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更新日:2024年2月22日

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令和5年第4回区議会定例会 招集挨拶

 

 4定招集挨拶

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1 はじめに

令和5年第四回豊島区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

1-1 区民による事業提案制度

私の区政運営の基本姿勢である「“ひと”が主役」の区政、そして「3つの“つながる”」をもとに、「子どもレター」「区民による事業提案制度」を創設しました。これは、子ども、若者、女性をはじめ、これまで区政とつながりづらかったかもしれない方々の声に耳を傾け、これまで以上に区民目線に立った政策を推進するため、取り組むこととしたものです。

「事業提案制度」には、地域課題への対策や豊島区の未来を描くものなど、233の提案をいただき、私も全てに目を通しました。そして、いただいた事業案の中から10件を選定し、11月10日まで、区民投票を実施いたしました。インターネット投票に加え、区施設に投票箱を設置して行った結果、投票総数は1,670票で、事業内容に対するご意見も多数いただきました。期間中、ご提案、ご投票いただいた多くの皆様に感謝申し上げます。今後、区民投票により選出された事業案について、投票時の意見等を踏まえ、事業内容の詳細を検討し、令和6年度予算案への反映を図ってまいります。

今回応募いただいた事業案は、投票対象以外のものについても、既存事業の改善見直しや、中期的な課題として考えるヒントになるものが数多くありました。本区といたしましては、区民・企業・団体の皆様からの大切な声として、しっかり受け止め、今後の区政に活かしてまいります。また、「提案内容を区としてどう捉えたか」についても、今後、公表してまいります。

1-2 未来としまミーティング

「子どもレター」「事業提案制度」に続き、「もっと身近な存在になるための区役所改革」の第3弾として、私が区民の皆様と直接向き合いながら意見交換を行う、「未来としまミーティング」を、来月から開始します。区長就任後、「区民の皆様から顔の見える区長でありたい」「まちの現場を知りたい」との思いから、積極的に地域にお伺いし、多くの皆様のお話を伺ってまいりました。さらに今後、「未来としまミーティング」を通じ、区の施策や区民生活に関わるテーマについて、区民の皆様と忌憚のない意見交換を行ってまいりたいと考えております。第1回は、教育をテーマに実施いたします。

1-3 としま子ども会議

8月20日、ここ本会議場で開催された「としま子ども会議」では、4チームに分かれ、各チームのテーマに沿って、子どもたち一人一人から意見を発表してもらいました。障害のある方への理解を促進するための「子ども向けユーチューブ」の作成や、休み時間の過ごし方など、学校でのルールに対する意見など、子どもの視点からの鋭い指摘もあり、感心するものばかりでした。

子どもたちから、そうした意見を投げかけられた区が、「その後、何をどのように検討しているのか」について、来年1月、初めての試みとして、事業を所管する課長から、子どもたちに報告する会を設けます。子どもたちからも、更なる質問や感想を伺います。こうした取組みを通じ、子どもの声を大切に受け止め、子どもと一緒に未来を考えていける豊島区でありたいと思っております。

2 教育の充実

2-1 教育大綱の作成

次に、教育大綱についてです。

平成27年の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正により、地方自治体の長は、教育委員会とともに構成する「総合教育会議」における協議、調整を経て、「教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の教育大綱」を定めることが義務付けられました。豊島区ではこれまで、教育振興基本計画、いわゆる教育ビジョンを定めており、その目標や施策の根本となる方針が大綱と合致することから、「教育ビジョン」を「教育大綱」に位置付けてまいりました。

しかしながら、民意を代表する区長として、区政において極めて重要な柱である教育について、「未来を切り拓く 笑顔で元気な‘としまっ子’が育つまち」を推進していく観点から、何を目指していくかという方針を教育委員会と協議の上、区民の皆様にお示しする必要があると考え、新たに「豊島区教育大綱」を策定することといたしました。今後、未来としまミーティングやパブリックコメントを通じ、区民の皆様のご意見を伺いながら、策定を進めてまいります。不登校の増加やいじめ問題への対応、必要な予算編成に基づく計画的な学校改築の推進など、教育を取り巻く課題が山積する中、これまで以上に教育委員会との連携を強化し、「チーム豊島区」として、子どもたちの健やかな成長を全力で応援してまいります。

2-2 学校におけるSDGの取組み

次に、学校が取り組むSDGsについてです。

豊島区の区立小・中学校では、保護者・地域・企業・大学などが協働で取組みを推進し、子どもたちが地域の大人と一緒に持続可能な社会の担い手を目指す「SDGs達成の担い手育成事業」に取り組んでいます。11月17日に開催される「SDGsフェスティバル」は、令和3年度から開催され、本年で3回目を迎えます。これまで小学校11校、中学校4校が参加しています。また、参加した保護者からは、「子供たちの活動に感動した」、「子供たちのSDGsの取組みが分かって良かった」などのお声をいただき、大変好評を博しています。

今年度は、池袋幼稚園が初めて参加し、司会進行は、西池袋中学校の生徒が担当します。また、コロナが5類に移行したことに伴い、日頃から、子どもたちを近くで温かく見守ってくださっている多くの方々にご参加いただく予定です。今後も、身近な課題について自分ごと化を進める体験的な取組みや教育環境の整備などを行い、子どもたちが、未来に希望を持ちながら、持続可能な社会の担い手となるよう、学校と保護者・地域・企業などが連携した取組みを発信してまいります。

また、SDGsを学んだ小学生が、豊島区の未来を考え、提案する「国連を支える世界こども未来会議」を昨年に引き続き、11月25日に開催します。

今年度は、イベントに先立ち、「チームとしま」に参画いただいている企業と連携し、造園会社による環境教育等、出前授業を小学校6校で開催し、約500名の児童が参加しました。出前授業で学んだことをヒントに、「住み続けたくなる未来の豊島区」についてのアイデアが450件集まりました。25日の会議には、約50人の子どもが参加し、それぞれ持ち寄ったアイデアをもとにグループごとに意見交換し、本会議場で発表します。

さらに、本未来会議は、様々な地域で開催された未来会議の参加者が集まる会議が3月に東京都庁で、2025年には大阪・関西万博での開催が予定されています。

こうした機会をとらえ、としまの未来を担う子どもたちのアイデアを発信し、SDGsを推進してまいります。

3 児童虐待防止の取組みと社会的養護が必要な子どもたちへの支援

11月は社会全体で子どもや子育て中の方々を支える機運醸成を図る「こどもまんなか月間」です。こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の実現に向けた取組みに賛同し、「こどもまんなか応援サポーター」宣言を行った本区では、児童相談所設置市として迎えた初めての月間に、全職員がオレンジリボンを着用し、児童虐待防止の機運醸成を図っています。また、医療機関、学校、関係団体、さらに地域の皆様と連携し、椎名町駅と大塚駅において実施した児童虐待防止街頭キャンペーンでは、パープルリボンも同時に配布し、児童虐待防止と合わせて暴力防止の啓発も行いました。さらに、11月18日には「ネット・ゲームが子どもたちの心と体にもたらす影響」をテーマとする「児童虐待防止区民講演会」を実施いたします。ネットやゲームに夢中になるお子さんに悩まれている保護者が多くおり、また、お子さんのネットやゲームへの依存が原因で児童虐待に至ってしまったケースがあることから、このテーマを選びました。今後も、子どもや家庭が置かれている様々な側面から、多角的に児童虐待の防止に取り組み、子どもたちの命と暮らしを全力で守ってまいります。

そして、令和6年4月の「改正児童福祉法」施行により、児童養護施設退所者等の自立支援が児童相談所設置市の業務に位置づけられます。東京都の調査によると、児童養護施設退所に際して不安なことの第1位は、「生活費や学費などの費用」になっております。

そこで本区では、家財道具や教材の購入などに充てる支度金と、大学等の進学に必要な奨学金を令和6年3月末の退所者等の自立の準備に間に合うように支給いたします。これに加えて、本年2月に児童相談所を設置して以降、支援に携わった本年3月末の退所者等に対しても、大学等在学中の奨学金を支給し、経済的な支援を行うことといたします。

財源につきましては、困難を抱える子どもや若者、子育て家庭への支援に対する多くの方々からのご厚意である「子ども若者応援基金」を活用いたします。

4 すずらん・ネット会議

令和6年4月に施行される「困難女性支援法」において、地方公共団体は、困難な問題を抱える女性に早期に円滑かつ適切な支援を行うため、支援調整会議を設置することが努力義務化されます。本区では法の施行を見据え、全国初の試行モデルとして、困難を抱える若年女性の支援に関し、区と民間支援団体とが情報交換・連絡調整等を行う場として「すずらん・ネット会議」を設置し、10月12日に代表者会議を開催いたしました。

若年女性への居場所づくりや相談、アウトリーチなどの支援を行う12の民間支援団体の代表者と、区の福祉部門や子育て支援、保健所など11の関係部署の部課長のほか、すずらんスマイルプロジェクトのメンバーである若手職員や、今年度からプロジェクトの応援団として活動に参画している男性職員も参加し、総勢60名の会議となりました。支援団体の皆様からは、支援している若年女性が置かれた生きづらい状況や支援現場の状況のほか、今後の区との連携や支援団体同士の協力体制への期待などを伺うことができ、困難な問題を抱える若年女性に寄り添いながら、区と支援団体が一丸となり、必要な支援を進めていく必要性を改めて強く感じました。

今回開催した代表者会議に続き、11月10日に、支援する側のこころのケアを目的とした支援者向けの合同研修を開催したほか、年明けには実務者会議を開催する予定です。今後、区・民間支援団体、それぞれの強みを活かした連携体制を強化しながら、豊島区ならではの若年女性支援を進めてまいります。

5 福祉・健康の増進

5-1 高齢者の見守りと健康推進

次に「福祉・健康の増進」について申し上げます。

一人暮らし高齢者の多い本区では、高齢者の孤独・孤立の防止のため、日頃からの見守り体制を充実させていく必要があります。民生委員・児童委員の皆様をはじめとする地域の見守りのほか、高齢者やそのご家族への緩やかな見守り体制を構築するため、平成26年度より、区内で活動している事業者と「高齢者の見守りと支え合いネットワーク事業に関する協定」の締結を進めてまいりました。これまで、東京都水道局との連携から始まり、宅配事業者、金融機関など22事業者と協定を締結してまいりましたが、11月10日、さらに10事業者が加わり、協定締結先は32事業者となりました。

最近も、事業者が訪問先で異変を感じ、高齢者総合相談センターに通報したため、体調を崩した高齢者を発見するに至ったケースがあり、着実に協定の成果が出ております。高齢者が安心して暮らせるよう、今後も日常生活に密接に関係する様々な事業者との協定締結を進め、行政・地域・民間企業とが連携した見守り体制を強化してまいります。

長寿社会を迎え、健康寿命を延ばすためには、歯の健康を保つことが大切です。11月11日、としま区民センター8階の多目的ホールで「としま健康長寿2023」を開催し、80歳以上でご自身の歯が20本以上ある364名の皆様を、健康長寿のお手本として表彰いたしました。「口は健康の入り口」とも言われ、口腔内を健康にすることは全身の健康維持、増進につながります。これからも高齢者が元気で生き生きとした生活を送れるよう、歯と口の健康づくりに取り組んでまいります。

5-2 ふくし健康まつり

また、障害者週間にあわせた12月3日、としま区民センター・中池袋公園・パークプラザ前イベントスペースにて、区と豊島区民社会福祉協議会が主催する、第35回「ふくし健康まつり」を開催いたします。

区民センターの会場では、薬剤師会と共催する「健康展」を開催し、毎年人気の測定コーナーでは、脳年齢測定を新たに導入いたしました。また今回は、先の「としま子ども会議」で、「体験を通して障害のある方への理解を深めたい」という提案を受け、車いす操作体験コーナーも設置します。さらに、東京2025デフリンピック大会のエンブレムを紹介し、耳が聞こえないアスリートが集う大会の機運醸成を図ってまいります。会場では、障害事業所に通所されている方々が心を込めて制作した製品の販売や、ボランティア活動の啓発、また、ステージイベントにより、世代や障害の有無にかかわらず、誰もが交流できる機会を提供するなど、様々な取組みを通じ、共生社会への歩みを進める一助としてまいります。

5-3 豊島区民社会福祉協議会(創立70周年・四市町との災害時相互応援協定)

さて、区とともに地域共生社会の実現に向けて活動している豊島区民社会福祉協議会が、今年、創立70周年の節目を迎えました。

その記念といたしまして、12月6日には、帝京平成大学冲永記念ホールで式典を行い、区の地域福祉活動に長年貢献されている皆様に感謝状を贈呈いたします。さらに、被災時の応急対策や復旧活動に対して共に協力し合う「災害時相互応援協定」について、現在協定を結んでいる長野県箕輪町・埼玉県和光市の社会福祉協議会に、本年、姉妹都市提携から40年目を迎えた秩父市の社会福祉協議会を加え、4者による協定調印式を行います。

区といたしましては、70年にわたって、国の掲げる地域共生社会の実現のため、権利擁護の推進や、CSWを例とする連携ネットワークの強化など、地域の最前線で区民の福祉向上をはかってきた豊島区民社会福祉協議会と、今後一層強く連携し、区民福祉の向上に向けた取組みを進めてまいります。

6 区民が主役となる文化のまちづくり

6-1 マンガ・アニメ・コスプレの聖地

今年、日本最大級のハロウィンイベント、「池袋ハロウィンコスプレフェス」が10周年を迎え、過去最高となる14万1,000人が来場しました。アンバサダーに就任された小林幸子さんがセレモニーやパレードに登場し、大いに盛り上げていただいたほか、区も、私や副区長、教育長をはじめ管理職、さらには池田議長にもコスプレをしていただき、豊島区チーム総勢16名が、パレードやエンディングセレモニーに参加しました。また、コスプレイヤー自ら、会場周辺のごみ拾いをするイベントも初めて実施しました。豊島区チームも参加して、気軽に楽しく環境美化活動に参加していただくために、区が本年4月に立ちあげた「まちキレイプロジェクト」のPR活動も行いました。区としましては、関係団体との連携のもと、新企画の実施を含め、安全で楽しい10周年フェスをつくりあげることができたと思っております。

10月31日には、東京都の「アニメ東京ステーション」がオープンし、世界中で人気のアニメ「NARUTO-ナルト-」のフィギュアとゲームの展示や、アニメの制作過程を学べるアーカイブ展示など、大きな注目を集めています。

この「アニメ東京ステーション」を含む公立施設4館と、アニメイトやサンシャインシティなど、区内を拠点とする民間企業8社の全12施設による、デジタルスタンプラリーを先月末から開催しています。多くの皆様に、豊島区内を巡りながら、マンガ・アニメ・コスプレの息吹を感じていただければと存じます。

また、トキワ荘マンガミュージアムでは、12月9日より、新企画展「ふたりの絆 石ノ森章太郎と赤塚不二夫」が始まります。昭和を代表する2人の漫画家がトキワ荘で描いた作品を展示するとともに、トキワ荘で過ごした青春の日々を紹介します。

本区において、今まさに、マンガ・アニメ・コスプレにおける取組みが、公民一体で大きく展開されています。この流れを止めることなく、シティプロモーションの大きな柱の一つと位置づけ、SNSはじめ様々な広報ツールを活用しながら、本区の魅力を国内外に広く発信してまいります。

6-2 としま文化の日

区では、毎年11月1日を「としま文化の日」、11月1日から7日を「としま文化推進期間」と定め、様々な文化事業を展開しています。

条例制定から3年目となる今年は、「誰もが主役になれる、日常にアート・カルチャーが溢れるまち」をコンセプトに、「チームとしま」をはじめとする民間企業の皆様と連携して、特設ホームページやキービジュアル、PR動画を作成し、区内の大型ビジョンを活用して周知するとともに、音楽や芸術だけでなく、アーバンスポーツなどのチャレンジングで多彩な文化イベントを開催しました。

11月1日には、区立芸術文化劇場で東京都交響楽団によるスペシャルコンサートが開催され、本格的なクラシックだけでなく、ゲームやアニメの主題歌など、誰もが知っている曲目で、未就学児でも楽しめる演奏がなされました。区内小学校全児童及び区内保育園への周知、また、一時保護所の子どもたちや障害者施設の利用者の皆さんもご招待し、まさに子どもから大人まで、多くの方にご鑑賞いただきました。

11月3日には、あうるすぽっとで、「みんなの区民ひろばフェス」が開催され、プロレスラーの神取忍さんや、ばいきんまんなど人気キャラクター役の声優中尾隆聖さん、特撮テレビドラマの監督鈴村展弘さんなど様々な出演者によるライブやトークショー、ワークショップなどで会場を盛り上げました。

同日、すずらんスマイルプロジェクトでは、大学生とのコラボ企画「としま自分の日」イベントを実施しました。豊島区内の大学生が「自分と向き合う1日」をコンセプトに企画運営する参加型イベントで、私とZ世代とのトークセッションや、参加者同士で対話しながら進める巨大人生ゲーム、「あたたかさを感じた瞬間」をテーマに言葉で作る壁面アートなどをお楽しみいただきました。

また、11月4日、5日には、ブレイクダンスやパルクール、ライブペインティングなど、ストリートカルチャーを一同に集めた祭典「TOSHIMA STREET FES 2023」が池袋西口公園グローバルリングと中池袋公園で開催され、3万人が来場。若者の熱気に包まれたフェスティバルとなりました。

 今年の「としま文化の日」は、豊島区の持つ多様な文化資源を活用し、未来を担う若い世代が、多くの文化に触れるだけでなく、自らも参加・体験することにより、今まで気付かなかった興味や才能に気付き、自身の可能性を広げる機会となったのではないかと思っております。こうしたとしま文化の日の盛り上がりをさらに広げ、子どもから大人まで、まちの至るところで、文化に触れ楽しめる、「日常にアートカルチャーがあふれるまちづくり」をより一層進めてまいります。

6-3 豊島区の宝である伝統工芸

豊島区が誇る地域の宝である伝統工芸保存会は、会が発足してから30周年を迎えました。この節目の年に、これまでの功績が評価され、東京都功労者表彰の文化功労賞を受賞されました。また、江戸象牙、東京三味線、東京組紐、貴金属装身具の工芸士の皆様が、現代の名工表彰や日本伝統工芸会の正会員認定などを受けられました。1年の間にこれだけの工芸士の方々が受賞されるのは、保存会始まって以来とのことで、重ねての喜びとなりました。

保存会の皆様には、夏休みや10月の伝統工芸展において、次世代を担う子どもたちに対して体験教室を実施していただいております。

また、12月より、新しいふるさと納税サイトの利用を開始する返礼品では、9名の工芸士から36品目の返礼品提供のご協力をいただく予定です。

世代を超えて培われた匠の技を、後世に伝えていけるよう支援するとともに、伝統工芸の魅力を保存会の皆様と一緒に国内外に発信してまいります。

7 魅力と活力を高めるまちづくり

7-1 池袋駅コア整備方針

次に、「魅力と活力を高めるまちづくり」について申し上げます。

このたび、「(仮称)池袋駅コア整備方針2024」の素案を策定し、主に池袋駅西口エリアの将来のまちづくりの方向性についてお示ししました。

現在、池袋西口再開発事業において、この方針のもと、駅から街へ人を送り出すサンクンガーデンや、周辺のまちへつなぐ歩行者ネットワーク、交通広場などの整備について検討が進められています。区も一丸となり、今年度末の都市計画提案に向けて邁進してまいります。

7-2 (仮称)東池袋駅周辺まちづくり方針

また、東池袋駅エリアは、サンシャインシティに加え、区役所庁舎やイケ・サンパークのオープン、多くのタワーマンションの建設、さらに東京国際大学の開校など、目まぐるしく成長しております。環状5の1号線や補助81号線の整備など、まちの骨格となる都市基盤も大きく変わろうとしている今般、年度内を目途に、改めてまちづくりの方向性を関係者で共有し、官民連携で池袋駅周辺とも連携した価値あるウォーカブルなまちづくりを進めてまいります。

7-3 池袋エリアプラットフォーム

区や民間企業・各種団体・大学などによって昨年の11月に発足した「池袋エリアプラットフォーム」は、池袋駅周辺地域を対象として、池袋で活動する多様な主体が連携・協働して、まちの魅力や価値を向上していくこととしております。

本年4月に国から「官民連携まちなか再生推進事業」の実施事業者として決定を受け、多様な活動主体がエリアの将来像を共有した上で、その実現に向けたプロジェクトを展開できるよう、これまで勉強会やワークショップを開催し、池袋を良く知る有識者の方々や地元で活動する区民の皆様の意見を伺いながら、取組みの内容などを整理してまいりました。

今後は、将来像としての「未来ビジョン」を策定するとともに、民間が自立的にビジョンを実現するための体制の構築に向けた検討を進めていくこととしています。

こうした「エリアプラットフォーム」の取組みを区としても支援し、民間の発想・力を活用しながら「人」が主役のウォーカブルなまちの実現を図ってまいります。

8 プラスチック資源回収

プラスチック資源回収が本格的にスタートし、1か月が経過しました。

従前とは大きく異なる分別方法となりましたが、区民の皆様のご理解、ご協力により、大きな混乱もなく、区内全域で実施することができました。

開始にあたっては、広報としまやホームページによる情報発信をはじめ、「資源回収・ごみ収集のお知らせ」などの全戸配布、100回を超える区民説明会、SNSや動画の活用、イベントでの周知活動など、丁寧な周知や説明に努めてまいりました。

現在、区民の皆様に身近な区民ひろばにおいて、分別に関してご質問の多かった事項に関する説明や、資源として回収できない物品を具体的に展示・解説するなど、より分かりやすい方法で、さらなる周知を進めております。今後も、区民の皆様のご協力をいただきながら、ごみの減量・資源循環の推進に、全力で取り組んでまいります。

11月6日には水育やペットボトルのリサイクルなど、環境分野で広く社会貢献活動を進めているサントリーグループとの間で、23区で初めてとなる環境包括連携協定を締結いたしました。豊島区の環境政策をさらに推し進めていくため、この協定を契機とし、今後も、こうした企業連携を進めていきたいと考えております。

9 災害に強いまちづくりへの取組み

9-1 地域との連携による防災・減災への取組み

近年、全国いたるところで、今までに経験したことのない大規模な自然災害が発生しており、災害に強いまちづくりが、以前にも増して自治体の重要な課題となっています。区では、このような課題に対する防災・減災対策として、建物の耐震化促進や救援センターにおけるマンホールトイレ整備といったハード対策に加え、関係機関と連携した災害時の情報収集や区民に対する情報提供の強化、防災訓練の実施といったソフト対策にも力を入れるなどの取組みを進めています。

先日は、東京消防庁が全庁的に実施した震災図上訓練に併せ、区においても災害対策本部を開設したことを想定し、防災危機管理課と豊島・池袋両消防署において、相互の情報共有及び連絡調整体制の確認を目的とした「連携訓練」を実施しました。本訓練は、昨年から実施しているものですが、回数を重ねるごとに、区と両消防署との情報共有が円滑になり、また、訓練実施後の意見交換においても、今後に活かすべき多くの意見が出るなど、充実した訓練になったと考えております。 

9-2 緊急医療救護所立ち上げ訓練

また、災害時医療の対応においては、医師や看護師、歯科医師、薬剤師など、知識と経験を補い合える多職種の連携が極めて重要となります。

10月14日、としま昭和病院において、「緊急医療救護所立ち上げ訓練」を実施し、四師会や柔道整復師会、さらに4年ぶりに町会の皆様にもご参加いただき、通信訓練やテントの設営、負傷者対応シミュレーションや動線の確認などを行いました。

互いの得意分野を生かした多職種連携は、発災時において大きな力となることから、四師会等との連携を一層緊密にしていくとともに、今後もこうした訓練を重ねることにより、傷病者の医療救護に万全を期すよう取り組んでまいります。

9-3 福祉救援センター初動訓練

災害弱者となる災害時要援護者対策については、本年4月、187事業者が参加する「介護事業者災害対策連絡協議会」が設立され、7月には協議会と区との間で災害時の要援護者の安否確認、生活支援についての協定を締結いたしました。

こうした動きを経て、10月24日、区職員のほか、福祉救援センターとなる特別養護老人ホーム、運営に協力いただく介護事業者から50名を超える参加者、見学者にお越しいただき、「福祉救援センター初動訓練」を初めて実施いたしました。

今回の訓練では、区対策本部・救援センター・特別養護老人ホーム・介護事業者のそれぞれの動きを、発災時からフェーズごとに確認するとともに、連絡方法や使用する報告様式等に係る課題を共有しました。今後、これらの課題等について共に検討を進めながら、マニュアル作成をはじめ、災害時要援護者の支援体制構築を強力に進めてまいります。

9-4 帰宅困難者対策訓練等

また、12月には、株式会社サンシャインシティのご協力を得て、災害時に多くの帰宅困難者が発生したときを想定し、一時滞在施設の開設・受付・運営を行う「帰宅困難者対策訓練」を実施する予定です。訓練には、区内の駅周辺の集客施設など、民間事業者の方にもご参加いただくこととしています。

地域においては、町会を中心に地域防災訓練を実施いただいております。避難所生活においては、衛生面、精神面での不安を少しでも緩和する上で、女性の目線は不可欠であることから、来年2月に、女性防災リーダーを対象とした「女性の視点からの防災講座 実践編」を実施します。住民の避難や避難所の開設・運営等の面で、女性の参画を進めることで、地域防災力の向上を図ります。

今後も、関係機関・区内事業者、区民の皆様との連携強化を目的とした各種訓練を通して、地域と行政が一体となった自助・共助・公助による、安全安心なまちづくりを進めてまいります。

 

10.区と区内大学との連携・協働

去る11月2日、区は、区内8つの大学との間で、「豊島区と区内大学との連携・協働に関する包括協定」を締結いたしました。平成19年にスタートしたこの協定により、これまで区内大学との間で、福祉や環境、教育をはじめ、様々な分野での事業連携や人的交流が活発に進んでまいりました。本年9月、東京国際大学池袋キャンパスが開校し、100か国を超える留学生が、キャンパスライフの舞台を豊島区に移したのを機に、当大学が協定に加わりました。

今後も、それぞれの大学の強みや特色を生かした連携による区政課題への対応に加え、子どもをはじめとする、区民と大学や大学生との交流、また、大学生の区政参画やボランティア活動等、活躍の場の拡大など、連携した取組みを積極的に進めてまいります。

 

11.区施設の整備(学び舎ぴいす・千早スポーツフィールド)

さて、区内西部エリアでは2つの施設の整備が進んでいます。

まず、「西部区民事務所等複合施設(学び舎ぴいす)」は、来年2月末に竣工の予定ですが、西部区民事務所・西部高齢者総合相談センター・西部障害支援センターの3施設のフロアが9月末日に完成し、10月10日より新たな場所で業務を開始しました。

いずれの施設も窓口や相談室が広く、安心して相談できる環境となり、来庁者の利便性も向上いたしました。また、2階に新たに会議室を設け、平日夜間、土日祝日の全日については、地域団体の皆様の活動にご利用いただけます。

さらに、体育協会をはじめ多くのスポーツ関係者の皆様から、長年にわたってご要望のありました屋外スポーツ施設「千早スポーツフィールド」が来年の秋に開設します。平成29年に構想を検討し始めて、7年をかけて、ようやく完成の時を迎えることになりました。サッカーの国際規格を踏まえ、ラグビーや少年野球など多目的な機能を備えた運動場とテニスコート2面を備え、クラブハウスもガラスを大きくとり、明るい色調の建物となっています。区民の皆様には、この新たな「学び舎ぴいす」と「千早スポーツフィールド」の2つの施設を大いにご利用いただきたいと存じます。

12 おわりに

12-1 特別支援学校給食費補助

区長就任後、区議会のご理解をいただきながら「区立小中学校の給食費無償化」や「子育て世帯見守り訪問事業」など、着実に新たな施策を実現させてまいりました。このうち、給食費については、特別支援学校にも支援の対象を広げることとし、今定例会において補正予算を計上いたしました。申請の受付は令和5年12月中に開始し、区立小中学校の給食費無償化がスタートした9月分から遡及して支給する予定です。

12-2 医療機関等物価高騰対策支援

 また、物価高騰の長期化により、区民生活や区内事業者に大きな影響を及ぼしていることから、区はこれまで、介護・障害福祉サービス事業所、保育園、幼稚園、公衆浴場など、物価高騰による経費を利用者に転嫁しにくい事業者などに対し、支援を行ってまいりました。

医療機関や薬局等に対しては、これまで東京都が支援を行ってきたところですが、本年上半期で終了となりました。物価高騰の影響が続く中、先月、豊島区医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護師会の各会長より、支援要望を受け、区として初めて医療機関等に対する支援を行うこととし、今定例会において、下半期分の支援経費に係る補正予算案を提案いたしました。

12-3 基本構想・基本計画の策定

さて、本定例会において、区政運営の最高指針である「豊島区基本構想」「豊島区基本計画」の策定に係る補正予算を計上しております。

長く続いたコロナ禍は、区民ニーズに変化をもたらすとともに、区民生活にも大きな影響を与えました。今年も、災害レベルの猛暑が続くとともに、加速する少子高齢化、いまなお予断を許さない感染症対応、さらに区民生活や事業活動を直撃する物価高騰など、区を取り巻く状況は依然として厳しい状況となっております。

今年4月、新体制となった豊島区は、持続可能な行財政運営の実現に向け、こうした諸課題が複雑に絡み合う状況にあっても、区民の皆様とともに、柔軟かつ迅速に、そして的確に対応していく決意です。このために、社会経済状況の変化などを踏まえ、豊島区のより良い未来を見据え、優先的に取り組むべき主要課題として定義した“8つのまちづくり“をはじめとする、現在の区政運営方針を総合計画においていち早く反映する必要があると考え、基本構想等の策定時期を1年前倒しし、令和6年度末の策定を目指すこととし、今定例会において必要な補正予算を計上いたしました。

「ひと」が主役の区政、そしてSDGsの基本理念に掲げる「誰一人取り残さない」区政を推進し、「住みたい」「住み続けたい」「訪れたい」まちの実現に向け、今後も区民の皆様の声をしっかりと受け止め、スピード感を持って取り組んでまいります。

議員の皆様におかれましては、何とぞご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例4件、補正予算3件、その他5件、合わせて12件の議案を提案しております。

よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

以上を持ちまして、令和5年第四回区議会定例会 開会の挨拶を終わります。

 

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