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更新日:2026年2月10日

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目次

 

令和8年第1回区議会定例会 招集挨拶・所信表明

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 令和8年第一回豊島区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

 令和8年度は私が、区政の舵取りを担わせていただいてから、4年目となり任期の最終年を迎えます。

 私の区政運営における基本姿勢は、就任当初から変わることなく、区民の声を聴き、区民とのつながりを深めながら、区民目線による区政を推進することです。

 豊島区に関わる多くの方々の「豊島区はこうあってほしい」との「願い」や「思い」を区政に反映、具現化した「基本構想・基本計画」では、「3つの理念」と「7つのまちづくりの方向性」を掲げました。

 基本構想を貫く「3つの理念」、「誰もがいつでも主役」「みんながつながる」「出会いと笑顔が咲きほこる、憧れのまち」は、豊島区に関わるすべての区民、企業、団体、NPO、大学等の皆様が共有し、すべての活動の土台となる行動指針です。この指針を、「まちの文化」として育んでいくことが、豊島区の新時代を切り拓き、未来につながり、発展するために欠かせないと考えております。

 そして、この理念の実現に必要な、「7つのまちづくり」の推進にあたっては、これまで目指すべき都市像として築き上げ、本区の組織風土として息づく「文化を基軸としたまちづくり」や「経済・社会・環境の好循環を目指すSDGsの実現」による様々な施策を、継承に留めることなく、さらに発展させてまいります。

 また、豊島区を動かすのは私一人だけではありません。職員一人ひとりが、山積する様々な課題に対して、情報を共有し、知恵を出し合って、考え抜きながら責任を持って政策を進める。全庁一丸となった「チーム豊島区」で「誰もがいつでも主役になれる持続可能なまち」の実現に向けて邁進してまいります。

2 令和8年度予算案

 次に、令和8年度予算案について申し上げます。

 一般会計は1,690億円、3特別会計を合わせた当初予算案の総額は2,300億円となり、ともに過去2番目の規模となります。

 歳入額は、区の2大財源のひとつである「特別区民税」が、納税義務者数や一人当たり課税額の増を見込み、32億円増となる385億円、もう一つの「特別区財政調整交付金」は、調整税等の増を見込んで、39億円増となる404億円を計上しております。

 経費別歳出では、給与改定や職員数の増などを反映し、人件費を前年度比20億円増の300億円と見込み、投資的経費は千川中学校複合施設整備や千早図書館改築、市街地再開発事業などに係る経費として、254億円を計上しております。

 令和8年度予算案には、区民の皆様のお声をもとに、投資的経費を除く新規・拡充事業として267事業、60億円を計上しつつ、学校改築や老朽化施設の更新、公園の再構築など、将来的に見込まれる公共施設の更新需要への備えとして、「義務教育施設整備基金」に50億円、「公共施設再構築基金」に40億円を計上するなど、必要な基金を積極的に積み立てました。また、年度間の財源不足や災害等不測の事態に備えるための「財政調整基金」については、2年連続で取り崩しを行いません。このように、令和8年度は、「持続可能な区政運営を実現するための礎となる予算」として編成できたものと認識しております。

 将来へ備えた予算を編成できた一方、不合理な税制改正の影響額は107億円まで上昇すると見込まれ、この額は、おおよそ学校1校の改築経費に当たります。これまでの流出累計額650億円で申し上げれば、今から2038年までの12年間にも及ぶごみの収集・運搬・処理に係る経費に相当します。区政連絡会等の場で、区民の皆様からも、ふるさと納税による税の流出を危惧する声が挙がっており、今後も引き続き、国に対して、制度の廃止を含めた抜本的な見直しを求めてまいります。

 昨年末に発表された国の「令和8年度税制改正大綱」では、「利子割交付金」や「地方法人課税」に対する措置のほか、東京都が課税する特別区の土地に係る「固定資産税」について、著しく税収が偏在しているという見解から、必要な措置を検討する旨が記載され、特別区の貴重な税源をさらに吸い上げる動きが見受けられます。これは、令和8年度単年で見込まれる「107億円」に上乗せされるもので、こうした、さらなる不合理な税制改正の拡大は、地方税の本旨である「受益と負担」の関係を無視し、豊島区に住み、活動する人々が本来享受すべき行政サービスの財源を奪うものであり、到底、見過ごすことはできません。本件につきましては、12月19日に特別区長会として緊急声明を出しており、今後、東京都とも連携しながら、断固反対の声をあげてまいります。

 議員各位におかれましても、本区が作成したチラシ等を活用され、「ふるさと納税を利用することによって、区民のために使われるべき税金が他自治体に流出し、これまでの行政サービスが受けられなくなる可能性がある」ことについて、区民の皆様への積極的な周知をお願いいたします。

 続いて、「令和8年度予算の重点テーマ」について、申し上げます。

 新たな「基本構想・基本計画」をスタートさせた令和7年度は、豊島区に関わるすべての皆様の行動指針である「3つの理念」を共有しながら、「安全・安心」「子ども・子育て」「教育」「住宅施策」の4つを重点テーマに掲げ、全庁を挙げて取り組んでまいりました。

 2年目となる令和8年度は、引き続き、これらに力を入れるとともに、「福祉」「健康」「産業振興」を新たな重点テーマといたしました。「住宅施策」については、生活の基盤である住まいへの支援として、「福祉」に位置づけております。

 以下、それぞれの取組みについて申し上げます。

3 令和7年度から継続する重点テーマ

3-1 安全・安心

 まず、「7つのまちづくりの方向性」の一番目に位置づけている「安全・安心」についてです。今日起こるかもしれない災害のために、備えは待ったなしであり、来年度も、防災力の向上に一層力を入れて取り組んでまいります。また、区民の皆様から強く改善を求められている民泊対策など、生活環境の保全も重要な課題です。

3-1-1 防災対策

 震災に対する備えとして、必要な備蓄の整備とともに、実践的な訓練を積み重ねていくことが重要です。

 昨年12月、都内自治体として初となる東京都主催の「避難所運営に関するセミナー」が本区で開催されました。当日は、町会役員や防災士、女性防災リーダーなど83名が、トイレの環境衛生の維持や、要配慮者や女性が安心して避難できる環境づくりなど、救援センター開設後の運営に係る課題を学びました。3月7日には、課題を踏まえた実践的な運営訓練を行います。

 また、救援センターの開設・運営には、町会役員をはじめとする地域の皆様を支援する仕組みも必要です。防災の専門家である防災士や女性防災リーダーに加え、荷物の運び込みや機材の設置など、運営を補助する「防災サポーター」の創設を検討しております。

 さらに、外国人が総人口の13%である本区において、これからの防災訓練には、日本人・外国人が共に参加して行うことが欠かせません。そこで、まずは、日本語の理解不足に加え、災害発生時の知識が乏しく、町会などの地域コミュニティとの接点が少ない外国人区民に向け、防災啓発事業をスタートします。地震や水害などの対応方法や備えについて、外国人に分かりやすいテキストを作成して、日本語学校等での出前講座や防災イベントの際に配布し、地域における防災訓練の参加につなげる取組みを進めてまいります。

 一方、災害時において、自宅に倒壊、焼損、浸水などの危険性がない場合は、救援センターへの避難ではなく、むしろ自宅で生活を続ける「在宅避難」の方が安全と言えます。区内に1千棟以上ある分譲マンションでは、在宅避難の強化が喫緊の課題となっているため、来年度より、マンション管理組合を対象に防災アドバイザーを派遣するとともに、マンション内コミュニティの活性化や町会等地域との連携強化を目的とした、東京都が実施する「東京とどまるマンション認定制度」の周知を徹底するなど、マンションの防災力を強化してまいります。

3-1-2 区民の生活環境を守る

 次に、民泊条例改正後の取組みについて申し上げます。

 現在、改めて区内民泊の運営状況や営業実態を調査しており、民泊を示す標識の掲示を含めた現地確認を進めています。また、先月、策定・公表した「豊島区住宅宿泊事業不利益処分等取扱要綱」では、事業者の違反行為に対する処分内容を定め、指導・命令の実効性を高めております。なお、指導の徹底にあたりましては、昨年12月に担当職員を2名増員、4月にさらに増員し、体制強化のもと、臨んでまいります。

 一方、平成30年の住宅宿泊事業法施行と同時期に、旅館業法が改正され、一室での営業、いわゆる一部屋旅館での営業が可能となりました。これにより、今後民泊から通年営業する一部屋旅館へ「鞍替え」する事業者が増えるのではないか、騒音やごみの不適切な取扱いなどの民泊と同様の問題が起こるのではないか、という不安の声が寄せられています。旅館業の許可申請も増加していることから、区としても今後の状況を注視しつつ、一部屋旅館の実態を把握し、条例改正など必要な対策を講じてまいります。

 次に、地域の防犯力向上に向けた取組みについて申し上げます。

 地域のイベントや会合に参加させていただく中で、区民の皆様から、繁華街における客引きやポイ捨て、路上喫煙、騒音など、体感治安の悪化に関する訴えが多くなり、統計上も区内の刑法犯認知件数が令和4年から増加を続けていることから、私も強い危機感を抱いております。

 今後、地域の皆様から幅広くご意見やご不安を受け止める機会を設けるともに、人と人とのつながりを大切にした防犯活動をはじめ、防犯カメラの設置補助や防犯機器購入助成等の支援を継続し、地域防犯力を向上させてまいります。

 次に、公衆喫煙所について申し上げます。

 昨年9月、東京芸術劇場前に設置した区内初のコンテナ型喫煙所は、1日あたり約2,000名の方にご利用いただいており、また12月には、区内4か所目の民間事業者による喫煙所「サンカクスクエア喫煙所」が、東池袋4丁目に設置されました。

 しかしながら、区内全域のたばこに関する苦情は、12月末時点で約300件を超え、昨年同月と比べて増加しています。こうした状況を解消すべく、来年度は、大塚駅周辺に新たな公衆喫煙所を設置するとともに、地域美化、受動喫煙防止の両面から、地域の皆様とともに、路上喫煙対策のさらなる強化を図ります。

 次に、AED(自動体外式除細動器)の屋外設置について申し上げます。

 区内施設に設置している約300台のAEDのうち、24時間使用が可能なものは、繁華街や駅周辺などに集中するコンビニエンスストアの84台のみであります。いつでも、迅速な救命活動が行えるよう、24時間使用できるAEDの空白エリアを対象に、来年度から17か所の区施設において、屋内に設置されているAEDを屋外に移設、または新たに配備し、救命率を向上させてまいります。

3-2 子ども・子育て支援

 次に、妊娠・出産から切れ目のない支援を通じ、安心して子育てができる環境を築く「子ども・子育て支援」について申し上げます。

3-2-1 体験格差の是正

 はじめに、子どもたちの体験活動に関する取組みについてです。

 区民ひろばでは、小学生を中心にアート制作やデジタル技術を活用し、直接芸術に触れながら作品を生み出す体験をはじめ、メタバース空間でのゲーム開発やダンス、アーバンスポーツの体験会など、子どもたちの創造性を育み、安心して過ごせる居場所づくりに、引き続き、力を入れてまいります。

 区立小学校では、来年度より4年生を対象に、劇団四季による芸術鑑賞教室を行います。費用負担なく、本物の芸術に触れる機会が加わることで、子どもたちの学びをより深めるとともに、豊島区で育つ子どもの体験活動を充実させてまいります。

 また、新たな文化体験事業として、「子どもスキップ」などで、子どもたちがアーティストや地域の方々と交流しながら、「演劇や音楽って楽しい」と思えるきっかけづくりに取り組みます。事業を実施する際には、民生・児童委員や青少年育成委員、子ども食堂の活動などを通じて、特に言葉の壁や障害、経済的な事情などの理由から、文化に接する機会の少ない子どもの参加を促すとともに、会場への引率を含めたサポートを行うことで、誰もが参加しやすい環境を整えてまいります。

 さらに、区と両輪となって文化施策を推進する「としま未来文化財団」では、誰もが気軽に文化活動に親しめる環境づくりを進めています。今年度から、文化の裾野を広げることを目的に、「としま文化応援団事業」を開始しており、この事業を核として、特に子どもや若者の参加機会を創り出し、区内全域で子どもの文化芸術体験を応援できる機運を高めてまいります。

3-2-2 池袋保健所跡地を活用した居場所づくり

 次に、池袋保健所跡地を活用した居場所づくりについて申し上げます。

 現在の池袋保健所の敷地は、引き続き令和10年3月まで、UR都市機構から借用できる見通しとなったことから、子どもや若者が安心して過ごせる「居場所」として、活用いたします。

 壁の少ない2階をスケートボードやパルクール、ダンスなどのアーバンスポーツや℮スポーツを体験できるスペースとして活用します。細かく仕切られている1階は、中・高生が気軽に立ち寄り、自習や交流ができる「YA図書館サテライト」をはじめ、子ども・若者総合相談「アシスとしま」の出張相談所、生活の悩み事などを話し合える「ケアリーバー(児童養護施設退所者等)のための居場所」、また、区民提案事業である、多文化交流を通じ、妊婦や子育て世帯が安心して子育てを楽しむことができる「妊産婦・子育て世帯等の居場所」の開設準備を進めてまいります。

3-2-3 子育て世帯への支援

 次に、子育て世帯への支援について申し上げます。

 産後の母子に対して、助産師等が心身のケアや育児のサポート支援を行う産後ケア事業は、利用実績が伸びており、特に、宿泊日数の増を求める声が多いことから、この日数を3泊4日から6泊7日に拡大します。出産直後の負担が大きい時期に支援を充実させることで、新たな家族と共に始まる生活をサポートしてまいります。

 また、来年度から、5歳児健康診査の試行を始めます。

 現在、3歳児健診の次は小学校入学前の就学時健診となり、入学までの期間が短いことから、お子さんの発達特性に応じた適切な学習環境を選択できないなどの課題があります。5歳児健診の結果を踏まえ、早期に適切な支援を行うことで、スムーズな就学につながる一方、就学に向けた保護者に対する子育て相談等、地域での支援体制の構築が必要となります。試行を通じ、通園している保育所等と課題を共有しつつ、児童発達支援センターや民間の児童発達支援事業所、教育センター等の関係機関が連携し、お子さんの特性に合わせた支援体制を整備してまいります。

 本区では、外国人区民が増える中、日本語を母語としないお子さんや保護者からの相談が増加しており、言葉の壁などから孤立しやすい家庭に対し、必要な情報や支援を届ける重要性が高まっています。本区では、今年1月から、学校の日本語教室を修了した児童へのフォローも含め、地域の関係機関等と連携して支援を行う「多文化キッズコーディネーター」の活動がスタートしました。来年度は、この多文化キッズコーディネーターを核とし、相談支援や学習支援、交流事業を一体的に実施する拠点として「多文化キッズサロン」を開設し、悩みや不安に寄り添いながら必要な支援につなげてまいります。

3-2-4 児童養護施設の整備

 次に、児童養護施設の整備について申し上げます。

 児童養護施設は、立地環境や敷地の広さなどを総合的に勘案し、西部子ども家庭支援センター移転後の跡地を候補として整備することといたしました。今後は、民設民営の児童養護施設を誘致するため、令和9年度に事業者選定を行い、令和13年度の開設を目指します。児童養護施設が設置されることで、区内で暮らすことが望ましい子どもの受け皿になるとともに、ショートステイの利用による、保護者の育児疲れや育児不安等の緩和など、課題を抱えた子育て家庭への支援環境が、より整います。こうした取組みにより、「豊島区社会的養育推進計画」の理念に掲げる「置かれた環境に関わらず、全ての子どもの最善の利益を守る豊島区」を実現してまいります。

3-3 教育

 次に、子どもたちの未来を切り拓く「教育」を、さらに前進させる取組みについて申し上げます。

3-3-1 就学援助

 はじめに、就学援助についてです。

 本区の就学援助制度における「所得基準」は、平成24年時点の「第68次生活保護基準額」の1.2倍としており、23区の中でも標準的な水準となっています。

 しかし、近年、賃金上昇を上回る物価高騰が続き、経済的に困窮している世帯の負担が一層重くなっている状況にあることから、来年度より所得基準を「第68次生活保護基準額」の1.4倍に引き上げ、23区内の上位となる水準にまで広げます。

 さらに、各支給費目の額を支出実態に合わせて増額するとともに、経済的な格差が教育格差となることを防ぐため、家庭学習に必要な学習参考書の購入費や各種検定の受検料、調べ学習のための博物館見学等に掛かる入館料など、子どもたちの将来の夢に向けた活動を応援する「学習応援費」を区独自に新設します。これは23区初のものとなります。

 子どもたちの教育機会が損なわれないよう支援する「就学援助制度」の目的を踏まえ、学習費用の支出が困難な家庭に対し、必要な支援をしっかりと届けてまいります。

3-3-2 地域と連携した教育活動の充実

 次に、学校と地域が連携した教育活動の充実についてです。

 本区では部活動改革として、有償ボランティアが顧問をサポートする「外部指導者」の拡充や、教員に代わって部活動の顧問を担える「部活動指導員」の配置、部活動の地域移行の実証事業として「としま地域クラブ」の運営を行ってまいりました。

 来年度は、学校での持続可能な部活動を目指すため、練習試合や大会への引率をはじめ、生徒・保護者との調整など、外部指導者にはできない役割を担う「部活動指導員」を区立中学校全校に配置します。人材確保にあたっては、コミュニティ・スクールの活用や「チームとしま」との連携など、本区の強みである「地域とのつながりの強さ」を最大限生かし、学校が安心して部活動をお願いできる地域人材の発掘・活用に努めてまいります。

 また、これまで区立小中学校では、地域の方々や保護者で構成する「学校運営連絡協議会」において学校行事への協力を依頼してきましたが、子どもたちを取り巻く環境や学校が抱える課題は、学校だけで解決することは難しく、地域や保護者との連携・協働がこれまで以上に必要な状況となっています。このため、本区では、学校運営に関わる地域・団体等が行事への参加にとどまらず、地域とともに学校の目標やビジョンを共有しながら、教育活動などを支援する「コミュニティ・スクール」への移行を進めています。現在、小学校9校、中学校5校で移行が完了しており、来年度は全校に導入いたします。

 さらに、コミュニティ・スクールの機能を強化させるため、「地域コーディネーター」の配置を4校から全小中学校に拡大し、授業内容を充実させるための企画・提案・実施の支援や、学校支援に必要な地域人材の発掘などを通じて「地域とともにある学校づくり」に取り組んでまいります。

3-3-3 不登校対策

 次に、不登校対策について申し上げます。

 本区では、不登校を地域全体で支えるべき重要な課題と捉え、子どもたちの「心の安定」と「学びの保証」を両輪とし、学校・家庭・地域・関係機関が連携した支援の充実を柱とする「不登校対策総合計画」を3月に策定します。パブリックコメント等を通じ、「不登校の子どもを持つ保護者同士が交流できる仕組みづくり」や「学校外の学習支援サービスの情報発信」など、保護者や専門家からいただいた貴重なご意見を盛りこんだ本計画に基づき、来年度も不登校対策に力を入れてまいります。

 また、本区では、教室に行けない子どもが自習の場として利用する「校内教育支援センター」を、今年度から全ての中学校に設置しておりますが、来年度の2学期までに、全ての小学校にも設置し、子どもたちが安心して過ごせる居場所を確保してまいります。

 さらに、学校以外の取組みとして、「区民ひろば要」において、新たに「居場所づくり事業」を実施します。日頃から区と地域と学校が一体となって活動している「区民ひろば」の強みを活かし、学校に行けない子どもたちにとって、家から外へ踏み出す第一歩となること、また、保護者にも気軽に利用していただき、地域の皆様との交流を通じて、悩みや不安の解消につながる場となることを目指します。

3-3-4 教育施設の整備

 次に、学校改築を含めた教育施設の整備について申し上げます。

 昨年度策定した「公共施設更新計画」に基づき、朋有小学校と西巣鴨中学校の校舎一体型小中連携校と駒込地区の学校改築事業に着手しており、今後、それぞれの「考える会」から、子どもたちを含め関係者の思いがたくさん詰まった提言書をいただきます。

 駒込地区では、仮校舎地にある民間建物の解体工事が順調に進んでおり、今年の秋には、仮校舎の建設工事が始まる予定です。建設業界を取り巻く環境は年々厳しさを増しておりますが、計画に遅れを来すことなく、着実に学校改築を進めてまいります。

 また、今般の改築計画に位置付けられていない学校では、学校図書館を改修し、新たな学びの拠点となる「学習情報センター」の設置を進めます。具体的には、来年度以降、要小学校と巣鴨小学校において、最新の機能と充実した空間の中で、子どもたちが伸び伸びと図書に触れあい、交流しながら、多様な学びをさらに深めることができる環境を整えてまいります。

 地域図書館では、上池袋図書館のリニューアルオープンが6月に近づいております。また、千早図書館が来月中旬から休館し、改築工事に入ります。

 いずれの図書館も、基本計画で示した、家庭・学校・職場とは異なる、誰もがそれぞれのスタイルで快適に利用できる空間として、さらには地域コミュニティの拠点となるよう整備するとともに、図書館司書が学校で読み聞かせを行うなど、学校との連携を強化してまいります。

4 令和8年度の重点テーマ

 次に、令和8年度の新たな重点テーマとして掲げた「福祉」「健康」「産業振興」について、申し上げます。

4-1 福祉

 来年度の重点テーマの第一は「福祉」とし、高齢者・障害者・生活に困窮している方などが、住み慣れた地域で暮らし続けられる支援の充実を図ってまいります。

4-1-1 住まいへの支援

 高齢者の一人暮らし世帯の割合が日本一高い本区にとって、高齢者の居住や暮らしを包括的に支える仕組みの構築が、喫緊の課題となっています。生活の基盤である住まいへの支援を強化するため、「住宅・マンション課」の居住支援業務を福祉部へ移管し、「くらし・居住支援課」を創設します。支援を必要とする方が安心して暮らし続けられるよう、居住支援法人等と連携し、住まい探しの実地同行や入居後の見守りなど、福祉の視点を基軸とした居住支援を着実に推進いたします。

 加えて、様々な事情で生活にお困りの方の相談窓口である「くらし・しごと相談支援センター」に「住まい相談支援員」を新設し、住まい探しの支援や各種福祉サービスへのつなぎなど、包括的な支援を通じ、相談者の生活の安定・自立を支えてまいります。

 来年度は、居住支援法人等が住宅確保要配慮者のニーズに応じて、安否確認などを行う「居住サポート住宅」の供給を促進するとともに、多様な世帯・世代が共に暮らす新たな区営住宅3棟の再整備を進めるなど、ソフト・ハードの両面から住宅施策を推進してまいります。

 また、重度障害のある方は、区内における住まいの選択肢が限られていることから、親なき後も地域に住み続けられるグループホームの整備が、本区においても長い間、課題となっております。そのため、「niima(ニーマ)」に続く第二の重度障害者グループホームの実現に向けて、旧高松第一保育園跡地を活用し、令和13年度の開設を目途に民間事業者を誘致いたします。誘致に際しては、「niima(ニーマ)」の約2倍となる敷地の広さを生かし、グループホームのみならず、ニーズの高いサービスを付加した多機能型の施設も視野に入れて検討してまいります。

4-1-2 移動支援

 高齢者や障害者が、地域でいきいきと暮らし続けるためには、移動手段となるサービスの充実が欠かせません。

 現在、車椅子を使用している方など、一般の交通手段を利用することが難しい方々を対象に、豊島区民社会福祉協議会がハンディキャブ事業として移動支援サービスを実施していますが、近年、登録ドライバーの高齢化や新たなドライバーの確保が困難な状況から予約が取りにくく、事業の継続が難しくなっています。そこで、今後、安全かつ安定的な移動支援事業とするため、新たに介護タクシー事業者に移送業務を委託し、ヘルパー資格をもった運転手が24時間365日安全な移動支援を行い、また、利用の前日まで予約可能とするなど、利便性を高めた事業に再構築いたします。

 加えて、来年度より、障害のある方が利用できる福祉タクシー券の交付額を引き上げるとともに、移動支援サービスの利用対象を生活保護受給者にも拡大します。また、移動の際のサポートを行うガイドヘルパーの利用要件も拡充いたします。

4-1-3 日常生活への支援

 日常的にご家族の介護をされているケアラーの負担軽減は、介護の質の向上や継続などの面でメリットがあると言われています。

 今年度の区民提案制度では、ケアラー同士が日々の状況や悩みを共有し、疲弊感や孤独感を解消する場をつくる「ケアする人が、ケアされる時間」という提案を採択しました。実施内容といたしましては、庁舎2階のタニタ食堂を活用した「語りの場」を年4回開催するとともに、プログラム参加時に利用可能な家事援助や、ケアラー自身の休息のために利用できる保険外サービスの費用の一部を助成するほか、参加が難しい方には、セルフケア情報誌をお送りします。

 また、障害のあるお子さん、特に医療的ケア児や重症心身障害児は、主な介護者となる保護者が日常的に医療的ケア等を行っていることから、負担の軽減や安心の確保に向けた支援を強化いたします。

 本区では、昨年10月、医療的ケア児の保護者からの要望に応じて、看護師等を自宅や学校等に派遣する「在宅レスパイト・就労等支援事業」の年間利用上限を、これまでの2倍となる288時間に拡充しました。来年度は、この事業をさらに利用しやすくするため、看護師等の派遣先の限定を撤廃し、ご家庭のご希望により利用できる運用といたします。さらに、医療的ケア児と重症心身障害児に対する区独自・23区初の新たな支援策として、「としま子ども若者応援基金」を活用し、電動車椅子の介護者用アシストなど、介護等に係る経費に対して、お子さん一人あたり5万円を上限に助成金を支給いたします。

 さらに、障害者へ給付している日常生活用具についても、基準額を超えた額が利用者負担となることから、物価高の影響が大きいストマ装具の基準額を引き上げるとともに、新たな給付種目として蓄電池と自家発電装置を追加し、災害時の停電に対する不安の声に応えてまいります。

 高齢者の皆様に対しては、自宅での入浴が困難な方や一人での入浴に不安を抱える方への支援策として、昨年度より要支援者などに向けた、区独自の入浴特化型デイサービスを区内1か所で提供しております。来年度は、実施施設を3か所に拡大し、区内全域をカバーできるように事業を進めてまいります。また、スマートフォンやエアコンの購入費助成を引き続き実施するとともに、補聴器については、購入1回限りの助成だった制度を改め、5年毎の買い替えも対象といたします。

4-1-4 フードバンク

 今日、物価高の影響から、食料支援の重要性が一層高まっております。

 本区では、豊島区民社会福祉協議会と連携し、昨年10月、政府備蓄米を活用したフードバンク事業を「区民ひろば長崎」でスタートさせ、子ども食堂等関係者の皆様に、大変喜んでいただいています。来年度は、米以外の食料品についてもご提供できるよう、準備を進めています。食料支援を契機に住居の相談や居場所の提供など、それ以外の必要な支援にもつなげていくことで、地域福祉の向上に一層寄与できるよう、社会福祉協議会と手を携え、取り組んでまいります。

4-2 健康

 次に、新たな重点テーマの2つ目である「健康」です。令和8年度は、新保健所の開所を契機に、子どもから高齢者まで、一人ひとりが自分の健康について意識し、心身共に健やかに暮らせる環境づくりを進めます。

4-2-1 新保健所のスタート

 高齢社会にあって「健康であること」は、ご自身のいきいきとした生活の土台であることはもちろん、まちの元気や地域社会全体の活力の源であり、区民の皆様やまちにとって何ごとにも代えがたいものです。

 池袋保健所は、いよいよ本年5月、南池袋2丁目C地区市街地再開発ビルに移転し、名称も新たに、「豊島区保健所」として開所いたします。

 新たな保健所は、感染症対策や予防接種、生活環境の維持改善に加え、生活習慣病の予防や母子保健などの区市町村の保健センター機能を強化した、区民の「健康づくりのパートナー」として、健康問題を未然に防ぐための拠点となります。これにより、将来的な医療費の抑制や健康寿命の延伸、QOL(生活の質)の向上を目指すとともに、災害時に命と健康を守る拠点としても、本庁舎の災害対策本部と隣接することで、より一体となった対応が可能となり、区民の皆様に大きな安心感を与えることができると確信しております。

 新保健所の目玉事業として新たに開設する「わたしメンテラボ」は、「気軽に健康について相談できる」身近な場として、保健師等専門職のコンシェルジュが3名常駐し、6つの健康測定機器による測定結果の解説や相談が受けられ、ご自身の体調や生活習慣などに向き合う機会になるものと考えております。

 特に、新たな基本計画で掲げている「女性の健康支援」については、「わたしメンテラボ」を活用しながら、豊島区産婦人科医会をはじめ、関係諸団体との連携を基礎に、若年女性の「やせ」の問題、月経痛、プレコンセプションケア、妊娠・出産、不妊、更年期障害、骨粗鬆症、女性特有のがんへの対策など、女性のライフステージごとの様々な健康課題や悩みに寄り添い、改善に向けたサポートを行います。

 さらに、保健所における普及啓発事業を再編成し、「熱中症予防」「食育」「がん予防」「歯と口腔の健康」など、「健康に関する月間テーマ」に沿った事業や意識啓発を展開することで、区民の皆様が健康への関心を持ち続け、さらに高めていただけるよう、工夫してまいります。

4-2-2 疾病予防と在宅医療

 また、来年度からは、特定健診未受診者の受診率向上を目指し、過去の受診履歴や健診結果に基づく、個別アドバイスが掲載された「個別受診勧奨通知」をお届けします。オリジナルな受診勧奨を受け取ることで、自発的な生活習慣改善を促し、特定保健指導や糖尿病重症化予防対策へとつなげてまいります。

 また、来年度は、「RSウイルスの感染や重症化を予防するワクチン」が、新たに定期接種化されます。妊娠中の方が接種することで、母体で作られた抗体が、お腹の中の赤ちゃんへ移行し、赤ちゃんが生まれた直後からRSウイルスの感染や重症化を予防します。子どもをRSウイルス感染症から守るための予防接種であり、医師会と連携しながら、保護者の費用負担なく接種できるよう、周知を含めて準備を進めてまいります。

 なお、区民の皆様が安心して在宅療養を選択できるよう、医師会が東京都の補助を受け、多職種と連携し構築した、在宅医療における24時間対応可能な診療体制は、来年度より、区が実施主体として運営してまいります。

4-3 産業振興

 次に、「産業振興」について申し上げます。

 個性あふれる商店街の活性化や多彩な企業の集積は、ヒト・モノ・カネの好循環を生み出す、まちが持続発展するために不可欠な施策です。基本計画策定からこれまで、中小企業や地域商店街への支援の在り方を検討し、この度、豊島区で営業し続けていただく上で必要な経営基盤を強化するための支援、起業家の卵を呼び込み、区への愛着を育みながら起業を応援する取組み、地域のにぎわいを創出する特色ある商店街づくりへの支援を柱とする「産業振興」の取組みを、重点テーマとして位置づけました。

4-3-1 ビジネスサポートセンターの拡充

 令和8年度は、平成22年に開設した「としまビジネスサポートセンター」の機能を充実させ、急速に広がるAIの導入が進んでいない事業者への支援や、起業・創業のスタイルや準備段階に合わせた伴走型の支援に力を入れてまいります。具体的には、経営力強化に資するDX相談の導入をはじめ既存の相談機能の強化、中小企業支援補助金におけるDX補助金の新設、関係機関や士業の皆様と連携した経営改善・販路拡大・法改正への対応をテーマとしたセミナーの開催等を行ってまいります。

4-3-2 起業・スタートアップの支援

 また、「起業・スタートアップの支援」を拡充いたします。

 従来実施していた女性のための起業塾を、起業の準備段階に応じた内容に細分化し、男女ともに受講できるよう再編するとともに、起業・創業に係る様々な支援を受ける際に必要な「特定創業証明書」の発行を希望する方には、年間を通した複数回の創業セミナーを受講することで速やかな発行につなげます。あわせて、学生や若年起業家が先輩起業家と交流できる起業家交流会を実施いたします。さらに、区内で起業・創業し、事業活動を継続してもらうため、起業家向けの新たな家賃支援や池袋駅構内でのチャレンジ出店事業を始めます。加えて、起業・創業を積極的に支援するため、中小商工業融資の斡旋制度に伴う利子補給について、起業資金については全額区が補助することに加え、個人事業主が法人化する場合や、区内に事業進出する事業者への資金に対する利子補給を創設します。

 従来から事業活動を行っている中小企業に対するビジネスサポートの充実と、新たな活力を生み出す起業・創業への手厚い支援を両輪とする産業振興により、まちの活気とにぎわいを生みだしてまいります。

4-3-3 産業関係団体への支援

 産業関係団体への支援も強化してまいります。

 商店街に対する支援は、コロナ禍以降継続している「商店街プレミアム付地域商品券事業」を引き続き実施するとともに、商店街が主催するイベントの補助上限額の増額や、子ども向けイベントへの補助を追加するなど、地域経済の活性化を後押しいたします。公衆浴場に対しては、燃料費が高止まりしている中、入浴料金の統制額が据え置かれたため、燃料費補助を9万円に増額することにいたしました。伝統工芸保存会に対しましては、毎年、子どもたちなど多くの皆様が楽しみにしている伝統工芸展の開催が、物価高により影響を受けていることから補助額を増額いたします。

5 観光・マンガ・アニメ

 次に、観光、マンガ・アニメについて申し上げます。

 国内外から多くのお客様が訪れる本区において、区の魅力を発信し、地域経済の活性化につなげていく上で、観光施策の重要なパートナーである豊島区観光協会との連携が、ますます重要になっています。来年度は、観光案内所連絡会に参加している区内12か所の観光案内所との連携や、旅マエ・旅ナカの情報発信、外国語ボランティアガイドの活用強化、としま観光みやげのPRなど、訪れた方々がより快適に、より楽しめる環境づくりを推進するとともに、池袋東西が連携した観光案内の強化に向けて、関係者間での調整を進めてまいります。今後も、豊島区観光協会とともに、魅力的な観光情報と受入環境の整備を進め、多くの来街者を呼び込み、まちのにぎわいを創り出してまいります。

 また、マンガ・アニメは、コスプレと共に、本区を代表する強力なコンテンツとなっています。「マンガ・アニメ・コスプレの聖地としま」をコンセプトとした事業推進、アニメ関連企業や東京都との連携、トキワ荘マンガミュージアムなど地域資源による魅力の発信を目的に、来年度から、「マンガ・アニメ・トキワ荘振興課」として組織体制を強化いたします。今後、マンガ・アニメの制作など、子どもたちの体験機会の創出や、デザインマンホールの設置、マンガ・アニメ施策を推進する全国自治体との協働などを通じ、マンガ・アニメを本区のブランドとして磨き上げ、豊島区ファンを増やし、「もっと訪れたいまち」の実現を目指します。

 令和4年にオープンした「トキワ荘通り昭和レトロ館」は、「トキワ荘連動特別企画展」などの効果により、昨年度の来館者数が過去最高の約49,000名となったほか、今年度は、テレビ中継されるなど、新たな観光スポットとして注目を浴びつつあります。今後、「昭和の日」に合わせ、“昭和の遊び”をテーマとした企画展を実施するほか、トキワ荘マンガミュージアムの特別企画展に合わせて、区・地域・関連施設が一体となった連動企画を実施するなど、昭和レトロ館が中心となって、トキワ荘マンガミュージアムを含む南長崎地域における回遊性の拡大と、昭和の歴史・文化の継承など、地域全体の盛り上げに貢献できるよう取り組んでまいります。

6 環境

 次に、環境について申し上げます。

 町会活動の一環として実施している資源の集団回収事業は、リサイクル活動としての歴史が長く、日常的な町会活動であると同時に回収量に応じた報奨金は、町会独自の活動につながる資金となっています。こうしたことから、町会連合会からご要望いただいておりました段ボール回収への報奨金については、来年度より交付いたします。

 この他にも、環境負荷を低減させる取組みが始まります。

 まず、過充電や外部からの衝撃などによって発火事故が取りざたされている、リチウム蓄電池等への対応です。リチウム蓄電池は、日常的に使う製品に多く使用される一方、廃棄場所が特定の店舗に限られているという課題があります。このため、本区は4月から、不燃ごみの収集日と合わせて、身近なごみ集積所での回収を開始いたします。なお、国がリチウム蓄電池にかかる対応策を検討していることから、その動向を注視しつつ、必要な対応をしてまいります。

 加えて、3R(リユース・リデュース・リサイクル)事業の再構築にも取り組みます。

 廃棄される「粗大ごみ」の中には、まだまだ利活用できる品物が混在しています。こうした品物を粗大ごみとするのではなく、民間事業者と連携し、廃棄する手前で利用したい方へ譲渡する「リユース」の取組みへと再構築いたします。また、粗大ごみとして出された品物についても、利活用につながりやすい品目を厳選したうえで、必要とする方へ提供できるよう取り組んでまいります。

 2030年のカーボンハーフの実現まで、あと4年となりました。区内の温室効果ガス排出量は、家庭部門と業務部門で全体の約4分の3を占めており、この削減が特に重要となります。本区も一事業者として、CO2削減効果の高い再生可能エネルギー100%電力への切り替えを実施するなど、率先して取組みを進めておりますが、目標達成には、区民や区内事業者の皆様のご協力が欠かせません。本区では、平成19年度より、太陽光発電等の省エネ効果の高い機器・設備等の助成制度を設けておりますが、区民の皆様の環境意識の向上に伴い、毎年度、助成に必要な予算が不足することから、来年度は予算額を1.5倍以上に拡充し、カーボンハーフの実現に向けた取組みを、区民の皆様とともに加速してまいります。

7 まちづくり

 次に、まちづくりについて申し上げます。

7-1 まちづくりの方向性

 本区の都市づくりの総合的な指針である「豊島区都市づくりビジョン」は、平成27年に20年後の将来を見据えて策定し、現在、中間改定のパブリックコメントを実施しています。

 改定案の理念では、基本計画に基づき「次世代が誇れる地域特性を活かした文化と魅力ある都市づくり~誰もが居心地の良い歩きたくなるまちの実現」を新たに掲げております。計画では、防災、住環境、にぎわい、交通、みどり、景観、脱炭素と都市づくりに関わる7つの分野に分けて、今日のまちづくりを取り巻く諸課題への対応も考慮しながら、池袋駅周辺地域の再生をはじめ、木造住宅密集地域での災害に強いまちづくり、公民連携によるにぎわい創出、自転車の利活用、公園再構築などの方針を示しております。

 また、来年度の主な取組みとして、基本計画でも掲げている「ウォーカブルな都市空間の形成」を進めてまいります。令和6年2月に策定した「池袋駅コア整備方針2024」に基づき、池袋駅西口地区等の再開発事業等が令和6年11月に都市計画決定されました。特に、今年度、概略基本設計予算を計上している池袋駅の「東西自由通路」北デッキの整備は、駅西側のデッキの受口整備が池袋駅西口地区等の再開発で予定されており、まち全体の回遊性の向上のみならず、池袋駅の地下通路の混雑緩和や防災力の強化にも寄与します。今後は、線路上空部のデッキ全体や駅東側のデッキの受口などの整備に向けて、鉄道事業者など関係者と精力的な協議をさらに行い、池袋駅東口のまちづくりにもつなげてまいります。

7-2 自転車駐輪場・公園等再構築

 続いて、区民の皆様の身近な施設である「自転車駐輪場」と「公園等再構築」の計画について申し上げます。

 「第三次豊島区自転車等の利用と駐輪に関する総合計画」は、パブリックコメントを実施し、「駐輪場の駐車間隔の拡幅」「電動キックボードやモペットの安全対策の強化」「自転車だけでなく小型のシェアモビリティ全体の促進」などのご意見をいただきました。来週19日の豊島区自転車等駐車対策協議会では、意見反映などの確認をいただき、年度内に総合計画を策定いたします。

 また、同時期にパブリックコメントを実施した「豊島区公園等再構築プラン」は、「飽きずに遊びに行ける遊具が欲しい」「花を育てたり、木の実を取りたい」「公園の安全性や利便性向上に向けた取組みに意義深いものを感じている」などのご意見が寄せられました。本定例会の都市整備委員会で報告し、今年度内に計画を策定いたします。来年度は、今年度モデル地区として検討を進めた高松地区において、「かけっこ広場」を主な機能とした新しい公園づくりを開始するなど、再構築プランに基づく再整備に着手してまいります。

8 持続可能な行財政運営

 次に、基礎自治体としての生命線であり、区民の皆様の信託に応え続けるための恒久的な命題である「持続可能な行財政運営」について申し上げます。

8-1 事業見直し

 社会経済状況や区民ニーズの変化に応じた、適切な区民サービスを提供し続けるためには、絶え間なく既存事業を見直すことが不可欠です。

 今年度2年目を迎えた「事業見直し」は、35事業の見直し、1億9,000万円の効果額を生み出しました。また、1年目と比べ、より良い事業方法への再構築や、部局を超えた横断的な見直しが増加するなど、全庁的に、事業の課題や解決策を考え抜く職員の意識の高まりを感じております。

 来年度は「事業見直し」の3年目、集中期間の最終年として、継続検討となった事業の検証を深めるとともに、改めて全事業の中から再構築が必要な事業を洗い出し、より効果の高い事業へと再構築を進めます。「全件査定方式」と連携させる豊島区独自の予算編成手法により、社会状況の変化に適切に対応した区民サービスの向上と、持続可能な行財政運営の両立を実現してまいります。

8-2 働きやすい職場づくり

 また、効率的・効果的で、質が高く、区民から信頼される行財政運営を実現するためには、区政の将来を担う人材の確保と、職員にとって働きやすい職場づくりが欠かせません。

 来年度は、現在の庁舎建設時のコンセプトである、職員同士のコミュニケーションが取りやすく、風通しの良い職場環境づくりを進めるため、まずは政策経営部がモデルとなって、フリーアドレスに対応したユニバーサルレイアウトを導入します。更なるDX化に取り組みながら、機能的で創造性を向上させ、コミュニケーションの活性化にもつながるオフィス改革を推進します。

 加えて、職員が安心して働ける環境づくりとして、全国的な問題となっているカスタマー・ハラスメントへの対策を強化します。これまで取り組んできた、対応マニュアルの作成やカスハラ防止のポスター掲示などに続き、来年度からは電話の通話録音機能を導入し、トラブルの防止とともに、職員の心理的な安全を守ってまいります。

 さらに、現在、各種手続きのオンライン化の推進とともに、職員の働き方改革の観点から、窓口受付時間の見直しを検討しております。窓口の利用実態や対応方法等の現状を踏まえ、受付時間を短縮することで、職員の働きやすさと区民サービスの質の向上を両立させ、持続可能な行政運営を実現できるよう、検討を進めてまいります。

 職員の定数については、行政ニーズの多様化、児童相談所の開設、育児休業取得者を抱える職場への職員配置など、必要な職員数が増加しています。こうした状況を踏まえ、短期的には定数増を見込みながらも、将来への財政負担を考慮し、DXなどによる新たな業務改革を進めることで、中長期的な職員定数の抑制を視野に入れた、「第8次定員管理計画」を策定します。また、豊島区の特定事業主行動計画である「ライフステージ応援計画」に基づき、すべての職員が、自分のキャリアやライフプランを考え、ともに働く職員の働き方を理解することで、職場全体の意識を高め、互いに能力を発揮できる職場づくりに取り組みます。

 あわせて、来年度には「人材育成基本方針」を改訂いたします。検討にあたっては、若手から課長補佐まで、各職層の職員によるワークショップや、私との意見交換の場を組み入れました。この基本方針において、「職員を大切にする」という本区のビジョンと、具体的な取組みを明確に掲げることで、本区の理念に共感する職員の確保に努めるとともに、職員が描くキャリアデザインを応援し、一人ひとりの職員が働きやすさと成長を実感できる組織を目指します。

9 基本構想の理念

 次に、基本構想の理念である「多文化共生」と「参画・共創」について、申し上げます。

 外国人区民との地域共生をより一層促進するため、現在の政策経営部「多文化共生推進担当課」を「多文化共生課」として組織体制を強化し、区民部に移管いたします。外国人区民が町会主催の活動や地域のイベントなどを通して、地域コミュニティに参加することを促し、日常生活はもとより、災害時の相互理解や共助の取組みを促進したいと考えております。あわせて、区立小中学校における日本語学習指導の拡充や、大学等が実施する初期日本語教室への補助など、外国人区民に、言葉の壁を取り除くための支援を組織間で連携しながら進めることにより、誰もが安心して暮らせるまちを目指します。

 また、基本構想の理念に掲げた「みんながつながる」の実現に向け、今年度から一歩進んだ連携のあり方である「共創」にチャレンジすべく、「企業等による事業提案制度」を創設いたしました。昨年12月の議員協議会でいただいたご意見を踏まえ、審査委員会にて、丁寧にご審議いただいた結果、「未利用地を活用したコミュニティガーデンと菜園事業」の1件を採択し、今後、具体的な事業化に向け調整してまいります。

 「参画」の取組みである区民提案制度は、3年目を迎え、来年度実施予定の「キッチンカーによるまちかどカフェ事業」を含め、これまで14件の事業化を進めています。

 今後も、基本構想に掲げた理念の実現に向けて、重点テーマに取り組むとともに、積極的な「参画・協働・共創」により、複雑化・多様化する地域課題の解決や、新たな価値の創出に取り組んでまいります。

10 おわりに

 最後に、本区の物価高騰対策について申し上げます。

 先日発表された毎月勤労統計調査では、令和7年11月の「実質賃金」は前年同月比で2.8%減少し、11カ月連続のマイナスとなりました。物価の高騰に賃金の上昇が追い付いていないことがうかがえる調査結果となっております。

 昨年末、国は物価高対策として、追加で重点支援地方交付金を自治体に交付する運びとなりました。本区における追加交付額は、9億6千万円程度と見込んでおりましたが、その後12億円の交付が示されました。

 このため、昨年12月に議決いただきました「世帯所得200万円以下を対象とした世帯当たり1万円の支給」に加え、新たな物価高騰対策として、本区独自の3つの支援策を補正予算8号として上程いたします。

 1つ目は、中小企業への支援です。東京商工リサーチによる調査によると、令和7年の都内の企業倒産件数は4年ぶりに減少したものの、「人手不足」関連の倒産が22%増えており、支払い能力を超えた賃上げが倒産の引き金とされています。このため、中小企業・小規模事業者の賃上げ促進を促す「としま賃上げ促進支援金」を支給いたします。

 2つ目は、介護事業者・障害サービス事業者への支援です。これらの事業者においても倒産件数が増えています。「職員の確保」が経営上の大きな負担となっているという本区独自の調査結果からも、物価高騰の影響は規模の小さな企業や事業者に大きいものとなっていることから、福祉人材の確保や経営に必要な支援として「人材確保支援金」を支給いたします。

 3つ目は、昨年度の報酬改定により、介護報酬が引き下げられた訪問介護事業所を対象として「訪問介護支援金」を支給いたします。介護報酬引き下げの影響を緩和することで、区民の在宅生活を支える基盤である訪問介護事業所を支援してまいります。

 本補正予算は、早急な対応が望まれるため、速やかにご審議いただくことをお願い申し上げます。

 なお、本定例会には、条例18件、予算4件、補正予算2件、その他3件、合わせて27件の議案を提案しております。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。 

 また、急遽解散が決まりました衆議院議員選挙に伴う補正予算につきましては、専決処分を行いましたのでご報告させていただきます。

 以上をもちまして、令和8年第一回区議会定例会招集挨拶及び所信表明を終わります。

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電話番号:03-4566-2512