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としま会議[2018 JAN] Vol.30|ゲストスピーカーのお話を聞いてきました

1月31日(水曜日)19時30分〜22時30分、パーティスペース《Grafica by hacocoro》にて、としま会議[2018 JAN] vol.30が開かれました。この日のゲストスピーカーは、カフェ、企業、保育施設、行政、公共空間を手掛ける5人の女性。そのスピーチの内容と、30回という節目の回を迎えた当日の様子をレポートします。《としま会議:豊島区の新しいプレーヤーが集まるトークライブ&パーティー》

生まれ育ったまちに、人が集える場所を。

藤香想 本橋 香里さん(藤香想 店主)

豊島区要町の住宅街に、路地から石畳の小道を進んでいくと現れる、カフェ藤香想。都心にいることを忘れるほどの緑豊かな異空間に、ひっそりとたたずんでいます。藤香想は、古民家を再生したカフェで、大きな窓からは庭が見渡せます。—「お店の窓はまるでキャンバス。毎日描き変わる景色を感じています」と語る店主の本橋香里さん。自由と共生とを実現させるために、「集う場所」としてのカフェをつくりました。

要町で生まれ、4世代が同居する家庭で育った本橋さんは、—「家の縁側で将棋をさしたり、盆栽をいじったり。日々いろいろな人が出入りし、大人たちが楽しそうに会話を交わしている光景が当たり前だった」と振り返ります。不自由でありながらも大勢で生活を共にした昔と比べて、孤独を感じる今の都会の暮らし方。ならば、近所の人がお茶を飲みに来て、気軽に会話が交わせる場所をここに取り戻そうと考えました。

藤香想ではさまざまな催しが定期的に開かれています。ジャンルを超えた音楽が楽しめる『音ノ橋ミニコンサート』は、演奏家たちが藤香想で出会い、共演を実現させました。また、『カフェのオープン作業体験~君も藤香想の一員だ!~』は、お店のオープン前の作業を体験できる企画。『わわわの話〜哲学カフェ〜』は、日常の小さな疑問や出来事をテーマに対話する場として親しまれています。本橋さんは、藤香想のスタッフにも自分が何を表現したいかを考えて行動して欲しいと伝え、関係性を大切にしながら、地域とのつながりを育んでいます。

本橋さんの活動はカフェの外へも広がっています。お店で使用する食材の生産者と、それを食べるお客さんとの顔の見えるつながりを生むため、『藤香想ファーム』と名付けた取り組みを進めてきました。お米、野菜、食肉などの生産者や、醤油蔵などを訪問し、2018年からは生産者の田んぼを借りて、お米作りも新たにスタートさせます。参加者を募り、生産者と消費者が互いを知る機会をつくっています。

藤香想からほど近い豊島区長崎にある、国指定重要有形民族文化財の富士塚(江戸時代に富士山信仰のために富士山を模して造られた塚)の保存活動にも携わる本橋さん。7月に行われる山開きでお菓子を食べながらくつろいでもらえるよう、出店の企画も検討中です。—「“食”についてさらに研究をしたい。ご飯を作るお手伝いをしてくれる方を募っています」と話す本橋さん。美味しいものを囲んで集う藤香想の輪は、まだまだ広がりそうです。

西武グループのリソースを活用して、新しい未来をつくる

西武ラボ 廣瀬 奈緒子さん(株式会社西武ホールディングス 経営企画本部)

池袋駅を利用しているならお馴染みの《西武グループ》(新しいウィンドウで開きます)。その事業展開は多岐にわたり、西武鉄道、プリンスホテル、埼玉西武ライオンズなどで知られ、横浜アリーナや八景島シーパラダイスなどの施設や、不動産、建設事業も手がけています。—「生活に関わるほとんどの分野で事業を展開しているところに注目してもらいたい」と話すのは、《西武ラボ》に勤める廣瀬奈緒子さん。西武ラボとは、西武グループのさまざまな事業をつなぎ、新規事業分野の創出を目的として、昨年春、経営企画本部の中に新設されたばかりの部署です。

廣瀬さんは西武ラボに配属される前、西武グループのホテルで4年間、ベルとフロントの業務に携わっていました。学生時代は途上国の開発について学びながら、産業が未発展の国でも観光産業への可能性があることを感じ、観光業界に携わりたいという思いで西武グループに入社しました。そんな廣瀬さんにとって、西武ラボでの仕事は全てが新鮮で、在籍して約11ヶ月間、さまざまな活動をしている人や企業と出会い、ネットワークが広がる面白さを感じているところです。

オープンイノベーション、すなわち、外部組織との連携を図りながら、「西武グループにない事業の創出」が使命の西武ラボ。その施策の1つ、『池袋活性化プロジェクト』では、一般の参加者を募り、池袋のまち散策や、さまざまなグループワークをする企画を開催しました。既存の分野を超えたさまざまな面白いアイデアが創り出されたイベントとなり、廣瀬さんは、それらのアイデアを新しい事業に結びつけられるよう、思索を重ねています。

西武ラボは現在9名で活動をしており、廣瀬さんはその中でも一番の若手です。真に求められていることが何かを追求し、コミュニケーションを図るためにさまざまな場に足を運び、自分の言葉で伝えることで、イノベーションに結びつけようと奮闘しています。

—「業界初、日本初と言える新しいことを呼び込みたい。その風穴として西武ラボが動けるようになります」と語る廣瀬さん。2019年春には、本社が所沢から池袋駅南口に移転することが決まっており、現在ビルが建設中です。豊島区で、西武グループの存在がますます大きくなりそうです。

子育てと一緒に変化した、働きかた・暮らしかた・育てかた

RYOZAN PARK PRE SCHOOL 近藤 直美さん(RYOZAN PARK 大塚 コミュニティコーディネーター)

豊島区内で小学校の教員をしていた近藤直美さん。教員として充足感を感じる日々を送り、子どもたちの教育を通してそれまで縁のなかった豊島区のことも好きになりました。しかし一方で、教育の現場にどこか閉鎖的なものを感じ続けていた近藤さんは、教員生活を5年送ったのち、コミュニティ・スクールに赴任のインターンとしてアメリカオレゴン州に渡ります。

赴任先の学校は、人種や宗教はさまざまで、貧困層も裕福な家庭の子どもも一緒に学び、PTAの機能は日本と大きく異なるなど、たくさんの刺激を受けました。帰国後も、教員をしながら立教大学大学院で子どものリーダーシップについて学び、教育への知見を広げていきます。時を同じくして、高校時代の友人の紹介でシェアハウスに入居した近藤さん。グローバルな雰囲気の中、住人と行動を共にし、知識やスキルをシェアすることで、新しいアイデアや仕事が生まれることを経験します。こうした環境の中で、学校の枠組みに縛られない教育のあり方を模索するようになっていきます。

シェアハウスでは、パートナーとの出会いもありました。自身の出産や育児が現実的になってきたとき、自分が思い描く教育と、既存の学校教育とのギャップを感じていた近藤さんは、意を決して教員生活に終止符を打ち、これまでの経験を生かした教育の場をつくることに尽力します。そして、第一子を出産し、子育てをしながら働き方を探っていた折に出会ったのが、RYOZAN PARK 大塚のこそだてビレッジでした。ここは、子どもを保育士に預けている間に、保護者は保育スペースの隣にあるシェアオフィスで仕事ができる仕組み。近藤さんは、自身の子育てとスキルをリンクさせながら、こそだてビレッジにコミットしようと保育士の資格を取得し、スタッフとして携わり始めました。

2018年4月、こそだてビレッジは、《RYOZAN PARK PRE SCHOOL》(新しいウィンドウで開きます)として、1日中保育可能な場所に生まれ変わります。アメリカ人の教員を迎え、保育は全て英語で行い、子どもたちの多様性を育むことを目的としています。—「保育園に預けてフルで働くか、専業主婦になるかの選択以外の働き方をサポートしたい」と近藤さん。シェアオフィスとの併設により、より多くの人が「子どもと一緒に仕事をする」ことを実現できる場となっています。

—「いろいろ悩みながらも、とてもいいご縁で“働く”ことを続けている」と、話す近藤さん。第二子の出産も控えている今年、新たに親子イベントの企画ユニットも立ち上げ、いくつもの産声が上がる春となりそうです。

子どもたちが喜ぶ姿を増やすために、いま行政の立場からできること

豊島区子ども課 副島 由理さん(豊島区子ども家庭部子ども課長)

《豊島区子ども家庭部子ども課》の課長、副島由理さん。豊島区に務めて34年、児童館職員や生活保護のケースワーカーを経験するなど、区の職員としてさまざまな立場の人と接してきました。昨年から務めている子ども課への配属は、念願だったという副島さん。日経DUAL『共働き子育てしやすい街ランキング2017』で全国1位となった豊島区ですが、—「子どもを取り巻く環境は、課題が山積みなんです」と話します。

豊島区の公園は面積が狭く、土地の余裕がないため、保育園ができても園庭がつくれない…。また、全小学校区に22施設が整備された学童クラブ《子どもスキップ》ですが、人気があるゆえに子どもたちが施設の中にあふれ、大切な成長期に過ごす場所としては、手狭になっています。こうした現状を何とか打開するための施策として、子どもスキップを教育委員会に移管したことで、施設の改修や改善が積極的に進められるようになりました。

子ども課では、さまざまな取り組みを進めています。その1つ、中高生センタージャンプは、クッキングスタジオ・バンドスタジオ・屋上ホール・プレイルームといった施設を有し、中高生が放課後に過ごせる場所となっています。公立や私立の枠を超えて中高生たちの輪が生まれ、自主的な活動の場となっているジャンプを、副島さんはひときわ愛情を持って運営しています。

他にも、子どもたちが思い思いに活動し、思い切り泥んこになって遊ぶことができる《池袋本町プレーパーク》(新しいウィンドウで開きます)や、公園はもちろん、東武百貨店池袋店の屋上や旧高田小学校跡地など、開催場所を広げている《出張プレーパーク》の活動も展開しています。また、《としま子ども食堂ネットワーク》は、子どもが1人でも安心して過ごせて、地域のコミュニティが生まれる場として、子ども課が事務局を務めながら活動の一助を担っています。

—「子どもの気持ち、子供の目線で事業を進めることを忘れたくない」と話す副島さん。子どもに大切なことは、思い切り“遊ぶ”ことと、みんなで楽しく美味しく“食べる”こと。副島さんが児童館の職員時代に経験した「お腹を抱えて笑う」日常が、1人でも多くの子どもたちが味わえるように——。子ども課の取り組みは今後さらに広がりそうです。

都市を市民のステージに。南池袋からつくる懐かしい未来。

nest 宮田 サラさん(nest Inc. 取締役)

豊島区からの委託で、公共空間の運営マネジメントを行う《nest Inc.》(新しいウィンドウで開きます)。池袋が大きく変化するプロジェクトをnestの仲間たちとけん引する宮田サラさんは、2年前までは大学生でした。在学中に日本全国を巡り、その土地でさまざまな取り組みをする人たちと出会い、実感したのは「地域とは、そこに住み活動している人たちの暮らしの集合体だ」ということでした。

日本全国を巡る中で、としま会議の発起人の青木純氏(後にnest共同代表)と出会います。青木氏の活動を通じて、自分らしい暮らしをつくる人々の姿を目の当たりにした宮田さんは、地域の活動や事業に参画。東池袋に移り住み、コワーキングスペースco-ba ROYAL ANNEXのおかみとして、“住”と“職”の場を地域の人と育てていきました。

そんな折、リニューアルオープンする《南池袋公園》(新しいウィンドウで開きます)を盛り上げて欲しいと青木氏に依頼があり、宮田さんもオープニングイベントを手掛けることに。2016年の春のことです。公園でありながら暗く近寄りにくい雰囲気から、芝生を敷いて開放的な場所へと生まれ変わった南池袋公園。オープニングイベントは、「日常が楽しみになる理想の1日」をつくろうと、マルシェ・音楽演奏・ヨガなどを企画開催。公園での理想の風景を描くことができました。

しかし、その翌々日から芝生の養生期間に入り、芝生に入ろうとする子どもが警備員に止められ、泣いてしまったこともあったそう。そこで宮田さんは、芝生に入れない理由や、芝生の生育には何が必要かなどを南池袋公園のfacebookページで伝え続け、一方的に立ち入りを禁ずるのではなくて、「みんなでこの公園を育てよう」という空気感をつくっていきました。そして、芝生の解放日には、楽しみにしていた多くの人たちが公園に集まることに。「こうした日常の風景をつくりたい」という思いで、宮田さんたちは、nestを立ち上げたのです。

nestは、毎月のマルシェの他にも、アウトドアでのウェディングやシネマを手掛けていますが、イベントはあくまで手段。みんなが使う公園を、ただ禁止事項を掲げて縛るのではなく、行政とのコミュニケーションを図りながら「市民が自立して心地良い場所を育てていく」ことを目指しています。昨年開催した「都市を市民のリビングへ」がコンセプトの《IKEBUKURO LIVING LOOP》(新しいウィンドウで開きます)もその1つ。南池袋公園のすぐ側のグリーン大通りをメイン会場に、さまざまな施策で、実験的に公共の場に変化をもたらす活動をしています。

—「愛着もなくただ通りすぎるだけの場所を、人が集い、笑顔が生まれることが当たり前の場所にしたい」と宮田さん。豊島区池袋を市民のステージに変える活動は、そこで暮らす人々と共に着実に育まれています。

としま会議[2018 JAN]vol.30は、記念回として過去のゲストスピーカーも大勢駆けつけ、会を盛り上げていました。また、としま会議の発起人である青木純さんも壇上で、としま会議が毎月のように開催され、継続していることへの喜びを語りました。会場となったのは、パーティスペースGrafica by hacocoro。参加者は80人を超え、お祝いムードいっぱいの夜となりました。

文:後藤 菜穂
写真提供:としま会議

 

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更新日:2021年3月30日