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【特別連載】動き出すまちの、いまとこれから|vol.3 自由学園明日館

pastandfuture03_1暮らす人、働く人、遊びに来る人で賑わい、毎日活気にあふれていたこのまちが、元どおりになるにはまだまだ時間がかかりそうです。
そんな中、この街の企業や事業者は“いま”どのような取り組みを行い、そして“これから”どのように変わっていくのでしょうか。

第3回は「自由学園明日館」にインタビュー。コロナ禍の中で行われた取り組みと、これからに向けての想いについてお聞きしました。

 

 

 

 

 

大正時代に近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトとその弟子の遠藤新によって設計された「自由学園明日館(新しいウィンドウで開きます)」。
元々は女学校として建設され、今では国の重要文化財として保存されている歴史深い場所で、見学だけでなく公開講座も主催し、今でも充実した学びの時間を訪れた人に与えています。 また、一般に貸し出しも行っており、コンサートやセミナー、ワークショップなど様々な活動に利用されています。
結婚式や様々な地域イベントの開催も行われ、多くの人に愛されている明日館のいまとこれからについて、副館長の福田さんにお話をお伺いしました。
 

pastandfuture03_2―「社会的に自粛やリモートワークが増えていく中で“人と人との出会いの大切さ”に気がつきました。 明日館にはお一人で来館される方もいらっしゃいますが、たとえ一人でも、誰かと話さなくても、そこには“人のいる空間、人の存在を感じる空間に行きたい”という思いがあるのかなと感じています。 これまで通り気軽に立ち寄れる重要文化財として、安心安全な場作りを行うことで、来館される方々の思いに寄り添っていきたいですね」


「人がいる空間に行きたい」気持ちに答える場所作り

-「明日館は“動態保存”、つまり生きた施設として人々に気軽に使っていただくということにこだわっている施設ですから毎日のように何かしらの催しが予定されていたんです。 それが新型コロナウィルスの流行に伴い、中止、延期になりました、数で言えば900件くらいでしょうか。キャンセル料はいただかなかったです。 キャンセル料が発生すると、悩んでしまう主催者の方も多いと思ったので、それならキャンセル料は取らずに感染拡大防止に努めようと思いました。ご年配のお客様も多いですから」

 

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自由学園明日館の外観

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明日館のホール

 

自粛要請が出される前は、学校や塾が休みになってしまった子どもたちの自習スペースとして施設の開放も行なったそうです。

-「学校や塾が休みになり、図書館などの施設も休館になる中、家では集中できない子どもたちもいるということで、なにか役に立てないかと自習スペースとして施設を開放しました。 期間中5~6人の子どもたちにしか利用してもらえなかったのですが、その中には編入試験を控えている子もいたので、そういう子の役に立てたのならよかったです!」

営業を再開してからは徹底的な対策を行なっているという福田さん。

-「最初は1日4回、講堂も含めた全館をアルコールで消毒していました。しかし古い家具などアルコール消毒が向いていないものも多く、そういったものはアルコールで除菌すると白っぽくなってしまうんですね。 安全は大事、だけど重要文化財として保存も大事、ということで適した方法を探りました。今では次亜塩素酸水による除菌を中心に、アルコール、界面活性剤を使い分けています。 窓が開く設計になっているところが多いので、換気はしっかりできていますよ。 100%安全だとは言い切れませんが、人と人とが出会う場所を守るため、人がいる空間で息抜きをしたいという思いに応えるためにも、自分たちでできる対策はしっかりやっていきます」

 

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入館時にはアルコール消毒と体温測定が必須です

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換気のため開けられた窓。
おしゃれだけど、実はちゃんと開くんですね

生きた重要文化財として、後世に残していきたい

 

pastandfuture03_7―「今までも取り組んでいたことではありますが、これからもっともっと横の繋がりを作って、相互に相談しあえる関係を作っていきたいですね。 行政から地域で活動している小さな団体まで、幅広く繋がって、そこで活発に情報交換を行うことで、お客さんに還元できることも増えていくと思うんです。
それと、重要文化財に指定された場所というのは、唯一無二の存在だからこそ指定されているわけで、運営にしろ使い方にしろ、対応は千差万別でガイドラインは作りようがないんですね。 だから自分たちで考えていくことが必要で、私たちはこの施設を“生きた施設”として保存していきたい。文化財を守り、同時に親しみを持ってたくさんの人に使ってもらう、そうすることで後世に残していきたいんです。
コーヒーを飲みに来た方に、“雰囲気がいいから来ていたけど、ここって重要文化財なんだ!”なんて言ってもらえるようになったらおもしろいなと思っています」


 

 

 

文:来馬涼子

 

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更新日:2021年3月30日