ここから本文です。

平成12年度 豊島区行財政緊急再建計画

はじめに

住民福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げることは自治体の使命であり、行財政運営を時代の変化に適合するように不断に見直すことが求められております。このような認識のもとで、豊島区では数次にわたる行財政改革を実施し、とりわけ、平成7年度以降は財政状況が極めて厳しさを増す中で、財政再建に全庁をあげて取り組んでまいりました。

平成8年度には「行財政改革推進本部」を設置し、平成9年から11年までの3年間にわたる「豊島区行財政改革計画」を策定し、職員定員の削減、事業の民間委託の推進、執行方法の見直しによる経費の削減等を図り、行財政改革を進めております。

しかしながら、これまでの行財政改革の推進への努力にもかかわらず、予想を超える不況の長期化等により、現在の区財政はむしろ深刻化しているのが実態です。このため12年度の予算編成では一層踏み込んだ施策の見直しを行い、更なる行財政改革を実施しなければ、自治体としての倒産を意味する財政再建団体への転落さえも危惧される状況です。

財政再建の早急な実現こそが、何よりも今一番に行わなければならないことだと考えます。
そこで、平成12、13年度予算の編成に向けての2か年を、特に「行財政緊急再建期間」と位置付け、集中的に財政健全化に取り組むことといたしました。この行財政緊急再建期間におきましては、さらに徹底した内部努力の実施、施策全般の見直し、緊急避難的な措置の検討、を行うことといたします。

本計画は、行財政緊急再建期間の1年目の計画であり、計画名称もこれに対応するものとしております。

なお、平成12年度には、介護保険制度の実施と都区制度改革による清掃事業等の移管が行われますが、現時点においては国や東京都との財源配分等が未確定という状況です。従って、本計画では、介護保険及び都区制度改革に関する事項は除外しています。また、東京都の財政再建推進プランにかかわる財政調整の動向も不明確ですので、これらについても除外したものとしています。

財政再建に当たっては、従来にも増した行財政改革の実施が必要とされることになりますが、この行財政改革に対する揺るぎ無い決意を現すために、区長をはじめとする特別職の給与の削減、及び、管理職の管理職手当の一部返上を、11月から向こう1年間行うことといたしました。

財政は、区が実施する施策の基盤であり、早急な財政状況の改善がなくしては施策の充実も為し得ません。区議会の従来にも増したご指導を賜り、一刻も早く区財政の再建を図ることを目指したいと考えております。
行財政改革は区民の皆様に直接・間接に影響が及ぶものですが、区財政の現状と本計画の推進につきまして、更なるご理解とご協力を切にお願い申し上げます。

平成11年11月

豊島区行財政改革推進本部長 豊島区長 高野 之夫

内部努力の徹底

組織・定員の適正化

組織の再編成

区民に身近な基礎的自治体として自立的に施策展開が行えるよう、組織・機構を再編成する。

  1. 再編の基本的方向
    • (ア)部門の集約による総合的な課題対応能力の強化
    • (イ)区民の参加と協働の下での地域優先の区政運営の強化
    • (ウ)自主・自立的な政策展開の強化
  2. 組織再編案
    • (ア)政策経営部
      区政の基本的な政策の立案等を担当する部門
    • (イ)総務部
      内部管理等を担当する部門
    • (ウ)区民部
      暮らしの安心・安全と地域の活性化を担当する部門
    • (エ)清掃環境部
      資源循環型社会の構築と環境問題を担当する部門
    • (オ)保健福祉部
      健康でいきいきと暮らしていくための施策を担当する部門
    • (カ)子ども家庭部
      子育て・家庭支援、青少年健全育成を担当する部門
    • (キ)都市整備部
      ゆとりある都市空間づくりの計画・推進を担当する部門
    • (ク)土木部
      暮らしやすい街づくりの基盤整備・管理を担当する部門
  3. 管理職ポストの削減
    組織の簡素効率化の視点から、部長級5ポスト、課長級4ポスト、計9ポストを削減する。
  4. 実施時期
    平成12年4月1日

出張所制度の改革

  1. 見直しの方向
    出張所について、行財政改革による組織・定員の適正化を図りつつ窓口サービス機能・地域振興機能を強化するとともに、地域の行政サービスの拠点・地域コミュニティの核とすることを目指して、現在の12か所の出張所を2か所の区民事務所に再編成する。
  2. 新たな区民事務所
    2か所の区民事務所を設置し、住民記録等いわゆる窓口事務については事務所ごとの管轄区域を設けない。
    • 東部区民事務所勤労青少年センター内
    • 西部区民事務所旧平和小学校
      (注釈)戸籍住民課を区民課に改組し、区民事務所の機能を担う。
  3. 自動交付機の設置
    • (ア)区立施設に自動交付機を設置し、「住民票の写」、「印鑑登録証明書」、「税証明書」の交付について対応する。
    • (イ)設置場所は、以下の12か所とする。
      • 区民課
      • 池袋本町ことぶきの家
      • 池袋図書館
      • 勤労福祉会館
      • 雑司が谷社会教育会館
      • 東部区民事務所
      • 駒込社会教育会館
      • 巣鴨社会教育会館
      • 西部区民事務所
      • 南長崎第一児童館
      • 目白図書館
      • アトリエ村
    • (ウ)設置施設の開設日・時間に合わせ、平日の時間外、土曜日・日曜日等にも稼動する。
  4. 出張サービス
    区民事務所に来られない障害者、高齢者等については、職員による出張サービスや福祉部門等との連携のもとに支援していく。
  5. 実施時期
    平成12年4月1日

定員の適正化

  1. 平成12年度からの4年間で200人の定員削減を図る。ただし、清掃移管による東京都からの派遣職員は含まない。平成12年度は、55人の削減を目標とする。
    • 定員適正化計画
      • 削減目標200人
      • 平成12年度55人
      • 平成13年度55人
      • 平成14年度40人
      • 平成15年度50人
      • 合計200人
    • 参考
    • 平成8年度~11年度過去の定員削減の経緯
      • 削減目標250人
      • 平成8年度76人
      • 平成9年度82人
      • 平成10年度68人
      • 平成11年度57人
      • 合計283人
      • 達成率113%
  2. 事務事業の見直し、執行方法の効率化等により、定員の見直しを図る。
    また、民間事業者によるサービスの提供が可能な業務については、民間の活用を図る。退職者の補充は当分の間不補充とし、再雇用・非常勤・臨時職員等を活用する。
  3. 中学校の区費事務職員については、引き続き小規模校において配置を見直す。

非常勤職員等の見直し

  1. 再雇用職員数の抑制
    再雇用職員数を引き続き平成9年度の総数以内に抑制する。
  2. 図書館非常勤職員制度の推進
    11年度に引き続き司書等の専門知識等を有する非常勤職員の活用を推進し、サービスの向上を効率的・効果的に進める。
  3. 非常勤職員の見直し
    非常勤職員については、業務を効率化して人員の削減に努めるとともに、雇用形態を見直す。

給与等の見直し

  1. 特別職給料等の削減
    平成11年11月から1年間、下記により削減する。
    1. 給料を、区長は20%、助役は10%、教育長・収入役・代表監査委員は5%を削減する。
    2. 期末手当を、区長は50%を削減する。
  2. 管理職手当の一部返上
    平成11年11月から1年間、管理職手当を10%返上する。
  3. 特殊勤務手当の見直し
    1. 税務事務特別手当を廃止する。
    2. 交替制勤務特殊業務手当について支給対象者を見直す。
    3. 放射線業務手当を見直す。
    4. 福祉事務所現業手当について支給対象者を見直す。
  4. 日額旅費、日当の見直し
    1. 日額旅費を廃止する。
    2. 日当のうち近接地内出張に係るものを廃止する。

財政運営の透明性の確保

  1. 財政白書の発行
    平成8年度に続き11年度中に財政白書を発行し、財政運営の実態を明らかにする。
  2. バランスシート(貸借対照表)による財政分析
    平成11年度中にバランスシート(貸借対照表)を作成し、企業会計的な視点から区の財務状況を明らかにするとともに、行政コストの分析を行う。
  3. 外部監査制度の導入
    区政の透明性、信頼性をより一層高めるとともに、事業の経済性・有効性等を検証する観点から、外部監査制度を導入する。
  4. 行政評価制度の検討
    区の施策の効率性、効果性等を検証する行政評価について、検討を開始する。

施策の見直し

新規・拡充事業の抑制

義務的事業や一般財源負担の生じないものを除き、新規・拡充事業は原則として実施しない。

投資的経費の抑制

  1. 施設建設の抑制
    施設の必要性・優先度・財政負担等を勘案して、施設建設を抑制する。
  2. 施設建設コストの見直し
    施設体系毎の標準仕様の策定や単価設定、コスト管理等を行い、建設費を見直す。

庁舎等建設基金の廃止

新庁舎・新公会堂建設の方針は堅持するが、財政状況を勘案し、庁舎等建設基金を廃止する。

事務事業の見直し

事務事業を以下のとおり見直す。

廃止・休止・縮小する事業

  1. 廃止する事業〔4件〕
    • (ア)消費生活モニター
    • (イ)長寿夫婦記念品贈呈
    • (ウ)高齢者・障害者世帯家具転倒防止器具設置
    • (エ)学校職員給与等現金輸送
  2. 休止する事業〔5件〕
    • (ア)東京芸術劇場における豊島区コミュニティシアター
    • (イ)商工業経営研修講座
    • (ウ)福祉事業(バスハイクの休止)
    • (エ)極少道路調査
    • (オ)管楽器クラブ整備
  3. 縮小する事業〔30件〕
    • (ア)としま区民芸術祭「としま能の会」(助成額の見直し)
    • (イ)としま区民芸術祭「区民参加による演奏会」(助成額の見直し)
    • (ウ)東京芸術劇場における区民補助(助成額の見直し)
    • (エ)本庁舎および分庁舎維持管理(エレベーター運転委託の廃止)
    • (オ)区立小中学校防災井戸設置(新規設置の休止)
    • (カ)地域防災組織育成(小型消火ポンプ買い替えの休止)
    • (キ)小型貯水槽設置・小型消火ポンプの併設整備(新規配備の休止)
    • (ク)地域防災無線システム整備(新規配備の休止)
    • (ケ)区政連絡会運営(区政手帳等の廃止)
    • (コ)商店街共同施設整備事業(補助率、補助限度額の見直し)
    • (サ)産業ニュースの発行(頁数等の削減)
    • (シ)夏期・歳末見舞金(夏期見舞金給付の廃止)
    • (ス)敬老週間事業(喜寿祝品廃止、白寿・百歳以上の祝品単価の見直し)
    • (セ)原爆被爆者援護(見舞金の見直し)
    • (ソ)奨学基金援護(奨学金の見直し)
    • (タ)低所得者層法外援護(夏・冬見舞い品の廃止及び入浴券交付枚数の見直し)
    • (チ)心身障害者等福祉タクシー(助成の見直し)
    • (ツ)心身障害者自動車燃料費助成(助成の見直し)
    • (テ)借上福祉住宅供給(新規供給の休止)
    • (ト)都心共同住宅供給(新規供給の休止)
    • (ナ)住宅建設資金融資あっせん・利子補給(新規受付の休止)
    • (ニ)ファミリー世帯住み替え家賃助成(新規助成の休止)
    • (ヌ)神田川警報装置維持管理(水位警報装置保守委託の見直し)
    • (ネ)花と緑のゆたか島実施助成(花と緑の区民祭休止、さつき展・菊花展実行方法の見直し)
    • (ノ)区立中学校ブラスバンド維持費(楽器購入の休止)
    • (ハ)青少年委員(委員数の見直し)
    • (ヒ)成人の日記念行事(成人式記念品の廃止)
    • (フ)区民体育大会(参加賞の廃止)
    • (ヘ)中央図書館CD貸出(CD購入経費見直し)
    • (ホ)中央図書館(図書貸出センターの休止)

補助金の見直し

補助金をその目的に応じて区分した上で、それぞれ以下の方針により見直す。

  1. 事業助成(特定の事業・研究等を奨励する目的で公益上必要と認めた場合に支出するもの)
    最低限10%の削減とする。
  2. 団体補助(各種団体の財政補完的な目的で公益上必要と認めた場合に支出するもの)
    • (ア)30%の削減を原則とし、団体の活動内容等によっては50%の削減あるいは廃止とする。
    • (イ)公益性の高いものであり、原則により難いものにあっては10%の削減とする。
      なお、すべての補助金を廃止した上で新たな視点からの見直しを行う等、補助金についての抜本的な改善手法を検討する。
  3. 執行方法の見直し
    個々の事務事業について、執行方法等の簡素・効率化を図り、経費を節減する。
  4. 借上げ施設賃料の適正化
    民間賃料との比較に基づき、契約更新時に賃料の適正化を図り、経費を節減する。

民間委託等の推進

  1. ことぶきの家の業務委託
    ことぶきの家の用務業務の民間委託を行う。
  2. 配食サービスの業務委託
    高齢者在宅サービスセンターで行ってきた配食サービスについて、調理・配達業務の民間委託を行う。
  3. 学校給食調理業務委託
    平成13年度までに全中学校で、給食調理業務の民間委託を実施することとし、12年度は2校で導入する。

受益者負担の適正化

  1. 中小商工業融資事業における信用保証料
    信用保証料については全額自己負担とする。
  2. 学童クラブ利用料の徴収
    学童クラブの法制化等に伴い、学童クラブ利用料を徴収する。
  3. 施設使用料の改定
    住民の負担公平の観点等から、施設使用料を改定する。
  4. その他の受益者負担
    所得や受益に応じた負担のあり方を検討して、受益者負担を見直す。

所得制限の導入

  1. 心身障害者福祉手当
    心身障害者福祉手当の第2種手当について、第1種手当と同様の所得制限を導入する。
  2. 難病患者福祉手当
    難病患者福祉手当について、心身障害者福祉手当の第1種手当と同様の所得制限を導入する。

歳入の確保

区税等の収納率の向上

特別区税、国民健康保険料、国民年金保険料について、徴収を担当する非常勤嘱託員を導入し、徴収率の向上を目指す。

区有地の売却

下記区有地を売却する。

  1. 高麗清流園跡地
  2. 豊島荘
  3. 目白厚生会館(第5出張所)

公共施設の運営見直し

南長崎第三区民集会室の廃止

南長崎第三区民集会室は、平成12年8月末で借上げの契約期間が満了し、近隣施設での代替が可能なことから、契約期間満了と同時に廃止する。

西部リサイクルルームの借上げ廃止と移転

西部リサイクルルームの民間借上げを廃止し、旧平和小学校へ移転する。

目白厚生会館の廃止

第五出張所の廃止に合わせて目白厚生会館を廃止する。

ことぶきの家の住民自主運営の推進

平成11年度に3館で地域住民による自主運営方式を導入したのに引き続き、12年度には東池袋、池袋本町、高田の3館について導入する。

児童館の見直し

  1. 児童館は、現在5館について開館時間を「午前9時から午後5時まで」から「午前10時から午後6時まで」に変更しているが、平成12年度には、さらに4館程度で同様の変更を行う。
  2. 区立学校の適正配置の実施、少子化傾向等に伴い、運営の効率化の視点から設置数について検討する。
  3. 児童館長の複数館管理も含めて、職員配置のあり方を検討する。

豊島プールの閉鎖

豊島プールは昭和40年の開設以来34年が経過し老朽化が著しいため、閉鎖する。

区立幼稚園(3園)、竹岡健康学園の見直し

区立幼稚園、竹岡健康学園については、存廃について検討し12年度中に結論を出す。

財政援助団体の経営見直し

財政援助団体(7団体)のうち、経営改善計画が未策定のものについては、平成11年度中に経営改善計画をとりまとめ、12年度以降計画に基づき経営の改善を行う。

お問い合わせ

企画課未来戦略推進第1グループ

電話番号:03-4566-2512

更新日:2018年2月21日