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木造釈迦如来坐像(勝林寺)

釈迦如来坐像

<豊島区指定有形文化財>

勝林寺は、元和2年(1616年)に徳川幕府の御殿医中川元享が湯島に創建し、老中田沼意次が中興再建した臨済宗の寺院であるが、像の伝来は不明である。

この像は高さ50.5センチメートルの一木造りで、眼は彫眼、額に白毫相を表し、身体には柄衣を偏担右肩にまとい、両手の指をすべて伸ばして施無畏、与願の印を結び、柄衣で包んだ右足を上にして結珈跣坐している。ただし、現在の両手首から先は後補であるので、当初から釈迦如来像であったか否かは判明せず、平安時代前期における薬師信仰の隆盛とその遺品の多さを考えると薬師如来像であった可能性もある。かつては、肉身には漆箔、着衣には漆塗りが施されていたが、平成28年の修理調査に伴い、江戸時代の後補であることが判明したため、修理後の彩色は行っていない。

小像であるが、面、胸、両脚などのボリューム感が豊かで、堂々とした大きさを感じさせる。また面相には威厳をそなえ、衣は彫りが深く、かなり装飾的であることから、平安時代前期の造立作例と考えることができるが、他の作例と比較検討すると、造立時期は9世紀末と推定される。

東京都における木像としては最も古く、また関東でも数少ない古像であり、平安時代初期の彫刻仏像として貴重な文化財といえる。

(非公開)

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庶務課文化財グループ

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更新日:2022年10月25日