ここから本文です。
所得とは収入から必要経費を差し引いた金額をいいます。税法上、所得は10種類(給与・事業・利子・配当・譲渡・不動産・一時・退職・山林・雑)に分類されています。そのうち、退職所得・山林所得及び譲渡所得等の分離課税分を除いて合計したものを総所得といいます。
給与所得=給与収入-給与所得控除
勤務先から支払いを受ける給料・賃金・賞与など(パート・アルバイトによる収入も含む)を給与収入といい、そこから給与所得控除額を差し引いた金額を給与所得といいます。
給与収入から給与所得を計算する場合は、次の表を使います。
給与収入(A) |
給与所得 |
|
---|---|---|
令和2年度以前 |
令和3年度以降 |
|
1,618,999円以下 |
(A)-65万円※1 |
(A)-55万円※1 |
1,619,000円以上1,619,999円以下 |
969,000円 |
1,069,000円 |
1,620,000円以上1,621,999円以下 |
970,000円 |
1,070,000円 |
1,622,000円以上1,623,999円以下 |
972,000円 |
1,072,000円 |
1,624,000円以上1,627,999円以下 |
974,000円 |
1,074,000円 |
1,628,000円以上1,799,999円以下※2 |
a×0.6 |
a×0.6+10万円 |
1,800,000円以上3,599,999円以下※2 |
a×0.7-18万円 |
a×0.7-8万円 |
3,600,000円以上6,599,999円以下※2 |
a×0.8-54万円 |
a×0.8-44万円 |
6,600,000円以上8,499,999円以下 |
(A)×0.9-120万円 |
(A)×0.9-110万円 |
8,500,000円以上9,999,999円以下 |
(A)-195万円 |
|
10,000,000円以上 |
(A)-220万円 |
※1…0円以下となる場合は給与所得金額は0円となります。
※2…1,628,000円以上6,599,999円以下の収入については、4,000円単位で端数整理します(これが表中のaに該当します)。
例:給与収入1,769,211円の場合
その年中の特定支出の額の合計額がその年中の給与所得控除額の2分の1相当額を超えるときは、その超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。
・特定支出の項目
1通勤費2転居費3研修費4資格取得費5帰宅旅費6勤務必要経費
※特定支出控除を受けるには、税務署への確定申告が必要です。
1.給与収入金額が850万円を超え、下記の(ア)から(ウ)のいずれかに該当する場合には、次の計算式により計算した金額が給与所得の金額から控除されます。
(ア)本人が特別障害者に該当する
(イ)年齢23歳未満の扶養親族を有する
(ウ)特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する
<計算式>
所得金額調整控除額=(給与収入金額(1,000万円を超える場合は1,000万円)-850万円)×10%
2.給与所得および公的年金等に係る雑所得の金額があり、給与所得および公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合には、次の計算式により計算した金額が給与所得の金額から控除されます。
<計算式>
所得金額調整控除額=(給与所得(10万円を超える場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得(10万円を超える場合は10万円))-10万円
事業所得=事業収入-必要経費
製造業・卸売業・サービス業・農業・漁業その他の事業から生ずる所得(山林所得・譲渡所得に該当するものは除く)をいい、営業等所得・農業所得の2種類に分けることができます。
公社債・預貯金の利子などによる所得を利子所得といいます。利子所得には必要経費はありません。収入がそのまま所得になります。なお利子所得は、所得税15%・住民税5%が源泉徴収(源泉分離課税という)されます。
※日本国外の銀行の利子等、所得割(総合課税)の対象になるものもあります。
配当所得=配当収入-借入金の利子※
株式会社などの法人から受ける剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配などによる所得を配当所得といいます。一定の上場株式等の配当等については、所得税15%・住民税5%が源泉徴収されます。
※借入金の利子とは、株式等を取得するために借り入れた負債の利子のことです。
土地建物等以外【総合課税】
譲渡所得=譲渡収入-必要経費-特別控除(50万円)
土地建物等【分離課税】
譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)
株式等譲渡所得【分離課税】
譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用+負債利子)
土地・建物・株式・ゴルフ会員権などの資産の譲渡から生ずる所得を譲渡所得といいます。株式等を除く土地建物等・その他の譲渡所得は、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得にわかれます。
1.土地建物等及び株式等の譲渡については、他の所得と区分し、特別の税率を適用して税額を計算する「分離課税」により課税されます。源泉徴収口座(源泉徴収を選択した特定口座)内の上場株式等の譲渡益等については、所得税15%・住民税5%の割合で源泉徴収されます。
2.総合課税の長期譲渡所得については、上記の式で出した譲渡所得の金額を1月2日したものが課税対象額となります。
不動産所得=不動産収入-必要経費
家賃・地代・土地建物の権利金など(事業所得または譲渡所得に該当するものは除く)から生ずる所得を不動産所得といいます。
一時所得=一時収入-必要経費-特別控除(50万円)
※上記の式で出した一時所得の金額を1月2日したものが、課税対象額となります。
生命保険の満期保険金、懸賞当選金品、競馬などの払戻金など、一時的に生ずる所得を一時所得といいます。
退職所得=(退職収入-退職所得控除)×1月2日(※)
退職により勤務先から受ける退職手当などの所得を退職所得といいます。
令和4年1月1日以降に支払われるべき退職金について、勤続年数5年以下の場合は、退職金から退職所得控除額を控除した残額の2分の1を退職所得金額とする措置が廃止されました。ただし、退職金から退職所得控除額を控除した残額が300万円以下の部分には引き続き2分の1課税を適用します。
詳しくは「9.退職手当の支払いがあるとき」へ
山林所得=山林収入-必要経費-特別控除(50万円限度)
山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することにより生ずる所得を山林所得といいます。
ほかのどの所得にも該当しない所得で、おもに国民年金・厚生年金などの公的年金等(非課税所得に該当するものは除く)、生命保険などの私的年金及び本業以外の原稿料・印税・講演料などを雑所得といいます。雑所得の計算方法は、公的年金等とそれ以外の雑所得で次のような違いがあります。
雑所得=公的年金等の収入-公的年金等控除
公的年金等の収入から雑所得を計算する場合は、次の表を使います。
公的年金等の収入(A) |
公的年金等に係る雑所得 |
|||
---|---|---|---|---|
令和2年度以前 |
令和3年度以降 |
|||
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額 |
||||
区分なし |
1,000万円以下 |
1,000万円超2,000万円以下 |
2,000万円超 |
|
330万円以下 |
(A)-120万円※1 |
(A)-110万円※1 |
(A)-100万円※1 |
(A)-90万円※1 |
330万円超410万円以下 |
(A)×0.75-37万5千円 |
(A)×0.75-27万5千円 |
(A)×0.75-17万5千円 |
(A)×0.75-7万5千円 |
410万円超770万円以下 |
(A)×0.85-78万5千円 |
(A)×0.85-68万5千円 |
(A)×0.85-58万5千円 |
(A)×0.85-48万5千円 |
770万円超1,000万円以下 |
(A)×0.95-155万5千円 |
(A)×0.95-145万5千円 |
(A)×0.95-135万5千円 |
(A)×0.95-125万5千円 |
1,000万円超 |
(A)-195万5千円 |
(A)-185万5千円 |
(A)-175万5千円 |
公的年金等の収入(A) |
公的年金等に係る雑所得 |
|||
---|---|---|---|---|
令和2年度以前 |
令和3年度以降 |
|||
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額 |
||||
区分なし |
1,000万円以下 |
1,000万円超2,000万円以下 |
2,000万円超 |
|
130万円以下 |
(A)-70万円※1 |
(A)-60万円※1 |
(A)-50万円※1 |
(A)-40万円※1 |
130万円超410万円以下 |
(A)×0.75-37万5千円 |
(A)×0.75-27万5千円 |
(A)×0.75-17万5千円 |
(A)×0.75-7万5千円 |
410万円超770万円以下 |
(A)×0.85-78万5千円 |
(A)×0.85-68万5千円 |
(A)×0.85-58万5千円 |
(A)×0.85-48万5千円 |
770万円超1,000万円以下 |
(A)×0.95-155万5千円 |
(A)×0.95-145万5千円 |
(A)×0.95-135万5千円 |
(A)×0.95-125万5千円 |
1,000万円超 |
(A)-195万5千円 |
(A)-185万5千円 |
(A)-175万5千円 |
1…0円以下となる場合は公的年金等に係る雑所得の金額は0円となります。
雑所得=雑収入-必要経費
所得から住民税額を算出する計算方法は、総合課税と分離課税の2つに分けられます。
総合課税とは各所得を合計して住民税を計算することで、分離課税とはある所得を他の所得とは合計せずに、別々に分けて課税することをいいます。
区民税:6%
都民税:4%
分離課税される所得は、分離課税の特例制度の方法により所得割を算出します。
土地・建物等の譲渡所得に対する所得割額については、他の所得と分離して、次のとおり短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けて算出します。
短期譲渡所得……譲渡をした年の1月1日において所有期間が5年以下の土地・建物等の譲渡による所得
長期譲渡所得……譲渡をした年の1月1日において所有期間が5年超の土地・建物等の譲渡による所得
譲渡収入-(譲渡した資産の取得費・譲渡費用)-特別控除額(注)
(注)収用などによる公共事業用地等としての土地等の譲渡(5,000万円特別控除)、
地方公共団体などが行う住宅地造成事業等のための土地等の譲渡(1,500万円特別控除)、
居住用財産の譲渡(3,000万円特別控除)などがあります。
所得の種類 | 税率と計算方法 | ||||
---|---|---|---|---|---|
区民税 | 都民税 | 所得税 | |||
短期譲渡所得 | 一般分 | 5.4% | 3.6% | 30% | |
国等に対する短期譲渡所得(軽減分) | 3.0% | 2.0% | 15% | ||
長期譲渡所得 | 一般分 | 3.0% | 2.0% | 15% | |
優良住宅地等に係る長期譲渡所得(2,000万円以下) | 2.4% | 1.6% | 10% | ||
優良住宅地等に係る長期譲渡所得(2,000万円超) | 3%-12万 | 2%-8万 | 15%-100万 | ||
優良住宅地等に係る長期譲渡所得について特別控除の適用がある場合(注1) | 3.0% | 2.0% | 15% | ||
居住用財産(注2)の譲渡に係る長期譲渡所得(6,000万円以下) | 2.4% | 1.6% | 10% | ||
居住用財産の譲渡に係る長期譲渡所得(6,000万円超) | 3.0%-36万 | 2.0%-24万 | 15%-300万 |
(注1)収容等により土地等が買い取られた場合の5,000万円の特別控除の特例などを適用した場合には、軽減税率の特例は重ねて適用することができないため、上記の税率となります。
(注2)所有期間が10年超のものを譲渡した場合に限ります。
課税山林所得金額×税率(区6%・都4%)
上場株式等に係る課税配当所得等の金額×税率(区3%・都2%)
上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額×税率(区3%・都2%)
一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額×税率(区3%・都2%)
先物取引に係る課税雑所得等の金額×税率(区3%・都2%)
退職所得に係る所得割額は、他の所得に係る所得割額と区分して、退職手当が支払われる際に差し引かれます。これを「現年分離課税」といいます。
課税退職所得金額×税率(区6%・都4%)
お問い合わせ