る体制を確保するとともに、地域住民をはじめとする関係機関等に対して、障害者虐待の通報義務等の広報その他の啓発活動を行っている。機関連絡会議を年1回(平成28年度より障害者権利擁護協議会に移行)開催、講演会を年1〜2回実施。 【参考】 ・成年後見制度を「今後利用したい」は身体10%、知的31%、精神16%、難病10%。 ・障害者に対する差別を《感じる》は31.8%、《感じない》は59.6%。 ・地域での障害・疾病に対する理解が《得られている》は44.2%、《得られていない》は48.0%。 ・虐待を受けた経験は、全体では「ある」が16.6%、「ない」が76.1%。精神では「ある」が40.1%と多い。 ・虐待についての相談先は家族・友人中心。 備考:障害者差別解消法施行(平成28年4月) 5 地域サポート体制の強化 障害者が地域で安心して暮らせるよう、関係機関との連携強化や地域生活支援拠点の整備を図り、地域のサポート体制を強化します。 【主な事業】 ○コミュニティソーシャルワーカーの配置 ○災害時要援護者名簿の活用 ○障害者サポート講座 ○ヘルプカード・ヘルプマークの普及・啓発 ○地域支援協議会の運営 ○地域生活支援拠点整備の推進 ○地域活動支援センター(T型・U型・V型) ○障害者グループホームの整備・運営の助成 【現状と課題】 ・障害者サポート講座(平成23年度〜)…アンケートではとても分かりやすいという評価を得ているが、参加者が固定されがちである。28年度で全ての区民ひろばでの開催が終了し、今後対象や内容など再検討していく。 ・ヘルプカード・ヘルプマークの普及・啓発(平成25年度〜)…障害者が困ったときに助けを求める有効なツールとして活用されている。ヘルプマークについては、東京都だけでなく全国区での活用が検討されており、今後もポスターやリーフレットなどで、広く周知していく。 ・地域支援協議会の運営(平成19年度〜)…障害福祉に関するネットワークの構築、地域の社会資源の開発、改善等に関する協議を行う。「障害者防災の手引き」、「お出かけガイド」(24年度)、「計画相談周知パンフレット」(26年度)、「成年後見制度周知パンフレット・チラシ」(27年度)作成。 ・地域生活支援拠点整備の推進…平成31年4月開設に向け、重度の心身障害者向けの拠点(グループホーム、短期入所、指定特定相談支援事業等を含む)の整備を進めている。 ・地域活動支援センター(T型・U型・V型)…28年度末現在、区内の地域活動支援センターは、相談支援や、医療・福祉及び地域との連携強化のための調整、地域住民ボランティア育成や障害に対する理解促進を図るための普及啓発等の事業を実施するT型が1か所、在宅障害者に対し、社会適応訓練、入浴等のサービスを実施するU型が2か所、在宅障害者の社会的自立を目的に作業及び日常生活の訓練・指導を実施しているV型が9か所である。地域活動支援センターの活動内容について、今後、地域福祉の中心となるようなあり方を検討していく必要がある。 ・障害者グループホームの整備・運営の助成…グループホームを新規開設する際の整備費について補助を行っている。グループホーム利用者は増加傾向である。 【参考】 ・地域での障害・疾病に対する理解が《得られている》は44.2%、《得られていない》は48.0%。 <行政に対する要望上位3項目> 身体:「手当の充実」「医療費の軽減」「バリアフリー化」 知的:「防犯・防災対策」「グループホーム等の整備」「障害者理解」 精神:「障害者理解」「手当の充実」「就労支援」 難病:「手当の充実」「医療費の軽減」、「バリアフリー化」 (一般調査結果)住民同士の支え合いや助け合いは《必要だと思う》が約8割。 備考:「地域共生社会」の実現に向けた取り組みの推進(国指針)