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更新日:2025年10月21日
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令和7年10月21日
豊島区立郷土資料館は、本日10月21日(火曜)から12月14日(日曜)まで、「生誕 110 周年 鈴木新夫展 ―画家のまなざし 描くということ―」を開催します。
本展は、豊島区長崎にアトリエを構えて長年活動した洋画家・鈴木新夫氏の生誕110周年を記念した東京初となる回顧展です。
期間中は、昭和の戦前から戦後にかけて、郷里の常盤炭鉱や変わりゆく東京の風景、そこで働く人々の姿など、日常にある何気ない光景が独自の柔らかな色彩で描かれた作品を展示。家族の姿を描いた《姉妹》、田端機関庫のありし姿を描き高い評価を得た《機関庫》、近年修復を経た《うしろむき》など、「描くとは」という命題に向き合った鈴木新夫氏の画業を、約100点の作品を通して紹介します。
さらに、回顧展の開催に合わせ、作品修復担当者による講演会や、鈴木新夫氏がヒロッタージュとなずけたコラージュ工作を学ぶ子ども向けのワークショップ、子どもから大人まで参加できるデッサン教室など、鈴木新夫氏の世界をより身近に感じられる様々なイベントも実施します。
開催にあたり区の担当者は、「『美術は難しい、わからない』という言葉をよく耳にしますが、美術品を鑑賞することに、正解も不正解もありません。まるで画家のアトリエを訪れたかのように、実際の作品をゆっくり眺めて、皆さんが想ったこと、感じたままに鈴木新夫の世界をお楽しみください」と話します。
展示風景
《機関庫》1947年
いわき市立美術館蔵
《うしろむき》1969年
豊島区蔵
区公式ホームページ
イベントは参加費無料・事前申込制です。詳細は下記ホームページをご確認ください。
鈴木新夫(1915-1980)は、画業のほぼすべてを豊島区長崎の地で過ごした洋画家です。福島県いわき市出身で、1932年に東京美術学校(現 東京藝術大学)受験のため上京しました。豊島区池袋地蔵堂(現千早一丁目付近)にアトリエを借り、途中、美術教師として函館に派遣されるも、1939年に、さくらが丘パルテノン(長崎二丁目)に転居してから逝去まで、豊島区に住まい、制作を続けました。
その作品は、丹念なデッサンに裏打ちされた確かな美術技巧や独自のマチエールによって、描かれた対象の内包する本質を浮かび上がらせつつも、精逸さと穏やかさを讃えています。