更新日:2024年12月4日
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令和6年第四回豊島区議会定例会の開会にあたり、区政運営に対する所信の一端を申し述べ、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
まず、ウォーカブルなまちづくりについて申し上げます。
もっと歩きたくなる「人」が主役のまち。これは、豊島区が地域の皆様と共に進めている基本的なまちづくりの方向性です。
都心にいながら自然と触れ合える公園や広場があって、そこではアートやカルチャーを育むイベントが開催されている。音楽の響きが心地よく流れる空間は、街を訪れる人々の日常を豊かに彩ります。
多様な立場の方々が集い、誰もが自分らしいライフスタイルを実現できる都市、それがウォーカブルなまちづくりの目指す姿です。
このような区の構想に呼応してくれたのが、民間が主体となって池袋のまちを育て、価値を共創していくための共同体、「池袋エリアプラットフォーム」です。
今年の5月に行動指針となる「池袋未来ビジョン」をリリースして以降、エリアプラットフォームが取り組んできた活動の報告会を、12月9日にサンシャインシティで開催します。また年内には、専用のホームページを開設し、活動内容について広く皆様にお知らせする予定です。
さて、こうした取組みの中、大変嬉しいニュースが飛び込んでまいりました。
10月23日、池袋駅西口地区の再開発の都市計画が、ついに内閣総理大臣の認定を受け、11月11日に都市計画決定となりました。平成27年の再開発準備組合結成以来、地元の悲願であった池袋駅西口におけるまちづくりの一つの大きな節目を迎えることができました。
都市計画決定を踏まえ、今後も区としても引き続き再開発準備組合等に対し、助言等を行うなど、事業の具体化に向けての取組みを推進してまいります。
次に、今年度の重点事業として取り組んでいる、公園アドバイザーを活用した、公園の再構築について申し上げます。
区民に身近な小さな公園や児童遊園には、古い遊具が残ったままのところや、禁止看板などによって、子どもたちがのびのびと遊べる場所がないなどの声が寄せられています。子どもから大人まで、多様化するニーズに応えられるよう、利用したくなる公園が求められています。このため、それぞれの公園ごとに、憩い・遊び・交流など役割分担を明確にして、地域の中で様々な特徴が発揮できるように作り変えていきたいと考えております。
小さな公園が多い豊島区の特性を前向きにとらえ、区民の皆様がもっと行ってみたくなる公園となるよう、今後モデル地区を選定して地域の皆様のご意見などをお聞きしながら、公園再構築プランを策定し、魅力あふれる公園づくりに挑戦してまいります。
次に「犯罪被害者等支援」について申し上げます。
11月25日から12月1日は「犯罪被害者週間」です。
私はかつて、日本司法支援センター(通称「法テラス」)の初代・犯罪被害者支援課長として、東京はじめ全国の地方事務所で犯罪被害者等支援業務を立ち上げ、被害者ご本人やご遺族の苦しみを受け止めながら、全身全霊で支援に取り組んでおりました。
先月17日、一般社団法人「関東交通犯罪遺族の会」(通称・あいの会)の皆様から、交通事故などで親を亡くした子どもたちが悲しみを打ち明けにくい現実を描いた絵本の寄贈を受けました。その際、会の副代表理事であり、平成31年、東池袋での乗用車暴走事故で妻子を亡くされた松永拓也さんからも、改めて、犯罪被害者等支援についての区としての向き合い方などについてお話をいただきました。
区では現在、犯罪被害者等支援窓口の開設に向け、検討を進めています。これに加え、令和7年第一回定例会に「(仮称)豊島区犯罪被害者等支援条例」を上程できるよう、関係団体との協議等を進めており、年内にはパブリックコメントを実施します。条例が制定された後には、東京都や民間支援団体、警察等と連携し、生活支援や心の支援など、犯罪被害者等に寄り添った支援を全庁横断で行ってまいります。
次に、防災対策の強化に向けた「地域防災計画」の全面改定について申し上げます。
今年も各地において地震や集中豪雨などの大規模災害が発生しています。区は被災地において支援活動を行う中で、災害対策のさらなる強化は喫緊の課題であると強く認識しております。
令和2年以来、4年ぶりとなる「地域防災計画」の改定にあたっては、「災害対策基本法」の改正や令和4年度に発表した「東京の新たな被害想定」、さらに東京都の地域防災計画の修正などを反映したものとなっており、2030年度までに人的・物的被害を概ね半減させることを減災目標としています。また、9月に開催した「防災会議」において、高齢者や障害者、更に女性への配慮など、委員の皆様からいただいたご意見を計画に盛り込み、年内に完成させてまいります。
具体的には、高齢者・障害者・子ども・外国人などの要配慮者対策をはじめ、「女性の視点での防災PT」でのご意見を踏まえた備蓄物資の増強や救援センター運営の見直し、ペット同行避難や感染症対策などを含めた救援センターの運営、在宅避難推進に向けたマンション防災、発災後の迅速な災害ボランティア活用体制の構築、そして耐震化・不燃化の推進などを盛り込むこととしており、それに伴い、今後更なる災害対策の強化に取り組んでまいります。
また災害時における、防災協定締結都市や関係機関・団体等との連携方法について、協定都市との遠隔地避難方法や相互の人的派遣、区内8大学の教員や学生との連携など、具体的な内容を記載できるよう、現在の協定を今一度見直し、さらなる実践的な体制を構築してまいります。
次に、地域活動におけるデジタル化への取組みについて申し上げます。
今年度の「区民による事業提案制度」では、「災害に強い地域づくり」「人にやさしいデジタル化社会の推進」の2つをテーマとし、区民投票により選定されたひとつに「ICTと笑顔でつなげる町会・自治会活動」が含まれるなど、地域活動におけるデジタル化のニーズはますます高まっております。
先月、豊島区町会連合会との共催により、「町会セミナー」を実施し、デジタル化への取組みを進めている上池袋町会、池袋仲町会の若手役員の方から、ホームページとLINEの併用、電子回覧板による情報発信、NPOとの連携によるイベントの開催など、各町会にとって今後の活動のモデルとなる発表がありました。苦労話を交えながらのお話に、多数の質問とともに、各町会の若手同士の連携を求める声が出るなど、大変活発なセミナーとなりました。
今回の事例のように、町会などの地域活動にデジタルを積極的に導入することが、若い世代の参加につながり、さらに町会活動の活性化にもつながっていくものと考えております。
今後も、地域間の連携のあり方や、デジタル推進にかかる町会のニーズや効果などを考慮しながら、必要な支援に取り組んでまいります。
次に、教育施策の推進について申し上げます。
10月1日に、新しい「豊島区教育大綱」を策定いたしました。区長就任以来、豊島区に生まれ育つ子どもが、どんな環境であっても、元気で明るく、未来に夢と希望をもって歩みを進めてほしい。こうした想いを込めて作り上げました。
この新しい「教育大綱」をもとに、より効果的に教育施策を推進するため、新たな「教育ビジョン」及び「特別支援教育推進計画」の策定に向けた検討を進めています。
コロナ禍以降、子どもと家庭を取り巻く環境は大きく変化し、いじめ・不登校の問題、障害のある子どもや外国籍の子どもの増加、コロナ禍での体力の低下等、多くの取り組むべき課題があります。これらの課題の解決に向けて、新たないじめや不登校を生まないようにする取組みや、子どもの状況に応じた学びの場の提供、教育相談機能の充実等、どのような状況下においても、一人ひとりの子どもの個性や特性に応じたきめ細やかな教育を展開できるよう、現在検討委員会において活発な議論が交わされています。
教育大綱を踏まえた新規計画の素案を11月中に取りまとめ、12月から1月にかけて実施するパブリックコメントを経て、3月に開催する教育委員会で計画決定いたします。
次に、「学校改築計画」についてです。
先般の第二回定例会における「新たな学校改築方針」のご説明以降、区政連絡会や学校運営協議会をはじめ、PTA会長連絡会や豊島区スポーツ協会など、関係する皆様に、精力的に説明を進めてまいりました。
本区は年度末に「区施設の改築改修計画」を策定することとしていますが、これに先立ち、駒込小学校・仰高小学校・朋有小学校・駒込中学校・西巣鴨中学校の5校を具体的な改築スケジュールに位置付けました。
まず、駒込地域は、各校舎の老朽化状況を念頭に、児童・生徒の学習環境の確保や仮校舎に通う負担の軽減を踏まえた結果、駒込中学校の改築から着手することといたします。新校舎の開設予定は、駒込中学校が令和15年度で、以降、駒込小学校・仰高小学校と続きます。
改築に先立ち、来年度には、民有地での仮校舎整備を進める事業者を決定するとともに、地元町会やPTAなどの学校関係者を含めた「考える会」を立ち上げて、具体的に事業を進めてまいります。
また、朋有小学校と西巣鴨中学校の校舎一体型小中連携校は、朋有小学校と総合体育場の敷地を一体的に活用する整備手法であることから、学校とスポーツ施設が合同で考える会を設置いたします。学校とスポーツ施設が足並みを揃えるだけでなく、施設配置やスポーツ施設の空き時間に学校が利用できる仕組みなど、一体的な整備による相乗効果が生み出されることを期待しております。来年度からは、考える会の中で一体的な整備の具体的な検討を進め、令和11年度に、総合体育場の解体に着手いたします。
こうした学校改築計画を今後20年で着実に進めていくには、相当の事業費が見込まれることから、年度間における投資的経費の均衡を図ることはもとより、基金や起債の活用を図らなければなりません。今後は、ソフト事業を含む一般行政経費などを合わせた歳出全体と歳入全体のバランスや、社会経済状況を十分に勘案するとともに、各種補助金、助成金をはじめ、事業の見直しを継続していくなど、堅実な財政運営が極めて重要です。こうした財政運営と事業推進に着実に取り組んでまいります。
教育施策の最後として、「小1の壁」に関する対策についてです。
小学校進学を機に、早朝の子どもの預け先がなくなり、仕事と子育てが両立できなくなる、いわゆる「小1の壁」が全国的な課題となっています。
本区でも、保護者アンケート調査を実施したところ、児童よりも早く保護者が出勤するため、登校時間まで児童一人で自宅で過ごすなど、朝の子どもの居場所にお困りのご家庭が多いことや、学童クラブからの児童一人での帰宅を心配される声が多いことが分かりました。
こうした状況を踏まえ、来年1月から3月まで、駒込小学校と清和小学校の2校で、児童の朝の見守りと夕方の学童クラブからの帰宅時の見送りについて、試行実施します。
朝の見守りについては、学童クラブに在籍する小学1年生を対象に、7時45分から児童を受け入れ、子どもスキップ及び校舎内で見守ります。
また、夕方の見送りについては、学年を問わず、16時から18時の間に主に学童クラブから帰宅する児童を対象に、暗い道や交通量の多い通学路を、安全が確認できる地点まで見送ります。
これら朝夕の児童の見守りを行うことで、働く保護者の方々の「小1の壁」のご負担を軽減し、仕事と子育ての両立を支援してまいります。
次に、「基本構想・基本計画」の策定について申し上げます。
本年2月にスタートした基本構想審議会における審議もいよいよ大詰めを迎えております。10月30日に開催した第9回審議会では、「基本構想・基本計画(素案)」のご審議をいただきました。
素案の策定に至るまでは、基本構想審議会での議論のみならず、様々な方法で区民の皆様の声を直接お伺いしてまいりました。
人口流動性の高い本区の特徴を捉え、外国人や大学生を対象に実施した「未来としまミーティング」、10代から80代までの幅広い世代にご参加いただき、2日間にわたって8つのテーマでまちづくりの方向性を議論した「区民ワークショップ」など、多くの皆様から様々な視点でのご意見・ご提案をいただきました。
こうした声を踏まえ、全ての部局において区民目線で検討を進めてきた「基本構想・基本計画」の素案について、本定例会でご報告させていただいた後、11月下旬からパブリックコメントを実施すると同時に、区役所本庁舎、南大塚地域文化創造館、区民ひろば千早と、区内3地区において区民説明会を実施いたします。
引き続き、できるだけ多くの区民の皆様の声を聞くことを重視し、策定を進めてまいります。
本区は、これまでもセーフコミュニティ国際認証を取得するなど、官民協働で安全・安心なまちづくりを推進してきました。これらの取組みに加えて、子育て支援の充実や、旧庁舎跡地開発、4つの公園の整備などに取り組んできた結果、住みたい街ランキングの上位に選ばれるなど、まちの魅力は高まり、かつての怖い、汚い、暗いという、いわゆる3Kのイメージは、大きく改善されたものと認識しています。
しかしながら、基本構想策定のための意見交換の場においては、若年女性から池袋は怖いイメージという発言が度々あり、広聴メールや子どもレターなど区民の声においては、ポイ捨てなどでまちが汚い、受動喫煙に困っているなど、マイナスイメージの意見が寄せられています。
このような状況にあることに加えて、基本構想・基本計画をまもなく策定しようとしているこのタイミングにおいて、これまでの安全・安心に向けた取組みをアップデートし、池袋のさらなるイメージ向上を図る必要があると判断し、全庁横断的な対策本部を立ち上げることといたしました。
その第一弾として、まずは「特殊詐欺」対策に重点的に取り組んでまいります。
特殊詐欺による被害は、全国的にも増加傾向にありますが、本区においても件数・被害額ともに前年度よりも増加しております。昨年1年間の区内の被害件数・被害額は74件、約1億4300万円でしたが、今年1月から9月までの被害は98件、約2億3800万円と、すでに昨年を大きく上回っており、人口一人当たりの被害額は、23区中でワーストとなっております。
このような状況に対応するために、まず「広報としま」11月号の特集記事「おはなしで知る、としまの安全・安心」に、「としま特殊詐欺ばなし」として、特殊詐欺の手口を昔話風にアレンジして、区民の皆様に分かりやすく掲載しました。
また、12月の区政連絡会においては、12地区すべての町会長の皆様に、特殊詐欺への注意を呼び掛けてまいります。
さらに、警察・鉄道会社・商業施設等との合同キャンペーンや、広報・ホームページ・SNSの活用、チームとしまと連携した情報発信に努めるとともに、区職員と警察、関係機関・団体等との連携による声掛け活動、詐欺電話のあった地域での青色防犯パトロールカーによる集中警戒など対策を強化してまいります。
今後も引き続き、こうした取組みを粘り強く継続することにより、詐欺被害の未然防止に努めてまいります。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例4件、補正予算2件、その他8件、合わせて14件の議案を提案しております。
よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
以上を持ちまして、令和6年第四回区議会定例会 招集挨拶を終わります。
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