更新日:2024年10月2日
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令和6年第三回豊島区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
まず冒頭に、本区職員による通勤手当不正受給についてご報告申し上げますとともに、区民の皆様に深くお詫びを申し上げます。
このたび、本区職員が通勤手当を不正に受給していたことが判明し、9月10日付で幹部職員6名及び一般職員6名に対し、その職責や不正事実の態様から、減給または戒告の懲戒処分を、さらに68名の一般職員に対し、所属部長による口頭厳重注意を行いました。不正受給の期間は令和5年4月からの1年未満が多数を占めていますが、平成23年10月まで遡り10年を超える者もおりました。
こうした不正行為を未然に防ぐことができず、これほど多くの職員が服務規律に違反し、公務員として極めて不適切な行為をしたことは、区民の皆様をはじめ、本区に関係する全ての皆様の区政に対する信頼を失墜させる重大な事案であり、区政の最高責任者として、責任を痛感しております。
本件の重大性を鑑み、私及び人事部門を所管する天貝副区長については、給料の2割を1か月減額、上野副区長及び金子教育長については、給料の1割を1か月減額するため、今定例会に減額条例を追加して上程いたします。
今後、このような事態を二度と起こさないよう、綱紀粛正の徹底を図り、再発防止に努めるとともに、全職場、全職員一丸となって、区民の皆様の信頼回復に向け、全力で取り組んでまいります。
今定例会では、「令和5年度決算」についてご審議をいただきます。
一般会計決算額は、歳入が1,473億円、前年度決算との比較では20億円の減、歳出は1,441億円、前年度と比較すると6億円の減となっております。
歳出決算額は対前年度比0.4%のマイナスとなりましたが、めまぐるしく変化する社会経済状況に対応するため、9次にわたる補正予算編成などにより、区独自の支援策も含めた物価高騰対策や、妊娠期からの切れ目のない子育て支援の強化、学校給食費の無償化など、物価高騰に直面する区民生活支援や子育て支援の充実に積極的に取り組んでまいりました。
基幹歳入である特別区税は、9億円の増となる367億円、特別区財政調整交付金は24億円増となる377億円となり、ともに過去最大規模となりました。
次に、主な「財政指標」について申し上げます。
「経常収支比率」は、特別区民税や財政調整交付金の増などにより、指標の分母となる経常的一般財源歳入が増加したことなどから、79.6%と昨年度より0.9ポイント改善しました。「公債費負担比率」は、起債残高が減少したことから、前年度より0.6ポイント減少の2.6%となるなど、将来世代に過度の負担を残さない財政運営をさらに進めることができました。
このほか、「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」、「実質公債費比率」、「将来負担比率」の4つの健全化判断比率は、いずれも国の基準を大幅に下回っており、本区の財政状況は、健全性を維持していると言えます。
次に、「基金残高と起債残高」について申し上げます。
特別区民税や財政調整交付金が堅調に推移したことを背景として、貯金と借金の差は360億円となりました。しかし、今後、学校改築をはじめとした老朽化施設の改築・改修、市街地再開発事業、道路・橋梁等のインフラ整備を着実に進行していくためには十分な蓄えとは言えません。引き続き、基金の着実な確保や起債の有効な活用に努めるとともに、中長期的な視点に立った計画的な財政運営を行ってまいります。
次に、地震や風水害、熱中症対策についてです。
8月8日、宮崎県で震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震を受け、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震への注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されました。
本区は「南海トラフ地震防災対策推進地域」には指定されておりませんが、直ちに区民の皆様に向け、発災時の被害を食い止めるための家具類の転倒・落下防止の措置や食料・飲料水の備蓄、いざというときのご家族との連絡方法の確認など、災害への備えについて発信しました。一人ひとりが災害対応を自分事として捉えていただくことが極めて重要であることから、今後も、日頃からの呼びかけや、地域の方々が参加する救援センター開設訓練、啓発イベントの実施などに力を入れてまいります。
また、近年、局地的な集中豪雨や落雷、突風といった激しい気象現象が頻発化しており、各地で家屋やライフライン等への被害が発生しています。
7月25日、東北地方の日本海側を中心とする大雨災害により、本区の友好都市であり、防災協定締結都市である山形県遊佐町では、道路の崩落や河川の氾濫、さらに床上・床下浸水が300軒を超えるなど、甚大な被害に見舞われました。
区では、被害の報を受け、直ちに遊佐町に支援の申し出を行い、義援金や救援物資による支援とともに、7月30日から8月13日までの期間、職員28名を3隊に分けて派遣し、罹災証明業務や災害ごみ置き場の管理業務などに従事いたしました。
支援を行う中で、災害廃棄物の処理や受援体制の整備が、復興に向けた大きな課題であることなど、多くの気づきがありました。今回、被災現場で学んだ数々の課題を、今後の本区の防災対策に活かしてまいります。
激甚化する自然災害による被害を最小限に抑えるためには、全庁一丸となって迅速かつ的確に対応することが重要です。区では7月30日、「震災・風水害対策本部会議」を開催し、発災直後の各部局の役割分担や実際の従事業務などについて、改めて全部署で確認しました。また、9月2日には図上による総合防災訓練を実施し、首都直下地震発生による詳細な被害想定のもと、発災直後の災害対策本部における各部の対応、別途立ち上げる医療対策本部の対応、両本部の連携対応など、実践的な訓練を行いました。
9月9日の防災会議では、昨年12月に策定した備蓄物資計画について報告するとともに、地域防災計画の見直しについてお諮りいたしました。委員からの様々なご意見等を踏まえ、安全な都市づくり、情報通信、医療救護、避難者対策、備蓄・物流など、今般の社会情勢を踏まえた新たな地域防災計画を策定し、災害対応力の向上に努めてまいります。
また、夏季の猛暑は「災害レベル」と言われる状況でありました。4月に「熱中症特別警戒アラート」の運用が開始されるなど、熱中症予防への取組強化はこれまでになく重要な課題となっています。熱中症による救急搬送者数、死亡者数は、近年、高い水準で推移しており、その傾向を見ますと、高齢者はエアコンがあっても使用せず、屋内で発症するというケースが多数を占めています。
本区では、今年度も熱中症対策本部を早期に立ち上げ、全庁で情報を共有しながら熱中症対策に力を入れてまいりました。区施設や区内薬局72か所を「としま涼みどころ」「涼みどころ薬局」として開放するほか、低所得の高齢者のみ世帯に対するエアコン設置助成を実施するとともに、民生児童委員や高齢者総合相談センター職員による75歳以上の単身高齢者世帯への戸別訪問等を行いました。
熱中症のリスクから区民の皆様を守るため、来年度に向けて、さらなる効果的な取組みを検討してまいります。
次に「教育大綱」の策定についてです。
区政の重要な柱の一つである教育について、区長として目指す方向をお示しするため、現在「豊島区教育大綱」の策定に向け、検討を進めています。
新たな教育大綱の作成にあたり、「未来としまミーティング」の開催や「教育施策に関する意識調査」等を実施し、児童・生徒、教職員、保護者、地域の皆様から多くのご意見・ご要望をいただきました。本区の特性を生かし、子どもたちの学びと成長を支える、新たな時代にふさわしいものとするため、そうした声に向き合いながら、総合教育会議において教育委員会と協議を重ねてまいりました。
本年7月に取りまとめた素案では、「未来を切り拓く 笑顔で元気な“としまっ子”が育つまち」を目指すとともに、「元気でたくましく、個性や能力を伸ばしていける子ども」「人とのつながりを大切にし、共に支え合う子ども」「多様な体験を通して、豊かな心を育む子ども」「地域に育まれ、地域を愛する子ども」の育成を掲げ、そのための方針と取組みをお示ししております。
7月から8月にかけて実施したパブリックコメントでは、70件に及ぶご意見が寄せられ、区民の皆様の教育に対する関心の高さを改めて認識しました。皆様からの貴重なご意見を踏まえ、大綱を策定してまいります。
次に、池袋駅西口のまちづくりについてです。
平成27年に準備組合が結成されて以降、地元で検討を進めてきた池袋駅西口の再開発は、先日、地区計画や都市再生特別地区などの都市計画について、東京都及び豊島区のそれぞれの都市計画審議会に付議され、可決されました。
今後は、東京圏国家戦略特別区域会議を経て、都市計画決定となります。
この再開発では、池袋駅西口の新たな顔となる駅まち結節空間の形成、利便性が高くわかりやすい交通広場の創出、駅前から続くアゼリア通りの広場化などを進め、“駅袋”から脱却し、回遊性の高いウォーカブルな空間が広がるまちが期待されます。「ひと」が主役のウォーカブルなまちを目指し、さらに官民連携でまちづくりを進め、ハードとソフトが融合した、まさに池袋らしさを継承、発展したまちの実現に取り組んでまいります。
次に、シティプロモーションの取組みについてです。
今年度は、本区の強みである「マンガ・アニメ・コスプレ」を全面に打ち出したシティプロモーション活動を展開しております。
8月の1か月間、豊島区を舞台とした若者に人気のアニメ「バンドリ」とコラボレーションし、無料で参加できるスタンプラリーを実施しました。池袋を中心に、区施設や「チームとしま」に参加している企業の店舗などに設置された計15か所の会場を巡ることで、本区の魅力や街並みを味わうことができる企画で、2,300人の参加がありました。区民ひろば5か所もスタンプラリー会場とし、これまで利用の少なかった10代後半から20代の若者たちに認知してもらうことで、今後の利用も期待されます。
また、8月3日に開催された「ハレザの日」イベントでは、すずらんスマイルプロジェクトと「バンドリ」が連携しました。中池袋公園の特設ステージで、プロジェクトの活動をPRするとともに、本区職員が会場周辺で「バンドリ」のキャラクターが描かれた周知カードを配布しましたが、用意した1,200枚が一時間もたたずになくなる人気ぶりでした。
今後の取組みとしては、まず、アニメやマンガにゆかりのある自治体が一堂に集結するイベント「アニメ&まんが聖地SUMMIT(サミット)&EXPO(エキスポ)」が、11月8日から10日までの3日間、本区において開催されます。このイベントは、アニメやマンガが好きな方はもちろん、それぞれの地域特有の文化に興味のある方も楽しめるイベントとなっております。
さらに、「チームとしま」と連携し、本区を海外に積極的にプロモーションする取組みを実施いたします。11月に台湾・台北で開催されるアジア最大規模の「国際旅行博」に、これまで出展経験のある、サンシャインシティや、そごう・西武、ビックカメラ、アニメイトなど、民間企業10社とともにPRに臨みます。台湾は、日本文化への興味・関心が高く、日本のアニメ・マンガが人気を博しています。企業と共同で出展する取組みは、他自治体には例のない参加形態であり、本区の魅力を存分に発信できるものと考えます。私も台湾に赴き、豊島区の魅力を来場者に向け発信してまいります。
次に、今定例会において上程、報告する案件のうち、ファミリーシップ制度及び内部統制について申し上げます。
まず、「ファミリーシップ制度」についてです。
本区は、平成31年4月に「パートナーシップ制度」を導入し、多様な性自認・性的指向の方々のお気持ちに寄り添いながら、日常生活の支援等に積極的に取り組んでまいりました。しかしながら、当事者お二人の関係だけではなく、お子さんや親御さんまで含めた「ファミリーシップ制度」の導入についてのご要望も高まっております。
このような背景のもと、当事者の方のご意見を伺いながら、附属機関である、男女共同参画推進会議での審議を進め、パブリックコメントを踏まえ、制度設計を進めてまいりました。
このたび、ファミリーシップ制度を導入すべく、「男女共同参画推進条例」の改正条例案を上程いたします。23区において条例で規定するのは本区が初となります。当事者の方々にとって暮らしやすい環境となるよう、本制度導入を契機に、今後、より積極的に取り組んでまいります。
次に、内部統制の試行実施についてです。
近年、業務における類似したミスの発生や、監査における同様の指摘が見られることから、令和7年度より内部統制制度を導入することとし、現在、検討を進めております。10月から1月までの4か月間、試行的な取組みとして、全課において、どのようなミスが起こる可能性があるのか、またその要因となるリスクは何かを洗い出すとともに、未然防止策を検討し、具体的な取組みを進めます。実施にあたっては、今般作成した全課共通の「リスク評価シート」に、リスクの洗い出しからの一連の作業内容と事後の評価結果を記載します。
内部統制は、職員一人ひとりがその意義を理解し、全ての部署において主体的に取り組むべきものであることから、試行を通じて職員への意識づけや課題整理を行い、本格実施につなげてまいります。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例6件、決算認定4件、補正予算3件、その他4件、合わせて17件の議案を提案しております。
よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
以上を持ちまして、令和6年第三回区議会定例会 招集挨拶を終わります。
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