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出産・子育てで不利にならない社会構築のための意見書

学校法人東京医科大学内部調査委員会は、2018年8月7日調査報告書を公表し、長年にわたって2次試験の小論文の採点において、受験者が女性であることのみを理由として差別する点数操作を行っていたことを明らかにした。東京医科大学関係者は、得点調整を行った理由を、「女性の医師は、出産で仕事を休んだり、子育てで急な出勤や長時間の勤務が難しくなることがあり、あまりに増えてしまうと人手が足りなくなり、病院の運営に支障を来すおそれが出るため、女子の合格者数を抑えることになった」と説明した。

出産に起因する休業は一時的なものであり、出産後職務に復帰できる環境は当然に整えられる必要がある。また、出産は女性にしかできないことであるが、子育ては男性も共通の課題である。しかし、根強く日本社会に存在する「固定的性別役割分担意識」のもとでは、女性が子育てによって勤務時間が制限される傾向が生じ、そのことが女性の機会損失や不利益取扱いにつながっている。医療現場においては医師の過酷な勤務実態がかねてより問題視されており、女性医師が出産・子育てをしながら勤務を継続するには過酷な状況であるということである。医師の働く環境の改善を図らずに入り口で、女性という理由だけで排除するのは全く不合理であり、医療分野における女性の参画拡大を図ることができないばかりか負の連鎖を招くこととなる。

こうした問題は、医療分野にとどまらず、働く女性をめぐる社会全体の問題として根底から意識改革を行う必要がある。2015年に公表された第4次男女共同参画基本計画では「男女が自らの意思に基づき、個性と能力を十分に発揮できる、多様性に富んだ豊かで活力ある社会」「男性中心型労働慣行等の変革等を通じ、仕事と生活の調和が図られ、男女が共に充実した職業生活その他の社会生活及び家庭生活を送ることができる社会」等を目指すべき社会として掲げ、そのための施策を社会全体で進めていくことを謳っている。しかし、世界経済フォーラムが発表した各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数2017によると、日本の順位は144か国中114位で、前年の111位からさらに後退している。特に、政治分野等、指導的立場にある女性や、研究者・科学者等、専門職の女性割合が低いことが指摘されている。

東京医大女子減点問題に端を発し、あらゆる分野で、女性が出産・子育てを理由に機会損失や不利益取扱いが生じていないか改めて検証を行う必要があると考える。

よって豊島区議会は国に対し、各分野において、出産・子育てで不利にならない社会構築のための対応を強化し、性別によらずに個々の能力が十分に発揮され、それぞれの職務を全うできる環境整備と意識改革のための実効性のある施策を実施することを強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成30年10月29日

豊島区議会議長 磯 一昭

衆議院議長

参議院議長

内閣総理大臣

厚生労働大臣

内閣府特命担当大臣(男女共同参画)あて

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更新日:2018年12月13日