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昨年6月21日に「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「原発事故子ども・被災者支援法」)が全会一致で可決、成立しました。
この法律では、原発事故による被災者への幅広い支援策を、「原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っている」国の責務において推進することを定めています(第3条)。具体的には、人々が支援対象地域に居住し続ける場合も、他の地域へ移動したり、移動前の地域へ帰還したりする場合も、いずれも被災者自身の選択する権利を尊重し支援することとされています(第2条、第8条、第9条、第10条)。
さらに、胎児を含む子どもの健康影響の未然防止や放射線の影響を調査する健康診断の必要性、被ばくによる疾病への医療費減免などが盛り込まれ、なおかつ、被ばくと疾病との因果関係の立証責任は、被災者が負わないとされています(第13条)。
このように、内容的にも画期的な法律が、国会議員自ら被災者の声に耳を傾け、超党派で成立にこぎつけたことは、事故後2年を経過し、将来に不安を抱く被災者にとって希望の灯となりました。
ところが、成立から9カ月経過した現在も、法律に基づいた施策は進んでおりません。この法律の理念・枠組みを具体化すべく、国が支援対象地域の範囲、支援施策の内容、自治体との連携、予算措置などに取り組むことが必要です。豊島区においても、被災地から移動してきた方々が将来への不安を抱えて生活している現状を踏まえると、必要な支援を講じるために、この法律に基づいた施策が早期に実現されることが求められます。
よって、豊島区議会は、政府に対し、下記事項について要望します。
記
1 原発事故子ども・被災者支援法に基づく施策の早期実現に向けて、基本方針を速やかに定め、予算措置を講じて、各種の施策を早期に具体化すること、地方自治体が行う関連施策に対しても国が支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成25年3月22日
豊島区議会議長 村上 宇一
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣
環境大臣
復興大臣あて
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