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「こころの健康を守り推進する基本法」(仮称)の制定を求める意見書

国民が幸せな人生を送るためには、健康問題が一番重要な問題です。健康は、からだとこころの両方があって初めて健康です。

今、こころの健康問題が深刻な事態となっています。厚生労働省の「患者調査」によると、2008年の精神科受診者は323万人です。これは国民の40人に1人です。この人数は、糖尿病(237万人)、がん(152万人)など主要疾病を上回る最大の患者数です。うつ病は100万人を超えています。国民の少なくみても5人に1人は一生に一度は精神疾患にかかると言われています。

また自殺者数は14年連続3万人台です。日本の自殺はイギリスの3倍で、先進諸国最大の自殺大国となっています。自殺の多くの背景には精神疾患があります。引きこもりは、厚生労働省の公式発表では80万人で予備軍は150万人です。虐待や依存症問題など、国民のこころの健康問題は危機的状況です。

精神疾患やこころの健康問題は、国民一人一人にとって切実な問題となっています。
同時に、この問題は社会や経済活動からみても重要な問題となっています。世界的に権威のある科学雑誌「ネイチャー」(2011年10月発売)によると、EUでは精神疾患の損失は88兆円で、それは日本の国家予算に匹敵する額となっています。

そのため先進諸国では、医療の中で、精神医療を最重要課題と位置づけて対策を強めています。イギリスでは自殺を10年間で15.7%減らしています。

日本では精神保健医療改革を本格的に進めなければ、少子高齢化のピークを迎える2025年には30兆円の社会経済的損失になると予想されています。

このような中で、厚生労働省は平成23年7月に、精神疾患を今までのガン・急性心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病の「4疾患」に新たに精神疾患を加えて「5疾患」とし、精神疾患を医療政策の重点疾患へと位置づけを転換しました。

しかし、日本の精神医療の現状は、先進諸国で唯一精神科病院への隔離収容(入院中心)です。精神科病院の職員の配置基準は、職員総数は一般病院の半分、医師数は一般病院の3分の1など低い基準の「精神科特例」があります。精神科病院の収入は、一般病院の4割という「精神科差別」もあります。精神科病院が一般病院の半分の医療体制で、しかも予防・早期発見・早期支援の役割を担う精神保健体制が確立していないままでは、精神疾患が「5疾患」・重点疾患に位置づけられても、適切に機能できません。

そこで、精神保健医療を総合的に改革するために「こころの健康を守り推進する基本法」を今年の通常国会で実現し、日本の精神保健医療のあり方を総合的に改革することが必要です。

「こころの健康を守り推進する基本法」制定については、2011年12月1日、国会に超党派の「こころの健康推進議員連盟」が立ち上がりました。

「こころの健康推進議員連盟」には、4人の厚生労働大臣経験者や二つの党の党首が顧問に就任しています。2012年の通常国会で「こころの健康を守り推進する基本法」(仮称)実現に向けた推進体制が確立しました。

精神保健医療が「5疾患」にふさわしい体制、時代の変化に的確に対応できる体制を確立させることを要望します。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成24年7月6日

豊島区議会議長 村上 宇一

衆議院議長、参

議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣あて

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