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子育て支援の拡充を求める意見書

 厚生労働省が発表した令和3年の出生数は81万1,622人で、6年連続で過去最少を更新した。少子高齢化による人口減少はわが国最大の国難であり、その解決を図るべく、令和元年10月から幼児教育・保育の無償化が開始されたが、出生数の減少に歯止めがかかっていない。そうした中、国や自治体が実施する子育て支援策には所得制限が設けられているものが多く、支援の対象から外れてしまう子供が多くいる現状がある。

 令和3年度に実施された「子育て世帯への臨時特別給付金」では、児童手当の所得制限に準拠し実施され、豊島区においては全体の約34%の子供に支給されなかった。

 当該給付金については、政府は、自治体の判断で所得制限をかけないことを追認し、その財源には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充当することも認めたため、これを財源に所得制限対象世帯にも給付した自治体もあった。しかし、東京23区の自治体においては、所得制限対象世帯が多いことと、財源とすべく臨時交付金が、コロナ対策の需要に見合わない算定額で財源を賄えず、所得制限世帯への給付は行われなかった。

 児童手当に関しては、令和4年10月支給分より、所得上限限度額以上の世帯の特例給付が廃止された。また、0~2歳までの幼保無償化をはじめ、障害児福祉手当、高等学校等就学支援金制度等の各種支援策のいずれにおいても所得制限が設けられたことに伴い、そうしたしわ寄せが子供の進路や将来の可能性を狭めることにつながりかねない。さらに、こうした所得制限の設定により、手当や助成等も含めた総収入額が逆転する不公平な現象が生じており、頑張って働けば働くほど子どもへの給付が無くなってしまうという事態は、働き盛りとされる子育て世帯の就労意欲をそぎ、最終的には、少子化をより一層促進させるおそれもある。

 特に東京の子育て世帯の負担感は大きく、国土交通省が令和3年に示した「都道府県別の経済的豊かさ」の報告書では、生活コストの負担を勘案すると「東京都の中間層世帯は、他地域に比べ経済的に豊かであると言えない」と結論づけている。

 居住地で給付の不均衡が生じる状況は、子育て世帯の負担感と不公平感を増大しかねない。

 内閣府の「令和4年版少子化社会対策白書」では、夫婦が理想とする子供数を持たない理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最も多くなっている。我が国の将来を担う子供たちにしっかりと予算を割いていくことは、未来に対する投資であり、親の所得にかかわらず、全ての子供が平等に扱われるべきである。また、そうすることが誰もが子供を産み育てやすい社会の形成につながり、出生数の改善にも寄与するものと考える。

 よって、豊島区議会は国会及び政府並びに東京都に対し、児童手当をはじめとした各種子育て支援策に係る所得制限を撤廃し、さらには、多子世帯に対する支援の充実など子育て支援を拡充するよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。

 令和4年12月6日
                                                         豊島区議会議長 木 下 広

衆議院議長

参議院議長

内閣総理大臣

財務大臣

文部科学大臣

厚生労働大臣

内閣府特命担当大臣(少子化対策)

東京都知事 あて

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更新日:2022年12月8日