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多世代の出会い場づくりと、ずっと住み続けたいまちづくり | 株式会社ReDo代表取締役 藤岡聡子さん

椎名町といえば、池袋駅から一駅、古くからの商店街がある住宅地です。のんびりとした雰囲気のこのまちで、何やら近頃、楽しい動きがあるようです。その中心となっている場所が、元とんかつ屋さんを改装した「シーナと一平」。椎名町から「シーナ」を、とんかつ屋さんの屋号から「一平」をとったユニークな店名のこの場所は、カフェを併設した和風旅館。今日もここで近所の子どもたちが集まり、新年のかるたとり大会が行われました。楽しいイベントのあとに、主催の藤岡聡子さんにお話を伺いました。

新しい年を迎えたばかりのある週末、商店街に子どもたちの笑い声が響きわたる。

「かるたをしながら豊島を知ろう」をテーマに開催された「新春かるたとり大会」。インフルエンザの流行で、予定していた子どもの参加人数が減ってしまったそうですが、おかげで子どもだけでなく大人たちも参加することができ、世代を超えた真剣勝負に。今回使用されたかるたは『豊島区郷土かるた』で、豊島区の歴史を学んだり、“へーそうだったんだ!”というような豆知識を得たりと、遊びながら豊島区について知ることができるもの。参加者だけでなく、カフェのスタッフやまわりの大人たちにとってもためになる有意義なひとときになりました。さて、そのかるたの読み手は78歳になる宇田川富子さん。『元気!ながさきの会』という、65歳以上のメンバーで構成されているグループに所属し、地域をベースに17年も前からさまざまな活動を行っているそうです。ちいさなお子さんとは70歳以上の歳の差!こんな風に普段は交わることのないようなご近所さん同士が、世代を超えて交流できる場を主催しているのが、「しいなまちtasukiプロジェクト」を行っている、ReDo(リドゥ)の藤岡聡子さんです。

 

きっかけは出産で知らない土地にきたこと。ここに住むなら自分のまちにしたかった。

藤岡さんが主催する「しいなまちtasukiプロジェクト」は、椎名町を「学ぶ」 「つなぐ」 「残す」の3つの分野から生まれる出来事を企画し開催するもの。今回のかるた大会は「学ぶ」のなかの、定期的に開催されている「町と人の歴史を学ぶ・しいなまちの茶話会」のひとつで、6回目になるそうです。藤岡さんがこの活動を始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

ー「以前は大阪で介護ベンチャーを立ち上げ、住宅型の有料老人ホームの運営をしていました。日常に潜む様々な壁をとっぱらいたいという想いがあって、障がい者がいたり、子どもがいたり、お年寄りがいたり、それが当たり前のような日常が理想で。やりたいことを手がけ、とても充実した日々だったのですが、そんなときに子どもを授かったんです。そこで、夫のいる東京に来ることを決めました。それまで築いたいろんなものを手放してくるのはとても寂しかったのですが、でも子どもも巻き込んで何か新しいことに挑戦しようと、前向きに考えることに。それまでの経験を活かしつつも、無理しないでできることをやろうと決めました。そしてせっかくご縁があって近くに住むことになった、このまちを好きになりたいという想いと、自分が親になったこともあり、子育て世代が多世代から学べるような場所をつくろうと決めました」

100%できていたことが10%に。その代わり、関わる人を10倍に。

ベンチャーで老人ホームを立ち上げるほど、独身時代は寝る間も惜しむほど精力的に活動していた藤岡さんですが、子育てしながら同じように動くことはできません。最初に掲げた「無理をしないでできることを」というルールで活動開始をしたとはいえ、新しい場所で新しいことを始めるのは時間も労力もかかるはずです。子育てと仕事はどのようにバランスをとっているのでしょうか。

ー「子どもがいると、思ったよりも自分のためだけの時間はなくなるんです。これまで100%自分の時間だったのが、10%くらいに(笑)。でも10%の人が10人いたら100%のことができると思ったんですよね。単純に仲間を増やせばいいかなと。実は大阪に行く前に、1年だけ東京に住んでいたことがあるんですが、その時は仕事と家の往復だけで、近所との付き合いもないですし、東京はこんなにも人がいるのに他人との距離感が遠いところなんだという印象でした。大阪の近すぎるくらいの距離感(笑)とは正反対。でも引っ越してきて子育てしていると、実はそうでもないんですよね。自分から関わるかどうか。特にこの椎名町近辺はご近所との距離感が近くて心地よさを感じます。今日のイベントの会場であるこの『シーナと一平』という場所にも、近所の人が集まったり、また、遠く海外からの宿泊客がいたりと、普通に過ごしていたら接点のないようないろんな人がいます。参加してくださった方をはじめ、ここで知り合った人や、子育て仲間、そして知り合いのまた知り合いなど、本当にたくさんの方に協力いただいて活動ができています」

読み手:宇田川富子さん

株式会社ReDo 藤岡聡子さん

この場所で、こんなふうに歳を重ねていきたい。椎名町には人生の先輩がたくさん。

今回のかるたの読み手の宇田川さんをはじめに、藤岡さんの活動において高齢者は欠かせない存在。それはもともと老人ホームの仕事をしていたことにも繋がってはいるのですが、それだけではないようです。藤岡さんにとって高齢者とはどんな存在なのでしょうか。

ー「“高齢者”とか“老人”とかいう言葉、実はあまり好きではなく、でも他に言いようがないのでしょうがないなとは思っているのですが、私的には“人より長く生きている人”“人生のベテラン”というイメージなんです。ほどんどの人が年をとるのは嫌だなと感じているのではないでしょうか。でもそれは、年をとるということがどういうことが分からず不安もあるからだと思うんです。年をとるってこんなに楽しい!ということを知れば世界は広がりますし、今も楽しくなるはず。そして、理想は年を重ねてもずっと社会とつながり、そして社会的にも役割を持ち続けられること。そんな先輩方がたくさんいるまちって魅力的だと思いませんか?ここに住み続けたら私もこんな風に年を重ねていけるんだ!とイメージもできると思うんです。そのためには、世代を超えていろんな人と関わることが大切。私の今やっている活動で、高齢の方に楽しんでもらいながら、子育て世代やもっと若い人たちが交流を通して未来への希望を抱いてもらえたたらいいなと思っています」

…さて、気になる今日のかるたとり大会の結果。1回戦、2回戦の勝者2名ずつ、合計4名で優勝決定戦に望み、見事勝ち上ったのは、りんこちゃん(5歳)でした!「ようちえんで、もじをよめるようになりました。きんちょうしたけれど、たのしかったです。またやりたいです」との優勝スピーチの後、かわいいチャンピオンに商品が贈られ、会はお開きになりました。ほっと和む週末の午前の集い。今後も毎月開催する「まちと人の歴史を学ぶ・しいなまちの茶話会」を始め、子育て世代とシニア世代のための情報を載せた「しいなまちの新聞」の発行、さらには地域の見守り事業を予定しているということなのでホームページをぜひチェックしてみてください。

取材・文:田口みきこ
写真:西野正将

しいなまちtasukiプロジェクト

株式会社ReDoホームページ内 活動のお知らせページ
http://redo-update.tumblr.com/(新しいウィンドウで開きます)

株式会社ReDo

http://redo.co.jp//(新しいウィンドウで開きます)

シーナと一平(ミシンカフェと旅館・椎名町)

http://sheenaandippei.com/(新しいウィンドウで開きます)

 

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更新日:2021年3月30日