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南大塚都電沿線協議会 小山 健 さん

更新日:2021年3月9日

インタビュー

今でこそ南大塚都電沿線協議会はバラの植栽活動を中心とした活動をおこなっていますが、発足当初は街の美化活動がメインでした。

話はいまから約14・15年前に遡りますが、当時の都電沿線は自転車やバイク、マットレスといった粗大ゴミが至る所に放置されていたり、雑木雑草がうっそうとして非常に汚い状態でした。もちろん治安だって悪くなるし、街としてもこのまま放置していては何一つ良いことは無いと思い、そこから1年をかけて沿線の清掃をしていたんですが、ゴミのなかからバラが100株くらい出てきました。どうやら誰からも見向きもされないまま、ずっとそこにあったみたいですね。

なぜここにバラがたくさんあるのか不思議に思い調べてみたところ、区の公園緑地課が今から約30年近く前に植えたものらしい?ということまでは分かりました。折角だからここにバラをたくさん植えてバラロードにしよう!ということで植栽を始めたのが今でも続いている活動のいわば原点でしょうか。

さぁ、これから!と意気込んではみるものの私自身バラのことは全く知らなくて…。ただ、沿線協議会の中には詳しい人がいたのでその方から色々と教わりながら活動していました。また、山形県村山市に東沢バラ公園という公園があるんですが、協議会のメンバーでそちらに伺って色々と勉強させてもらいました。当時の市長からは「バラ村山」というバラの株を頂いたほかに協議会と山形県村山市の方々との間で民間交流も始まり、まちで商人まつりを開催する際には村山市の方々をお呼びして一緒にバラの販売や物産展を開いてもらうといったお付き合いをさせていただいています。

主だった活動としては大塚駅南口駅前広場「TRAMパル大塚」から都電荒川線向原駅までの都電の線路沿いのスペースを使ってバラの植栽を行っています。毎月第三日曜日が定例の作業日となっており、毎回30人くらいの会員が集まっていますね。

活動範囲となる都電荒川線の大塚駅から向原駅までを踏切ごとに11エリアに分け、それぞれで皇室のバラ、イギリスのバラ……といった具合に種類を分けて植えています。全体で考えると700種、1,100株ほどかなぁ。無農薬で育てているので虫がついたり、夏には雑草も生えてきたりと大変な場面は多いです。でもバラは香りがすごく良くて、見るだけでなく香りも楽しむことができるので、そこは大切にしている部分です。

バラの植栽以外でも活動はあって「バラの見守り隊」というものを作りました。きれいに咲いているバラを見て、ぜひこの道を散歩してください。そして、歩いているなかでゴミが落ちていたり、枝が折れたバラを見つけたら我々に知らせてください、というものです。一人暮らしをされているご高齢の方にお願いをして参加してもらっているんですが、植栽は難しくてもこういう形であれば活動に参加もできるでしょうし、やりがいや生き甲斐みたいのを少しでも感じ取ってもらえたら…とね。

活動を始めてから3年目で日本花の会から優秀賞を授かり、その5年後には「第25回全国花のまちづくりコンクール」で国土交通大臣賞と「第35回緑の都市賞」で奨励賞を頂きました。これらは私たちが続けてきた活動が公に認めてもらえたということで、本当に大きな励みとなって良かったなぁとつくづく感じています。

こうした成果もあって、我々の活動も周囲でも知られるようになってきました。「私も参加したいです」と言ってくれる人がちらほらと見えられるようになって、年齢でいうと30~60代といったところが多いですね。定年退職された後に何かできないかということで訪れる男性が多いかなという印象があります。設立当初は60名くらいだったかなぁ…当時のメンバーも高齢になって抜けた人もいるけど、代わりに参加してくれる人も毎年のようにいるからトータルで見ると年齢的にも若返っているし人数だって80人くらいまで増えていると思いますよ。

私としては協議会の活動を通して喜んでもらえることが何よりも嬉しく思います。まちの皆さんに「いつもありがとうございます」と声をかけていただいたり、子どもから高齢者まで幅広い年代が一緒になって楽しく仲良く活動をしたりと人と人のつながりが大事なんだと思います。参加者はみんな和気あいあいと活動をしています。ぜひ一緒になってバラを育てながら大塚のまちを明るくしていくためにも、皆さんの参加をお待ちしています!

文化の灯をともし続けるために

コロナの影響ですが、一番大きかったのは春秋に行っている「バラまつり」ができなかったことでしょうか。

みなさんにバラを楽しんでもらったり、ポスターの貼付やチラシを配ったり、トランパルでのフリーマーケットの開催といったことを行ってきたものです。我々の活動を大々的にアピールする場でしたから、それができなかったというのは非常に残念でしたね。

でも日ごろ行っている植栽はみんなでマスクをして続けてきました。コロナが流行っていてもバラは関係なく育っていくからね。むしろコロナより大変だったのが異常気象です。屋外での作業なので夏は汗だくとなるし、特に今年(2020年)は梅雨が長引いた後での猛暑の影響もあって秋のバラの開花が例年だと10月くらいなのに1か月くらい遅れて咲きました。

これから先もきれいなバラを咲かせて、みんなを元気づけたいと考えています。たとえバラまつりはできなかったとしてもバラを家で楽しんでもらえるよう、今年は、トランパル広場で苗木の即売会だけは実施したいと。これだけは何が何でもやりたいと決めています。

 

 

 

 

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