ホーム > 区政情報 > 重点プロジェクト > 「わたしらしく、暮らせるまち。」から「SDGs未来都市」へ > としまなひとびと - としまscope > 外国人が暮らしやすい豊島区を、 もっと豊かにしていきたい|サラドゥ クマル ゴウチャンさん
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空手がきっかけで日本に興味を持ったゴウチャンさんがネパールから来日したのは17歳の頃。それから約30年以上。豊島区で学び、暮らし、第二の故郷となったこのまちへの思い、これからの夢についてお話を伺いました。
ネパールの首都カトマンズの西方、山岳地帯の少数民族タカリ族出身というゴウチャンさんが空手に出会い、学ぶために若干17歳で来日。豊島区と関わることになったきっかけはなんだったのでしょうか。
-「空手の道場の本部が豊島区にあったんです。日本語ができないままで来日したので、日本語学校にも通っていたのですが、その学校も豊島区にありました。
今では池袋駅周辺には、たくさんの語学学校がありますが当時はまだ、1〜2校くらいしかなかったように思います。中国やフィリピンの学生が多かったですね。ネパール人は私しかいませんでした。
よく、どんな苦労をしてきたかと聞かれることも多いのですが、振り返ってみてもほとんどないんですよね。住む場所を借りるときも、皆さんに親切にしていただいて。ただ、ひとつ最初の目的だった空手がネパールで学んでいたものと異なり、日本で続けるのを断念したくらいです(笑)。でもそのきっかけとなった空手がなければ日本には来ていなかったと思いますし、豊島区で暮らすこともなかったと思います。人々の優しさに触れ、日本の良さを知り、次第に日本で働きたいと思うようになっていきました」
日本の企業で働きながら、来日するネパール人のサポートをしたり、ネパールのことを広めるなど様々な活動を行なっているゴウチャンさん。豊島区には現在、3,000人以上のネパール人が暮らしていますが、在住人口は中国、ベトナムに次いで、第3位の人数です。この30年で随分と状況が変わったと言います。
-「私が初めて日本にきた頃は、ほとんどネパール人はいませんでした。日本がバブルの時、1991〜92年くらいでしょうか、ネパールからも出稼ぎに来る人が増えました。そこで、仕事の問題、暮らしの問題など、いろいろな問題が起こるようになりました。
私が日本であまり苦労しないで暮らせたのは、言葉を学んで周りの人と意思疎通ができたから。お互いに不安が無くなりますから。ですから、その言葉の壁を助けてあげたり、暮らす人同士で助け合える場をつくる目的でネパール人協会をつくりました。
また、多民族国家のネパールの魅力を日本の方にも知ってもらうことで、理解を得てもらうという活動も同時にはじめました。91年にスタートして、今でも継続しています。
ほかに、個人的な活動として、区役所で通訳や翻訳のボランティアをしています。ここ5年くらいで、日本に来るネパール人はさらに増えた印象があり、豊島区にもたくさんのネパール人が留学などで来日します。言葉だけでなく、文化や習慣が違う国で暮らすのは不安もたくさんありますから、自分の経験を共有できたらと思っています」
豊島区には外国人のための窓口で、各国の通訳ボランティアがいます。また、各種ご案内は英語や中国語だけでなく、多言語で用意されています。ゴウチャンさんもそのボランティアに携わるなどと、精力的にネパールと日本をつなぐ活動を行っていますが、これから先、どんなビジョンを描いているのでしょうか?
―「通訳のボランティアを始めたきっかけは、長い間暮らして第二の故郷のようになっている豊島区に、恩返しをしたいなと思ったことです。なんらかの形で関わりたいと区役所に相談に行きました。
昨年は外国籍区民や学識経験者、地域活動団体の方々と共に、「豊島区多文化共生推進基本方針策定検討委員会」の委員として、どうしたら外国人が暮らしやすいまちになるかなどについて話し合い、その報告書を区長に提出しました。豊島区はその意見をもとに現状を改善するなど、すぐに対応してくれたのはさすがだと思いました。例えば、来日まもない留学生のための動画を7言語で作ってYouTubeで流している区は他にはないんですよ。豊島区は本当に様々な国の方に開かれた区だと思います。
30年以上暮らして、すでにネパールで過ごした時間の倍になりました。挨拶するときに頭を下げたり、日本語での夢を見たりすると、私は何人?とアイデンティティーについて考えたりすることもあるのですが、同じく日本で育つ外国人の子どもたちのために今後は『教育』にも携わっていきたいと考えています」
写真提供:サラドゥ クマル ゴウチャンさん
文:田口みきこ
写真:西野正将
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