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更新日:2024年9月18日
インタビュー
みなさんはつまみ細工というとどんなイメージをお持ちでしょうか?七五三や成人式でよく見る髪飾りを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
つまみ細工は江戸時代から続く日本の伝統工芸のひとつで、正方形の小さな布片を折り、たくさんの「つまみ」を組み合わせて形づくる技法。簪(かんざし)や装飾品に使われてきた技法です。
今回は、豊島区の伝統工芸保存会会員でもあり、「一般社団法人 伝統工芸つまみ細工技術協会」代表理事の齋藤小風氏につまみ細工についてお話を伺いました。
小風さんは、幼いころから細かい手作業が得意で、布や折り紙が大好きだったそう。着物も大好きでよく時代劇を見る中で簪(かんざし)が自然と目に入り、つまみ細工のこともなんとなく知っていたとのこと。
初めてつまみ細工に取り組んだのは20歳のころ。国立国会図書館に通い、昔のつまみ細工の作業を映した動画を何百回と繰り返し見て、動きや材料をひたすら観察。練習を重ねて、すべて独学で学んだとのこと!こうしてゼロから自身で作りあげた技法、齋藤流を創設。
つまみ細工というと簪(かんざし)のイメージが強いが、それだけに留まらない。小風さんはつまみ細工で表現することを「わたしが発する『言葉』」という。
例えば、こちらの作品のタイトルは「自画像」。自分の想いや伝えたいこと、その時感じたことを思うままに表現していったとのこと。1辺が1メール以上する作品だ。使用した布地は全部で13メール以上にも及んだそう。
黒や赤、紫色の部分は絹地を使用している。絹地は蚕(カイコ)を殺生し、紡ぎだされる糸から作る布地だ。上部にある膨らんだ部分の中には綿でつくられた黄色や白、緑のつまみが並ぶ。綿は生を全うしてから得られるピュアな素材だ。
この異素材を組み合わせて、絹の部分で人間の“汚れ”を表現し、綿の部分で自分の中の守りたいピュアな“美しい”部分を表現したという。作品を通して伝えたかったことは
「人は生きているだけで様々な外的要素、例えば憎しみや妬み、怒りなどの醜い感情により汚れていってしまうが、そういった要素から自身の中にある守るべき無垢な部分があり、また、その醜さの中にも美しさを見出していきたい」という小風さんの想いだ。
つまみ細工の技法は表現できる幅が広い。アウトプットの形は身近な簪から始まり、装飾品からアート作品に変貌し、ファッションがそうであるように時代とともに変わっていく。つまみ細工が表現技法のひとつとしての認知が広まれば決して廃れることはない。小風さんは「つまみ細工の技術、表現の幅に焦点を当てて、表現技法の一つとして、後世に伝えていきたい」としている。
小風さんは「基礎から学ぶつまみ細工」の伝統工芸教室も開催しています。
ご興味ある方はぜひ!
ペンネーム:モッチー
自己紹介:豊島区に住んで十数年。年々、進化して魅力を増す豊島区が大好きです
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