更新日:2025年1月15日
ここから本文です。
あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、健やかに新年を迎えられましたこととお慶び申し上げます。
本日はご多用の中、豊島区新年の集いに、多くの皆様にご参加いただき、心より感謝申し上げます。
昨年は、元日の能登半島地震に始まり、地球温暖化による豪雨被害や、「災害級」と言われた猛暑の記憶が鮮明に残っています。世界を見れば、気候変動の影響による森林火災や、各地で紛争が発生し長期化するなど、未来に危機感を抱くことが数多くありました。
日々の報道を見ても、少子高齢化や人口減少、自然災害への備え、コミュニティの希薄化など、難題が続きます。
コロナ禍が明け、街に人が戻ってきました。豊島区もシティプロモーション課を設置し、まちの魅力の発信に力を入れています。
その一方で、私は、賑わいが増す中で孤独・孤立に直面する人たちが、「声を上げられ、誰かと繋がり続けられる支援」を考えてきました。高齢者、障害のある方、子ども、若者、女性、何らかの事情で引きこもっている人たち、生活困窮世帯、外国籍の親子。誰でも「助けて」と言えるまち、皆で支え合えるまちをつくりたい。
そう思う中、昨年も区内の各地域で、生きづらさを抱える人たちと繋がろうと、力を尽くされる多くの方々の取組みを見てきました。
今、様々な課題が深刻化し、行政として、社会として対峙すべき新しいミッションが生まれています。だからこそ、私は豊島区に暮らし、学び、働き、活動する皆様とともに、一つひとつの課題にひるまず、逃げず、真正面から立ち向かっていきたいと、新年を迎え、改めて強く思っています。
令和7年。今年は巳年。60年周期の干支の中で42番目の「乙巳(きのとみ)」です。乙(きのと)は草木がしなやかに伸びる様子や横へと広がっていく意味を持ちます。そして、巳(み・へび)は、神様の使いとして大切にされてきた動物で、脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされています。そのため、乙巳(きのと・み)の年は、「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく」年になると言われています。
私は乙巳(きのと・み)の生まれであり、新年度を迎える4月は、区長の任期4年の折り返し地点となります。そして、任期の後半が始まるこのタイミングで、区政運営の最高指針となる新しい「基本構想・基本計画」が策定され、「新しい豊島区政」が動き出します。
豊島区の90年を超える長い歴史を引き継ぎながら、新たに生まれる「基本構想・基本計画」。策定にあたっては、「みんなでつくる」と表明し、区民の皆様との意見交換を重ねてきました。
公表した素案に対しては、若い方からご高齢の方まで、そして企業・団体の方々など、400を超えるご意見が寄せられ、感謝とともに、現在、計画案に活かすべく検討を進めています。
区民の皆様のご意見を伺う中で、特に印象的だったのは、「もっと区役所を身近に感じたい」「区の取り組みに参加したい」という声が多かったことです。これに応え、区役所をもっと開かれた場所にしたい、区政に参画しやすい仕組みを作りたいと考えています。
その前提として、区が考えていることに対する区民の考えを聞く/もっと外に出て、もっと街の人と関わる/提案を聞き、政策を皆で磨く/そして、決まったことをわかりやすく伝える。そうした建設的なコミュニケーションを、区を挙げて進めてまいります。
今後10年間の豊島区の未来を描く「羅針盤」となる「基本計画」では、「7つのまちづくりの方向性」を掲げ、その最重要分野として、「安全・安心なまち」を位置付けました。災害、治安対策、健康危機管理、住環境、コミュニティ力の強化など、ハード・ソフトの両面から、区民の生命と生活を守る、強靭で安全・安心なまちの実現に取り組んでまいります。
災害対策については、本年、地域防災計画を5年ぶりに改定します。避難に支援を要する方への対策や、女性の目線からの避難所運営・備蓄物資の見直しなどを盛り込みました。皆様の防災力の向上に役立てていただけるよう、要点をわかりやすくまとめたミニブックも作成します。
首都直下型地震が「来るか、来ないか」ではなく、「地震が来ても、避難行動、避難生活は大丈夫か」を考え、様々な確認をいただきたいと思います。
区政の重要な柱である「教育」については、昨年、区長として何を目指すかを示す「教育大綱」を策定しました。豊島区に生まれ育つ子どもが、どんな環境であっても、未来に夢と希望をもって、元気に、たくましく歩みを進めてほしい、との思いを込めています。
障害があっても、言葉が不自由でも、経済的に厳しくても、どの子もわくわくする体験ができる、本物の文化を観る、聴く、参加できる機会をつくる。また、「小1の壁」と言われる問題に対して、学校が始まる前に子どもたちを受け入れるなど、子どもと家庭を取り巻く課題に寄り添える教育施策を推進していきます。
また、昨年、今後20年かけて進める「学校改築計画」を発表しました。これまで仮校舎の設置場所が見つからず、計画が示せなかった学校改築が動き出します。計画の推進には、地域の皆様のご理解・ご協力が欠かせません。何卒よろしくお願いいたします。
そして、まちづくり。昨年11月、池袋駅西口地区再開発がついに都市計画決定となりました。「駅袋」からの脱却を目指し、歩行者空間を拡大する再開発の動きが加速してまいります。
そして東口。人中心の交通環境を目指し、検討を進めていきます。
池袋のまちづくりの強みは、そこで活躍する80を超える多様な主体が参加する「池袋エリアプラットフォーム」です。池袋のまちの魅力や価値を向上させる、人が主役の「ウォーカブルなまち」を目指す、官民連携での取り組みに、大いに期待をしています。
また、若者・女性への応援、高齢者、障害者への支援、そして、「子育てしやすい街ランキング」全国第3位になった子育て支援にも、力を入れてまいります。特に、地域とつながる「居場所」の創出。地域の支援ネットワークとの連携のもと、イキイキと健康で暮らせる、社会的なつながりの場づくりを進めたいと考えています。
産業振興、環境美化も、進めるべきことが数多くあり、いずれも、皆様との連携が欠かせません。
そして、豊島区として大事にしている文化。
地域が誇る文化を大切にすることと併せ、様々な環境に置かれている子どもたち、障害のある方など、自分自身では文化を楽しむことに困難を抱える人たちへの応援、さらには未来ある若者、未来のアーティストたちへの応援に、としま未来文化財団と手を携え、力を入れてまいります。
これまで多くの皆様にご参加いただいた「国際アートカルチャー特命大使&SDGs特命大使」制度を発展させ、子どもや若者などの文化活動を応援する「区民による区民の文化応援団」として再構築いたします。ぜひ、引き続きのご参画をお願いいたしたく存じます。
限られた財源のもと、自治体が進めていくことの中には、誰にとっても望ましいものと痛みを伴うものがあります。私たち豊島区役所は、皆様と対話しながら、継続性も大事にした上で、今年も変化を起こしていく。必要なことは変えていく。
将来のあるべき姿に向けてチャレンジし続けていく。新たな基本構想・基本計画で目指す、将来の街の姿の実現に向けて、職員一丸となって全力を尽くしてまいります。
ですが、まちづくりは、行政だけが行うものでも、誰かに頼るものでもありません。区民自身がプレイヤーであり、地域社会がどうあるべきか、皆様と一緒に考えてまいりたい。
そして、区民だけでなく、区制90周年を機に立ち上げ、今や305もの企業・団体にご参加いただいている産官学連携組織「チームとしま」の活動の発展も、豊島区の強みとしていきたい。
本年も、皆様の一層のお力添えを心よりお願い申し上げます。
本日の開催にあたりましては、冨士元囃子連中様、豊島区邦楽連盟様、豊島区茶道華道文化連盟様に、華やかなお出迎えにご協力いただきました。誠にありがとうございました。
結びに、本日お集りいただきました皆様とご家族のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、私の新年の挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年1月7日
豊島区長 高際 みゆき
お問い合わせ
電話番号:03-3981-1111