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特別インタビュー 第3弾 横澤大輔さん×鈴木英理花さん

更新日:2021年3月9日

インタビュー

リアルとバーチャルが融合する国際アート・カルチャー都市へ!

豊島区は「国際アート・カルチャー都市構想」を掲げ、「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」の実現に向けた取組みを進めています。特に池袋は、その中心としてますます大きな役割を担うことになります。
今回は、豊島区国際アート・カルチャー都市プロデューサーでもある株式会社ドワンゴの横澤大輔さんと、池袋に本店を構える株式会社アニメイト宣伝部の鈴木英理花さんに、リアルな場としての池袋の魅力を語っていただきました。

世界に発信し、世界とつながる。

――2020年春、庁舎跡地エリアは国際的な文化にぎわい拠点として生まれ変わる予定です。多様性が加速するであろう今後の「リアルな場としての池袋」にどのような期待をお持ちですか。

横澤:8つの劇場と10のスクリーン、そして広場ができますね。歌舞伎もあればサブカルチャーもあり、スクリーンではさまざまな価値観を持った作品が上映され、さらにそれを観に来るお客さんがいる。これは世界でもまれに見る、カオスな空間になると思います。

さらにそれらがインターネットで配信されたり、逆に海外の公演を見るパブリックビューイングが開催されたり、バーチャルを通じてエンタテインメントが広がっていく側面もあるでしょう。またコスプレにしても、新しく生まれた劇場という“場”とどのように組み合わせるか、ファンをどう巻き込んでいくのか、リアルとバーチャルを利用することによって、可能性は無限に生まれます。

鈴木:「アニメイトガールズフェスティバル」は、2015年から区の「池袋オータムカルチャーフェスティバル」と連動し、昨年は約7万人を動員しました。買物だけでなく声優さんのステージなど楽しみの幅が広がって、池袋というまちを楽しむイベントとして定着し始めた感じを受けます。それに池袋を訪れる外国の方がすごく増えましたよね。

私たちは「acosta!(アコスタ)」というコスプレイベントも毎月開催しているのですが、まちでいつでもコスプレが見られる場所は、世界でもわずかだと思います。

横澤:コスプレは衣装を着て楽しむだけでなく、いろいろな表現と結びつきやすい特質を持っています。歌ってもいいし、踊ってもいいし、演技をしてもいい。自分の得意なものを組み合わせることで、コスプレという文化を通じて、ますます表現の幅も広がっていくでしょうね。

鈴木:コスプレをする人が楽しむイベントは実現しつつあるので、これからは見に来る人も一緒に楽しめるような土壌が池袋に生まれるといいですね。さらにそれが世界に配信されれば、参加する人も誇りが持てるようになります。たとえばニューヨークの感謝祭パレードは、巨大なキャラクターのバルーンを見るために世界中から人が集まり、何千万人という人が中継を見ています。世界中から注目される、そんなイベントをやってみたいですね。

――「池袋ハロウィンコスプレフェス」は、開始3年目で9万人が訪れるまでに成長しました。

横澤:以前から閉鎖された空間ではなく、まちの中で堂々とコスプレをやりたいと考えていました。コスプレイヤーの子たちは、渋谷や六本木の盛り上がりには入っていけないだろう。でも池袋ならできるのでは?と区長に相談に伺ったら「やりましょう」と快諾していただいたのが始まりです。商業的なものではなく、純粋にコスプレイヤーの居場所を作りたい。まちにコスプレイヤーの劇場を作りたい。「ぜったい楽しいから集合!」というイベントのキャッチコピーにすべての思いをこめました。僕も本気でコスプレしています!

鈴木:池袋に集まる方は、心からコスプレを愛していますよね。ルールを決めて、お客さんと一緒に安全に楽しめる空間を作ってこれたのは大きいです。周辺のお店の方が受け容れてくださっていることも力になります。

横澤:ごみが落ちていないのがすごい!コスプレイヤーの魂を感じます。何かあれば自分たちの文化まで否定されてしまいますから。

鈴木:自分たちさえ楽しければではなく、この文化を守ろうという意識がありますね。

ネット社会とリアルな場が出会うまち池袋

――国際アート・カルチャー都市構想ではリアルとバーチャルの融合をうたっています。加速するネット社会と、リアルな出会いの場の創出をどのように捉えていらっしゃいますか。

横澤:今までの都市は機能重視で、商業は商業、工業は工業とたて割りの進化を遂げてきたと思います。情報もテレビや雑誌から得るものが中心でした。でもインターネットで自分の好きなものを能動的にキャッチすることで価値観が多様化するにつれ、特に若者はそれまでのたて割りのコミュニティには収まりきれなくなってしまいました。その点、池袋にはサブカルチャーもあり、ハイカルチャーもあり、商業があって、職人さんもいて、雑司が谷のような風景もある。どんな人にもストーリーを創りやすい魅力があります。

僕たちのニコニコ動画も、6,000万人の会員がさまざまなカテゴリーの上に立って一つのコミュニティが形成されているという点で池袋と似ています。こうしたネットの持つ面白さと、リアルなまちをつなげることができたら、まちを劇場にすることが可能になってくると思います。

アナログかデジタルか、バーチャルかリアルかという境界線を超えたプラットフォームをどのように作るのか。どういう部分にバーチャルが必要なのか、すべての世代に対してどういうまちであるべきなのか。そういう視点に立ったまちづくりには、まだどこも挑戦していないはずです。

鈴木:アニメイト池袋本店は他店と異なり女性のお客様が9割近くなのですが、池袋というまちが女性を呼び込む努力をしていたからこそ、ここまで増えたのだと思います。特別視されないから、自分の趣味をオープンにして、仲間をつくりたい人が増えてきましたね。池袋に来て自分を表現することによって、普段の生活も楽しく過ごせるんです。

横澤:表現するなら池袋に行けば安心だなという傾向は、生まれつつあります。また、そういう人たちが集まることで商業も変わると思うんです。コスプレに特化したカフェや居酒屋ができたり、プラスアルファのにぎわいがどんどん生まれてくるでしょう。回遊性が高まれば、みんなで何時間も遊べるまちに変わっていきます。そういう意味で、自分の好きなこと、得意なことを表現できるフィールドを、これからもっと用意したいと考えています。

 

プロフィール

横澤大輔 DAISUKE YOKOSAWA

株式会社ドワンゴ 取締役CCO。池袋ハロウィンコスプレフェス統括プロデューサー。ニコニコ動画の公式生放送番組を立ち上げ、ニコニコ超会議では統括プロデューサーとして10万人規模のイベントを手がけている。豊島区国際アート・カルチャー都市プロデューサー。

鈴木英理花 ERIKA SUZUKI

株式会社アニメイト宣伝部。1日平均1万人が来店するアニメイト池袋本店などの運営や、女性向けコンテンツを集めた「アニメイトガールズフェスティバル」の宣伝プロデューサーとして企画にたずさわる。

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