令和7年第3回定例会の報告について
令和7年9月17日から10月24日までの1か月以上にわたり、令和7年第3回定例会が開催されました。
「豊島区公契約条例」、「豊島区保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例」、「豊島区一般会計補正予算(第3号)」のほか、決算特別委員会において、「令和6年度豊島区一般会計歳入歳出決算」について審議され、条例6件、補正予算案3件、決算の認定4件、その他8件が可決されました。
条例
豊島区公契約条例
区が発注する公共工事等の品質を確保するとともに、労働者等の労働環境確保の実効性を高めるため、公契約に関する基本方針等を定めた条例を制定する。
豊島区保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
令和8年5月の保健所本移転に伴い、保健所の位置を「豊島区南池袋二丁目1番1号」に変更するほか、名称を「池袋保健所」から「豊島区保健所」に変更する。
予算
令和7年度豊島区一般会計補正予算(第3号)
一般会計補正予算の主な事業
- 高齢者スマートフォン購入費補助事業経費1,000万円
行政のデジタル化を推進している中、デジタルに不慣れな高齢者にもご利用いただけるよう、スマートフォンを初めて購入する65歳以上の高齢者に対し、購入費用等の一部助成を行う。
※320台分
※区HPの周知、チラシの配布は11月1日から開始。広報としまは11月15日に掲載予定
※11月17日から申請受付開始予定
- 予防接種事業経費/予防接種(定期)経費1,840万円
東京都の補助事業を活用し、新型コロナウイルスワクチン定期予防接種対象者の自己負担額を2,500円とする。
※接種券は対象者に対して、9月に送付済み
- 児童養護施設等運営助成経費758万円
育児指導機能及び障害児等受入体制等の強化を目的に、担当職員を配置する区内私立母子生活支援施設に対し、補助を行う。
- 日本語指導経費796万円
教育センターの日本語指導教室を修了した児童・生徒に対し、巡回による学習指導を開始する。また、日本語を母語としない児童・生徒の転入増加に対応するため、日本語指導教室の指導員を増員する。
- 多文化キッズコーディネーター事業経費211万円
日本語を母語としない子どもとその保護者に対する支援を目的に、学校や関係機関と連携して支援する多文化キッズコーディネーターを設置する。
- 学校ふるさと納税支援金事業経費2,959万円
地域の魅力発信や子ども・若者の育成を目的に、ふるさと納税の寄附先として区内私立学校等を加える。寄附の指定を受けた各学校に対し、区が支援金を交付する。
※寄附の申し込みは、豊島区に在住の方は対象外
区HP「豊島区学校ふるさと納税制度」
https://www.city.toshima.lg.jp/002/2510171010.html
- 地域区民ひろば推進事業経費500万円
東京都の補助金を活用し、地域区民ひろばにて子ども参加型のワークショップ等を開催し、多様な体験機会を創出する。
・子ども参加型の芸術体験活動
8月30日:区民ひろば要において、子どもが自由にアート・音楽・ダンスに触れあえるイベントを実施。
当日は、それぞれのプロのアーティストが、子どもと一緒に創作活動や体験活動を実施。
10月18日:イケ・サンパークにおけるみんなの区民ひろばフェスの中で、青空コンサートとして、
子どもが自由に絵を描き、アーティストが仕上げる、楽器を演奏する、ダンスを踊るなどのワークショップを実施。
・みんなで創る!バーチャルとしまプロジェクト
小中学生が、オンライン上の未来の居場所を自分たちの手で創作するワークショップ。
空間づくり、ゲーム作りを通して、子どもの自己肯定感の向上、オンライン上の交流の場の創出を目指す。
- 予防接種事業経費/予防接種(定期)経費3,385万円減額
新型コロナウイルスワクチン定期予防接種経費について、令和6年度の接種実績を踏まえ、減額補正する。
- 区民ひろば清和複合施設新築及び巣鴨第一保育園改築に係る経費
10億9,728万円減額
区民ひろば清和複合施設・巣鴨第一保育園の整備計画の変更に伴い、令和7年度に執行が見込まれない経費を減額補正する。また、区民ひろば清和複合施設新築工事の工期が令和9年度に至るため、債務負担行為を設定する。
令和7年度豊島区後期高齢者医療事業会計補正予算(第1号)
令和7年度豊島区介護保険事業会計補正予算(第1号)
決算の認定
- 令和6年度豊島区一般会計歳入歳出決算の認定について
- 令和6年度豊島区国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について
- 令和6年度豊島区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について
- 令和6年度豊島区介護保険事業会計歳入歳出決算の認定について
4会計の令和6年度決算の認定については、10月7日~22日の間、決算特別委員会において、8日間にわたる集中審議が行われ、賛成多数で認定されました。
令和6年度一般会計決算の特徴
1.歳出の特徴
令和6年度の歳出決算額は、1,497億円、前年度比3.9%、56億円の増となりました。11次に及ぶ補正予算を編成しながら、区民の声に寄り添った施策を展開しました。
主な事業
- 物価を価格に転嫁することが難しい事業所への支援など、区独自の物価高騰対策
- 国に先んじた「出産費用の実質無償化」
- スポーツ施設の子ども利用料免除
- 65歳以上の方の健康増進に活用いただく「おたっしゃカード」の拡充
- 公園の日陰化を含む6つの区民提案など
義務的経費
- 扶助費は、国の給付金の大幅な減少などにより0.2%、1億円の減となる445億円
- 人件費は、育児休業を取得する職員の代替に対応するための職員数の増や制度改正により隔年で増加する退職手当の影響などにより、13.9%、32億円の増となる258億円
投資的経費
- 投資的経費は、千早スポーツフィールド整備や市街地再開発事業、西巣鴨橋整備経費の増加などにより、33.7%、48億円の増となる189億円
2.歳入の特徴
令和6年度の歳入決算額は、定額減税を補てんする地方特例交付金や市街地再開発事業費補助金の増加などにより、1,545億円、前年度比4.9%、72億円の増となりました。
特別区税
- 「特別区税」は364億円、定額減税により課税額が12億円減少したものの、納税義務者数の増加によって、前年度からの減少額は1.0%、4億円の減にとどまる。
- 「ふるさと納税制度」による6年度の影響額は27億円となり、増加の一途を辿っている。
区HP「ふるさと納税が増えると豊島区の税収は減っていく・・・!」
https://www.city.toshima.lg.jp/004/2508071110.html
財政指標
- 財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」が、人件費や物価高騰に伴う物件費の増加により、81.7%と前年度比2.1ポイント上昇
- 一般財源に占める公債費負担の度合いを示す「公債費負担比率」は2.6%、前年度と同水準
3.強固な財政基盤の構築に向けて
今後の行政需要と基金残高
- 学校を始めとした巨額の投資を必要とする改築や市街地再開発事業、道路・橋りょう、区営住宅、公園、駐輪場の更新など、今後の財政運営を大きく左右する事業が目白押しである。
- 今後の財政支出の平準化のため、義務教育施設整備基金残高は16億円増の163億円、公共施設再構築基金は16億円増の175億円を確保した。
社会経済状況の変化に対応した強固な財政基盤の構築に向けて
- 工事費や物価の高騰、人件費や金利の上昇など、区財政を取り巻く環境は不確実性を増している。
- 既存事業について、必要性・有効性・効率性の観点から見直し、積極的に改善を進めるとともに、区民目線で、より効果の高い事業へ再構築する取組みを全庁挙げて推進している。
- 今後、既存事業の再構築を繰り返すことにより、新たな行政ニーズへの対応を可能とするとともに、各種財政指標の変化に留意しつつ、基金や起債を最大限に有効活用しながら、中長期的な視点に立った持続可能な財政運営を実現していく。