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【特別連載】動き出すまちの、いまとこれから|vol.1 株式会社nest /あうるすぽっと

pastandfuture01_1暮らす人、働く人、遊びに来る人で賑わい、毎日活気にあふれていたこのまちが、元どおりになるにはまだまだ時間がかかりそうです。
そんな中、まちの企業や事業者は”いま”どのような取り組みを行い、そして”これから”どのように変わっていくのでしょうか。
第1回は「株式会社nest」と「あうるすぽっと」にインタビュー。リアルな場が必須だったマルシェや劇場で行われている新たな取り組み、感じている想いについてお聞きしました。

 

 

 

 「株式会社nest(新しいウィンドウで開きます)」は、南池袋公園やグリーン大通りを活用した「nest marche」、「IKEBUKURO LIVING LOOP」といったイベントを定期的に開催している豊島区の企業です。 “nest”という言葉には巣という意味があります。その名の通り、豊島区池袋を自分たちの居場所として、自分たちの手で、ずっと住み続けたくなるまちを作り上げることを目標に、ストリートや公園を楽しむ様々な企画や社会実験を行っています。
リアルな場を運営してきた株式会社nestの、いまとこれからについて、お話をしてくれたのは取締役である宮田サラさん。  

 

pastandfuture01_2―「新型コロナウイルスの流行により、通常通りのマルシェ開催ができなくなりました。そこで今取り組んでいるのが”IKEBUKURO LIVING LOOP online(新しいウィンドウで開きます)”です。 オンラインマルシェとトークライブの2つを軸に、オンラインマルシェではこれまで通り新たなお店や商品との出会いを発見してもらえるよう、トークライブでは出店者さんや商品の魅力を知り、より深めてもらえるよう、それぞれ工夫しています」

 

 

 

 

 

  

 


オンラインで偶然の出会いを生み出す

 「IKEBUKURO LIVING LOOP online」を運営するにあたって大切にしているのは、オンラインでは難しい”偶然”を作ることだと宮田さんは言います。

―「マルシェではお客さんはお目当の商品を買うだけでなく、並んでいる店舗を見て回りますよね。そこで生まれる新しい商品やお店、人との出会いがリアルな場の魅力でした。インターネットでは決まった商品しか検索されず、新しい出会いに繋がりづらいというデメリットがあります。 今の目標はオンラインでも偶然の出会いを生み出すことですね」

 

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これまでのイベントの様子。
グリーン大通りや南池袋公園を拠点に、
たくさんの人の笑顔や出会いを生み出してきました

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IKEBUKURO LIVING LOOP onlineのトップページ

   

 ―「”オンラインマルシェ”は、横スクロールでお店をチェックする仕組みです。リアルなマルシェ同様、目当のお店を見つけるまでに複数のお店の前を通ることになるので、ここで偶然の出会いが生まれたらいいなと! トークライブでは出店者をゲストに招いた”SHOP TALK”やテイクアウトできるお店を紹介する”TO GO IKEBUKURO”など多数のコンテンツを一挙に配信しています。長い映像ですが途中から見ても楽しめますし、複数のお店を紹介し掘り下げることで、知らなかったお店だけでなく好きなお店のディープな情報との出会いの場になっています。 配信中にはチャット機能で視聴者同士がやりとりする様子もありました。実際に会えなくても、ここが出会いのきっかけになっていることが嬉しいですね」

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オンラインマルシェには47店舗もの出店が。
クリックすると各店舗のオンラインストアに繋がります

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トークライブでは様々なコンテンツを一挙に配信。
計6時間の長丁場ながら、どこから見ても楽しめるつくり

 地元を楽しむ機会作りへ

あうるすぽっと(新しいウィンドウで開きます)」は東京メトロ有楽町線東池袋駅に直結するライズアリーナビル内にある劇場です。 これまでに、親しみやすい舞台公演から、実験的な作品や国際共同制作まで、たくさんの公演事業を開催してきました。 また、区民が気軽に参加できるワークショップを実施するなど、芸術文化を地域に広めています。 正式名称は豊島区立舞台芸術交流センター。芸術文化を通して多様な人々が集い交流する「みんなの劇場」を目指しています。
そんな「あうるすぽっと」のいまとこれからについて、制作の師岡斐子(もろおかあやこ)さんにお話を伺いました。

 

pastandfuture01_8―「4月から6月まで休館という、前代未聞の事態の中で今取り組んでいるのが”おうちで見よう あうるすぽっと2020夏(新しいウィンドウで開きます)”という企画です。 毎年恒例のファミリー向け企画をオンラインで楽しんでいただくという趣旨ですが、単純に『公演の様子を収録しました』というものにはしたくはありませんでした。 なので特設サイトで子どもたちのオリジナルのイラストやお話を募集し、一緒に作品を作っていくことにしたんです。 応募作品を使った映像はYouTubeの”あうるすぽっとチャンネル(新しいウィンドウで開きます)“にて配信されます。何度見ても楽しめる、子どもたちにとってお気に入りの絵本のような映像になったと思います」


オンラインを利用することで、劇場との新たな繋がり方を作る

 今、師岡さんが目指すのは、新しい形の劇場との繋がり方を作ること。

―「実は最初はオンライン企画に対して抵抗がありました。それは劇場として、直接あうるすぽっとに来てもらうということを大事にしてきたからです。 だけど企画を進める内に、配信は劇場での体験を”デリバリーすること”だと気付いたんです。 以前障害を持つ方とお話しした時に『私たちには観劇をするという選択肢がない』という声を聞きました。その言葉にすごく衝撃を受けて、向き合いたい気持ちを持っていた中で、今回の気付きはとても大事なことだったと思います。 今までにも劇場に行きたいけれどかなわない、という人はいたはず。オンラインでの取り組みが、家にいながら舞台を体験し、劇場と繋がるきっかけになったらいいなと思います」

 

 

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去年の夏の企画のようす。
子どもたちが折り紙で作ったちょうちんで、
劇場前のホワイエを飾りつける体験型の企画でした 

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オンラインであっても体験を大切に。
特設サイトでは子どもたちの作品の募集が行われました。
※現在募集は終了しています 

 

またオンライン企画では新たな出会いもあったそうです。

―「今回”おばけのパレード~真夏のにぎやかな百鬼夜行~”というアニメーションで、豊島区の様々なスポットの写真を使用することになり、たくさんの施設やお店に協力をお願いしたんです。はじめてやり取りをする場所もありましたが、多くの方々が快諾してくれて、さらにあたたかい応援の言葉をくださる方もいたり…とても嬉しく思いました。これも街の人と劇場との、新しい繋がり方ですよね」

 

 

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「おばけのパレード~真夏のにぎやかな百鬼夜行~」は、
子どもたちが応募したおばけが豊島区内を巡る内容です

 

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「おはなしの絵空箱」では子どもたちが考えたオリジナルのおはなしを、
読み聞かせ×ヴァイオリン×ダンス×アニメーションという、
様々な表現方法を取り入れて映像化します

 

芸術文化を生活文化に

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―「今回の新型コロナウイルスの流行は、世界中の劇場や劇団に多大な影響を与えています。 でも家にいる時間が増えたことで、芸術への興味が高まった方も多いと思いますし、なかなか外に出られないからこそ『どこか行きたい』『何かしたい』という空想を叶えてくれる芸術の大切さに気づいた方もきっといますよね。 私はこれを機に芸術文化が生活の一部として根付くかもしれない、という期待を持っています。
これからの目標は、一劇場として、今芽生えつつある『芸術文化を生活文化に』という芽をていねいに育てていくことです」

 

 

 

 

文:来馬涼子

 

 

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更新日:2021年3月30日