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更新日:2025年1月28日
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組紐は細い糸を組み上げた装飾のある紐です。
映画「君の名は。」で主人公たちがブレスレットや髪紐として組紐を身につけていて、二人の運命を結び付ける重要なアイテムとなっています。
劇中にはヒロインが丸台を使って組紐を組み上げる印象的なシーンもあり、この映画をみて組紐に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
☆『組紐』とは、細い絹糸や綿糸を組み上げた紐で、「縁を結ぶ」「物と物を結ぶ」「人と人を結ぶ」など、さまざまな意味合いが込められている。
組紐の歴史は古く、縄文時代までさかのぼります。
【京組紐】が公家の装束に使われるとして発祥し、【江戸組紐は】飾り紐としてだけではなく、兜や甲冑に使われる武具として発展してきました。
17世紀以降には庶民が使う帯締めや根付紐などに発展し現代に至ります。
組み台に絹糸を掛け、絹糸を巻いた玉を交互に動かしながら組みます、組み台に掛ける糸の掛け方、玉の動かし方によってさまざまな柄の組紐が仕上がります。
台には古くから、丸台・角台・高台・綾竹台・内記台・重内台・平籠台・篭台などがあり目的によって使い分けられる。
◆材料:絹糸・金糸・銀糸・天蚕糸(てぐすいと)・漆糸
糸染め | 調合した染料に糸を浸して色付けをする |
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糸操り | 糸は小さい枠に巻き取り揃える |
糸操り | 糸を一玉ごとの長さと本数にする |
経(へぎ)切り | 糸えを所定の長さに切り組み、台に玉をつける |
組む | ![]() |
房付け | 足し房 |
ふし取り | 余分に出ている糸を切る |
毛焼き |
アルコールランプやバーナーを使って余分な糸を焼く |
ころかけ |
ころ台ところ棒を使って、組み目幅を整える |
湯のし | 湯気で櫛を使いながら、房をきれいに伸ばす |
房巻き | |
房切り | 房巻きの出来た紐を所定の長さの房付法に揃えて切る |
仕上げ | 端を決まった長さにさばき、ゆるまないように房を仕上げていく |
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笹波(さざなみ) | 唐組と共に丸台で作られる代表的なもの、水面に漣がたっているような組目ができるところから、笹浪組という。 |
貝ノ口(かいのくち) | 堅く・伸縮性が秀れているため武具に使用され、貝の口のように固い紐ということから名付けられた。 |
冠(ゆるぎ) | 適度な厚みと縦に垂直の割れ目が入っているのが特徴で伸縮性があり締めやすく解けにくい |
丸源氏(まるげんじ) | 色の違う矢羽根柄を交互に組み込んでいる点が特徴で、交ぜ柄の代表的な組紐。 |
洋角(ようかく) | 杉の葉が並んだような組目で、組芯を入れて組む。 |
唐組(からくみ)・ |
代表的な平紐、帯締め・羽織紐に使用する高級品 |
東京に何百件とあった工房も、手で組むことのできる職人が在籍する工房はたった3軒となり、豊島区では『平田組紐』だけです。
父である初代平田竹峯さんの意思により紐一筋、純国産にこだわり群馬県産の春子繭(はるこまゆ)を使用しています。
「そんなに組んでて飽きないの?なんて聞く人がいるけど、5歳からやってるのに、いまだに満足いくものができないんだよ。飽きる訳ないじゃない!やめられないよ!」
気風のいい語り口のその言葉からは、職人としての情熱と謹厳さ、長い歴史を持つ組紐に息づく深い世界観が垣間見られます。
一般的な家庭で育った美穂さんが組紐に携わるようになったのは結婚後、糸の使い方など基本的なことを一からお義母さんから厳しく教わったそうです。
「仕上げのみ行う人が多いですが、職人の苦労や編み方を知っておいたほうが良いという夫からアドバイスを受け、組み方も教わりました」と語る
美穂さんの主な仕事は組紐の仕上げです、丹精込めて編まれた組紐のふし取りや毛焼き、ころかけといった仕上げは商品にする大切な作業です。
夫でもある二代目平田竹峯(平田 晃)さんに技術指導を受け、和装の色使いを活かしながら新しい発想の創作組紐を目指しているそうです。
三代目竹峯として修行中。
二代目竹峯である父、晃さんの指導を受け、現在は純国産品の特色を最大限に生かした作品を製作している武士さん。
一本の組紐ができるまでには、紐を組む職人だけではなく、材料の繭を生産する養蚕業、繭から生糸を染める染色業と多くの職人の緻密で繊細な手が加えられています。
日本の伝統美である『組紐』の技術を後世ににつなぐ、武士さんの今後の作品が楽しみです。
◆お問い合わせ:豊島区長崎4-12-2 TEL03-3959-2914
東京農工大学工学部生命工学科名誉教授 朝倉哲郎(あさくらてつお)先生の研究室では、組紐の技術を応用した「シルク製人工血管」の研究が進められています。
従来のポリエステル製人工血管は、直径6mmより細いと移植した時に、血管中に血栓ができてしまい、人工血管がつまってしまいます。そのため、現在市販のポリエステル製人工血管は直径6mmが最小です。
しかしながら、直径6mm以下の人工血管の需要は極めて高いため、これまで多くの国内外の研究者が、直径6mm以下の人工血管の開発に注力してきましたが、いまだ市販品はないのは現状です。
そこで、生体に足して親和性の高いタンパク質であるシルクの特徴に注目し、組紐の技術を生かして直径6mm以下のシルクの人工血管を作製し、ラット(ねずみ)に移植したところ、血栓ができにくく、かつ最終的に、シルクが分解して自分の血管に置き換わることがわかりました。
先人が編み出し、受け継がれてきたその智と技が、現代の科学と結びつき、思いもよらない応用を生み出したのです。
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お問い合わせ
電話番号:03-3981-1316
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