第1回会議の委員意見一覧 ○設問追加に関する考え方について  20ページにもわたるアンケート用紙は、障害のある方が回答する際の負担に繋がり、回答率の低下が懸念される。 そのため、いただいたご意見を全て反映するということは困難であり、各設問の必要性などの考慮が必要。 ○調査票に関すること 【当事者調査票】                                ○:意見反映 △:引続き検討 ×:意見未反映 ―:設問以外の意見 番号 ご意見の概要 回  答 反映 設問番号 回答者の属性 1 収入について 収入源がどこなのかを問う設問であるのであれば、選択肢の中の「1 給与」は、「障害者枠での企業」と「福祉サービスでの就労(工賃)」の2つに分けるのはどうか 収入源の選択肢の「給与」を「給与(一般雇用又は障害者雇用)」「工賃(福祉サービスでの就労)」の2つに分けることとする。 ○ 問5(身) 問5(知) 問5(精) 問5(難) 病気や医療など 福祉に関する情報や相談 日常生活 2 資料4の中に障害者の介護者年齢が記載されており、1位が「40歳~64歳」となっているが、年齢幅が広すぎるため、次回は幅を狭めるべきである。 「40歳~64歳」では、年齢の幅が24歳と大きいため、「40歳~54歳」、「55歳~64歳」に細分化する。 ○ 問19-2(身) 問21-2(知) 問20-2(難) 3 「将来(10年後)、あなたはどのように暮らしたいと思っていますか。」という質問項目について、「今の暮らしができなくなった時にどのように暮らしたいか」という質問に変えた方が、質問の趣旨に合った回答が得られるのではないか。 「10年後のあなた」では抽象的になってしまい、伺いたい趣旨を問うことが難しいため、以下のとおり設問内容を変更する。 「家庭環境の変化などにより、今の暮らしができなくなった場合に、あなたはどのように暮らしていきたいと考えていますか」 ○ 問20(身) 問22(知) 問20(精) 4 発達障害の方の生活上の困難について ・前回の報告書には結果が出ていないため、明記した方が発達障害の方の生活上の困難さを周囲が理解しやすいのではないか。 ・回答結果によるが、「あてはまるものすべてに○」だと、優先課題や焦点が絞りづらくなるのではないか。 前回調査では、「あなたは日常生活や社会生活の中で困難を感じることがありますか」という質問を発達障害の方のみに聞いており、P27に結果を掲載している。 なお、今回はこの設問について、調査対象を全障害に拡大するため、報告書作成時に発障害の方の回答結果が分かるように掲載する。 優先すべき課題を把握するため、「あてはまるもの3つまで○」とする。 ○ 問18(身) 問20(知) 問19(精) 問21(難) 就労の状況 5 前回調査の結果で、その他を選択した方の割合が3、4割になっている質問については、回答選択肢の再検討が必要である。 「その他」で3割を超える回答となっているのは、一部クロス集計の数値で発生しているが、母数が小さいため、このような結果となっている。 設問本体で3割を超えている前調査(P91)の「今の仕事・作業は、どこで見つけましたか。」については、以下6番の通り、選択肢を追加する。 ○ 問21-3(身) 問23-3(知) 問21-3(精) 問22-3(難) 6 今の仕事・作業をどこで見つけたかについて 求人情報の入手先の数値を見ると、全体で22%、精神は32%が「その他」の回答になっているが、選択肢を増やす等の工夫で求人情報の入手先の実態が見えてくると思う。 回答選択肢を追加・修正する。 1.公共職業安定所(ハローワーク) 2.区の機関(障害福祉課、東部・西部障害支援センター、施設・就労支援グループ等) 3.家族、知人の紹介 4.情報誌や情報サイト、チラシ、ポスター 5.学校・病院等の紹介 6. 福祉施設・就労支援事業所からの紹介 7. 障害認定を受ける以前から働いている会社 8.その他(      ) ○ 問21-3(身) 問23-3(知) 問21-3(精) 問22-3(難) 7 修正案の4. その他(7)就労について 回答は自由記述となっているが、具体的なニーズを把握するため、「職場の人間関係」「通勤手段」「業務内容の調整」「必要な配慮が伝わらない」といった典型的な困りごとを選択肢として例示し、それに加えて「その他(自由記述)」欄を設ける形式がより効果的である。 回答者が答えやすくするため、以下の通り回答選択肢を設定する。 Q. 仕事を始める・続けるうえで困っていることはありますか。 1. 職場の人間関係(理解・協力が得られない等) 2. 通勤手段や通勤距離に不安がある 3. 仕事の内容が自分に合わない 4. 自分が必要とする配慮が職場に伝わらない 5. その他(                  ) ○ 問23(身) 問25(知) 問23(精) 問23(難) 8 就労の状況について 報告書P75では、「精神障害者は6割強が福祉サービス」といった内容でまとめられているが、前回の調査対象者(精神)は手帳所持者を対象とせず、区内の福祉サービス事業所利用者に調査を多く行なったための結果である。他障害と対象者の範囲が異なることを明記しなければ、誤解が生じるのではないか。 報告書作成の際に、他の障害と調査対象者の範囲が異なる旨を記載する。 ○ ― 9 どのような仕事・作業をしているかについて 就労形態での、「会社・公務員・団体職員等の正規雇用」では、身体障害者が多く、知的と精神障害者は「雇用契約を結ばない福祉サービス」が多数を占めている。「会社・公務員・団体職員等の正規雇用」という労働寄りの施策と「福祉サービス」という福祉寄りの施策という厚生労働省内での位置付けが異なっているということが見て取れる。同じ障害者でも働いている、働けている枠組みが異なっている点は現時点での障害者就労の課題である。報告書にはこの就労形態の違いについて明記する必要がある。 報告書82ページを見ると、身体障害者は「会社員・公務員・団体職員等の正規雇用」の割合が高く、知的・精神障害は「福祉作業所・就労継続B型・地域活動支援センター」の割合が高いことから、障害種別による就労形態の違いをグラフ上で確認することが可能な状況となっている。 なお、調査後、分析結果によって掲載の可否を判断する。 △ 調査後、掲載判断 ― 10 仕事や作業における1ヶ月の収入について ・上記番号9の通り、精神障害者の調査対象者は福祉サービス利用者が多数であるのであれば、その旨の説明があってもよいのではないか。「精神障害は稼働収入がない人」と端的に誤解されるような表現になっている。 ・生活保護受給者は、稼働収入が15,000円を超えると返金する仕組み(=支給額が変動する等)のため、15,000円を超えないように働く生活保護受給者は少なくない。そのため、所得の調査は生活保護受給の有無についてのクロスをかけることで、実態がわかるのではないか。 報告書作成の際に、改めてクロス集計先を検討する。 △ 調査後、 クロス集計先を検討 ― サービスの利用状況 11 資料5-4で、「あなたが現在利用しているサービス、新たに今後利用したいサービス」の回答選択肢が記載されているが、例えば「共同生活援助」には「グループホーム」を追記するなどして、説明書きを記載するべきである。 アンケートを受け取った方が、分かり易いよう「共同生活援助(グループホーム)」とする。 ○ 問24(身) 問26(知) 問24(精) 問24(難) 問25(児) 12 「あなたが現在利用しているサービス、新たに今後利用したいサービス」の回答選択肢で、「通所サービス」「地域活動支援センター」と記載が分かれているが、利用者の中には、「地域活動支援センター」も「通所サービス」だと思われている方がいる。 また、「就労選択支援」も「通所サービス」に含まれるため、回答選択肢について再度検討するべきである。 「通所サービス」に以下の注釈を加え、「地域活動支援センター」と区分ができるようする。また、10月に新設される「就労選択支援」については、新たに選択肢に追加する。 通所サービスとは: ①デイサービスを行う生活介護 ②身体機能や生活能力を向上するために訓練を行う自立訓練(機能訓練・生活訓練) ③就職を希望する人に訓練を行う就労移行支援 ④一般企業で就労が困難な人に働く場を提供する就労継続支援(A型・B型) ○ 問24(身) 問26(知) 問24(精) 問24(難) 問25(児) 13 調査票の設問構成について (1)今後利用したいサービスについての項目ですが、 「現在利用しているサービス」と「今後利用したいサービス」が同じ設問内でまとめられている。 両者を分けて設問を構成することで、より明確に実情を把握できるのではないか。 実際の調査票では、以下の通り分けて質問する予定である。 また、利用しているサービスと今後利用したいサービスは重複することはないため、現行の設問を継続する。 ○ 問24(身) 問26(知) 問24(精) 問24(難) 問25(児) 14 サービス利用状況について 「今後利用したいサービスについて」に「地域相談支援」が入っていないが、選択肢にあれば今は入院していなくても「自分が入院したときに使いたい」という人もいると思われるため追加してほしい。 選択肢に「地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)」を追加する。 ○ 問24(身) 問26(知) 問24(精) 問24(難) 15 報告書P102〜103 就労移行・就労継続・生活訓練・宿泊型自立訓練・機能訓練・生活介護・地域活動支援センター・グループホーム等の利用に関する設問について 調査対象が精神障害だけなのはなぜか。 身体、知的障害者についても一定数の利用者がいるため、新たに「身体障害」、「知的障害」も調査対象とする。 ○ 問25.26(身) 問27.28(知) 問25.26(精) 16 修正案の3.(1)今後利用したいサービスについて回答の選択肢について 選択肢が非常に多いため、知的障害や精神障害のある方にとっては回答が困難になる。選択肢を「在宅でのサービス」「日中の活動に関するサービス」「相談・計画に関するサービス」のようにカテゴリ分けして提示することで、回答しやすくなる。 「在宅」「日中活動」「入所」「相談」「その他」にカテゴリ分けする。 ○ 問24(身) 問26(知) 問24(精) 問24(難) 問25(児) 意思疎通 17 修正案の2. 社会情勢の変化によるもの(1)スマートフォン関係について 2つ目の質問の趣旨が視覚障害・聴覚障害であるならば、対象も同じく視覚障害・聴覚障害に限定したほうが、回答者の回答負担も減るのではないか。 資料では「対象:身体」としていたが、対象は「視覚障害・聴覚障害者」とする。 ○ 問29(身) 問25(児) 外出の状況 18 「けがをした理由は何ですか」「外出時に危険を感じたことは何ですか」の回答選択肢に「自転車に接触して(ながらスマホ)」を新設してはどうか。 以下の通り、質問選択肢を追加・修正する。 (追加) スマホを操作しながら運転している自転車と接触して (修正) (旧)通行人(歩きスマホ)にぶつかって (新)歩きスマホをしている人にぶつかって ○ 問41-1(身) 問32-1(知) 問30-1(精) 問28-1(難) 問32-1(児) 19 「歩道がすべって」という回答選択肢は雨に濡れて滑りやすいということなのか、詳細が分かるとよい。 晴天時に歩道がすべりやすい事例は少ないことから、以下の通り修正する。 (修正) (旧)歩道がすべって (新)雨天時に歩道がすべりやすくて ○ 問41-1(身) 問32-1(知) 問30-1(精) 問28-1(難) 問32-1(児) 20 介助・手助けについて 精神障害者に対する設問がない。精神障害者は外出時において、対人面での関わりの難しさや大人数に出くわす場面等でパニック発作を起こす方がいる。行き先までの道順がわからず、外出に対し不安を覚える発達障害の方もいる。そのため、精神や発達障害者の障害特性として必要な手助けを聞き取る必要があるのではないか。 精神・発達障害のある方が必要とする外出時の支援ニーズを把握するため、以下の質問を新設する。 【質問追加】(対象:精神) Q. 外出時にどのような手助けや配慮があると安心ですか。 1.同行支援 2.事前の計画・スケジュール提示 3.意思疎通のためのコミュニケーション支援( 短い指示やイラストなどの視覚支援ツール) 4.外出先の環境(音、光、混雑)を考慮して、嫌な刺激を避けられる場所 5. 緊張したときに安心できる場所(休憩所や待合スペースなど) 6.突発的な事態に対する対策(連絡先や支援者の把握) 7.障害のある方が利用しやすいルートや交通手段 8. 特にない 9. その他(自由記述) ○ 問34(精) 21 外出の頻度・状況について 問25-1の回答者(対象者)が、「6. まったく外出しない」と限定しているが、「5. 年に数回」もかなり頻度が低いと感じる。 どのような意図での設問であるのか。 本調査の趣旨は、外出をしない方と外出する方を調査し、外出する方については、その頻度を確認するものである。 また、頻度が少ないことは同じであるが、前回調査において「年に数回」は36件、「まったく外出しない」は32件と、差が生じていることから、設問については継続する。 × 問39(身) 問30(知) 問28(精) 問26(難) 問29(児) 22 まちのバリアフリーについて 「障害者や高齢者が社会生活をしていく上で、障壁(バリア)となるもの」と説明しているが、社会から誤解される視線(差別や偏見等)による「精神的な不安や負担感」による障壁は含まれるのか。 含まれるのであれば、そのような表記が入った方が丁寧だと思う。 まちのバリアフリーについての設問であるため、差別や不安感などについては含めない設問である。差別等については、「障害者の権利」の項目で設問している。 × 問44(身) 問35(知) 問33(精) 問31(精) 問35(児) 防災の意識・対策 社会参加等 23 家族の障害に対する理解について 調査対象が精神のみであるが、理由はなぜか。 うつ病などの後天的な精神障害については、家族には知られたくない、理解されない、伝えられないといった意見も多く、身体障害、知的障害とは状況が異なるため、精神障害のみを対象としている。 × 問44(精) 24 障害者団体の活動に関する設問について ・活動内容や存在を知らないという回答が多数を占めている。回答側がどのような構成団体を「障害者団体」と指しているのかが分からないためである可能性はないか。 ・「障害者団体」は当事者団体のみを示すのか?当事者の家族会や支援者による支援団体などは含まれないのか。 ・実態調査を実施する中で、精神障害者地域移行支援事業でのReStartの存在を知ってもらうことはできないか。調査を通して豊島区が地域移行事業を実施していることを知ってもらう機会になると良い。 「障害者団体」には、当事者団体の他に当事者の家族会や支援者による支援団体も含めている。 設問に注釈で「障害者団体とは、当事者団体の他、当事者の家族や支援者による支援団体を含みます」と追記する。 精神障害者地域移行支援事業ReStartについては、現行計画74ページのコラムで紹介している。 ○ × 問54(身) 問45(知) 問45(精) 25 社会参加について スポーツや文化芸術活動に対し、興味があるが参加していないという回答が多数を占めている。その理由がわかることで、障害による障壁や権利擁護に関する声も聞ける可能性があるのではないか。 スポーツ、文化芸術活動の不参加理由については、個人的理由が多勢をしめており、政策反映という視点からは設問の必要性が低いため、設問数を増やさないという観点を含め、新たな設問は追加しない。 × ― 26 社会的孤立について 社会的孤立に関する設問も必要である。近年は社会全体がどんどん不寛容な方向に変化していると感じるため、地域での他者との交流を阻害するバリアに関しても質問を新設し、障害者の課題とニーズを汲み取ってほしい。 障害のある方が地域で他社との交流を図る際に、バリアに感じていることを把握するため、以下の質問を新設する。 【質問追加】(対象:身体・知的・精神・難病) 地域での交流やつながりを築くうえで、障壁となっていると感じることがあれば教えてください(あてはまるもの3つに○) 1. 地域で障害者理解が進んでない 2. 差別的な言動や偏見を受けたことがある 3. 地域のイベントや活動に参加しづらい雰囲気がある 4. 外出に不安がある(交通・介助・健康面など) 5. 相談できる人がいない/つながりがない 6. 自分の存在が歓迎されていないと感じる 7. これまで地域と関わったことがないため、声をかける自信がない 8. その他(                 ) ○ 問57(身) 問48(知) 問48(精) 問43(難) 27 近所との付き合いについて 調査結果の内容は、障害ではない住民に対しても類似した結果が出る可能性を感じる。障害者も当たり前の区民として同等に捉えた上での質問であれば気にならないが、障害を起因とするための調査であれば、質問文章を工夫すると良いのではないか。 「近所との付き合い」に関する調査項目は、障害のある方に限らず、すべての地域住民に共通して当てはまるものである。 設問の目的は、障害の有無を問わず、日常的にどれだけ地域とのつながりがあるか、近所との関係性が築けているかを把握することにあり、災害時や緊急時などに地域内で助け合える関係性が構築されているかを知るうえでも非常に重要な要素となるため、現在の設問内を継続する。 × 問51(身) 問42(知) 問41(精) 問38(難)   障害者の権利 28 「障害者本人が亡くなった後の遺産について、家族に任せるのか、自分の意思で決定するのか」という質問を追加してほしい。 終活という観点から、亡くなった後の管理方法などについて確認する。 【質問追加】(対象:身体・知的・精神・難病) Q. 人生設計を考えるうえで、若い方が終活を考える機会が増えています。あなたはご自身の終活は必要と思いますか。 1. 終活は必要と思い、すでに始めている 2. 終活は必要と思うが、具体的に何か行ってはいない 3. 終活は必要と思っていない 4. その他 【質問追加】(対象:身体・知的・精神・難病) Q. (1で回答した方にお伺いします。)終活は何をしていますか。 1. 財産(お金・持ち家など)の整理 2. 家の整理 3. 衣類等の整理 4. お墓などの準備 5. 家族等に管理・整理を依頼 6. その他(        ) ○ 問63(身) 問54(知) 問54(精) 問49(難) 29 「選挙に行っているか」「選挙に行っていない理由」については、政治への参加可否や意思決定の可否が分かり、とても重要な観点であるため、継続して質問するべきである。 「選挙に行っているか」については、政治に関心があるかどうかの指標であり、「選挙に行っていない理由」については、投票所への移動の課題や情報取得の課題などに繋がるものであるため、本設問については削除しない。 ○ 問64(身) 問55(知) 問55(精) 問50(難) 30 報告書P187 障害者の権利について 自分たちの権利が侵害されていると国連から言われている事実を当事者本人が知ることはとても重要なことであるため、①「国連による障害者権利委員会による対日審査が実施されたこと」、②「総括所見において多くの勧告を受けたこと」を知っているか否かを設問に加える。べきである。 総括所見について、脱施設、インクルーシブ教育についての勧告であるが、障害のある方すべてにその内容を確認するべき必要性は低いため、設問数を増やさないという観点を含め、新たな設問は追加しない。 × ― 31 選挙について 選挙への意識や投票へのアクセシビリティを確認する質問項目が必要である。そのため、投票におけるバリアを問う設問を加えるべきである。 社会参加の項目で、「選挙の際に困ったこと」という設問があるため、新たな設問は追加しない。 × ― 32 障害や疾病に対する理解について 「あまり理解を得られていない」が全体を通して多い結果でありつつも、精神障害は「理解を得られていない」が1番になっている。差別や偏見のない共生社会を目指すのであれば、この結果についてより深く調べる必要がある。その理由を問う設問やヒアリング等の調査が必要である。 「障害者の権利」の項目において、「どのようなときに差別を感じますか」、「具体的にあればご記入ください」の設問があるため、新たな設問は追加しない。 × ―   療育、保育・教育 33 障害児の保育事業について 近年、出生率低下により保育園等で園児確保が困難になっており、障害児が保育園等に入りやすくなっている。それに伴い、児童発達支援事業所の利用者が減少傾向にある。この実態を正確に把握するため、以下の質問を追加してほしい、 (4)「保育事業について、現在何を利用していますか。」の質問を追加し、 回答選択肢に「保育所・こども園・幼稚園・児童発達支援事業所」を入れる。 すでに同様の質問があるため、回答選択肢を一部修正する。 Q. お子さんは、平日の日中、どこで過ごしていますか。 修正前 1.幼稚園・保育園・認定こども園 2.小学校(普通級・特別支援教室・特別支援学級・特別支援学校) 3.中学校(普通級・特別支援教室・特別支援学級・特別支援学校) 4.高校 (普通高校・通信制・定時制・特別支援学校) 5.児童発達支援や放課後等デイサービス 6.家にいる、通園先・通所先はない 7.入院中 8.その他( ) 修正後 1.幼稚園・保育園・認定こども園 2.小学校(普通級・特別支援教室・特別支援学級・特別支援学校) 3.中学校(普通級・特別支援教室・特別支援学級・特別支援学校) 4.高校 (普通高校・通信制・定時制・特別支援学校) 5.児童発達支援事業所 6. 放課後等デイサービス 7.家にいる、通園先・通所先はない 8.入院中 9.その他( ) ○ 問11(児) 豊島区の今後のありかた その他 34 難病の医療費助成を申請し、非認定の方に難病手帳を交付することはあるが、すでに難病の認定を受けている方(難病患者福祉手当受給者)であれば、手帳(登録者証)はもらわないため難病の方への「手帳を持っていない理由はなんですか」という質問は不要である。 難病患者の中でも、身体障害や精神障害の手帳を取得して、サービスを利用される方もいる。このように、サービスを利用できるのに手帳を取得していない方に対して手帳を持っていない理由を確認したいのであれば、それが分かるような聞き方をするべきである。 調査対象となっている「難病患者福祉手当」が交付される方については、全て医療受給者証を所持している方であり、難病の手帳(登録者証)を必要としない方であったため、手帳(登録者証)を持っていない理由を伺う必要はないことが確認された。 今回、本設問に難病患者を追加する予定としていたが、取りやめることとし、精神障害のみに戻すこととする。 ○ ― 35 回答率(回収率)向上の工夫について 回答率を上げるには、回答のしやすさも重要なポイントになる。 今回の調査で、回答時間の目安はどの程度を想定しているのか。 現在は、20分程度を想定している。 年々、設問が増えている関係で回答に要する時間が増加傾向にあり、真に必要な設問の取捨選択が必要である。 ― ― 36 知的障害者への配慮について 今回、知的障害者の方を約500名抽出する予定とのことだが、障害の程度によって ・本人が自ら回答できる方 ・家族や支援者のサポートがあれば本人が回答できる方 ・本人からの聞き取りが難しく、家族や支援者等が回答する必要がある方 の3パターンが考えられる。それぞれの回答内容には大きな差が生じる可能性もある。 可能な限り本人の意向を尊重するのであれば、調査票にふりがな(ルビ)を付けるなどの工夫が必要である。 知的障害者の調査票には、前回同様、ふりがな(ルビ)を付けた調査票を配布する予定である。 ○ ―   37 ヘルプマーク・ヘルプカードについて 問31の調査結果では難病を含む全ての障害種別の防災対策として「一番知られている」にも関わらず、問32では「どちらも身につけていない」の回答が難病を含む全ての障害種別で最も多い点が気になるが、その理由を尋ねる設問も必要である。 周囲の方に配慮が必要でることを知らせるためのヘルプマーク・カードであるが、その利用は障害当事者の方の意向であり、任意によるものである。 区では利用の促進のために啓発を行っているが、身につけていない理由を確認することで区の施策に結びつけることは難しいため、新たな設問は追加しない。 × ― 38 「にも包括」を考えると、「ピアサポート活動にアクセスする機会はありますか?」「当事者同士で話せる場はありますか?」「あれば話したいと思いますか?」「ピアサポーター(ピアスタッフ)が配置されている事業所を利用したいと思いますか?」などの質問があってもよいのではないか。 ピアサポーター事業である地域生活移行支援事業は、退院のための動機づけの事業であることから、全ての精神障害の方に質問する内容ではないため、新たな設問は追加しない。 なお、ピアサポーターの取り組みについては、本計画のコラムにおいて紹介している。 × ― 【事業所調査票】                                ○:意見反映 △:引続き検討 ×:意見未反映 ―:設問以外の意見 番号 ご意見の概要 回  答 反映 設問番号 事業運営について 1 開業年について 3障害一元となった障害者自立支援法の施行はH18年4月(全面施行はH18年10月)であり、その後は3年に一度、報酬改定がある。また障害福祉サービスの世帯の見直しによる自己負担額の軽減は事業所が利用者に自己負担を強いる制度設計への一つの課題解消であると感じている。また報酬改定による基本単価が上がったことで、当初は参入を渋っていた営利法人や高齢者福祉事業者が障害福祉サービスの事業に加わってきた経緯がある。そのため、開業年を調査するのであれば、国の制度の動きに合わせたタイミングでの実数を把握する方が、サービス量も含めたデータ作りにも対応できるのではないか。 開業年の把握からサービス量は測定していない点や、報酬改定に合わせると回答選択肢が増えてしまうという点により、現行のとおりとする。 × 問1-2 2 提供しているサービス等について 主に対象とする障害種別のデータも加わると、障害特性に応じた利用者ニーズが見えてくるのではないか。 各設問とクロス集計をすることで、障害種別ごとのデータ分析ができるため、設問を追加する。 【質問追加】 Q. 主に対象とする障害種別をお聞きします。 1. 身体障害 2. 知的障害 3. 精神障害 4. 障害児 5. 難病 6. その他 ○ 問1-4 3 運営上の課題について ・対人支援に関わる選択肢として「利用者の重度化・高齢化への対応」があるが、昨今は「障害や疾病の多様化による支援の難しさ(マンパワーや障害への理解の不足等)」「障害者を対象とした事業所での若年利用者の増加による支援の難しさ」などもあるため選択肢を追加してほしい。 ・事業面では「請求業務」「諸規定等の作成」など事務作業の煩雑さが、本来優先すべき対人支援に掛ける業務時間を削っているため、選択肢を追加してほしい。 対人支援及び事業運営において、現場における支援の難しさの要因として既存の選択肢の他に顕在化してきている課題があるため、以下の回答選択肢を追加する。 (追加) ・障害や疾病の多様化による支援の難しさ ・若年利用者の増加による支援の難しさ ・請求業務や報告業務等の事務作業の煩雑化による支援時間の不足 ○ 問1-10   職員について 4 職員充足状況について 事業所は制度上定められた職員配置基準に対して回答している可能性が高い。調査意図がどのようなものか(事業所で課題となっている支援の質の向上や給付事業等での事務作業負担の軽減等についても含めるのか等)を明確にしなければ、調査意図にあった回答が得られない。 配置基準のことを確認するものではなく、一般論として事業所の状況を確認する設問である。 × 問2-2 5 人材育成のための取り組み・職員が参加した研修について 選択肢での「研修(事例検討会)の実施」は事業所内と事業所外で分けて回答できる方が育成力や支援力向上を検討する上で役に立つ。(法人内研修は法人のカラー、運営方針によるケースもあり、偏った知識の習得に限ってしまう危惧がある) 回答選択肢を以下の通り修正する。 旧)事業所内外での研修(事例検討会)の実施 新)事業所内での研修(事例検討会)の実施 事業所外での研修(事例検討会)の実施 ○ 問2-4 6 職員が参加した研修について ・「必ず参加しないと減算等につながる法定研修」「受講しないと資格喪失につながる(事業継続ができなくなる)研修」「それ以外の研修」ではそもそもの参加理由が異なる。事業運営(経営)、支援の質の向上、法定研修等、目的別で選択肢を設定することで、昨今の時流、傾向が測れると思う。 ・地域づくりやネットワーク構築の強化に関する研修も選択肢に入れるのはどうか。 法定研修、法定外研修という区分で設問を設定しているのではなく、事業所の職員の研修受講状況を確認するための設問である。法定研修は必須の研修であり、調査自体の必要性は低いことから、現行通りの設問を継続し、目的別の設定までは行わない。 × 問2-5 7 豊島区での支給決定の割合について 「貴事業所でサービスを提供している人のうち、豊島区で支給決定を受けた方の割合を教えてください」という質問の趣旨を知りたい。 豊島区内の事業所の利用者について、区民の利用割合を把握するため。 ― 問1-7 今後のサービス向上について 8 「どのような事業所と連携したいですか」という質問ではなく、事業所間で連携できていない理由を聞くべきである。 連携の目的を設問に追加するとともに、現在、連携ができない理由について、新たな設問を追加する。 Q. 事業所における問題や課題を解決できるようにするためには、情報の共有や異なる専門性など、事業者間の連携が非常に重要です。今後、どのような事業所と連携したいですか。 【質問追加】 Q. 連携したいと考える事業所と、現時点で連携できていない理由をお聞かせください。 1. 地域資源の把握ができていない 2. 連携の手段がわからない 3. 直接連絡しにくい 4. その他(           ) ○ 問3-7-1 問3-7-2   9 虐待に関しては、虐待対策をする上での課題を聞くべきである。 3-4-5として、設問を追加する。 【質問追加】 Q. 障害者虐待を起こさないために、必要な仕組みや取り組みはどんなことだと思いますか? (複数回答) 1. 職員間や上司に対して自由に意見を言える「風通しの良い職場」環境づくり 2. 職員のメンタルヘルスに関する取り組み 3. 職員のストレスマネジメントに関する取り組み 4. 適切な職員配置や職場環境への配慮 5. 事業所内での事例検討や支援内容の見直し 6. その他(       ) 【質問追加】 Q. 虐待防止対策をするうえで、どのような課題がありますか。(複数回答) 1. 支援と虐待の線引きが難しい 2. 人員体制の不足 3. 職員の倫理観や理念の欠如 4. 業務の多忙さ 5. 利用者との人間関係 6. 職員同士の人間関係 7. その他(     ) ○ 問3-4-4 問3-4-5 10 今後新しく提供予定のサービスについて 「不明・無回答」が70%となっているため、回答方法(選択肢等)の工夫が必要である。 回答選択肢に「特にない」がないことにより、左記の結果になったと考えられるため、回答選択肢に「特にない」を追加する。 ○ 問1-9 11 「虐待への具体的な対応」「虐待防止への取り組み」について 「過去○年間で~」等の期間を定めなければ、昔のこともカウントできてしまうため、実態が把握できないのではないか。 期間を定めなければ、今後増加する一方になるため、「過去3年間で、貴事業所でこれまでに虐待(疑いを含む)に対応したことはありますか。」という設問に変更する。 ○ 問3-4-1 12 合理的配慮の提供の取り組みについて 対象者や状況が異なる中で、提供範囲は事業所で可能な範囲であるため、「ここまでやる必要がある」といった程度や内容がきちんと整理されていないと思う。そのため、事業所の合理的配慮への取り組み具合はそれぞれで異なり、迷いもあるではないか。取り組み内容の調査のみならず、合理的配慮を提供する上での支援者の課題や悩みについても調査する項目を新設するべきである。 合理的配慮を提供するうえでの支援者の課題や悩みに関する質問を新設する。 【質問追加】 Q. 合理的配慮の提供における支援者には、どのような課題がありますか。 1. どこまでが「合理的配慮」であるのかの線引きが難しい 2. 本人の意向と、事業所として提供可能な範囲との板挟みになることがある 3. 他の利用者・職員との公平性の調整が難しい 4. 合理的配慮の必要性を他職員や上司と共有・理解してもらうことが困難 5. 判断に必要な知識や事例が不足していると感じる 6. その他(                          ) 7. 特になし ○ 問3-5-2 13 事業者が困った時、どこに相談しますかについて 個人的な感想で失礼ではあるが、「基幹相談支援センター」が49.1%であることに驚いている。区内事業所職員から基幹相談に相談した話はあまり耳にしないため、もっと低いと思っていた。これは心身障害者福祉センターも含まれているため、虐待防止センター等の併設されている事業に対する相談等も含まれているのか。 ・豊島区の場合、心身障害者福祉センターは知的と身体への関わりが長い歴史がある。主たる障害種別毎での件数でも報告書に明記する方が、相談先の実態が見えると思う。 ・豊島区の場合、基幹相談支援センターと心身障害者福祉センターが一体的に運営されているため、虐待防止センターや権利擁護等を含む幅広い相談もこの「基幹相談支援センター」に含まれていると分析している。 ・報告書作成の際に、主たる障害種別とのクロス集計を行う。 ― ○ ―   危機管理について 14 「豊島区が行っている防災対策」「利用者の個別避難計画」を事業所がどれだけ知っているのかを聞くのもよいが、事業所が災害時に抱えている課題を聞くべきである。 災害時の事業者の課題を確認するため、項目を新設する。 Q. 貴事業所において、災害時の対策をするうえで、どのような課題がありますか。 1. 関係機関との連携体制 2. 地域との協力体制 3. 避難場所の確保 4. 災害情報の入手方法 5. 連絡先や通信手段 6. 備蓄品の確保 7. 電源の確保 8. 従業者・利用者の安否確認 9. 災対時の人員体制、建物の破損・倒壊 10. その他(                  ) ○ 問4-2-5 区の障害者施策について 15 事業所に対して「障害者が地域で長く生活を続けるために、どのようなサービスが不足していると思いますか。」という質問を新設しているが、「事業所の利用者にとって何が足りていないのか」を聞いているのか、「漠然と区内に何が足りないか」を聞いているのかが分からない。 調査したい対象を明確化するために、設問内容を以下の文章を追加する。 (旧)地域で長く生活を続けるうえで、どのような障害福祉サービスが不足していると思いますか。 (新)現在、貴事業所においてサービスを利用している方が、豊島区で長く生活を続けるうえで、どのような障害福祉サービスが不足していると思いますか。 ○ 問5-1 16 今後の障害者施策にどのようなことを期待するかについて ・通所事業所の対象者は基本的には通所者(登録者)であるため、まだ繋がっていない方への「アウトリーチ支援」を十分に行うことができず、引きこもり状態にある方の支援現場は十分に整備されていない状況である。そのため、「アウトリーチによる地域課題の解消の充実」の選択肢を加えるべきである。 ・近年、事業所には若年層(障害児等)の相談が増えています。豊島区は障害児の相談支援事業所が少なく、児童に対する相談窓口をはじめとした社会資源が不足している。回答選択肢に「障害児の相談支援・社会資源の充実」を加えるべきである。 行政からの支援については、アウトリーチに限定されるものではないため、「支援に係る行政からのバックアップ」を追加する。 また、障害児の社会資源の充実とした場合には、増やしたい社会資源の目的が絞り切れないため、目的を絞った「障害児の相談支援の充実」を追加する。 なお、社会資源の充実については、連携したい事業所等に関連するため、その設問で把握することとする。 Q. 貴事業所は区に対し、今後の障害者施策にどのようなことを期待しますか。(○はいくつでも) 1. 福祉人材確保のための方策 2. 自立支援給付費の見直し 3. 事業所に対する補助金の増額 4. 障害者の地域生活を支えるための方策(地域生活支援拠点の整備等) 5. 一般就労の促進 6. 福祉的就労の工賃向上 7. 利用者負担の軽減 8. 障害支援区分の見直し 9. 障害児の相談支援の充実 10. 支援に係る行政からのバックアップ 11. その他(                  ) 12. 特にない ○ 問5-3 その他 17 BCPについて 新型コロナは5類になったが、各事業所ではBCPが義務付けられ感染対策そのものの必要性はより高くなっている。「取組を進める上での課題(例:研修時間の確保が難しい、職員への周知が徹底できない等)」を問う設問を新設し、区が事業所を支援するためのニーズを把握してはどうか。 すでに法令等で義務化されている感染症対策、食中毒予防、災害時の業務継続計画(BCP)などについては、事業所側も対応していることが前提となっていることから、新たな設問は追加しない。これらに関する具体的なニーズの把握については、設問として個別に設けるのではなく、自由記述欄を活用して、必要に応じて記入していただく方法で把握する × ―   ○その他ご意見 1. 来年度計画改定時に掲載を検討 番号 ご意見の概要 1 板橋区の「板橋区障がい者計画2030 障がい福祉計画(第7期)・障がい児福祉計画(第3期)実態・意向調査報告書」(以下、「板橋区計画2030」)はR6年3月に発行されたため、冒頭の「策定の背景・目的」部分において、権利条約の対日審査での総括所見についての表記があり、「その趣旨を踏まえて、障がい者の権利の実現に向けた取組を引き続き推進する」旨が述べられている。豊島区の第7期報告書も同時期の発行だが、総括所見に関する表記がないため、今期の計画では明記してほしい。 また「板橋区計画2030」では、障害者スポーツに関わる事項として、「東京パラリンピック」(2021年)や2025年実施予定の「デフリンピック」の明記がある。時流をみた時代背景を表記することが障害者の社会参加の背景であると思うが、当会の加盟事業所からは「障害者の日常生活支援や共生社会の実現にはあまり関係ないのでは」との声もある。パラリンピックやデフリンピックの表記については、判断してほしい。 2 「板橋区計画2030」にはコラムでの表記で「医療モデルと社会モデル」がある。障害者の暮らしを豊かにする上では周囲の人たちが「社会モデル」への理解を深めることで多くの権利が擁護され、合理的な配慮につながると一歩と考えるため、第8期の計画には明記してほしい。 3 参考資料2に記載のある、精神障害者保健福祉手帳については、2年に1度の更新のため、各年の手帳申請件数を2倍した数が手帳所持者数である。それが分かるように記載してほしい。 2. ご意見 番号 ご意見の概要 1 障害者権利条約(以下、権利条約)を批准した日本だが、国連の障害者権利委員会による対日審査では多くの勧告を受けた。勧告内容を改善する一つとして、各自治体での福祉計画や実態調査を今一度見直す必要がある。障害者の福祉計画を策定するのであれば、権利条約、国連障害者権利委員会からの総括所見について、委員全員が理解を深めたうえで会議を進めることが本来望ましいと思うが、その時間が取れないスケジュールになっている。 優先順位は①憲法→②条約→③法律であり、「障害者基本法」「障害者総合支援法」「児童福祉法」が障害福祉計画の根拠法令であるのであれば、「障害者権利条約」が法律より優先されるため、委員は権利条約への一定程度の理解が求められるのではないか。面倒なことではあるが、地域から社会を変えていくには必要な作業である。第9期はスケジュールの見直しを検討してほしい。 2 実態調査は当事者の声を聴くことができる重要な機会であるが、今期のスケジュールは第6期に比べ実施回数が1回少なく、実態調査にしっかり時間をかけて検討(委員内での意見交換等)する時間がなく、修正や変更等は限られた範囲にとどまると感じた。単に今までの質問項目の一部修正ではなく、国連の総括所見を委員全員が考え、質問内容を検討するのであれば、あと2回は回数を増やすことが望まれる。実施開始時期を早める等の検討が必要である。 3 「文京区障害者(児)実態・意向調査報告書」(R5年3月)では、「第3章 施設を入所している方を対象にした調査」と「第5章 長期入院施設を対象にした調査」項目がある。墨田区も精神科病院入院者への調査結果が報告されている。豊島区は都外施設利用者や精神科病院入院者の報告を行なっていないが、区民の地域移行を促進する上で調査は必要であり、今後、障害福祉サービスでの成果指標を示し、数値目標を設定する上でも必須である。豊島区民の入所施設利用者と精神科病院入院者への調査をしてほしい。 ※豊島区障害者地域支援協議会の専門部会「つながる部会」は「精神障害にも対応した地域包括支援システムの構築」(以下、にも包括)から出発した部会である。「にも包括」はもともと厚生労働省がH16年の「改革ビジョン」で掲げた、精神病院における社会的入院者7万2,000人を10年間で退院させるという目標だったが、結果として半数以下の退院者にとどまったため新たな施策として打ち出されたものである。本計画が豊島区障害者地域支援協議会と連動することから考えても入所施設利用者と精神科病院入院者の調査は必要である。 4 文京区の実態調査では、アンケートでは汲み取りづらい障害者の思いやニーズを可視化する試みとして東洋大学の監修のもと「質的調査」を行なっている。文京区内の通所施設やグループホーム、都外施設等を利用する障害当事者へ学生がインタビュー調査を実施している。豊島区も福祉サービス事業者への調査を実施しているが、これは提供者サイドの意向調査であり、ユーザーサイドの意向を伺うものではない。昨今、ユーザーサイドからの声を聞くことが問われているサービスの質を把握する機会になり、事業者への実態調査との整合性を照らし合わせる機会にもなる。当会は以前から対面でのヒアリング調査を実施して欲しい旨を伝えているため、検討してほしい。 加えて、文京区の「質的調査」は東洋大学の学生が実施し、インタビュー内容を学生がKJ法等を用い、「総括と求められる対応」を含めた調査総括が提出され、報告書に掲載されている点も豊島区との相違点である。 5 サービス利用状況について 報告書P96〜99の結果を見ると、「移動支援」に対する利用者数とニーズが障害種別ごとで異なっていることがわかる。精神障害者が「移動支援」を活用することで社会参加の機会は増えると考えるが、他障害と比べ利用者数は少ない実態が見える。これは制度の立て付け、それによる支給決定の有無が関係している可能性がある。「今後利用したいサービス」においては「0」となっているが、これはサービス内容について当事者自身が理解していないためではないか。調査結果を深掘りするなどして、必要な人に必要なサービスが提供されているかを協議、検討する機会はあるのか。 6 介護保険の認定について 精神障害者の認定者数は4名と少なく、データからは意見できないが、要介護3以上は認定者数がいない。障害者の場合、サービス利用が介護保険に移行した際、区分が低く出てしまうことや所得が低いこと(自己負担が支払えない)等で今まで利用できていたサービスが継続できないという危惧がある。障害者が高齢化することでの課題について検討等は行われているのか。 7 虐待されたことがありますかについて 精神障害のみが「ある」の回答が1番多く、50%に届く回答率である。この回答結果は数字のみで終わらせるのではなく、内容を把握することが求められる。精神科病院や福祉サービスの現場における虐待事案が多発する昨今、虐待を受けたと感じたのが、いつ、どこで、何があった等についての更なる調査は行わないのか。とてもデリケートなことではあるが、それを理由に虐待の声を放置することはできない。 8 差別を感じたことがあるかについて 「あまり感じない」の回答が全体的に多いが、他障害等に比べ精神障害者の回答は「時々感じる」と比較した際、6ポイントしか差がない(「あまり感じない」38.2%・「時々感じる」32.5%)。他障害等と数字の開きは大きいと感じる。加えて、差別を感じた件数は、身体障害者は1,161人中285件、知的障害者は272人中72件、難病患者は221人中22件に対し、精神障害者は191人中84件であり、精神障害者が差別と感じた割合は他障害等と比べて高い状況である。 また、「働きたいとき、働いているとき」に差別を感じたという件数が1番高い状況である。当会は障害福祉サービス事業所等により構成され、働く場の提供、相談を受けているので、事業所で差別等を感じたという当事者が存在する可能性は高いとも推測できる。この点についての検討は行われているか。 9 報告書P219 豊島区の地域での取り組みで重要だと思うことについて 報告書P260での事業所調査での「区の計画を知っているか」の問いに対し、「読んだことがない」「数値目標については理解していない」「計画の存在を知らない」の合計が約75%である。そのため、事業者は調査結果における当事者の地域ニーズ(P220〜224)を理解せずに地域で事業を実施している可能性は高いことが予想される。調査に協力した当事者の思いが地域で支援を行う事業者に伝わらないことへの不全感は課題と言えるのではないか。 10 令和4年度に実施された意向調査の結果報告について 報告では「それぞれの項目について、取組みが必要、または求められている」とまとめられていたが、その結果を受けて、これまでに具体的な改善や整備が図られた事例はあるのか。 調査で得られた実態や要望を計画改定に反映させていくことは重要だと考えているが、せっかく実施する調査であるからこそ、状況把握に留まらず、実際の取組み(成果)に繋がると意義もさらに高まると思う。 11 今後の障害者施策にどのようなことを期待するかについて 「一般就労の促進」が1番多かったのは、国の方向性や就労系サービス事業所(就労移行・就労定着・就労継続)の回答数が半数であることが影響していると考えるが、一方で居宅での支援やGH等の居住系、日常生活支援等を行う事業所が多数ありながらも「障害者の地域生活を支えるための方策」が他の回答に比べ非常に低いことが気になる。支援者の視点が就労支援や事業運営(経営)といった方向に強く向き、地域全体や人の暮らしをマクロで捉えネットワーク(つながり)を要する地域づくりに対する意識が低いのか否か、疑問や不安が残る回答結果と言えるのはないか。