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更新日:2025年7月29日

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乱歩が暮らした池袋 〜旧江戸川乱歩邸に行ってきました!〜

江戸川乱歩邸サムネ

 

豊島区西池袋には、ある有名推理作家が過ごした住宅があります。その名は…江戸川乱歩!

彼が約30年間を過ごした池袋の自宅は、現在「旧江戸川乱歩邸」として一般公開されています。

 

そこで今回は、長期にわたる改修を経て5月にリニューアルオープンした旧江戸川乱歩邸を取材!

江戸川乱歩記念大衆文化研究センターの杉本佳奈先生に館内を案内していただきながら、展示の見どころをたくさん伺ってきました。

これを読んだ方はきっと、乱歩邸に行きたくなること間違いなし★

 

乱歩と池袋

『D坂の殺人事件』『黒蜥蜴』など数々の小説を世に送り出した江戸川乱歩。彼の作品は今もなお多くの読者を魅了し続けています。

江戸川乱歩、というのはペンネームで、本名は平井太郎。旧江戸川乱歩邸の入り口には、今も本名の表札が残されています。

 

江戸川乱歩邸の表札

 

そんな乱歩ですが、超・引越し魔だったというのはみなさんご存知でしょうか?

生涯で引っ越した回数は…なんと46回。

そんな引越し魔の乱歩が最後に落ち着いた場所が、この豊島区池袋の住宅でした。

 

乱歩邸の中へ!

玄関の扉を開け、靴を脱いで上がると…まずは左側に応接間があります。

この応接間、なんと乱歩が自ら設計したとのこと。恐るべし乱歩の才能、レベルが異次元すぎる(°_°)

江戸川乱歩邸の居間

江戸川乱歩邸の椅子

乱歩は、写真左奥の椅子が定位置だったようです。

青い椅子やおしゃれな書斎机を見ていると、何か事件が起きそうな予感が…(?)

乱歩ファンの皆さんは思わず想像したくなるであろう、とってもワクワクする空間です。

 

ちなみに、壁に飾られている乱歩の肖像画は、自身の還暦パーティーの際に贈られたもの。

「ここに来たら60歳の乱歩に会えますね~」と杉本先生と会話しながら、次の展示室へ。

記録魔、整理魔…

展示室1は、今回の改修工事を経て新しく作られました。

この部屋では、乱歩の私生活や作品世界に触れることができます。

 

江戸川乱歩邸の展示室

 

中でも、乱歩の記録癖が分かる「貼雑年譜」は圧巻です。

乱歩は、自身のこれまでの経歴や驚異の引っ越し歴などを事細かく手書きで残したのです。

ライターの私は、昨年大学の授業で乱歩の「貼雑年譜」について聞いたばかりであったため、展示室に入って真っ先にこれが目に入り、思わず嬉しくなりました。

よく見てみると、色の使い分けはもちろんのこと、定規で的確に引いたであろう直線、さらには文字のフォントまで!書き分けています。乱歩の几帳面すぎる性格には、驚きの連続です。

 

そんな乱歩の記録ぶりは、当時乱歩が作成した町内会の記録からも読み取ることができます。

 

杉本先生) 池袋での暮らしを紹介したコーナーでは、作家の江戸川乱歩というイメージよりもむしろ、平井太郎という乱歩の素の生活を知ることができます。乱歩にとって、晩年を過ごしたこの池袋の住宅は「土蔵がある、静かな環境で暮らしたい」という希望にピッタリな場所でした。しかし、引っ越してきた当初の乱歩は人嫌いの性格で、近所付き合いもほとんど無かったそうです。それが一変、戦時中に自身の作品が発禁になったことなどもあり、乱歩は次第に地域の町内会の活動に参加するようになります。展示でも見ることができますが、乱歩は自身の調査力・整理術を発揮し、町内会の資料を作成していきました。そこで周囲から頼られた経験が、人嫌いの乱歩を大きく変えていったのかもしれません。

 

展示室1では「貼雑年譜」の他にも、乱歩の愛用品を数多く見ることができます。

乱歩邸に来たときは、ぜひ一つずつじっくり見てみてください。

 

展示室1を後にしたら、次はいよいよ…!お待ちかねの土蔵です。

引っ越し魔の乱歩がこの地を選んだ理由の一つが、この土蔵でした。

 

 

江戸川乱歩邸の蔵

 

 

こちらの土蔵は、関東大震災の翌年である1924年に当時最先端の耐震技術を用いて建てられました。

当時の土蔵としては珍しく外壁が鼠色であることや、第二次世界大戦時の焼失から免れた点などが評価され、現在では豊島区の指定有形文化財に登録されています。

 

乱歩はこの土蔵を気に入り、書庫として幅広い分野の書籍を保管していました。

海外の文学作品をはじめ、歴史学や哲学、日本の古典文学集など、その豊富さはまるで図書館のよう。

乱歩が執筆作業で参考にしたであろう、犯罪学や心理学の書籍も揃っています。

この土蔵から、今もなお愛される乱歩の作品のアイデアが数多く生まれたのですね。

 

江戸川乱歩邸の階段

江戸川乱歩邸の書庫

 

また、階段を登った2階には、乱歩が自身の歴代作品をコレクションした引き出し棚「自著箱」があります。引っ越し魔・記録魔に続き…整理魔の乱歩。知れば知るほど面白い人柄です。

 

乱歩になった気分で楽しむ

土蔵のあと、最後は展示室2へ。

こちらはもともと書斎と寝室として使われていた場所でした。

旧書斎ではこたつや書棚など、生前に乱歩が執筆していた当時の様子が再現されており、乱歩本人になった気分で展示を楽しむことができます。

 

江戸川乱歩邸のこたつ

 

また、隣の旧寝室では乱歩が撮影したフィルム映像を見ることができます。

乱歩がどのような私生活を送っていたのか、当時の風景を鮮明に伝えています。

 

杉本先生にインタビューしました♪

------これから初めて乱歩の作品を読まれる方へ、杉本先生はどの作品をおすすめしますか?

 

杉本先生) 『押絵と旅する男』と『屋根裏の散歩者』でしょうか。

 

------『屋根裏の散歩者』も良いですよね。では、乱歩の作品がこれまで時代を超えて愛されてきた要因はどこにあるのでしょうか。

 

杉本先生) 進歩を続ける近年の推理小説の面白さとは、また別の良さが乱歩作品にはあるのだと思います。どの時代にも共通する人間の感情や、誰しもが心の底で思っているものを描き出している点が読者を惹きつけているのでしょう。また、少年探偵団のようなこども向けの冒険活劇的な面もあることから、「こどもの時も、大人になってからも、2度楽しめる」というのも、乱歩の作品ならではの魅力ですね。

 

------なるほど、2度楽しめるというのは私も実感しています。では最後に、新しく生まれ変わった旧江戸川乱歩邸にこれから来られる方へ、ぜひメッセージをお願いします。

 

杉本先生) 乱歩邸最大の魅力は、移築ではなく乱歩が本当に住んでいた場所にある、ということに尽きます。今回のリニューアルを経て、乱歩の暮らしを極力当時の雰囲気のままに再現しつつ、新しい展示空間を加えたことで、乱歩の作家としての業績と池袋での日常生活の両面から楽しめる内容になりました。ぜひ、多くの方に足を運んでいただけたら嬉しいです。

最後に

小学生の頃、あの「怪人二十面相」シリーズに熱中していた私が、まさか大学生になって乱歩邸を取材できる日が来るとは、夢にも思っていませんでした。

乱歩ファンとしても念願が叶い、思い出に残る取材になりました。

 

今回の取材のために、わざわざ休館日に案内してくださった杉本先生、

旧江戸川乱歩邸職員の皆様、

本当にありがとうございました!

 

江戸川乱歩肖像画

江戸川乱歩 自宅

 

*旧江戸川乱歩邸(入場無料)

開館曜日: 月・水・金(祝休日の場合は休館)

開館時間: 10:30~16:00

 

旧江戸川乱歩邸の詳細はこちら!

https://www.rikkyo.ac.jp/research/institute/rampo/

 

旧江戸川乱歩邸には、まだまだたくさんの魅力が詰まっています!

ぜひ、西池袋まで足を運んでみてください♪

 

プロフィールアイコンyuka2

ペンネーム:ゆか

自己紹介:豊島区内の大学に通っている大学生です!趣味は寺社巡り、美術館鑑賞、弾き語り…♪豊島区の魅力をまだまだ発掘中(^ ^)

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