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としま会議[2019 SEP]vol.41|ゲストスピーカーのお話を聞いてきました

9月28日(土曜日)10時00分〜13時00分、大塚駅からほど近いBEAM Toshima Bouldering Studioにて、としま会議[2019 SEP] vol.41が開かれました。今回のゲストスピーカーも、既存の形にとらわれず、一歩踏み出しては次のアイデアを生んできた皆さん。多彩な5人のスピーチをご紹介します。《としま会議:豊島区の新しいプレーヤーが集まるトークライブ&パーティー》

公務員、まちへ出て、人と人の間に立つ

自治体職員自主活動グループ「ノンパ」 藤田 正樹さん(ノンパ 管理人)

東京都職員を務めながら、公務の枠を越えた取り組みを展開する藤田正樹さん。日々の職務で得た気づきを活かして、勉強会や交流会、地域活動を企画しています。その名も、自治体職員自主活動グループ《ノンパ》(新しいウィンドウで開きます)。様々なチャレンジを繰り返しながら、13年続けてきたのだそうです。その活動の原点にあるのは、地域住民と対話するなかで感じた「行政の機能は活かしきれているのだろうか」という疑問でした。

 

根深い社会課題に対して一面的な関わり方になりがちな職務に、当初はジレンマを感じていた藤田さん。役所の仕事だけでは解決できない事象に何らかアプローチができないかと思案しました。―「公務員は現場に出向いていろいろ見聞きしている。それは大きなメリットだと思いました。公務員だからこそ得られた気づきを実践に活かす。そんなことを目指した活動です」。藤田さんは、地域の課題と自身の関心ごとを掛け合わせたユニークな企画を展開しています。

例えば、地域で開いた「ダイバーシティ(漫画)読書会」。都が開催する企業向けダイバーシティセミナーを担当した経験と、藤田さんの趣味である漫画とを組み合わせて企画したものです。あえてセミナーではなく読書会として開いたのは、テーマに通じる漫画について語り合うことで、関心を持つ人の裾野を広げることができると考えたからです。また、商店街から顧客離れの悩みを聞いた時は、自身の好きなサッカーからインスピレーションを得て、近隣のサッカースタジアムに集まるサポーターが商店街を巡るツアーを企画。地域住民を引き入れながら、実験的に行った事例となりました。

ほかにも「公務員のキャリアをアップデートする会」や「【社会起業家×公務員】PUBLIC TALK LIVE」など、自身の“知りたいこと”をテーマに、着想を得てから開催まで、実にスピーディーに実現させる藤田さん。―「仕事で感じた問題意識を組織の中でどう解決するかは悩ましいもの。まずは“地域”で小さなことから動いてみると、自分も地域も元気になり、仕事にもきっと還元できるはず」とくくりました。

食を通じて伝える、感動体験と日本のカルチャー

日本たまごかけごはん研究所 上野 貴史さん(株式会社八絋 代表取締役、食育コンサルタント)

―「人は、五感で感じたことによって感情が揺さぶられる。感情を大きく揺さぶる体験は、その人の思い出となって刻まれる」と語るのは、《株式会社八絋》(新しいウィンドウで開きます)の代表を務める上野貴史さん。スピーチの冒頭で掲げた「感動飯」というキーワードには、「五感を同時に刺激する食事は、人生を豊かにする」という思いが込められています。

フレンチのシェフとして腕を振るった後、豊島区駒込にある女子栄養大学の食堂の料理長に就任した上野さん。そんな折、皇室や各界の要人が列席する食事会をプロデュースするという仕事が舞い込みます。最上の礼節が求められ、日本古来の価値観を再認識する機会となりました。それ以来、江戸時代の食文化から古事記、神道、縄文時代へとさかのぼり、食の歴史を学び尽くした上野さん。その奥深さをひしひしと感じ、―「義務教育で学べないこれらの知識をなんとかして多くの人に伝えたい、という使命感にかられた」と言います。こうして2018年、駒込を拠点に八絋を設立し、「感動ケータリング」「感動料理教室」のサービスに結びつけました。

上野さんのケータリングは、五感に訴える自由な発想で、実にユニークです。テーマをもとに特殊な調理方法で演出したり、サプライズを仕込んで華やかさを演出したり。液体窒素を駆使してアニメの世界感を表現する企画も好評でした。一方、感動料理教室では、縄文時代から江戸時代まで、各時代の料理を再現する「日本の歴史16000年を食べる!」など、他にはないプログラムが並ぶ料理教室となっています。

日本の食文化の普及に力を注ぐ上野さんの取り組みは、これにとどまりません。注目したのは究極にシンプルな料理、たまごかけごはん。素材選びでその可能性を追求しようと、一般社団法人日本たまごかけごはん研究所を立ち上げました。衛生管理の技術が整う日本だから口にできる生の卵。全国から厳選の卵を集め、生産者の応援と地方創生につなげています。―「80歳まで毎日3食いただくとすると、人は生涯で約87600回の食事をしていることになるんです」。日本の食文化を通じて、今後は食育にも力を注ぐという上野さんです。

学生と共につくる、食と学びの機会をつくる子ども食堂のカタチ

IKEBUKURO TABLE 國井 紀彰さん(IKEBUKURO TABLE 代表)

國井紀彰さんは、大学在学中より、生活困窮世帯などの支援を必要とする子どもたちを対象に、学習支援の活動を続けてきました。その後、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークへの参画を経て、2015年9月、子ども食堂IKEBUKURO TABLEをスタートさせました。経済的な事情から孤立しがちな子どもたちのサポートとして、池袋の一軒家で大学生ボランティアや地域の方と共に“食と学び”の場づくりをしています。

孤食が社会問題となる近年、続々と誕生する「子ども食堂」。地域住民が中心となって、子どもに食事を無料もしくは定額で提供する取り組みで、國井さんによると全国約3000か所に広がっているのだそうです。主な対象は子どもですが、場所によっては地域の高齢者が集まるなど、決まった形式はありません。—「安易に定義づけせず、いろいろな形があるものだ、とすることで、子どもを取り巻く社会課題を単純化してしまわず、考え続けることにつながっている」と國井さんは言います。

こうした社会課題と向き合う國井さんの背中を押したのは、かつて、学習支援に携わり始めた頃に活動を共にしたメンバーでした。当時、哲学的な話からたわいない話まで、存分に自身の考えをぶつけて議論を重ねた経験は、國井さんの礎となっているのだそうです。政治哲学者ハンナ・アレントの言葉を引用しながら、—「自分と相手が違うのは当たり前。それを認識できた経験は、多様性が深め合える場づくりに生きている」と國井さんは振り返ります。

こうして誕生したIKEBUKURO TABLEが大切にしているのは、「自分が自分として在れる場所」として、集まる子どもたちの意欲をつぶさず様々な活動が実現できること。中高生の支援を軸に、毎月第2第4水曜日に食堂として開き、学習支援活動も行なっています。ボランティアとして関わってくれる学生や社会人を募りながら、―「自分とは異質な他者と出会い、その関係性の中で生きていることを再認識できる場であってほしい」と願う國井さんです。

デジタルからアナログの世界へ。編み物で人が集まる場をつくる。

あみものCafe 有馬 晶子さん(Frog studio 手しごと部 主宰)

子どもの頃から作ることが大好きで、―「考えることより先に手が動いてしまう性分」という有馬晶子さん。美術大学を卒業後、ゲーム制作会社に就職し、最新のテクノロジーを追い求めながら、ゲームソフトの開発に没頭する日々を送りました。やがて独立を果たし、ワークスタイルが変化したちょうどその頃、豊島区で開かれたシビックテックをテーマとするCode for Japan Summit 2015に参加。これをきっかけに、様々な地域活動に足を運ぶようになります。

そんな折、東池袋のシェアアトリエ日の出ファクトリー(現在、移転準備中)で開かれた、無印良品主催の「もったいない工房体験会」に参加した有馬さん。商品の製造過程で出る端材に新たな価値を吹き込むという企画で、会場には、あらゆる端材が並べられていました。制作に使えそうなおもしろいものを探していた有馬さんが出合ったのは、用途がわからない、一見使いづらそうな布。この布に一手間加えて紐状にし、もったいない工房の企画内で、編み物ワークショップの開催に結びつけました。これを機に、―「“編む”という手しごとを通して、人が集まる”場”をつくりたい」と考えた有馬さん。《Frog studio 手しごと部》(新しいウィンドウで開きます)を立ち上げ、日の出ファクトリーを拠点に、思い思いに編み物を楽しめるスタイルの「あみものcafe」をスタートしたのです。

その後、アレンジを重ねながら、各地で編み物をコンテンツにしたワークショップを開催。現在は、原点となる無印良品の店舗「MUJI com 光が丘ゆりの木商店街」や、サンシャインシティ1階にある「GLOCAL CAFE IKEBUKURO」、ご縁のあった東池袋界隈のスペースで定期的に開いています。日中だけでなく、夜間の開催も好評で、仕事終わりに立ち寄る人、熟練の技術を持つ人など、誰かと一緒に編むことを楽しみに、様々な年齢と属性の人が集まっています。

―「会社勤めのときはデジタル・グローバル・効率化・スピードだったのが、今はアナログ・ローカル・非効率・マイペースと、全く逆。でも、共通しているのは“遊び”を大事にしていることかもしれません」。カフェや商店を間借りするなど、あえてオープンな場所で開くのは、「気軽にのぞいて、まずは触れてみてほしい」という思いから。小さな一品から大作まで、黙々と“編む”ことと“コミュニケーション”とが融合したあみものcafe。回を重ねるごとに、“手しごと”をしながら集まることのおもしろさを実感する有馬さんです。

中華料理店からはじめた、まちを面白くする第一歩

keiwa 伊藤 けいわさん(大塚中華 keiwa 店主)

2019年2月、大塚駅から南東に伸びるプラタナス通りにオープンした大塚中華 keiwa。店主の伊藤けいわさんは、「まちをもっと面白くしたい」という思いから、この地に店を構えました。結婚を機に南大塚に暮らし始めたのは15年前のこと。いわゆる“おしゃれなまち”での暮らしに憧れながら居を移した当初は、よもや大塚のまちで飲食店を営むことになるとは、考えもしませんでした。

生活の拠点となるのは、丸ノ内線新大塚駅を最寄りとするエリア。利便性はいいけど、決して魅力的なお店が立ち並ぶまちではない──。4人の子育てをしながら感じたまちへの不足感は、次第に「まちのためにできることはないか」という思いへと変化します。そこで、ご主人の勧めもあって、伊藤さんは町会活動に参加し、一歩踏み出すことに。―「町会に入ったことで徐々に知り合いが増えて、まちの人に“けいちゃん”と呼ばれるようになって。当初は敷居の高さを感じたけれど、だんだんと面白くなっていったんです」。町会のつながりで一軒の中華料理店の手伝いも始めた伊藤さん。その後、一人で切り盛りしていた店主からバトンを受け取る形で、のちにkeiwaとして生まれ変わるその物件を購入しました。

一念発起して店舗を手に入れたものの、開業までの道のりは決して平坦ではありませんでした。―「でも、どうしても愛着のあるこのまちを楽しくしたい、大皿に盛られた中華料理を真ん中に様々な人が笑顔になれる店をつくりたい、と思ったんです」。情熱は揺るぐことなく、青山・希須林の監修を得て、伊藤さんは料理と店舗運営をとことん学びました。どんなに多忙でも食卓には手料理を並べるという伊藤さんのこだわりがkeiwaのメニューにも踏襲され、化学調味料を極力控えた優しい味わいの中華料理の提供を実現させました。

keiwaでは、モダンなしつらえの店舗スペースを活かして、毎月第2日曜日には、郷里の群馬から仕入れた新鮮野菜を販売する「プラタナスマルシェ」も始めました。今後、平日の日中を使って、ワークショップカフェとしても展開予定で、「まちを楽しく」を一つずつ形にしています。―「keiwaのオープンはまだまだ通過点」と言う伊藤さん。目指すのは、「人が集い、それぞれの“やりたい”という気持ちを集める場所」に育むことなのだそうです。

 

大塚駅南口から都電荒川線沿いを歩いていくと、今回会場となった《BEAM Toshima Bouldering Studio》(新しいウィンドウで開きます)があります。「スポーツを通じて教育をし、空間としてアートや音楽を尊重するエンターテインメントの空間」として、2019年夏にオープン。カラフルなクライミングウォールが印象的でした。

文/写真:後藤 菜穂

 

 

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更新日:2021年3月30日