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ハンセン病家族訴訟及びハンセン病問題の全面解決を求める意見書

国は、「らい予防法」を制定し1996年(平成8年)に廃止するまで、長年にわたり「ハンセン病患者絶対隔離政策」を続けてきた。2001年(平成13年)の熊本地方裁判所判決は、「らい予防法違憲国家賠償訴訟」に関して国による加害責任を認め、患者本人への賠償を認めた。しかし、国による「ハンセン病患者絶対隔離政策」は、患者の家族たちの人生にも多大な被害を与えたにもかかわらず、国はその責任を認めてこなかった。

その後、2016年(平成28年)2月と3月に「ハンセン病家族訴訟」が熊本地方裁判所に提訴された。2019年(令和元年)6月、熊本地方裁判所は原告の主張を認め、国は控訴せず判決は確定した。

ハンセン病家族訴訟原告団の掲げる「全面解決要求」は次の事項を求めている。

第1 責任の明確化と謝罪

ハンセン病隔離政策が、病歴者本人のみならず家族に対しても違法な人権被害であったこと及びこれまで隔離政策による家族の被害を認めず、その回復のための施策を講じなかったことにつき、責任を認め、真摯に謝罪すること。

第2 名誉回復措置と損害賠償

謝罪広告などにより、広く社会に対し、ハンセン病歴者家族らの名誉回復措置をとるとともに、家族が受けた被害を償うに足りる賠償を行うこと。

第3 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の改正

ハンセン病問題の解決の促進に関する法律につき、1.家族らも隔離政策の被害者であったことを明確化する、2.家族の被害回復をハンセン病問題に関する施策の目的として位置付ける、3.家族らに対する差別の禁止を明文化する、4.家族らのハンセン病問題に関する政策形成過程への参加を保障する、こと等について法改正を行うこと。

第4 恒久対策

1 差別・偏見の解消に向けた施策

法務省・文部科学省を含め、国の行っているハンセン病問題の啓発活動全般につき、国の加害責任に基づく社会構造によるものであることを繰り返し明らかにすること及び病歴者本人のみならず家族にその被害が及ぶことを前提として、抜本的な見直しを行うこと。

2 家族関係回復に向けての施策

社会福祉士や精神保健福祉士を各療養所及び各都道府県に配置する等して、家族関係回復を促進するための仕組みを構築すること並びに家族らのセルフヘルプグループの活動を援助する等の施策を構築すること。

3 継続的な協議

ハンセン病問題対策協議会に家族原告団代表の参加を認め、家族被害の解消をこの協議会のテーマのーつとして位置付けること。

よって、以上のハンセン病元患者家族の「全面解決要求」を実現するために、下記条項が実現されることを求める。

1 国は、ハンセン病元患者家族の被害を直視し、元患者家族に対し謝罪と賠償を行うこと。

2 国は、ハンセン病元患者家族の権利回復のために必要な法整備を行うこと。

3 国は、ハンセン病元患者、元患者家族が差別されることのない真の意味での共生の社会を実現するため、再発防止検討会等を更に充実させ、また、各自治体において啓発活動、教育活動を進めるよう働きかけること。

4 国は、ハンセン病元患者家族のための「相談窓口」の設置、及び行政職員の研修の実施を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和2年3月17日 

   豊島区議会議長 磯 一 昭

衆議院議長 

参議院議長 

内閣総理大臣

厚生労働大臣 あて

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更新日:2020年3月23日