江戸時代から続く御会式のモットーは「楽しむ！」
〜ワークショップで伝統がグッと身近に

更新日：2024年11月11日

イベント

安産・子育（こやす）の神様をお祀りするお堂として多くの人に親しまれている鬼子母神堂。鬼子母神堂の年中行事のひとつ「雑司が谷鬼子母神御会式（おえしき）万灯練供養」が2024年10月16日～18日に開催されました。豊島区の指定無形民俗文化財に認定されている御会式は日蓮聖人の供養行事として毎年16～18日に開催される大祭です。多い時で5000人を超える参加者が一斉に豊島区の街を万灯や太鼓を持ちながら練り歩きます。

※鬼子母神の「鬼」はツノがない鬼を使います

本番に先駆けて、雑司が谷の御会式をもっと身近に感じてもらおうと、公益社団法人としま未来文化財団が主催した「としま深掘り！雑司が谷の御会式を知る」の第１弾レクチャー編（24年8月24日開催）と第２弾太鼓ワークショップ（同10月5日開催）が開催されました。こちらのイベント、第１弾、第２弾ともに参加した人は御会式本番に加わることができるのです！イベントの様子をお届けします。

「面白そうだからやってみよう」が雑司が谷御会式の始まり

レクチャー編は8月24日に雑司が谷地域文化創造館の第2練習室で開催されました。講師は、雑司ヶ谷鬼子母神御会式連合会副会長で、地元講社※「大門宮元講」講元の関口正朗氏。日蓮宗の仏事である御会式の歴史や全国と雑司が谷の御会式の違いなどのお話がありました。雑司が谷御会式の起源だろうとされている江戸時代中期の縁日の話など初めて知ることが盛りだくさん。

※万灯練供養を行う団体のこと

正確な資料は残っていないそうですが、関口氏は雑司が谷の御会式は宗教的な要素よりも「面白そうだからやってみよう」が原点だと考察しているとのこと。それが故に雑司が谷の御会式は全国でも珍しく宗教問わず、誰でも参加できるそうです。

最後に関口氏は「雑司が谷の御会式は『なんか面白そう』から始まりました。楽しむことが一番の目的なので、御会式に参加する皆さんにはぜひ楽しんでもらいたいです！」と締めくくりました。

御会式レク編２

御会式名物、団扇太鼓をたたいてみる

続いては10月5日に豊島区立南池袋小学校の体育館で行われた、第２弾太鼓ワークショップの様子です。御会式では大小様々な太鼓や金属製の打楽器である摺鉦（すりがね）を奏でながら街中を練り歩きます。今回は団扇太鼓のたたき方を教えてもらいました。

御会式ワークショップ編３

最初に関口氏から団扇太鼓のリズムを教わり、大門宮元講のベテランメンバーが大太鼓や摺鉦（すりがね）と合わせて、太鼓のたたき方の見本を見せてくれました。団扇太鼓の気持ちの良い軽快な音とともに大太鼓の重低音や摺鉦（すりがね）の高い音が重なり合い、体育館いっぱいに響き渡ります。体の奥の奥まで振動が伝わってきて圧巻でした。

御会式太鼓のたたき方４

御会式太鼓のたたき方５

御会式太鼓のたたき方６

御会式太鼓のたたき方７

本番さながらの練り歩き練習

次は参加者も一人ひとつ太鼓を持って実践です。シンプルなリズムながらも合わせるのに必死で、大門宮元講の方に「顔がこわばっているよぉ、もっとリラックス～」と声をかけていただきました。大門宮元講の皆さんはリズムが体に染みついていて、どこかで太鼓が鳴ると体が勝手にリズムに合わせて揺れるそうです。参加者に見本を見せてくれながら、楽しんでいる感じが伝わってきました。

参加者が慣れてきたところで、体育館の中を歩きながら太鼓をたたくという練習に移ります。御会式当日は歩きながらたたくので、本番さながらの練習です。途中、フランスからの留学生も加わり、みんなで体育館を練り歩きました。だんだん慣れてくると参加者のみなさんも体をゆらゆらとリズムに合わせながら笑顔いっぱいでした。

御会式ワークショップ練り歩き８

御会式ワークショップ練り歩き９

数百年続く伝統は、すぐそばに

いよいよ本番に参加です！鬼子母神像を清めたとされている井戸がある目白台の清土鬼子母神堂からスタートし、ゴールは雑司が谷の鬼子母神堂まで２時間ほど練り歩きました。毎年10月になると「大きいお祭りやっているな…見にいってみよう」と沿道から見る側だったのが今年は太鼓をたたく側になり、今までと違った景色を見ることができました。

皆さんと一緒に練り歩いて感じたのは、「楽しむ！」の圧倒的な熱量でした。このエネルギーこそが、江戸から明治に大きく生活様式が変わろうとも、大戦を乗り越え、コロナ禍の中止にもめげずに長い長い間存続してこられた理由なのだなと肌で実感しました。

御会式本番10