ホーム > 区政情報 > 重点プロジェクト > 「わたしらしく、暮らせるまち。」から「SDGs未来都市」へ > としま会議 - としまscope > としま会議[2019 MAR]vol.37|ゲストスピーカーのお話を聞いてきました
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3月25日(月曜日)19時00分〜21時30分、西池袋エリアにリニューアルオープンした、NishiikeMart【西池袋マート】にて、としま会議[2019 MAR] vol.37が開かれました。今回登壇した皆さんは、大きな舞台で事業を展開する5人。しかし、一様に語られたのは「地域のつながりを大切にしたい」という思いでした。そのスピーチの内容をご紹介します。《としま会議:豊島区の新しいプレーヤーが集まるトークライブ&パーティー》
今春オープン1周年を迎えた《GLOCAL CAFE IKEBUKURO》(新しいウィンドウで開きます)。サンシャインシティ・アルパ1階の入口に位置する約100坪のカフェスペースは、コミュニケーションの目的に応じて使い分けができる、4つのエリアで構成されています。カフェを経営する坂本達也さん。学生時代は各国を飛び回るバックパッカー、その後、IT系企業など複数の業種を経験し、いずれは海外を舞台に活動することを目指していました。
坂本さんが経営するカフェは、青山と池袋の2店舗。政府観光局外国人観光案内所の認定を受け、池袋店は最も高いカテゴリー3を取得しました。観光案内の専門スタッフではなく、カフェスタッフが案内役を担い、数ある観光案内所の中でも先進的な取り組みとなっています。―「一番小さなローカルは個人。それぞれのローカルが出会い、つながる場にしたい」という思いを「GLOCAL(=GLOBAL×LOCAL)」として、カフェの名前に込めています。
オープン以来、ワークショップやパーティなど様々な企画を催し、「場づくり」を積み重ねてきた坂本さん。―「実は原始時代から存在しているコミュニティ。その本質的な価値を広げたい」といいます。多様な“人”や“活動”を受け入れられる場所として、GLOCALな交流が生まれることを願い、取り組んでいます。
オープン当初は「池袋」というまちのイメージに抵抗も感じたという坂本さん。しかし、地域で沸き起こる企画や交流から、まち人々の気概を感じることができ、今では池袋が大好きになったのだそうです。―「コミュニティカフェのスペースは、使っていただいて初めて価値が出ます。ぜひ企画を持ってきてくださいね」とのこと。地域へも海外へも、GLOCAL CAFEでなら、軽やかな一歩が踏み出せるような気がします。
日中韓の文化交流として開かれる「東アジア文化都市2019豊島」。今年、日本の開催都市として選ばれた豊島区では、「マンガ・アニメ」「舞台芸術」「祭事・芸能」の3部門が展開されます。このうち、舞台芸術部門の事業ディレクターに就任した劇作家の石神夏希さん。雑司ヶ谷鬼子母神堂を中心に行われる「御会式万灯練供養」に現代的な光を当て、伝統行事とまちを演劇で接続させる《Oeshiki Project》を立ち上げました。
雑司ヶ谷御会式が営まれる10月16日〜18日に合わせて、ツアーパフォーマンス「BEAT(仮)」を上演するのが、石神さんの手がけるOeshiki Projectです。ツアーの締めくくりとして御会式に合流し、共に練り歩く体験型プログラムとなっています。鬼子母神堂を有する法明寺と地域の御会式連合会の協力を得て、プロジェクトを支えるのは日中合同のクリエーションチーム。トークイベントやワークショップなどの関連イベントを開き、創作プロセスを公開することで、多様な人を巻き込む企画となっています。
「日常では分かり合えないことがあっても、『同悲』という仏教の教えのように、互いの悲しみに寄り添い、共に歩くことが大切」という法明寺のご住職の言葉に胸打たれた石神さん。―「いつもいつも共に歩くことは難しいかもしれない。それでも、独特の太鼓のリズムを共に響かせながら、その難しさと向き合い、どうやって共に歩くことができるのかを考えていきたい」と、プロジェクトに込めた思いを語ります。
石神さんは子どもの頃から演劇をつくり、これまで、国内外の各地でまちの人がまちを舞台に演ずる演劇を、数多くつくってきました。演劇経験のない人でも、その人にしかできないパフォーマンスがある。それをいかにして引き出すのかを練り、演劇の醍醐味を伝えようとしています。誰もが参加できる、豊島を舞台としたパフォーマンス。見るもよし、参加するもよし、今からワクワクします。
大学で建築を学びながら写真活動を始め、その後、探偵事務所、店舗内装設計施工、映像空間演出と、各企業でスキルを磨きながら駆け抜けるように20代を過ごした佐藤達哉さん。30歳でアートイベント企画の会社を設立し、現在は、昨年立ち上げた《The Chain Museum》(新しいウィンドウで開きます)のプロデューサーとして、独自のミュージアムの創設やアプリの開発などを通じて、アーティストとユーザーをつなぐプラットフォームをつくる活動を展開しています。
佐藤さんが手がけるプロジェクトは実にユニークです。プロ野球開幕戦でスタジアム上空にドローン80台を飛ばして照明と融合させた演出、高さ240メートルのタワーに東京五輪の応援メッセージをアプリからライブで飛ばして映すプロジェクションマッピング。他にも、オーケストラ×テクノロジー×空手、暖簾×テクノロジー、いどばたアートで手掛けた銭湯×アートなど、新たな可能性に気づかせてくれるものばかり。既存の概念ではおよそイメージできない演出が話題となり、メディアにも多く取り上げられています。
これらのプロジェクトは、佐藤さんのプライベートでの活動の一部とのこと。活動を通じて佐藤さんは、―「従来の組織は1つの分野に特化したスターウォーズのようなもの。今は多様なスキルをミックスしたアベンジャーズのようなチーム体制の方が、固定概念にとらわれず、おもしろいことができる」と実感したのだそうです。
豊島区民になって3年半という佐藤さん。―「昔ながらのまち並みが残る池袋は、六本木や銀座のような出来上がったまちと比べて、余白のようなものに可能性を感じる」と、豊島区を舞台にした演出も構想しています。フォトグラファーの一面を持つ佐藤さんの作品はポートフォリオから。ファインダ越しに佐藤さんが見つけた新たな発想、今後のプロジェクトも楽しみです。
料理研究家として各種メディアに出演し、多方面で活躍中のきじまりゅうたさん。「若い世代でもムリのない料理」の提案が評判を呼んでいます。中でも、NHK総合の冠番組《きじまりゅうたの小腹がすきました!》は、きじまさんのアドリブで進行するドラマ仕立ての料理番組として話題となり、2019年4月からは、番組《きじまりゅうたの小腹すいてませんか?》(新しいウィンドウで開きます)がレギュラー放送(毎週土曜日22時45分〜)されることになりました。
しかしそんな境遇も、―「30歳を越えるまで、家業を継いだことをなかなか人に言えなかった」ときじまさんは当時の心境を振り返ります。また、自身のスタイルができ、今でこそ雑誌の池袋特集のオファーに応えるきじまさんも、かつては地元が椎名町だということを言えずにいたのだそうです。それらの気持ちを重ねながら、当たり前すぎて見えなくなっている価値の存在に気づいたといいます。
自宅を訪れるスタッフからは「椎名町、いいね」と言われ、3年前に「シーナと一平」が誕生したことで、海外からの観光客を椎名町でもてなすなど、以前なら考えられなかった機会もできました。―「外の人が来てくれて初めて、内側の人間ってまちの明かりを見つけるものなんですね」と新たな視点を得たきじまさん。椎名町での楽しいエピソードで会場を沸かせました。
大学時代、観光学部で学んだきじまさんには、心に残る講師の言葉があります。『観光』とは、何かを光らせることではなく、もとからある光を見つけて、それを輝かせること――。料理をすることもこれに通じるといいます。スピーチの冒頭で―「皆さん、ここからは休憩時間ですよ!」とアドリブ満載の楽しい話を聞かせてくださったきじまさんの料理の世界、もっと詳しく知りたい方は、《きじまりゅうたのダイドコログ》をチェックしてみてくださいね。
2019年4月21日、要町駅からほど近い一角にグランドオープンした、発泡酒の小規模醸造所《Snark Liquidworks―スナーク リキッドワークス》(新しいウィンドウで開きます)。ビアパブを併設しており、池袋の地で作りたてのクラフトビールが楽しめるお店として、その解禁が待ち望まれてきました。今回のとしま会議の会場ともなったSnark Liquidworks。カウンター越しに見える醸造用タンクが大きな存在感を放っています。
―「ビールという飲み物は、ワインと比べても圧倒的に多様性があるんです。アルコールは0%から20%を越えるものまであり、色も様々で、炭酸の強度にも大きな差がある。こんなにありとあらゆるものがそろう飲み物は他にないでしょう」。藤浦さんはそうした奥深いビールの魅力を多くの人に広めたいと考えています。
本でビールが作られるようになったのは明治時代と歴史は浅く、大手メーカーの数は変遷をたどっても5社ほどのものです。それぞれの味に大差はなく、日本人の多くがビールの多様性を未体験なのだとか。藤浦さんによると、酒税法の規制や定められた最低年間醸造量などによって、醸造所の運営は一筋縄ではいかないのだそうです。こうした背景もあって、日本は個性的なビールが生まれにくい土壌にあるようです。
それらの課題を一つひとつクリアにして実現したSnark Liquidworksの操業。巨大なタンクを設置できる物件は貴重で、探し続けていた藤浦さんにとってNishiikeMart【西池袋マート】との出合いはまたとないものでした。―「近所の人に来てもらえたらうれしい」という藤浦さんのスピーチは、つかの間のビールセミナーのようで、クラフトビールを片手に聞き入る参加者たちをうならせていました。
今回の会場はNishiikeMart【西池袋マート】。築50年近い建物をリノベーションし、ビアパブ(Snark Liquidworks)、アートギャラリー、そしてラジオブースが誕生しました。まちの人をつなぐ拠点として、様々な発信が期待されています。
文/写真:後藤 菜穂
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